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第二十九章 第四話 王様の救出

 今回のワード解説


 読む必要がない人は、とばして本文のほうを読んでください。


 本文を読んで、これって何だったかな?と思ったときにでも確認していただければと思っています。


運動麻痺……脳の運動中枢から筋線維に至るどこかに障害があって、随意的な運動ができない状態をいう。


下位運動ニューロン……下位運動ニューロンとはその細胞体と樹状突起が中枢神経系内に存在し、軸索は末梢神経となって伸び、錐外筋線維とシナプスするニューロン 。


可視光線……電磁波のうち、ヒトの目で見える波長のもの。いわゆる光のことで、可視光は誤った言い方であるかもしれない。


可溶性……物質が液体中にとけこむことのできる性質。


幹細胞……分裂して自分と同じ細胞を作る能力(自己複製能)と、別の種類の細胞に分化する能力を持ち、際限なく増殖できる細胞と定義されている。


凝固蛋白……タンパク質が固まったもの?


凝血塊……血液の塊のことである。


血小板……血液に含まれる細胞成分の一種である。血栓の形成に中心的な役割を果たし、血管壁が損傷した時に集合してその傷口をふさぎ(血小板凝集) 、止血する作用を持つ。


血管壁……単層の内皮細胞からなっている。この血管壁の細胞間隙を通して、血液中と組織で、酸素と二酸化炭素の受け渡しや、栄養素の供給と老廃物の回収など物質交換を行っている。


骨髄……骨皮質の内側で骨梁と骨梁に囲まれた部位にある組織で,成人では約1600~3700 gの生体内最大の臓器であり,血球成分に富み赤く見える赤色髄と脂肪組織が大部分を占める黄色髄とに分けられる。


コラーゲン……皮膚や腱・軟骨などを構成する繊維状のたんぱく質で、人体のたんぱく質全体の約30%を占める。ゼラチンの原料としても知られる。人の皮膚・血管・じん帯・腱・軟骨などの組織を構成する繊維状のたんぱく質です。人間の場合、体内に存在するすべてのたんぱく質の約30%を占めており、そのうちの40%は皮膚に、20%は骨や軟骨に存在し、血管や内臓など全身の組織にも広く分布しています。コラーゲンを構成するアミノ酸の生成にはビタミンCが必要なため、ビタミンCが不足するとコラーゲンの合成が出来なくなり、壊血病を引き起こします。またビタミンAもコラーゲンの再構築に関わっています。


シナプスチャージ……ニューロンとニューロンとの接続部。また,その接続関係。伝達される興奮の増幅や抑制を行うことができるのがシナプスだ。それにチャージされること。


脊髄……脊椎動物の脊椎の内側にある脊椎管の中に持つ、髄膜の内側に存在するニューロンと神経線維の集合体である。


セロトニン……生理活性アミンの一。生体内でトリプトファンから合成され,脳・脾臓・胃腸・血清中に多く含まれる。脳の神経伝達などに作用するとともに,精神を安定させる作用もある。


線維芽細胞……結合組織を構成する細胞の1つ。コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸といった真皮の成分を作り出す。細胞小器官が豊富であり、核小体が明瞭な楕円形の核を有し、細胞質は塩基好性を示す。


前角細胞……前角にある筋を支配する運動ニューロンの神経細胞体のこと。


単核球……白血球の一種で、最も大きなタイプの白血球である。マクロファージや、樹状細胞に分化することができる。

トロンビン……血液の凝固に関わる酵素セリンプロテアーゼの一種。


トロンボプラスチン……血液凝固に関与する因子の一つで,リポタンパク質。カルシウム-イオンの存在下でプロトロンビンをトロンビンに変える。


貪食作用……体内の細胞が不必要なものを取り込み、消化し、分解する作用である。


非線型結晶……レーザー光の波長を変換するために使用される結晶です。


ヒッグス粒子……「神の子」とも呼ばれ、宇宙が誕生して間もない頃、他の素粒子に質量を与えたとされる粒子。


フィブリン……血液凝固に関連するタンパク質のフィブリノゲンが分解され活性化したものである。


フィブリノゲン……血液凝固の最終段階で網状の不溶性物質フィブリンとなり、血球や血小板が集まってできた塊(血栓)のすき間を埋めて、血液成分がそこから漏れ出ないようにしている。 このため、フィブリノゲンが低下すると血液が固まりにくくなり、止血されにくくなる(出血傾向)。


プロトビン……血漿中に含まれるタンパク質の一種。体組織が破壊された際などに「トロンビン」へ変化し、血液凝固を起こす機能を持つ。


マクロファージ……白血球の1種。生体内をアメーバ様運動する遊走性 の食細胞で、死んだ細胞やその破片、体内に生じた変性物質や侵入した細菌などの異物を捕食して消化し、清掃屋の役割を果たす。


末梢神経……動物の神経系のうち,中枢神経と末端の効果器ないし受容器とを結ぶ神経。脳脊髄神経系と自律神経系からなり,前者はさらに脳神経と脊髄神経に分けられる。


メタンガス……有機物の腐敗や発酵などに伴って発生する、色も臭いもない可燃性のガス。ゴミの埋立処分場や湿地・水田、天然ガスの生産、バイオマスの燃焼、下水汚泥や家畜ふん尿の分解過程、家畜などさまざまなところから発生し、大気中にある反応性が高くて不安定な「OHラジカル」によって分解される。


励起状態……量子力学系の定常状態のうち,基底状態以外のものをいう.電子状態,振動状態,または回転状態のどれか一つだけに注目している場合には,電子励起状態,振動励起状態などともいう。



 ジュラの森の中に入って王様の捜索を始めてから、そろそろ一時間は経とうとしていた。


 上空の空は既にオレンジ色からミッドナイトブルーに代わり、星が見えている。


「王様!いたら返事をしてください」


 周囲を見渡しながら、俺は声を上げて王様に呼びかける。


 しかしどこからも返事が返ってくることはない。


 聞こえてくるものは、俺と同様に女性陣が王様に呼びかける声と、虫の声ぐらいだ。


 この島全体の空気が悪いからか、虫以外の生命体は見かけなかった。


 鳥の(さえず)り声も聞こえないし、野生の動物の足跡すら見かけない。


 普通に呼びかけても効率が悪い。


 そろそろ別のやり方で探したほうがいいだろう。


「カレン、わかる範囲でいいから、探査魔法をやってみてくれないか。このまま闇雲に探しても、見つかる気がしない」


「わかったわ。だけど壁がないから、洞口のときのようにはいかないわ。だからあまり期待しないでよ」


 カレンは両の瞼を閉じ、両手を前に突き出す。


(まじな)いを用いて我が契約せしハルモニウムに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。エコーロケーション」


 ハルモニウムの力で超音波を発生させると、前方に向かって飛んでいく。


 前方がただの虚空なら、音はそのまま消えていくが、何かに触れると音波が跳ね返ってくる。


 これである程度周囲を調査することが可能だ。


「木から跳ね返ってくる音ばかりね。近くにはいないみたい」


「もう少し奥のほうも調べられないか」


「やってみる」


 範囲を広げられないかお願いしてみると、義妹は挑戦してくれると言ってくれた。


 しばらく彼女の探索が終わるのを待つ。


「音と物体の周波数が複数異なっている。この感じは近づいて来ているわ。しかも反応が大きい。これは魔物かもしれないわ。そうとうな数よ」


「全員戦闘態勢」


 魔物が近づいているかもしれないという警告を受け、俺は仲間たちに戦う準備をするように言う。


「聞こえてきました。おそらくあと一分もしない内にやってきます」


 タマモが、エルフ特有の遠くの音を聞き取る力で、間もなく敵が現れることを教える。


(まじな)いを用いて我が契約せしジャック・オー・ランタンに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。ファイヤーボール」


 呪文を唱え、上空に質量を増やした火球を生み出す。


 これをプチ太陽と見立て、周囲を明るく照らした。


 俺の目でも姿を捉えることができた。


 カレンの言うとおり魔物だ。


 しかしそれだけではなかった。


 ケモ度三のクマ型のケモノが魔物に追いかけられていた。


 ケモノは鎧を着ており、カルデラの兵士だと言うことがわかる。


 王様と一緒にこの森を訪れた兵士だ。


 彼を助ければ王様の手がかりを得られるかもしれない。


 ケモノを追いかけている魔物は、白い毛並みが特徴のオオカミを象った白銀狼。


 それに頭が二つあるツインウルフだ。


 その二種類の魔物が合計十体いる。


 敵の数を目で視認すると、逃げ惑っていた兵士は木の根っ子に躓き、うつ伏せの状態で倒れた。


 このままでは彼が殺される。


「あの兵士を助けるぞ。(まじな)いを用いて我が契約せしウンディーネに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。ウォーターカッター」


 空気中の水分が集まり、知覚できる量にまで拡大する。


 そして今度は水の塊が加圧により、直径一ミリほどの厚さに形状を変えると、俺の合図と共に飛ばす。


 勢いのある水が、倒れた兵士に近づくツインウルフにヒット。


 水流が当たった部分を吹き飛ばし、貫通して穴を開けるとそのまま地面に倒れる。


(まじな)いを用いて我が契約せしハルモニウムに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。パァプ」


(まじな)いを用いて我が契約せし知られざる負の生命の精霊に命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。ショック」


(まじな)いを用いて我が契約せし知られざる生命の精霊に命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。エンハンスドボディー」


 カレンとエミが、それぞれ呪文を唱えて敵の動きを鈍らせた瞬間に、肉体を強化したライリーが白銀狼を斬り倒す。


(まじな)いを用いて我が契約せしドライアドに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。アイヴィーウイップ」


 続いてタマモが呪文を唱えると、森のツタが一斉に鞭のように動き、鋭い一撃を白銀狼に当てる。


 鞭を食らった白銀狼は、脊髄にて下位運動ニューロンにシナプスチャージし、前角細胞を興奮させたことで、末梢神経として感覚線維と併走。


 神経筋接合部にいたることで、筋繊維を興奮させた。


 それにより、魔物の身体は小規模の運動麻痺が起きたようだ。


 地面にへばりつくように倒れ、動かなくなる。


 一分も経たないうちに、兵士を襲った魔物は全滅した。


「おい、大丈夫か」


 クマ型のケモノに近づき、声をかける。


「助かった。危うく死ぬところだった」


 倒れていた兵士は起き上がり、鎧についた土を払い除けながら礼を言う。


「あなたは次期王のデーヴィッド様ではないですか。どうしてここに?」


 どうやら安心したことで俺だと気づいたようだ。


 兵士はどうしてここにいるのかを尋ねてきた。


「王様がこの森に入って行方不明になったという話を聞いた。だから救出に来た」


「なるほど、そういうことですか。王様はこの奥にいます。ほとんどの兵士がやられましたが、まだ二名ほど護衛についているかと思います」


「何であなたはこんなところにいるのですか?」


「まさか王様をほったらかしにして、自分だけ逃げようとしていたんじゃないだろうねぇ」


 今度はタマモが彼の行動理由を尋ねると、ライリーが疑いだす。


 彼女は袖を捲って褐色の肌を露出させた。


「いえ、滅相もない。俺は魔物を引きつけるために囮になったんだ」


 クマ型のケモノは両手を前に突き出し、首を左右に振る。


「すみません。王様がいるのはあなたが来た方角で間違いないですね」


「ああ、間違いない」


 もう一度尋ねると、彼は首を縦に振る。


「カレン、あっちの方角だけを集中的に探すことはできるか?」


「やってみるわ。(まじな)いを用いて我が契約せしハルモニウムに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。エコーロケーション」


 三度カレンに探査をお願いすると、彼女は両手を王様がいると思われる方角に向け、呪文を唱える。


「音の反射した反応がみっつあるわ。おそらく王様たちね。でも反応が小さい。もしかしたら弱っているかもしれないわ……デーヴィッド!王様たちに近づく反応があるわ。反射の強さからして魔物よ!」


「ライリー、俺に俊足魔法をかけてくれ」


「了解した。(まじな)いを用いて我が契約せし知られざる生命の精霊に命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。スピードスター」


 弱っているおそれのある王様たちに魔物が接近していると聞かされ、俺はライリーに俊足魔法をかけてもらうと、急いで森の中を駆けだす。


 石を踏み、木の根っ子に足を引っかけそうになりながらも、王様たちのもとに向かう。


 走っていると、頭と顎から生えた角を持ち、赤い目をしている甲虫が視界に入る。


 その先に王様と兵士の姿も見えた。


 彼らは腰を抜かしているのか、座ったまま立ち上がろうとはしない。


 カレンが言っていたのはヘラクレイザーか。


 まずい。


 直線距離に入られれば王様たちは一瞬でやられる。


(まじな)いを用いて我が契約せしジャック・オー・ランタンに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。ファイヤーアロー」


 矢の形を象った炎をヘラクレイザーに向けて飛ばす。


 炎は狙い通りに魔物に当たると、甲虫は身体を反転させてこちらを見た。


 これで注意はこちらに向けられた。


 王様たちに危害は加えられない。


 ヘラクレイザーが頭角と顎角を動かし、角同士の間隔を狭めた。


 そしてやつの口に光が収縮していく。


 レーザービームが放たれる。


「させるか!(まじな)いを用いて我が契約せしノームに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。クリスタル」


 ノームの力で物質を集め、結晶を作り出す。


 それを自身とヘラクレイザーの間に設置した。


 その瞬間、ヘラクレイザーは可視光線ギリギリの黒いビームを放つ。


 光線は結晶に接触するとすり抜け、俺に当たった。


 ヘラクレイザーの熱を発生させるレーザーは、可視光線ギリギリの七百八十ナノメートル。


 ほぼ赤外線の領域だ。


 当たれば肉体を構成している物質が、分子間運動を激しく行って熱を発生させる。


 だが、俺は熱による痛みは微塵も感じない。


 魔法で生み出した結晶は非線型結晶だ。


 レーザーを非線型結晶に通すことで、波長を可視光線へと変換することができる。


 その結果、光線に熱を発生させる力が失われ、触れても人体に悪影響が出ないようにしたのだ。


 今の攻撃でヘラクレイザーは、もう一度レーザーを撃つためにエネルギーを充電しなければならない。


 倒すのなら今だ。


(まじな)いを用いて我が契約せしノームとウィル・オー・ウィスプに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。ウエポンカーニバル!」


 武器の作成に必要な物質を集め、質量を持たせることのできるヒッグス粒子を纏わせることで、本物と同様の武器を生み出す。


 本来であれば様々な武器を展開するのだが、今回作り出した武器は槍一本だけだ。


「ウエポンアロー」


 狙いを定め、空中に展開した槍をヘラクレイザーに向けて発射。


 槍は敵の口内に突き刺さると、青い体液が流れだす。


 それを見た俺は、槍を構成している物質からヒッグス粒子を外し、ヘラクレイザーに突き刺さった槍を消した。


 その瞬間、魔物は先ほどと同じような動作を行う。


 レーザーが放たれようとするが、俺は堂々とした佇まいで敵を見る。


 何せ、避ける必要も、呪文の詠唱をする必要もないからだ。


 レーザーの集光が見えた刹那、ヘラクレイザーが弾け飛び、肉塊を周囲に飛び散らせる。


 ヘラクレイザーは、体内の筋肉の細胞が変化して生まれた発電板から電気を発生させ、体内に高電圧を加えることができる。


 これにより、複合ガスを溜めている管に電気が送り込まれ、放電するとガス内の原子が外部からエネルギーを吸収。


 低いエネルギーから高いエネルギーに移り、励起状態になるとエネルギー差に相当する光を放出し、その光を体内で集光させて吐き出すように口からレーザーを撃ち出す仕組みになっている。


 俺の放った槍は、電気を送り込まれる管に傷をつけた。


 そのお陰で発電板から電気を発生した際に、空いた穴から高圧電流が流れて中のメタンガスに引火。


 器官内のメタンガスの濃度が一定の条件を超え、急速な熱膨張により小規模なガス爆発が発生したのだ。


 レックスからヘラクレイザーの構造について聞いていてよかった。


「王様、ご無事ですか」


 魔物の残骸を横切り、王様に駆け寄る。


 彼はケガをしており、額から血を流していた。


「デーヴィッド殿、どうしてここに?」


「あなたが行方不明になったと聞いて捜索に来ました。ぶじに見つかってよかったです」


「すまない。そなたとの約束を守ろうとむちゃをしてしまったようだ。まさかここまで魔物が多いとは思わなかった」


「すぐにここから出ましょう」


 手を差し伸べると、王様は俺の手を握って立ち上がる。


 すると、どこからか大きな羽音が聞こえてきた。


 この音はヘラクレイザーだ。


 まだ他にもいる。


 周囲を警戒すると、一匹のヘラクレイザーが姿を見せる。


 攻撃を仕かけるような動作に入った場合、直ぐに呪文を詠唱するつもりでいた。


 だが、魔物は俺たちを見るとどこかに飛び去っていく。


「デーヴィッド、どうやら間に合ったみたいね」


 遅れてカレンたちがやってきた。


「ああ、何とかな。ライリー、悪いが王様の治療を頼む」


 彼女たちと合流すると、俺はライリーに回復魔法を頼む。


「了解した。(まじな)いを用いて我が契約せし知られざる生命の精霊に命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよ。ブラッドプリュース」


 失った血液を補おうと、ライリーは王様に血液生産魔法をかける。


 破れた血管を修復しようと、血小板が塊になって血管壁に付着。


 次に凝集した血小板からセロトニンが放出され、血管の収縮を助けて血流が低下すると同時に、血小板や破れた組織からトロンボプラスチンが放出。


 血漿の中にある凝固蛋白やカルシウムと作用して、血漿中のプロトロビンをトロンビンに変換。


 さらにトロンビンが可溶性のフィブリノゲンを、不溶性のフィブリンに変換され、フィブリンは細長い線維状の分子で集まって網目構成をつくる。


 そこに赤血球が絡まるようにして凝血塊が生まれ、血管の傷を塞ぐ。


 そして血管から抜け出した単核球が貪食作用でマクロファージになると、さらに色々な化学物質を放出し、それが刺激になると線維芽細胞が呼び出されコラーゲンを作る。


 その後、線維芽細胞、毛細血管がコラーゲンを足場とし、この三者が欠損部を埋め、創面をくっつけて真皮に近い丈夫な組織を作り出した。


 そして骨髄から作り出された幹細胞が赤血球、血小板に分化し、最終的に成熟したものが血液中に放出され、失った血液を補う。


 王様の傷は完全に塞がり、顔色もよくなる。


「こいつは助かった。すまないが、他の兵士たちにも頼めるか」


「お安い御用さ」


 王様がお願いをすると、ライリーは護衛役として生き残った二人のケモノに回復魔法をかける。


 けが人の治療が終わると、俺たちは帰るために森の中を歩く。


 薄暗い山道を歩いていると、フランが俺のふくらはぎを軽く蹴ってきた。


「よくぞ王様を見つけてくれた。一応褒めてやる。だけどこれで調子に乗るなよ。私はまだあんたを認めてはいないのだから」


 そう言うと彼女は歩く速度を速め、俺から離れていく。


 どうやらフランは、まだ俺とアナの関係を怪しんでいるようだ。


 今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


 誤字脱字や文章的に可笑しな箇所などがありましたら、教えていただけると助かります。


 今回はブックマーク登録はなく、逆に一人減りました。


 その代わりに一番低い評価をいただいたので、横ばいの状態ですね。


 おそらく、ブックマーク登録をしたのはいいが、思っていたのと違ったので、外したのでしょうね。


 その代わりに評価をくださったのかと思いますが、正直悔しいです。


 万人受けをする作品を作るというのは、非常に難しいことです。


 価値観の違いというものあります。


 おそらく、私の作品は万人受けをするようなものではないでしょう。


 なので、私の作品を読んでくださっているあなたには、本当に毎日感謝をしております。


 この作品を読んでよかったと思えるように、今後の執筆も頑張って努力していきたいと思います。


 今回の件は本当に悔しく、自分の実力のなさに腹が立ちますが、どうすれば高い評価を得られる作品作りができるのか、考えていきます。


 今回の話で、第二十九章は終わりです。


 明日は第二十九章の内容を纏めたあらすじを投稿する予定です。


 

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