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何故か周りに褒められています

新しいお友達

クレマンさんから絵を買って数日。別館の客間のうち一番広い部屋の家具を他の部屋に移し、クレマンさんの絵を飾る部屋にした。圧巻。ほとんど全て奥さんや娘さんの絵だけれど、色々なシーンが描かれていてアルバムみたい。飽きがこないし、可愛いし、優しくて癒される。うん、散財したいだけだったけど良い買い物したなぁ。


それはいいんだけど、何故か散財を窘められることがないどころかみんなから褒められました。え?なんで?


王宮でお勉強を教えてくれる先生は「芸術の自主勉強を行なっているそうですね。その意気や良し。今日は芸術の特別授業を行います」と褒めてくれ、ひたすら芸術のセンスがない私に根気よく教えてくれた。正直申し訳ない気持ちでいっぱいです。ごめんなさい、そんなつもりはなかったんです…。けどおかげで、零どころかマイナスだった私の芸術センスが一か二くらいには上がった。先生、ありがとうございます。


その帰りには、リシャール様から「やあ、素敵なお嬢さん。若手の作家のパトロンになったそうだね。そこまでして苦手を克服しようとは、すごい心掛けだね。なんだか僕まで頑張らないとと思わされたよ。お互い、頑張ろうね」と褒められて頭を優しく撫でられた。リシャール様、ごめんなさい。そんなつもりはなかったんです…。でもリシャール様に頭を撫でられるの、なんか好きだなぁ。心がぽかぽかする。


その後もフェリベール様やパトリックから、「負けてられねえな」「僕もお勉強頑張らなくちゃ」と感心され、シリルに至っては「お姉様、勉強熱心ですごい!僕もすぐに追いつくからね!…ふーん、お姉様はこういうのが好きなんだね!僕も好きになる!」と毎日のように展示室に入り浸るようになりました。いやほんとみんなごめんなさい。そんなつもりはなかったんです…。


そんなこんなで今日はクレマンさんが新しい絵を描いたとのことで持ってきてくれます。今度はどんな絵かな。楽しみだな。


「お嬢様。クレマン様がいらっしゃいましたよ」


「リリー、ありがとう!グレイ、行くよ!」


「はい、お嬢様」


クレマンさんを出迎える。今日は娘さんも一緒にきたみたい。茶色の髪に茶色の瞳。チョコレート色の甘い香りがしそうな女の子。絵で何度も見たけど、やっぱり可愛い。


「クレマンさん、いらっしゃい!」


「お嬢様、今日は新しい絵を持ってきました。でもその前に…ほら、ご挨拶しなさい」


「う、うん。お嬢様、お初にお目にかかります。アンナ・ミラ・クレマンと申します。父をお抱え作家にしてくださってありがとうございます!」


「初めまして。セレスト・エヴァ・シャロンよ。こちらこそいつも素敵な絵をありがとう。貴女のお父様の絵はとっても優しくて、大好きなの。そこにはいつも貴女やお母様がいるわ。仲良しなのね」


緊張してガチガチなアンナにそっと微笑む。怖くないよー、緊張しなくて大丈夫だよー。


「お嬢様…!ありがとうございます!そうなんです!パパもママもすごく仲良しで、私にも優しくて、パパの絵はすごく大好きが詰まった優しい絵で!…あ、ご、ごめんなさい」


縮こまるアンナ。別にいいのに。


「すみません、お嬢様。アンナはお嬢様に一言お礼を言いたいと付いてきたのですが、お嬢様にお会い出来てよっぽど嬉しかったようで」


「いいよいいよ。それよりアンナ、一緒に遊ぼうよ!」


「え?」


「お友達になろ!」


アンナに手を差し伸べる。アンナはクレマンさんの顔を一瞬見たが、私の手を取ってくれた。


「はい!お嬢様!」


「リリー、シリルを呼んできて!グレイ、一緒に遊ぶわよ!」


「すぐにお呼びします」


「かしこまりました、お嬢様」


グレイはまだまだお堅いなぁ。まあいいや。また『聖女は星の夢を見る』と関係ない新しいお友達ゲット!

今度は女の子のお友達

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