芸術はよくわかりませんが、お金を散財するのは楽しいです
散財します
はい。芸術の勉強がからっきしな私です。先生からセンスが壊滅的だと言われましたが元気です。
鬱憤が…溜まる…。
うん、こういう時は公爵令嬢としてわがままな振る舞いをするに限る!権力と財力を笠に着るの楽しい。どうせ将来は悪役令嬢として、いつも仲良くしているメンバーの誰かに断罪されるのだ。それまでは好きに生きる!
ということで今日は散財しようと思います。お小遣いもらったばっかりだし。今日はいつものメンバーが忙しくて一緒に遊べないし、我が可愛い弟もお姉様に追い付きたいとお勉強を開始したみたいだしね。両親はもうちょっとお勉強する時期をずらして甘やかしてやりたかったらしいけど、まあ本人にとってはいい傾向なんじゃなかろうか。それにしても、シャロン公爵家の子供へのお小遣い、尋常じゃない。めちゃくちゃ高い。神様ありがとう、いつか破滅するとしても、今は楽しいです。
え?断罪される時に備えて貯めとけ?嫌だよそんなの。楽しくないし。
さ、買い物に出発ー!
リリーとグレイを連れて街を歩く。何買おうかなと思いつつ進んでいると、ギャラリーが目に入った。芸術のセンスがない私だが、なんとなく気になった絵があって近付く。わあ、優しい絵。描いた人の娘さん…なのかな?可愛くて、ほわほわするよ。
「ご店主さん、この絵を描いた人と今連絡取れない?」
「お嬢様、この絵を気に入ったのですか?」
「うん。この絵も買うけど、他も買いたいなぁって思って」
散財するために来たんだし、たくさん買うぞー!
「おお、お目が高い!その作品は若手の作家のものですが、まだまだ売れてはいませんがいつか芽を出すだろう、素晴らしい作家なのです!価格はこちらです。作家にすぐに連絡を取りますので、しばらくお時間をいただけますか?」
「うん、お願い」
「他にもこの作家の作品はありますので、お待ちいただく間じっくり見ていってください」
正直芸術なんてわからないけど、こういう優しい絵なら幾らでも欲しいよね。あ、これもあの作家さんのだ。奥さんと娘さん?可愛いな。あ、これも欲しい。こっちも買おうかな。このギャラリーに置いてある作品の中では、この作家さんの作品は比較的安いね。散財するつもりで来たんだし、チップを多目に渡そうかな。あとは作家さんのアトリエを見て直接買おう。色を付けて渡せば散財になるよね。買った絵は別館の方で飾らせて貰おう。お父様なら許してくれるよね。リリーは私を「さすがはお嬢様、芸術のセンスまでお持ちとは!」と褒めてくれるけどごめんね、違うんだ。
わがままのつもり