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☆第二十二章あらすじ☆

 今回のワード解説


間諜……ひそかに敵のようすを探って味方に報告する者。間者。スパイ。


賢人議会……王の決定に介入できる職場。王の暴走を止めるブレーキ役。

 今回この手記に書くのは、モードレッドたちとの前哨戦を繰り広げたあとのできごとを、思い出しながら書いていこうと思う。


 モードレッドたちが撤退したのを見て、最初は罠なのではないかと警戒していたが、しばらく様子を見ても再び彼らが戻ってくることはなかった。


 どうやら本当に撤退をしたようだ。


 俺は父さんのところに戻り、今回の奇襲について語った。


 父さんは城下町は平和だったという俺の報告から、間諜を惑わすための作戦だったのではないかと言っていたが、俺はそうは思わない。


 彼らは独断でこの野営地に奇襲をかけてきたからだ。


 元々この戦争は、メッフィー(メフィストフェレス)が仕組んだもの。


 しかし、俺は彼の考えが読めなかった。


 人間同士を争わせたいだけなら、きっかけを作ってあとは見守るだけでいい。


 けれど、彼は王のブレーキ役である賢人議会の人間に成りすまし、直ぐに兵を出さないように進言しているのだ。


 敵の狙いが何なのかが分からないでいると、父さんは休むように言ってくれた。


 俺はテントから出ると、野営地を歩く。


 父さんには身体を休めるように言われたが、そうはいかないからだ。


 周囲の警戒にあたっていると、ランスロットとジルの姿を見つけ、俺は彼らにお礼を言う。


 俺がモードレッドの相手をしている間に、背後からガウェインの部隊が攻めて来ていたらしいのだ。


 それに気づいたランスロット、ジル、レイラが対処をしてくれたようで、お陰でこの野営地を守ることができた。


 二人と話していると、一羽のリピートバードが俺の前に舞い降りる。


 リピートバードは殆ど同じように見え、違いが見分けにくいのだが、この鳥はレックスではないことは一瞬で分かる。


 なにせ、レックスの場合は、俺の頭の上に乗るし、開口一番で文句を言ってくることが多い。


 そもそも、いくら俺に怨みがあるとしても、嘴で突っついてくることないよな。


 あれって本当に痛いんだよ。


 それに俺にガミガミ言いやがるし、本当にいい加減にしてほしい。


 まぁ、あまりにもうるさいときには、彼に伝言を頼んでこの場に居なくさせればいいだけだけどな。


 この前なんか、レックスに出前を頼んだらブチギレられた。


 え、そりゃあ怒るだって?


 雑談はこの辺にして話を戻そう。


 リピードバードからメッセージを聞くと、送り主はなんとあのモードレッドだった。


 内容は『今夜野営地を訪れる。戦いに行くわけではないから、入れるように手配をしてくれ』というものだった。


 ジルとランスロットは何かの罠ではないかと言うが、俺にはそうは思えなかった。


 俺はモードレッドを迎え入れる準備をする。


 夜の見張りを後退してもらい、彼が訪れるのを待つ。


 モードレッドを野営地内に迎え入れるために一人で見張りをしていたからか、とても退屈だった。


 手持ち無沙汰でいると、俺が契約している精霊のウンディーネとノームが話し相手になってくれた。


 俺は彼女たちにどうして精霊になったのかを尋ねると、二人は答えるのを嫌がる。


 さすがに無神経すぎたようだ。


 これはあくまで仮設であり、わかりきったことではないのだが、精霊は何かしらの罪を犯した人間であり、犯した罪を償うために精霊になるとも言われている。


 だけど、二人の反応をみる限り、この仮説は濃厚のようだ。


 会話はもしも〇〇だったら、と言う話になり、もしも俺が精霊になってしまったら、何になりそうなのかを彼女たちに聞いてみる。


 すると、ノームは勇気を司る精霊ヴァルキリーではないかと言うが、ウンディーネはそれを否定する。


 ヴァルキリーは女性がなるらしく、もしもヴァルキリーになるとしたらライリーが候補に上がると彼女は語った。


 そしてウンディーネからは、上級精霊である創造、再生、復活を司るフェニックスなるのではないかと言う。


 さすがにそれは買い被りすぎなような気がする。


 もしも精霊になったらシリーズの話ははずみ、タマモはドライアド、アリスはブラウニーになるのではないかという話になった。


 話が盛り上がっていると、ウンディーネはレイラが精霊になったときの話しをする。


 彼女は死後、サラマンダーになったらしい。


 正直俺は意外に思った。


 レイラならイフリート辺りになりそうと思っていたからだ。


 サラマンダーは情熱的な人がなると言われている。


 レイラがまだ人間だった頃、失恋を経験してそれをバネにして自分磨きを行い、その結果彼女は変わったとウンディーネは前に語ってくれた。


 その話を思い出すと、俺はレイラがサラマンダーになったことに納得する。


 精霊たちと話していると、やっとモードレッドが野営地にやってきた。


 俺は作戦会議として使っているテントに彼を案内する。


 テントの中には、俺の仲間たちが先におり、その光景を見たモードレッドが約束が違うと言い出す。


 彼からは二人っきりで話がしたいと言われていたのだ。


 しかし、心配したジルがレイラにこのことを伝え、それが伝言ゲームとなって皆に広まってしまった。


 約束を破ったことで、彼は少し不機嫌だったが、後で仲間たちにも伝えるように言う予定だったらしく、大目に見てもらえた。


 彼から話を聞くと俺は衝撃を受ける。


 俺個人と同盟を結び、結託してガリア国を倒すというものだった。


 完全には信じ切ることのできない俺は、どうして俺たちと手を組みたいのかを尋ねたが、その理由は言いたがらない。


 手を組みたい理由を言わない限り、俺は同盟を拒む意思を向ける。


 すると、モードレッドは話を聞いた責任を取ってくれるのであれば話すと言う。


 彼女の言葉を聞いた瞬間、俺の仲間たちが二つの勢力に分かれてしまった。


 責任を取って話しを聞く派と、責任は取らないし、話しも聞かない、この話はなかったことにしたい派に分かれた。


 それぞれの言い分を聞いた俺は、最終的に責任を取る覚悟で話しを聞かせてもらうことにする。


 俺は決断すると、モードレッドはどんな責任を取ってもらうのかを語る。


 彼は、何が何でもガリア国を倒すことで責任を果たしてもらうと言った。


 責任の内容を聞いた反対派は、何を想像していたのか分からないが『そっちかい!』と大きな声を出した。


 また雑談になるが、モードレッドが帰ったあとに、何を想像していたのかを聞いてみたのだが、誰も答えてくれなかった。


 変にはぐらかされるし、酷いときには八つ当たりされそうになったのだ。


 本当に何を考えていたのだろうか。


 再び話を戻す。


 その約束を守ることをモードレッドに告げると、彼は協力したい理由を語ってくれた。


 モードレッドはガリア国王と娼婦である母親との間に生まれたこと、父親が自分の子どもだと認めないこと、母親のために女を捨て、男として生きてきたこと、認めてもらえるように、これまで努力をしてきたことを語ってくれた。


 あ、因みに今まで敢えてモードレッドのことを『彼』だと表現してきたけど、ここでネタバレをしたから、今からは『彼女』で表現するので、そこのところよろしく!


 俺は彼女が過去を話してくれたお陰で、心から信頼することができた。


 モードレッドと握手を交し、俺たちは協力関係を築く。


 翌日、俺は父さんの横に並び、オルレアンの兵士たちの士気を上げるために鼓舞激励をした。


 なんとか味方の士気を上げることに成功し、俺はその場から離れる。


 すると、鼓舞の内容が気に入らなかったようで、レックスが文句を言ってきた。


 俺は兵士たちのやる気を引き出すために、これまで倒した魔王は仲間にしたと言ったのだ。


 彼はそれが嫌だったらしい。


 まぁ、俺とレックスは元々敵同士だし、今も俺を倒そうと度々ちょっかいを出してくる。


 まるでご主人に構ってもらいたペットのように見えてきて、最近では可愛げがあるように思う。


 俺がこんなことを思っているなんてレックスに知られたら、彼はおそらく怒るだろう。


 出陣の時間が近づくと、アリスは本陣でお留守番をしてもらえるように俺はお願いする。


 彼女は俺たちについて行くと言ってくれた。


 正直、俺は心配だから本当は傍にいさせたい。


 だけど、戦場では多くの人が血を流すことになる。


 そんな光景をアリスには見せたくなかった。


 どうやって納得してもらおうかと考えていると、タマモが自分も残ってアリスを見ておくと言ってくれた。


 彼女はエルフで、弓の扱いに長けている。


 それに、彼女の大きい耳は、遠くの音を聞くことが可能だ。


 事前に危険を察知することができれば、最悪の場合は逃げることだってできるだろう。


 俺はそう判断し、タマモも本陣に残ってもらうことにした。


 すると、エミまでもがアリスの傍にいると言い出す。


 しかし、彼女が欠けるのは痛い。


 エミは対象を眠らせたり、気絶させたりすることができる。


 彼女には一緒に戦場に赴いてもらいたい。


 そんな風に考えていると、まるで俺の心を読んだかのように、タマモが戦場で俺のサポートをするように言ってきた。


 エミは数秒の間葛藤していたが、決心を固めると、俺と一緒に戦場に向かうことを決めてくれた。


 俺たちは最前線に加わると、戦争が始まる。


 できることなら多くの人を傷つけることなくこの戦いに勝利したい。


 俺はライリーと協力して敵兵士の無力化を図った。


 だが、その光景を見てレックスは再び文句を言ってくる。


 敵を殺さずに無力化する戦い方が気に入らなかったようだ。


 彼の言うことは、戦場においては正しい。


 だけど、この戦いは本来起きなかったことだ。


 できることならムダに血を流したくない。


 悩んでいると、レイラが強力してガリア兵を無力化させようと言ってくれた。


 一人の力では限界がある。


 だけど皆で協力すれば、実現が不可能ではない。


 カレンに協力してもらい、ガリア国の兵士は殺すなと、俺はオルレアン軍に告げる。


 俺がオルレアンの未来を担う王子だったからなのかもしれないが、オルレアンの兵士全員が指示に従ってくれた。


 敵本陣に向けて先に進むと、大きな塵旋風が俺たちのほうに来た。


 ガリア国側の精霊使いが放った魔法だ。


 俺は敵の攻撃を躱すと、風の魔法の後を追うようにしてギネヴィアが現れる。


 魔法の威力を見た俺は、彼女は強いと直感的に悟った。


 緊張で鼓動が高鳴る中、ギネヴィアは俺の横を通りすぎてレイラに指を差す。


 どうやら彼女の獲物はレイラと決まっていたらしい。


 レイラは俺たちに先に進むように言う。


 若干死亡フラグのような感じがしたが、俺は彼女を信じて敵本陣に向けてひたすら走った。


 今回はここまでとしよう。


 続きはまた今度、時間ができたときにでも書こうと思う。

 今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。


 誤字脱字や文章的に可笑しな箇所などがありましたら、教えていただけると助かります。


 トータルユニーク数が八千を超えました!


 一日の平均は七十~八十人ぐらいですが、あなたが毎日読んでくださっているからこその数字だと思っております。


 これからも頑張っていきます。


 あらすじを最後まで読んでくださったあなただけに、第二十三章の一部をご紹介!


 敵本陣に向けて突っ走るデーヴィットたち、そんなとき、カレンとエミが体力の限界が訪れ、走れなくなる。


 ライリーが残り、彼女たちが体力の回復をしている間、敵兵を斬って斬って斬りまくる!


 ある程度敵を倒すと、彼女たちの前にあのエドワード伯爵がやってきた。


 伯爵との因縁に決着をつけるときがやってきた!


 アリスと本陣で留守番をしていたタマモだったが、敵の接近に気づき、矢を構える。


 一撃を外せばまずいことになる状況下で、彼女の矢は敵を捕らえることができるのか!


 ガリア国の本陣を、背後から奇襲する予定だったモードレッド。しかし、城下町に魔物が侵入したとの報告を受け、出陣できなくなる。


 彼女は魔物から民を守り切ることができるのか!


 そしてデーヴィットは敵本陣に辿り着き、ガリア国の王、アルテラと話し合いを儲ける。


 彼の思いは王に通じるのか!


 そしてついにメフィストフェレスが動き出し、やつとの最後の戦いが始まる。


 果たして、デーヴィットは敵の認識阻害の魔法から脱け出し、やつを倒すことができるのか!


 更に、オケアノス大陸の魔王までもがデーヴィットの目の前に現れる。


 こんな感じの内容になっています。


 第二十三章はバトル多め、ボリューム満載のシナリオになっていますので楽しみにしていただけたら幸いです。


 第一話は明日投稿予定です。

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