*お嬢様に最大の感謝を
フォルクロール村
フォルクロール村のしがないおじさん。それが俺だ。畑を耕して、農作物を育て、村の子供たちの成長を見守るのが趣味の、ただのおじさん。しかし、そんな結婚もしないただのおじさんに、村の人達は優しい。可愛い女の人を紹介してくれるし、子供たちもおじさんに懐いてくれる。最近ようやくいいなと思える女の人と結婚を視野に入れ始め、村の人達と子供たちにお祝いされている。
だが、最近のフォルクロール村は物騒だ。村の唯一の猟師のお爺ちゃんが亡くなり、跡取りも街へ出て行きいない。そのため、魔獣が日に日に増えていったのだ。最初はそこまで気にならなかったのだが、魔獣達が村の農作物に手を出すようになり、家畜が襲われることも増え、今のところ人に被害は出ていないが、いつ子供たちが襲われるか…。公爵様は、一体なぜ取り合ってもくれないんだ…!俺たちは見捨てられたってのか…?こんな状況じゃあ安心して結婚も出来やしない。子供たちも心配だ。
そんな時、公爵様のお嬢様が村にお触れを出した。
『今なら少しの間だけ、通常の三倍の値段でジビエを買い取る』と。
結果、フォルクロール村に猟師が集まり、我先にと魔獣を狩りまくった。おかげで魔獣は本来の適切な数まで減り、魔獣の被害が魔獣が増える前と同じくらいまで減った。これならもうなんの心配もない。
公爵様は…いや、お嬢様は、俺達を見捨ててなんかいなかった。俺はなんて失礼なことを考えてしまったんだ…。
お嬢様に最大の感謝を。公爵家に忠誠を。俺は妻と結婚し、子供をもうけて、子供たちにお嬢様のお慈悲を語り、それを通じて少しでもお嬢様に恩返しがしたい。なんの力にもならないかもしれないけれど、せめてお嬢様への感謝を忘れないように。
この後村には新しい猟師さんが来てくれました