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第八章 第五話 イアソンの想いと無人の城

 今回のワード解説


 読む必要がない人は飛ばして本文のほうを呼んでください。


クラスター……数えられる程度の複数の原子・分子が集まってできる集合体。個数一〇~一〇〇のものはマイクロクラスターと呼ばれ,特殊な原子のふるまいが見られる。


フォム・ダッハ……西洋剣術の基本の構えの一つ。日本剣術の八双のように、剣はまっすぐ、姿勢もまっすぐにし、足は左を前にして肩幅に開き、膝をリラックスさせる。肘を張って、裏刃を使えるようにする。ここからは、斜め下に強烈に切り下げる(ツォルンハウ )。その際、左の握りは雑巾絞りのように絞り込み、切り下ろした時には、体は横や下を向かず、まっすぐになるようにする。練習では腕を前にかまえ剣の動きは小さくする。この構えは相手が多人数の場合使いやすい。右でも左でも剣を動かせる。また大上段は肘が死角となるがこの構えにはその弱点が無く剣を立てるので疲れも少ない。


リカッソ……刀身の根元には“リカッソ”と呼ばれる、刃を付けていない(しばしば革で覆われた)部分があり、その部分を持って剣を振るうこともできる。


ポンメル……柄頭。金属の塊で、ブレードをねじ止めするナットであり、またバランスを調節する大切な部分である。また、接近戦ではここで殴ることもある。彫刻や宝石で飾っている場合も多い。


キヨン……十字鍔。シンプルな棒鍔から指環のついたもの、華麗な曲線のレイピア、フックのあるもの、護拳のあるサーベルの剣など多彩であるが、それぞれのデザインは装飾もさることながら実用性があってのこと。キヨンは拳をまもるのはもちろん、接近して殴る際にも使う。キヨンをどのように扱うかは西洋剣術の大きな要素といってよい。


シュランクフートの構え……剣を自分の正面で真横に構える 切っ先は右。


バインド……剣の刃同士が触れたこと。日本剣術の鍔迫り合いに近いイメージ。


ストロング……剣の根元でバインドしていること。


ウイーク……剣の先端側でバインドしていること。


ハード……バインドの際に剣で押していること。


ソフト……バインド時に押されている状態。


ミッテルハウ……水平に裏刃を使って斬る。


ネーベンフート……「並行の構え」「脇の構え」の意味。剣を下段に構え、切っ先を後方に向け手首を折り返し、剣を体に寄せる。ポンメルは相手に向ける。龍の尾の構えとも。


ウンターハウ……下からの切り上げること。


ツヴェルヒハウ……頭上で水平に剣を動かす。


プフルーク……意味は「すき」のこと。 剣を腰あたりで横に寝かせ、 剣先を相手に向けて身構えるもの。鋤を持っている様子に似ている。

「お前たち、気づいたのか。ヘラクレスが毒を受けたあとに、肉体を焼いて死んだことを」


 ライリーと剣を交えていたイアソンが、親切にも詳細な答えを教えてくれた。


 俺は自身の矢を受けた状態で炎を当てたが、彼の話が真実だとすると、矢先に毒でも塗ってあったのだろう。


 偶然にも、小さな奇跡が積み重なり、俺たちは強敵を倒すことができた。


「もう、お前だけしか残ってはいない。今度こそ決着をつける」


「いいだろう。私も騎士の端くれ。こうなれば命尽きるまで戦うのみ」


 イアソンが後方に何度も跳躍すると、俺たちとの距離をあける。


(まじな)いを用いて我が契約せしウンディーネとフラウに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。アイスソード」


 空気中の酸素と水素が結合し、水分子のクラスターによって水が出現すると、剣の形を形成。


 その後、水の気温が下がり、熱エネルギーが極端に低くなったことで氷へと変化すると、氷のレイピアが完成した。


 それを握るとイアソンに見せつける。


「イアソン、騎士ならこの意味がわかるよな」


「フハハハハハ。いいだろう。私的には全員を相手にしてもかまわないが、その提案に乗ってやる」


 レイピアは一番身近な剣で、よく決闘に使われている。


 ナイト階級であるなら、これを見せれば俺の望む戦いをしてくれると確信していた。


「デーヴィッド、素手で長時間握るのは難しいだろう。これを使いな」


 自身の付けていたグローブをライリーが投げ、それを受け取ると手に装着し、もう一度氷のレイピアを握る。


「皆は手出しをするんじゃないよ。あれは男と男のプライドをかけた戦いだ。あたいたち女が出しゃばるわけにはいかないからね」


 剣士であるライリーにも伝わったようで、レイラたちに釘をさしてくれた。


 これで俺たちの戦いを邪魔する者はいない。


 俺は剣に意識を向ける。


 すると、細い剣に水分が集まり、氷となって刀身の幅を大きくした。


 今の剣はロングソードの大きさだ。


 アイスソードは、空気中の水分を集めたり切り離したりすることで、剣の種類を変えることができる。


 当然剣の種類によって扱い方が代わり、剣に合わせた剣術も要求されるが、ライリーから地獄のような訓練を受けていたので、それなりの知識と経験は持ち合わせている。


 剣と姿勢を真っ直ぐにし、左足を前にして肩幅を開き、膝をリラックスさせる。


 肘を張って裏刃も使えるようにさせた。


「フォム・ダッハか。多少なりとも剣術は使えるようだな」


 俺の構えを見て、イアソンは表情を真剣なものにした。


 おそらくだが、俺のことを少しは認め、敬意を表してくれたのかもしれない。


 ライリー以外と剣を交えるのは初めてだ。


 鼓動が激しくなり、緊張を抑えきれない。


「来ないのならこっちから攻める」


 後ろ足を右斜め前に出し、送り足で右に回り込みながら、イアソンが距離を詰める。


 視界から外れないように、彼の動きに附いていっているが、距離を縮められる一方だ。


 敵の間合いに入られた。


「まじ」


 イアソンの攻撃がくる。


 甲冑着用時のロングソードを用いた剣術の特徴として、鍔から十数センチ離れた場所であるリカッソを掴むハーフソードと呼ばれるものだ。


 おそらくこの技を使うだろう。


 俺の予想どおり、彼は右手で柄を、左手でリカッソをもち、両手の親指は内側に向ける。


 この技には構えがよっつあり、相手の僅かな動きを見て、どこを狙ってくるのかを判断しなければならない。


 集中しなければ一撃でやられる。


 だが、この技には狙うポイントがちゃんと存在するのだ。


 脇の下、股間、肘の裏、膝の裏、手のひらを狙う。


 そしてこの技で一番に標的にされるのは脇の下だ。


 イアソンの動きを注視すると、腕を下ろし、剣先を俺の脇に向け、右腕を剣の下側に伸ばした。


「な!」


 そのまま彼は鋭い突きを放つが、剣先が脇に向いていることから、脇を狙っていることが容易に判断できる。


 彼の刃が届くよりも早く、俺は左に身体を捻り一撃を回避する。


「い!」


 だけどたった一回の攻撃を躱しただけで、まだ安心するのは早い。


 剣術において攻撃とは、構えと構えの間にある。


 つまりは攻撃を終えたときには次の構えになっていなければならない。


 連続攻撃が前提になっている。


 動体視力を活かし、イアソンの動きを見極める。


 彼と擦れ違いになった刹那、イアソンは左肘を引いて曲げると同時に、右肘を俺のほうに向け、柄頭であるポンメルを当ててくる。


「をー!」


 動きは見抜いても、身体が追い付けない。


 彼の一撃は俺の脇腹に当たり、一瞬だけ呼吸が止まる。


「もちい…………って」


 呼吸をしようとするが、上手くできずに変な言葉が漏れる。


「まさか最初の一撃を躱すとは思わなかった。だが、俺の連撃には追い付けなかったようだな」


 刀身をイアソンに向け、構え直す。


 突きのあとにポンメルによる打撃だったからよかったものの。もし、そのまま表刃で水平斬りを行っていたら、俺は切断されていただろう。


 いま、彼が行った戦い方は、相手が甲冑を着ていた場合の戦術だ。


 固い鎧では刃が欠けて切れ味が悪くなる。


 そのため、打撃中心の剣の使い方をするのだ。


 最初の小手調べと言ったところだったのだろう。


 次からは刀身を使った戦術に切り替えると思われる。


 一度攻撃されたら防御に徹さないといけない。


 こちらから仕かけなければ。


 フォム・ダッハの構えを取り、斜め下に斬り付ける剣技、ツォルンハウを行う。


「わー!」


 左の握りを雑巾絞りのように絞り込み、斬り下ろしたときに身体を真っ直ぐになるようにする。


 そして剣を下段に、切っ先を九十度に向けてクロスを相手に向ける、シュランクフートの構えに変える。


「…………がっ」


 身体を動かしたことにより、先ほどのダメージが響いたのだろう。


 思わず言葉が漏れる。


 だけどこんなところで途切れさせるわけにはいかない。


 そこから水平に裏刃を使って横に斬る剣技、ミッテルハウを放つ。


「けーい!」


 続けて剣を下段に構え、切っ先を後方に向けて手首を折り返し、剣を身体に寄せて、ポンメルを相手に向ける構え方のネーベンフートに変え、下から切り上げる剣技、ウンターハウを使用。


「やーあ!…………くっ」


 またしても技と技の間のタイミングで、身体に痛みが走る。


 しかしまだ俺の連撃は終わってはいない。


 さらに左足を前に出し切っ先を相手に向け、右の頬の横で雄牛の角の如く構える。


「しっ」


 十字鍔のキヨンを自分の顔よりも前に出して顔面を守りつつ、右の親指は下に向けて腕はクロスする。


 この姿勢からいかにも突きの構えにみえるが、使う剣技はツヴェルヒハウだ。


 アームクロスを既にしているため、この技を出しやすい。


 水平斬りを使い、剣を腰のあたりで横に寝かせ、腕を右に寄せながら左足を前に出し、剣先を相手に向けて構えるプフルークの構えを取ると突きを放つ。


「てーい!」


 五つの技を連続で繰り返すも、イアソンはギリギリで躱し、一太刀も当てることができない。


 やっぱり、剣士としての練度が違う。


 一度も刃が触れないのは、イアソンが俺の僅かな動きで攻撃を予測し、剣技を放つ前に回避行動に移っているからだろう。


「ほう、ここまでの連撃を使ってくるとは予想外ではあった。しかもどさくさに紛れて呪文の詠唱もしていたな。だが、これ以上はさせん」


 どさくさに紛れて呪文の詠唱をしていることがバレてしまった。


 気づかれた以上は、言葉を出せなくなるほどの連撃をされると思っていたほうがいい。


 イアソンが剣を上段に構えると瞬時に振り下ろす。


 俺は防御として刃で受け止め、刀身同士が触れ合うバインドと呼ばれる状態になる。


 この瞬間、俺はイアソンよりも瞬時に状況を分析しなければならなくなった。


 バインド時の状態は、一番にストロングかウイークか、二番にハードかソフトかという、ふたつの面を判断しなければならない。


 前者は剣のどの部分でバインドしているのかであり、剣の根本ならストロング、先端に行くほどウイークとなっている。


 後者はどちらの剣が上になっているか、あるいは強いかということで、上にあるほう、押しているほうがハード、下にある側、押されている側がソフトだ。


 今の状況は剣先が触れ、押されていることから、ウイーク、ソフトということになる。


 俺が逆の立場なら、ウイークからストロングにもっていき、そのまま押し込む。


 だが、イアソンはウイークの状態を保ったままだ。


 カウンターを警戒しているのだろうか。


 剣先を相手に向け、コーン状に剣身を動かすリールと呼ばれる状態となる。


 バインド状態のとき、先に剣を外したほうが負ける。


 片方が斬ろうと剣を外せば、そのままこちらに突きを入れられるからだ。


 硬直状態の中、イアソンはニヤリとする。


「剣技、デススパイラル!」


 状況を変えようとイアソンが動く。


 リールの状態から俺の切っ先を外し、自分の切っ先を俺に向ける。


 このままでは突きを食らう。


 俺もイアソンに切っ先を向けなければならない。


 どちらかが剣を外すと突きが来るので、バインドしたままリールでグルグルと剣を螺旋状に廻す状況になる。


 これが剣技デススパイラルと呼ばれるものだ。


 こうなったら一瞬の気の緩みが命取りになる。


 常に集中して腕を動かし続けなければ、相手の刀身が肉体を斬り裂く結果となる。


 これからは体力勝負だ。


 先に根負けしたほうの負け。


 狂ったかのように無我夢中で腕を動かす。


 デススパイラルを放ってからは、イアソンも言葉を漏らさなくなった。


 辛くなっているのはお互い様のようだ。


 俺たちの会話の代わりに、剣同士が接触する際の金属音が響く。


 元々俺は精霊使いであって、剣士ではない。


 精霊使いと剣士、人間と魔物、これが決定的になったのだろう。


 体力の限界が訪れ、俺はデススパイラルに勝利することができなかった。


「これで……終わり……だ!」


 イアソンが俺の首にめがけて突きを放つ。


 だが、彼の剣が俺の喉に届くことはなかった。


「ガハッ」


 彼の口からは真赤な鮮血が噴き出し、身体中からも血液が流れていた。


 彼の身体に穴を開けたのは無数の氷柱。


 しかし、俺以外は誰も氷の魔法を使うことはできない。


「そ……んな……いつの間に……詠唱を……」


「デススパイラルに入ったときだ。モールス信号というのを知っているか?剣と剣が触れ合い、バインドしている最中に出る音を利用して詠唱替わりにしていた」


「まっ……さか……そんな……方法が……」


「勝負あったな」


 レイラたちがこちらにやってきた。


 身体を串刺しにされ、イアソンは助からないだろう。


「レイラ……様……わた……しは……まちが……ている……とは……思って……おりません。精霊……を……救う……には……人間を……ほろ……ぼすしか……ない」


「そうだな。魔族としては、イアソンは正しい。余も昔はそうであったからな。だけど、人間であったころのそなたを思い出してみよ。精霊は道具だと思っておったか?」


「そんな……こと……あるわけ……が……ない……です」


「そうであろう。人間全てが悪ではない。だけど精霊だったころの、人間に対する嫌悪感が強すぎた。だから消滅して魔物として復活したのちに、感情を抑えられなかったのだ。見てみろ、ここにおる精霊たちは皆、無理やり従わされているように見えるか?」


 イアソンが顔を上げるとゆっくりと首を左右に振る。


 俺たちには見えないが、魔物である彼には精霊の表情が見えている。


「私は……すべての……精霊……を……救い……たかった。だから……その……野望……を……達成……するために……セプテム大陸……の……魔王……の……部下……となり……邪魔する……存在を……消して……いました」


「そうであったのだな」


「レイラ……様。何が……一番……だった……のでしょうか?……どうすれば……この悲しみ……の……連鎖……を……断ち切る……ことが……できる……ので……しょうか」


 あのイアソンが目から涙を流している。


 本当の彼は、正義感に溢れている心の優しい魔物だったのだ。


「それは余にも分からぬ。だがな、そなたの志を継承し、余が必ずそのような時代が訪れるようにしよう」


「ありがとう…ござい……ます。精霊が……苦しまない……世界……を……作り出す……のが……私の……昔からの……夢……でした」


「ああ、わかっておる。そなたは余が生み出した。母親も同然だ。そんな素晴らしい夢を持つ子をもって、余は誇りに思う。あとのことは任せろ。だから……今はゆっくりと休むがよい」


「では……長い……休暇を……いただく……と……しましょう」


 イアソンは両の瞼を閉じるとそのまま動かなくなった。


 激痛で苦しむ顔ではなく、夢を託せたことに安堵したかのような安らぎの表情であった。


「すまない。しばらく一人にしてくれないか」


 レイラが一人にしてほしいと願い、俺たちは彼女の気持ちを汲んでこの場から離れる。


 地面に倒れている盗賊を皆で手分けして担ぎ、一旦街に戻って盗賊を警備隊に突き出すと、俺たちは宿に戻ってレイラの帰りを待つ。


 日が暮れる頃、俺の部屋の扉が開かれてレイラが顔を出す。


「そうだ。あたしたちカレンに用事があったんだった。行こうアリスちゃん」


「はいなのです」


 帰ってきた彼女を見るなり、エミとアリスは部屋を出て行く。


 まったく、余計な気を回しやがって。


「気持ちの整理はできたか?」


「ああ、いつまでも気持ちが沈んでいてはイアソンに怒られるからな。なぁ、デーヴィッド?」


「なんだ?」


「どうすれば、精霊が消滅せずに魔物が生まれぬ世界を作れるのだろうな」


「それは……」


 言いかけたところで言葉が詰まる。


 方法ならあると、言うだけなら簡単だ。


 人間が魔法を使えなければいい。


 だけど、それには魔法という存在を消さなければならない。


 だが、その肝心な方法がわからないし、本当にできるのか危ういところだ。


「イアソンの志はそう簡単には実現できない。だけど、俺たちが前をみて未来にむけて歩くことで、何か方法が見つかるかもしれない」


 俺が今言える言葉をレイラに伝える。


「そうだな。とにかく前を向かなければならない。デーヴィッドよ。悪いが明日は余につき合ってはくれぬか?確かめたいことがある」


「ああ、わかった」


「では、余は部屋に戻ることにする。また明日な。デーヴィッド」


 レイラと一時の別れを告げ、俺はベッドに横になる。


 本当にこの世から魔法を消すことができるのだろうか?


 わからないが、少しでも近づこうとするのなら、この世界の歴史を紐解く必要が出て来る。


 俺は考え事をしていたが、今日の戦いの疲れが一気に押し寄せ、気がつくと眠ってしまっていた。


 翌日、俺はレイラの腕に捕まり、宙吊りの状態で空中を移動していた。


 下は見ない、下は見ない。


 遠く離れた地面を見ないように意識しつつ、目的地に向かって行く。


 二人で訪れたのは、レイラが根城にしていたキャメロット城だ。


 イアソンが言っていたあの言葉を気にしたレイラに頼まれ、俺は彼女に付き添っている。


 城の中庭に降り立つと、俺はホッとした。


 地に足がつく喜びを噛み締めながら、レイラと一緒に城内を見回る。


 玉座の間、食堂、小部屋、地下にある牢屋など、城の中を歩き回ったが、城内に残っていた魔物は姿を消していた。


 現状を知り、俺は驚愕する。


 ノーマル種の魔物ならば、いなくなっている可能性は高いと思っていたが、まさかジルやランスロットまでもが姿を見せないとは思わなかった。


「きっと、どこかに出かけているんだよ。しばらく待てば帰ってくる」


 レイラを元気づけるために、根拠のない言葉を口に出す。


 考えられるのは最悪の状況しかない。


 だからと言って、現実を見ろとレイラには言えなかった。


 日が暮れるまで、ランスロットとジルの帰りを待つ。


 しかし夕暮れになっても、二人が戻ることはない。


「そろそろカレンたちも心配するころだろう。この辺にして帰るとしよう」


 レイラがドンレミの街に戻ることを告げる。


 彼女が今晩泊まるつもりでいたのなら、俺はそれにつき合っていた。


 だけどレイラが帰ることを決心したのなら、それに従わなければならない。


 きっと大丈夫だ。


 レイラに従順だったランスロットたちが彼女から離れるわけがない。


 そう自身に訴え、俺とレイラはドンレミの街に帰っていく。


 今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。


 ブックマーク登録をしてくださった方、心よりお礼申し上げます。


 ついにユニーク数が千五百を越えました!


 これも毎日私の投稿作品を読んでくれているあなたがいるお陰です。本当に感謝しております。


 欲を言えば、最新話を必ず読んでくれている固定読者がもっと増えてほしいのですが、そこは私の実力不足が招いている結果なので、これからも精進していきたいと思っております。


 これで第八章は終わりです。


 明日は第八章の内容をまとめたあらすじを投稿しますので、楽しみにしていただけたら幸いです。


 あなたが読んでくれていることが私の活力になっています。


 これからもよろしくお願いします。

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