成長しました
五歳です!
はい。セレスト・エヴァ・シャロンです。五歳になりました。健康体です。どうやら私は銀の髪に空色の瞳のようです。正直めちゃくちゃ可愛い。どうしよう。
弟も出来ました。シリル・ディディエ・シャロンと言います。シリルも銀の髪に空色の瞳。乙女ゲーム『聖女は星の夢を見る』の攻略対象だからか、めちゃくちゃ顔がいいです。幼い頃からこんなに顔立ちが整っているのだから、そりゃあイケメンに育つわ。わがままな姉が大嫌いになり、優しく誠実な性格に育つ…はずなのですが、何故か三歳になる今、私の後をついてまわります。
まあ、私は今のところ悪役令嬢らしい振る舞いはしていないしね。わがままはわがままだけど、本来のセレストみたいに癇癪を起こすわけでもないし。わがままといっても公爵令嬢であれば許されるレベルだし。例えばアレが欲しいコレが欲しいとねだったり。アレが食べたいコレが食べたいとねだったり。むしろ五歳の女の子にしては大人しい方かもしれない。食わず嫌いもしないしね。
ということで今日も我が世の春を謳歌します。
「リリー!甘ーいケーキがたべたーい!」
「僕もたべたーい!」
「お嬢様も坊ちゃんも甘いものがお好きですねぇ。では、今日の三時のおやつは苺のケーキを出してもらいましょうね」
「やったー!リリー大好きー!」
「僕はお姉様が大好きー!」
「あらあら。うふふ」
「おやおや、このプラムは仲間はずれですかな?」
「プラムも大好きー!」
「プラム、僕も抱っこしてー!」
リリーに抱き上げられる。シリルもプラムに抱き上げられた。リリーは私の専属侍女。シリルの専属侍従はプラム。二人とも私達にはちょっと甘い。おかげでわがままが通ることが多いので助かる。
「ねえねえ、リリー。私、ガラス細工の小鳥が欲しいの」
「何故ですか?お嬢様」
「だって、ガラスなら死なないでずっと側に置いておけるでしょ?」
「…お嬢様は優しい方ですねぇ。ええ、わかりました。手配しておきます」
「じゃあ僕もお姉様と同じ小鳥が欲しい!」
「坊ちゃんは本当にお嬢様が大好きですねぇ。わかりました。すぐにお届け致します」
こんな調子で大体の要求は通る。公爵令嬢万歳。
「セレストちゃん、シリルちゃん」
「お母様!」
「お母様ー!」
二人とも私達にはちょっと甘いが、それ以上に甘いのが母だ。頼まなくても色々なものをプレゼントしてくれる。今日もなにかくれるのかな?
「セレストちゃんとシリルちゃんにクマのぬいぐるみを持ってきたのよ。色違いのお揃いなのだけど、気に入ってくれる?」
「ありがとうございます、お母様!」
「お母様大好きー!」
お母様からぬいぐるみを受け取る。大きい。ふわふわ。可愛い。私は茶色。シリルは白くま。
「お父様はお忙しいからなかなか会えないけれど、お父様もセレストちゃんとシリルちゃんが大好きですからね?」
「はーい!」
「わかったー!」
そんなこんなで今日も楽しいです。
元気いっぱいわがまま全開