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第十四章 第二話 第一回、誰がデーヴィットの説明を一番理解し、わかりやすく説明できるのか大会

 今回のワード解説


 読む必要がない人は飛ばして本文のほうを呼んでください。


酸化……対象とする物質が電子を失う化学反応のこと。具体的には、物質に酸素が化合する反応、あるいは、物質が水素を奪われる反応などである。


周波数……工学、特に電気工学・電波工学や音響工学などにおいて、波動や振動が、単位時間当たりに繰り返される回数のことである。


ⅮNA……デオキシリボ核酸。遺伝子の本体。デオキシリボースを含む核酸。ウイルスの一部およびすべての生体細胞中に存在し,真核生物では主に核中にある。アデニン・グアニン・シトシン・チミンの 4 種の塩基を含み,その配列順序に遺伝情報が含まれる。

「それでは第一回、誰がデーヴィッドお兄ちゃんの説明を一番理解し、わかりやすく説明できるのか大会を開催するのです。司会進行役はわたし、アリスが務めるのです」


 なぜかアリスが、ノリノリで司会進行役を名乗り出し、かってに話を進めていく。


「まずは審査員のご紹介なのです。一番目はライリーお姉ちゃん。彼女は知られざる生命の精霊さんと契約しているのです。今回のテーマは、エルフの長生きの秘密ということで、ライリーお姉ちゃんは理解できそうですね」


 拳をマイク代わりに使っているのだろう。


 自身の右手をライリーの口元にもって行く。


「いやー楽しそうだからつい、審査員役を買って出たけど、実際あたいはバカだから理解するのは難しいかもしれないねぇ、でもエミは間違いなく優勝候補だと言える。何せバカだったあたいに回復魔法を使えるようにしてくれた実績がある」


「なるほど、やはりエミお姉ちゃんは強敵ということですね。それでは二人目のご紹介に移りましょう。レイラお姉ちゃんの配下であるジルさんです。宜しくお願いしますね」


 ライリーの話が終わると、次にアリスは隣にいるジルに声をかける。


「私のことはお兄ちゃんと言ってはくださらないのですね。まぁ、外見を見ればそうなりますか。この勝負、私はレイラ様を応援しております。どんなに説明が下手でも、私はレイラ様に一票を投じます」


「おーと!ここで身内びいき発言なのです!勝負が始まる前からレイラお姉ちゃんに一ポイントが入っているのです」


「ちょっとそれ卑怯じゃない、審査員は公平にしなさいよ!」


 ジルの発言に、カレンが抗議の声を上げる。


「だが、残されているのはランスロット卿のみである。彼と入れ替わっても結果は同じであろう」


「レイラ様のおっしゃるとおりだ。俺もジル軍師と同じ気持ち。なら、代わったところで意味はない」


「今も仕事をしている甲板部の人にすればいいでしょう」


「すみませんが、それはむりです。彼らはこの船を動かすために働いているので、油を売っている暇はないのです」


 カレンが甲板部の人を連れてくるように言うが、三人目の審査員であるフォーカスさんが不可能だと告げる。


「まぁ、いいじゃない。どうせ勝つのはあたしだから、一ポイントぐらいくれてやるわよ」


 余裕を感じさせる表情で、エミは堂々としている。


 その佇まいから見ても、優勝候補と言われるのにも頷ける。


「少し波乱万丈な空気になりますが、次に行きましょう。三人目の審査員はフォーカスさんなのです。今のお気持ちはどうでしょうか?」


「デーヴィッド王子のお仲間ということで我慢をしておりますが、正直そろそろ仕事に戻りたいと思っております」


「すみません、こんなことにつき合ってもらって」


 俺は申し訳ない気持ちになり、フォーカスさんに謝罪の言葉を述べながら頭を下げる。


「デーヴィッド王子、頭を上げてくだされ。これも仕事の内だと割り切っておりますので」


「それでは、審査員の紹介が終わったところで、今度は説明を聞き、それを分かりやすく伝える人の紹介なのです。エントリーナンバー一番、レイラお姉ちゃん!」


「レイラ様頑張ってください!」


「俺たちがついています」


 アリスがレイラの名前を告げると、ジルとランスロットが彼女に応援の言葉を言う。


「レイラお姉ちゃんどうでしょうか、意気込みのほうは?」


「今回の勝負、おそらくほとんどの者が余は負けると思っているだろう。しかし、それを覆してこその王というものだ。余は必ずデーヴィッドの言葉を理解し、この勝負の勝者となろう。未来の花嫁としてな!」


「おーと、いきなり勝利宣言をしたかと思ったら、花嫁宣言までしたのです。この強気の姿勢がさすがレイラお姉ちゃんと言えるのです!」


「ふん、当然である。余は王であるからな」


「それでは、続いてエントリーナンバー二番、カレンお姉ちゃんなのです。意気込みをどうぞ」


 レイラの紹介を終えたアリスは、今度は横にいるカレンに手で作ったマイクを向ける。


「そうね。一応この中では、一番デーヴィッドと過ごしてきた時間が長いから、彼の問題であれば高得点を取る自信があるけど、今回の勝負は通訳のようなものだから、蓋を開けてみないとわからないわ。だけど義妹として、彼の伝えたいことを理解してみせる」


「カレンお姉ちゃんは、デーヴィッドお兄ちゃんとは血の繋がらない兄妹として過ごしていたことが強みなのです。デーヴィッドお兄ちゃんが何を伝えたいのかは、肌間隔で分かってしまいそうなのです」


 カレンの強みをアリスは語るが、さすがに肌間隔は言い過ぎだ。


 彼女に変なプレッシャーを与えなければいいのだが。


「そして最後の紹介なのです。エントリーナンバー三番、異世界より舞い降りた美少女デバフ使いのエミお姉ちゃんなのです。彼女はデーヴィッドお兄ちゃんのように頭がよく、王様から貴族になるように勧められるほどの人材。今回の優勝候補なのです」


 アリスはエミの紹介をするが、妙に肩入れしている紹介の仕方だ。


 まぁ、彼女はエミのことが好きだから、推したい気持ちが先走っているのだろう。


「エミお姉ちゃん、意気込みをどうぞなのです」


「そうね。もちろんあたしが優勝をすると思うけど、余裕をかましていたら足下を掬われるわ。だから油断することなく、彼の言葉を一言たりとも聞き逃さないで、確実に勝利を掴み取ってみせる」


「さすがエミお姉ちゃん、初心を忘れるべからずという気持ちがひしひしと伝わってくるのです。では最後に出題者のデーヴィッドお兄ちゃんにも話を聞きたいと思うのです」


 あ、一応俺にも話を聞きに来るのだな。


 俺にまでその役回りが来るとは思わなかった。


「デーヴィッドお兄ちゃん、どうでしょうか?今回出題される問題というのは?」


「そうだね、今回の問題のテーマはエルフの長寿の秘密というものだけど、この説明には専門用語が必要不可欠になるので、その言葉の意味を理解できるかがポイントとなると思う。まぁ、皆むりをしないで、できる範囲で答えてもらえれば、俺は十分だ」


「なるほど、因みにアリスは理解できるのでしょうか?」


 アリスの問いに俺は悩む。


 さっきも言ったとおり、専門用語を使って説明をする。


 アリスが理解できるわけがない。


 だけど、簡単に切り捨てる訳にはいかないので、言葉を選ぶ必要がでてくる。


「そうだね。最終的には愛かな?愛さえあれば理解できると思うよ」


 まぁ、間違ってはいないだろう。


 そのことを知りたい、理解したいと思って努力をするのには時間と体力、それに精神力が消費される。


 だけど、それらを犠牲にしてまで知り、理解しようと思う気持ちは愛と言っても過言ではないだろうか。


「なるほど、愛なのですね。わかったのです。アリスも愛を持って理解しようと思うのです。それではデーヴィッドお兄ちゃんに聞きます。どうしてエルフは人間よりも長く生きられるのです?」


 突然今回のテーマに対する質問を言われ、一瞬戸惑はするが、冷静に問いに対する答えを言う。


「人間の身体は筋肉や骨、内臓など、色々なものからできているが、それらは非常に小さい細胞からできている。細胞の寿命は短く、また傷つくことで細胞は死んでしまう。細胞が傷つく原因は酸化だ。人は空気を吸って酸素を体内に取り入れることによって、食べ物の栄養を燃やし、活動するエネルギーを得る。このとき酸化が始まり、身体にとって良くない物質が産まれ、細胞を傷つけることになるのだ。そして死んだ細胞は排泄物に混じって体内から排出される。細胞が死ぬと新しい細胞が産まれて入れ替わるが、この時遺伝子は複製を行い、同じ細胞を作り出す。しかし、遺伝子の複製は万能ではない。遺伝子を複製する最中で、DNAの複製に異常が起き、突然変異の細胞が誕生する。突然変異で生まれた細胞は身体の筋肉や骨、臓器などの機能を悪くさせるのだ。これが老化と呼ばれる現象の正体。だが、正しい細胞ではないため、通常の細胞よりも寿命が更に短く、直ぐに死んでしまう。しかし、年をとると遺伝子の複製ミスの回数が増え、数を増やした突然変異の細胞が増殖、様々な機能が衰えた人間は最後に死んでしまうことになる。これが老化現象の原理だが、エルフはこの細胞の複製ミスが起きにくい。そのため人間よりも肉体の衰えのスピードが遅く、どれだけ時が経っても若く美しい肉体を維持することができる…………以上」


「はい、説明タイムは終わりましたのです。アリスはちんぷんかんぷんで何もわからなかったのです。アリスには愛が足らなかったのです」


 アリスはしょんぼりと顔を俯かせてはいるが、わからなくて当たり前の問題なのだ。


 むしろ今の説明を理解できたのなら、そっちのほうが驚かされる。


「では、解答ができましたら手を上げてくださいのです」


「よし、では余から行こうではないか」


「早い!考察タイムはまだあるのに、レイラお姉ちゃんはもう、通訳する準備ができております」


 確かに早いな。


 アリスの切り替えは。


 彼女の切り替えの速さに驚かされるも、俺はレイラの回答を待つ。


 あまりにも早すぎる。


 しかし早ければいいという問題ではない。


 これはスピード勝負ではなく、どれだけ相手に分かりやすく伝えるのかが勝利への鍵となる。


 何となくだが、彼女の解釈のレベルが見えたような気がした。


「では、レイラお姉ちゃん教えてください。どうしてエルフは寿命が長いのですか?」


「それはだな。エルフは人間よりも年を取りにくい身体だからだ」


「それだけでしょうか?ほかに言いたいことは?」


「ない!」


「では審査に参りましょう。レイラお姉ちゃんの説明が分かりやすかったと思う人は、手を上げてくださいなのです」


 アリスに促され、ジルは右手を上げた。


 しかし残りの二人は挙手する気配を見せない。


「一ポイントです。レイラお姉ちゃんは一ポイントを獲得したのです」


「どうしてなのだ!もっとも分かりやすかったではないか!」


「いやぁ、だってデーヴィッドがあれだけ熱心に語っておきながら、一言で済ませるのはあたい的にはどうかと思うよ。ある意味わかりやすいかもしれないが、あれは子ども向けの説明のしかただ。『どうして子どもは大人になるのか』と言う質問に対して『それは子どもだから』と言っているようなもの。大人ならもう少し詳しく説明する必要がある」


「すみません。私もレイラ様でなければポイントを入れようとすら思わない解答でした」


「つまり、実質ゼロポイントということなのです?」


 子どもながらの純水な気持ちで言ったのだろう。


 アリスは現実を突きつけるような言葉を何気なく呟く。


「ま、まさかあの程度の説明では、足りぬとは思わなかった。ライリーたちの頭の程度を見誤っていたようである」


「レイラ、喧嘩売っているのならあたいが買ってやるよ。あとで表にでな」


 ライリーの額に青筋が浮かび上がる。


 さすがに彼女であっても、子ども並みの頭ではない。


 バカにされているのだと捉えられてもむりはないだろう。


「はい!」


 この空気を一刀両断するが如く、カレンが手を上げた。


「では、カレンお姉ちゃん。分かりやすく説明してください」


「人の身体を構成している細胞が死んでしまうと、遺伝子がその細胞の複製を行って新しい細胞を作るわ。だけど、遺伝子は万能ではないから、時々ⅮNAの複製に異常が起きて、突然変異の細胞が誕生するの。だけど正しい細胞ではないから、長い間生きられないのだけど、年を重ねるたびに、遺伝子の複製ミスの回数が増えて、身体の機能が衰えしまう。だけどエルフは複製ミスが起きにくい身体の作りをしているから、老化しにくいというわけ」


「なるほどなのです。アリスには理解できそうにありませんでしたが、審査員の人たちはどうだったのでしょうか?」


 アリスが三人に視線を向けると、ジルとフォーカスさんが手を上げた。


 しかし、ライリーだけは挙手する素振りを見せない。


「カレンお姉ちゃん二ポイント獲得、暫定一位なのです」


「要点を纏めてあり、とても分かりやすかったです」


「まぁ、先ほどの説明よりかはマシでしょう」


「悪いねぇ、カレン。あたい的にはもう少し分かりやすい言葉で教えてほしかった。専門用語を使われるとあたいの頭ではついて行けない」


「まぁ、仕方がないわね。でも私的にはベストを尽くしたと思っているから悔いはないわ」


 審査員が感想を述べ、最後にエミの番となった。


「考察タイムの時間終了なのです。それでは最後に残っているエミお姉ちゃん、どうしてエルフの人は寿命が長いのです?」


「人族に関わらず、生き物には身体の作りの元となる設計図が存在しているのよ。それがⅮNAと呼ばれる遺伝子。生き物の身体の元になっている細胞は、この遺伝子から作られているのだけど、空気を吸って身体の中に酸素という、生き物が生きていく中で欠かせないものが入っていくと、身体を動かす力を得るために食べたものの栄養を燃やす必要があるの。その代償として細胞を攻撃して悪さをする酸化と呼ばれるものが誕生してしまうのよ。酸化が細胞を倒してしまうのだけど、すぐに遺伝子が死んでしまった細胞のコピーを作って、失った分を補ってくれるの。だけど、人間は神ではないように、遺伝子のコピー能力は万能ではない。人間のように失敗することもある。失敗してしまった細胞は、身体の機能を維持するために、防衛用の細胞に攻撃されて死んでしまうの。だけど時間が過ぎていく度に、遺伝子のコピー能力が衰えてしまって、ミスする頻度が上がっていく。その結果人の身体は衰えて年を取ってしまうのだけど、エルフの身体の設計図であるⅮNAは、この細胞のコピーミスが起きにくいほど優秀なのよ。だからエルフは人間よりも寿命が長いというわけ」


「エミお姉ちゃんの解釈による説明が終わりました。アリスも分かりやすかったのです。それでは審査に移るのです。エミお姉ちゃんの説明が分かりやすかったと思った人は挙手をお願いするのです」


 審査員の三人に評価をしてもらうように促すと、アリス自身も手を上げた。


 彼女はあくまで司会進行役なので、ポイントには入らないと思うが、アリス自身が理解することができたというアピールなのかもしれない。


 そう思った俺は、自然と右手を上げて審査員の三人に視線を向けると、全員が手を上げて分かりやすい説明であったことを知らせる。


「おーと、これは驚きの展開なのです!一気に五票が入ったのです。オーバーキルなのです」


 テンションが上がりすぎたのか、アリスは俺たちの票まで加算した。


 俺は思わず苦笑いを浮かべる。


「素晴らしい説明でした。分かりやすいように専門用語の説明から入り、子どもでも分かりやすい表現がされていたことが決め手でしたね」


「いやー、あたいまで理解できるとは思わなかったよ。エルフっていうのはそんな感じで長生きするんだな」


「もう宜しいでしょうか?ワシは仕事に戻らせてもらいます」


 ジルとライリーがエミに称賛の言葉を述べると、フォーカスさんは自分の出番は終了したと思い込んだようで、この場から離れていく。


「フォーカスおじいちゃんがかってに出て行ったのです。まだ第一ラウンドが終わったばかりなのに」


「まだあったのか?」


 がっかりした表情を見せるアリスに、俺は尋ねる。


「はいなのです。まだ第二のテーマ第三のテーマがありまして、どうしてエルフの耳は尖っているのかや、どうして女性のエルフのおっぱいは小ぶりなのかというものを、デーヴィッドお兄ちゃんに説明してもらいたかったのです」


「はは、そうなんだ」


 俺は苦笑いを浮かべながらも、心の中で安堵する。


 エルフの耳が尖っている理由についてならともかく、胸に関しての議題を説明したとなれば、カレンやエミからセクハラだと言われ、軽蔑の眼差しを送られることになっていただろう。


 もちろん、俺はその理由を知っている。


 この世の全てにあるものが、無意味に存在しているのではない。


 そこにある以上は、何かしろの理由があるのだ。


 エルフの耳が尖っているのは、より遠くの音を拾い、危険を察知するために大きくしようとした進化の過程でのものだ。


 耳は大きいほど音を集めやすく、エルフの耳は音を集めやすい構造になっている。


 厳密にはどのくらいの音の周波数を聞き取ることが可能なのかは、まだわかり切ってはいないが、三百六十から四万二千ヘルツと、音の幅が広く伝えられ、約三キロメートル先の音も拾うことが可能だと言われている。


 そしてどうしてエルフの胸は小ぶりなのか、それは思春期から成人期にかけて分泌される女性ホルモンの量が少ないからだ。


 過度な運動やダイエット、または恒常的なストレスは、女性ホルモンの分泌を妨げる要因となる。


 その結果、バストの成長が止まってしまう。


 エルフは人間よりも大きい耳をもっている。


 そのお陰で遠くに離れた位置からでも、敵を察知することができるが、敵が近づいているという事実がエルフにとって大きなストレスを与えてしまっているのだ。


 それに森に住んでいる以上は、木に登ったり狩りをしたりといった激しい運動を必然的にしなければならない。


 特に、エルフは遺伝子の複製ミスが起きにくい身体の作りをしているために、思春期から成人期までの期間が長い。


 これらの要素が重なり合い、エルフの女性は分泌される女性ホルモンが激減し、小ぶりな胸に留まっている。


 稀に胸の大きなエルフも実在するが、それらはエルフ界の貴族にみられることが多い。


 幼いころから不自由なく暮らし、過度な運動や恒常的なストレスを感じることなく、規則正しい生活を送っているからこそ得られたものだ。


 そして豊満な胸のエルフは残念系だ。


 もう少し悪く言うのであれば、バカとしか言えない。


 呑気にプラス思考でものごとを考え、勉強のプレッシャーを感じることがないので、勉学に励むことがないのだ。


 そのせいで脳の海馬に、知識が蓄積されることがない。


 それに、考えるという行為自体が若干のストレスとなる。


 思考を巡らせば、それが蓄積されて胸に影響を与えるはずなのだ。


「デーヴィッド、何か余計なことを考えていなかった?」


 第一回の優勝者であるエミが、俺の顔を除くようにして声をかけてきた」


「エ、エミ!ビックリした」


「やっぱり余計なことを考えていたじゃない」


「誰だって急に視界に入ってきたら驚くって」


「それで、何を考えていたの?」


「何でもいいだろう」


「認識阻害魔法にする?失神魔法にする?それとも、せ、き、か?」


「女性エルフのことを考えていました!」


 俺は正直に考えていたことをエミに伝える。


 認識阻害や失神魔法ならまだいい、だけどエミの石化魔法は体内の筋肉を骨に変えて、石のように動けなくする恐ろしい魔法だ。


 しかも彼女の話しによると、この石化魔法を解く術がないらしい。


 一度発動すれば、待つのは長い沈黙といずれ訪れるであろう死だけだ。


「デーヴィッドって正直ね。ご褒美に石化魔法をかけてあげましょう」


「どうしてそうなる!」


 俺は心からの叫び声を上げた。


 今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。


 誤字脱字や文章的に可笑しな箇所などがありましたら、教えていただけると助かります。


 また明日も投稿予定なので、楽しみにしていただけたら幸いです。

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