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*優しい奴

割り込み投稿です!栞がずれてしまった方は申し訳ないです!

なんで一方的に突っかかった俺を許してくれるんだよ。


俺はフェリベール・レノー・イストワール。イストワール王国の第二王子だ。生まれるのも兄上より遅かった。母上も側室。王位継承権は当然兄上より低く、天才だと持て囃される兄上と比べられては馬鹿にされる一方。なんで、第二王子だからってこんな思いをしなきゃいけないんだ。不満は燻り、努力を重ねては天才である兄上に叩きのめされる日々。


そんな中で、兄上の婚約者が決まった。セレスト・エヴァ・シャロン。公爵令嬢。なるほど、爵位は兄上に見合う。容姿も良いらしい。兄上の隣に立つのだから当然だな。でも、王宮で受けたテストで全教科満点だと聞いた時は耳を疑った。兄上よりも優秀な奴なんているはずない!嘘だ!


俺は馬車を出してシャロン家に乗り込んだ。セレストの部屋に通される。挨拶もせずに怒鳴り込む。セレストは俺の無礼な振る舞いに怒るでもなくキョトンとしている。


「お前!聞いたぞ!テストで全教科満点だったらしいな!」


「魔術学以外は、まあ」


「ズルしたんだろう!」


「…はい?」


セレストが怪訝な表情になる。でも、きっと絶対ズルしたに決まってるんだ!


「その歳で貴族学園卒業生レベルの知識があるとかおかしいだろ!正直に答えろ!」


「いや、してませんけど」


怒りが顔に現れているが、悪いのはズルしたお前の方だ!


「俺は頑張って頑張って、それでも兄上に及ばないのに!お前なんかが兄上より優秀だなんて絶対に嘘だ!」


「…そう、そこまで言うならなにか問題を出して見なさいよ」


「は?」


「魔術学以外はどの教科でもいいわよ。複合問題でもよし。さあ、かかってきなさい!」


なんでそんなに偉そうなんだよ!俺の方が立場は上だろ!大体なんでそんな自信満々なんだよ!


「…っ!じゃあ、じゃあこの問題は!?」


ー…


「…気が済みました?」


「嘘だ…本当に貴族学園でのテストの問題も解けるなんて…」


ズルなんて出来ない状況なのに…本当に、本当にそれだけの知識があるっていうのか?


「だから言ったでしょうに」


…悔しいけど、俺が間違ってた。謝らないと。


「…るかった」


「え?」


「悪かったな!勝手に勘違いしていちゃもんつけて!」


悔しくて涙目になる。でも、これは俺が悪いから。


「ごめんなさいは?」


「…ごめんなさい」


…勝手に勘違いして、恥ずかしい。


「大丈夫です。私、もう気にしてません」


「え?いや、でも、俺が悪いのに」


もっと責められても仕方がないはずなのに、なんで一方的に突っかかった俺を許してくれるんだよ。


「今回のことは水に流しましょう。それより、私とお友達になってくださいませんか?」


「…いいのか?俺はいつも事あるごとに兄上に突っかかって、兄上から嫌われてるぞ?」


「おや、僕がたった一人の可愛い弟を嫌ったって?それは初耳だなぁ」


「…兄上!?」


突然の兄上の登場に驚く。セレストも驚いているから、セレストが呼んだわけじゃないようだ。


「フェリがシャロン家に向かったと聞いて急いで馬車を出したんだ。セレストに迷惑をかけるんじゃないかなと思ってね。でも、もう遅かったようだけど」


「はい。解決しちゃいました」


「あはは。さすがはセレスト。…フェリ、お前とは一度きちんと話をしないとね」


「…なんだよ」


聞きたくないけど、聞くしかない。


「フェリ。まず一つ言っておくが、お前は無能なんかじゃない。お前はきちんと努力しているし、その歳にしては非常に優秀だ。ただ、兄である僕が余りにも才能に溢れるから霞んで見えるだけだよ」


「…それ、自分で言うか?あと、霞んで見えるのが俺は嫌なんだよ!」


なんなんだよあんた!


「なら今以上に努力する他ない。それは僕とフェリの問題ではなく、フェリの問題だ」


「…っ、わかってるよ、わかってる!だから俺はいっぱい努力して!」


そしてあんたに打ちのめされるんだ。


「けれども、だからこそセレストの才能に嫉妬して今回、セレストに迷惑をかけてしまったんだろう?それはいけないことだね?」


「…うん、それは反省する。もう短気は起こさない」


セレストには本当に申し訳ないと思っているし、な。


「それはいい心がけだ。…フェリ。よかったら僕が勉強を手伝おうか」


「…は?」


なんでそうなるんだよ。


「僕ならフェリが躓くところをきちんと理解してわかりやすく教えてあげられるし。ほら、今フェリについてる先生ってさ、ちょっと説明が下手くそじゃない?」


「…まあ」


ちょっとどころじゃなく下手くそな爺さんだよな。


「もしかしたら、外野から僕のおかげだなんて言われる可能性も無くはないけど。それでもよかったら、フェリの才能を伸ばしてあげる。どうする?」


「…兄上を超えるような素晴らしい王子になるために、兄上を利用してもいいか?」


「もちろん。思う存分僕を利用しなさい」


兄上が微笑んで手を差し伸べてくる。俺はその手を取り深い握手を交わした。セレストは優しい笑顔で俺たちを見守ってくれる。


…なんだよ。兄上の婚約者なのに、なんで俺にまでそんなに優しいんだよ。好きになるだろ。叶わないのに、想ってしまうからやめてほしい。

最近また暖かいですね。寒暖差で体調を崩さないようにお気をつけてください。

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― 新着の感想 ―
割り込みページで、前のページと同じセリフ、説明を何回も読まされてくどいです。立場、視点が違うのなら、コピーは書かないでください
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