☆第二十一章あらすじ☆
今回のワード解説
トランスジェンダー……生まれた時に割り当てられた性別が自身の性同一性またはジェンダー表現と異なる人々を示す包括的な用語である。性的少数者のひとつとして挙げられる。性同一性は、性自認、ジェンダー・アイデンティティとも呼ばれ、自身の性をどのように認識しているのかを指す。すなわちトランスジェンダー女性は、女性の性同一性をもち出生時に男性と割り当てられた人で、トランスジェンダー男性は、男性の性同一性をもち出生時に女性と割り当てられた人を指す。性同一性が女性でも男性でもない場合もある。
今回、この手記に書く内容は、ガウェインの家を出てから、モードレッドとの前哨戦までのことを書こうと思う。
ガウェインの家を出た俺たちは宿屋を探した。
しばらく歩いていると、カリバーンという名の宿屋を見つけ、受付で泊まる手続きを行った。
しかし、この宿屋はどの宿屋よりも高かったのだ。
宿泊料金だけで一人一万ギルも取られた。
本当はあんな高い宿屋には泊まりたくはなかったのだが、一日中色々なできごとがありすぎて疲れていた俺は判断力が鈍っていた。
俺は早く休みたい気持ちでカリバーンに泊まることにする。
受付を終わらせて皆で部屋割りの話をする。
もちろん、俺たちは仲間だが家族ではない。
普通に考えて男女が別の部屋で寝泊まりするべきだ。
そう思った俺はランスロットと同じ部屋で泊まることを言ったのだが、彼はレイラと同じ部屋がいいと言い出す。
ランスロットにとって、レイラは生みの親だ。
母親と同じ部屋がいいという気持ちもわからなくはない。
実年齢は不明だが、彼の見た目は成人男性だ。
いい年した男が母親と同じ部屋を求めるのは世間的にどうなのだろうか?
そう思った俺は、勇気を出してランスロットに言う。
「ランスロット、お前がどれだけレイラが好きでも、マザコンはよくないぞ。イケメンでも、マザコンは女性から嫌われる」
そう説明すると、彼は急に怒り出す。
どうやら配下として主を守るのは当然のことで、その気持ちからの発言だったらしい。
自身がマザコンではないことを証明したいランスロットは、俺と同じ部屋に泊まることになる。
だが、彼の言った発言のせいで、とんでもないことになった。
「いいだろう。レイラ様が心配なのは変わらないが、俺がマザコンではないことを証明するためにも、今夜は貴様と寝ようではないか」
彼はこう言ったのだ。
ランスロットの言葉は、BⅬが好きな腐女子が妄想を膨らませそうな発言だった。
偏見だったらすまない。
彼の言葉を聞いたドライアドが、突然BL話を俺の脳内に直接語りかけてくる。
しかも、俺とランスロットをネタにしてだ。
ドライアドの語る妄想は生々しい。
しかも、俺の契約しているウンディーネも、ドライアドと同じで腐女子であり、二人で語り始めたので威力がとんでもなかった。
俺とランスロットはその場にいられなくなり、一気に階段を駆け上がって三階に向かった。
彼は魔物だ。
人間とは違い、精霊の姿を見ることも聞くこともできる。
三階の部屋に辿り着き、部屋のロックを解除しようとすると、俺は女性陣の部屋の鍵まで持っていることに気づく。
すると、鍵を渡していなかったレイラたちが三階に上がり、鍵を渡すように要求してくる。
だが、彼女たちの傍にはドライアドがいる。
彼女はまだ俺たちをネタにして妄想を口に出していた。
やばいよ、やばいよ!聞きたくもないBL話が脳内に響いてくるよ!
俺は必死になってこの状況を打破する策を考える。
すると、俺の脳内にいいアイデアが浮かんだ。
一人だけが代表として鍵を受け取りに来るように要求した。
これなら、確率的には六分の一だ。
タマモが来る確率は低い。
しかし、これも神の悪戯によるものか、タマモが鍵を受け取りに来てしまう。
どうしてこうなった!神様ってそんなに俺にBLを聞かせたいの!
焦っていると、俺の頭の上に乗っていたリピートバードが女性陣の部屋の鍵を取ると、彼女たちに渡してくれた。
グッジョブ!
俺とランスロットはすぐに部屋の鍵を開け、中に避難した。
その日の夜、リピートバードに父さんへのメッセージを伝えると、俺はレイラとライリーを引き連れて酒場で情報収集をすることにする。
メニューを見て酒を注文する。
レイラはヴェルモット、ライリーはゴールデンホーク、そして俺は天使の恋物語を頼んだ。
先に言っておくが、本当に知らなかったんだ!
まさか願かけで、女性が飲む割り合いが高いなんて!
本当に興味本意で注文しただけなんだよ!
当時は平静を保っていたが、正直恥ずかしかった。
レイラが酒を交換しようと言ってくれたときは、正直助かったとも思っている。
三人で酒を飲んでいると、店内に金髪のポニーテールの女性が入ってきた。
彼女はこの店の常連客のようで、いつものを頼む。
いつもので通じるって凄いよな。
一度彼女から目を離し、酒を飲んでいるとカウンター席が騒がしいことに気づく。
常連客の女性のところに二人の男がやって来て、一緒に酒を飲まないかと誘っていた。
今時ナンパするようなやつっているんだな。
様子を見ていると、店のマスターが女性の前にいつものを置く。
彼女がいつも飲んでいるお酒は魔王だった。
更に様子を窺っていると、他の客たちも迷惑そうにしていた。
お酒とは、皆で楽しく談笑しながら飲むからこそ、美味しいのだ。
このままでは俺の酒が不味くなる。
俺は男たちに注意をしてやろうと思った。
彼らに近づくと、金髪のポニーテールの女性がとんでも発現をした。
自分は男だと言い出したのだ。
見た目は明らかに女性だった。
しかし、知識のある俺は、どうして彼女が男だと言い出すのか、その理由に心当たりがあった。
彼女はきっとトランスジェンダーなのだろう。
当時の俺はそう思っていた。
注意をしようと、声をかけたタイミングで、男と言い出した女性は剣を抜き、男の喉元に突きつける。
すると、男は目の前にいる女性が血塗られた堕天使だということに気づき、ビビッて逃げ出した。
女性にちょっかいを出した男だけではなく、俺たち以外の客も逃げ出したのだ。
取り残された俺は、金髪の女性に絡まれるも、男たちを注意しにきたことを伝える。
すると、迷惑をかけたお詫びとして酒を奢るから一緒に飲まないかと誘われる。
俺は冗談で、男と飲むにはちょっとみたいなことを言うと、女性はそれがツボに嵌ったらしく、俺を気に入ってくれた。
彼女の名はモードレッド。
ガリア国の騎士団に所属している。
モードレッドを俺たちのテーブルに案内して酒を飲んでいると、そこにガウェインがやってきた。
彼はモードレッドと知り合いであり、ランスロットを探していることを俺に伝えた。
ランスロットの代わりに言伝を聞く。
独断でオルレアン軍の野営地を攻撃する準備を始めることにしたらしく、ランスロットにも協力して欲しいとのことだ。
そのことを知った俺たちは、ガウェインとモードレッドが店を出た後に、店を後にする。
宿屋の前に来ると、送ったリピートバードが戻ってきた。
父さんからのメッセージを聞くと、鳥の口調が変わっていることに、俺は違和感を覚える。
そんな中、俺はリピートバードにもう一度仕事を頼む。
すると不満が爆発した鳥が俺の頭をつつく。
なんと、俺と父さんの連絡係であるリピートバードに、あの魔王レックスの魂が入り込んでいたのだ。
倒された恨みをもつレックスに対して、俺はどうしてメッセージを届けてくれたのかを尋ねる。
どうやらリピートバードの性らしく、メッセージを受け取ると体が動いてしまうらしい。
いいことを聞いた俺は、レックスに父さんへのメッセージを伝え、この場から排除をした。
ランスロットたちが戻ってくると、俺たちはチェックアウトを済ませる。
そして宿屋を出ると預けていた馬車のところに向かい、全員を馬車に乗せてオルレアン軍の野営地に戻る。
野営地にたどり着いた俺は、直ぐに父さんのいるテントへ向かう。
テントの中に入った俺に待ち受けていたのは、レックスによる突つく攻撃だった。
彼は都合の良いように扱われて御立腹であったが、俺は再びガウェインへのメッセージを聞かせて、レックスをこの場からいなくさせる。
邪魔者はいなくなり、俺は父さんと今後のことについて話し合う。
翌日、朝の早い時間帯に目が覚めた俺はテントから出ると、外は薄い霧が立ち込め、遠くの場所が分かりにくい環境になっていた。
野営地を歩いていると、ランスロットを見つけ、軽い世間話をする。
そんな時、仕事を終わらせたレックスが戻ってきた。
彼からガウェインのメッセージを聞くと、野営地にガリア国の兵士たちが攻めてきた。
騒ぎに気づいたレイラたちが合流すると、俺はライリーに頼んで脳の活性化を促す魔法をかけてもらう。
頭の中がスッキリした俺は、仲間たちに指示を出す。
最初に俺が複数の魔法を使い、落雷を発生させて敵兵を痺れさせる。
第一陣を行動不能にさせると、モードレッドが現れ、戦うことになった。
マジかよ。モードレッドと戦うのかよ。
俺、勝てるのか?
戦いながら俺が身の上話をすると、何故かモードレッドは気分を害し、俺に強い感情を持って、切りかかってきた。
本当に身の上話をしただけなのに、どうして俺のことを嫌いになるんだよ!
何も悪いことはしていないのに!
俺が苦戦をするとライリーが間に入る。
彼女と交代した俺は、失った精神力を回復するためにカレンのもとに戻る。
霊薬を受け取った俺は、液体を飲み干してライリーのところに向かうと、もう一度モードレッドと戦う。
アイスソードで斬り合うが、剣士としては相手の方が上だった。
俺は苦戦すると、そこにレックスが舞い降り、助言を授ける。
彼の言葉に考えを改めた俺は、アイスソードを辞めて、ウエポンカーニバルとウエポンアローでモードレッドを攻撃。
彼女の身につけている鎧を破壊することに成功したが、モードレッドはまだやる気だった。
マジかよ!タフすぎるだろうが!
次の手を考えていると、この場にモードレッドの部下だと思われる兵士が現れ、時間が訪れたことを告げる。
すると、ガリア国の兵士たちは撤退を始めた。
何かの罠の可能性があったが、俺は様子を見ることにする。
しかし、その後ガリア兵たちが来ることはなかった。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字や文章的に可笑しな箇所などがありましたら、教えていただけると助かります。
ブックマーク登録してくださったかたありがとうございます!
もっと多くのかたに気に入っていただける作品作りを心掛けて日々精進していきます。
あらすじを最後まで読んでくださったあなただけに、第二十二章の内容の一部をご紹介!
撤退をしたモードレッド、彼女が向かった場所は母親の墓だった。
モードレッドの過去が明らかに!
そしてモードレッドは再びデーヴィットたちのいる野営地を訪れるとあることを提案してきた。
ガリア国とオルレアン国に新たな進展が!
更に、ギネヴィアまでもが戦争に参戦!彼女の敵はただ一人!レイラ討伐にギネヴィアは燃える!
そしてガリア国とオルレアン国との戦争の火蓋が切って落とされた。
こんな感じの内容になっています。
第一話は明日投稿する予定です。




