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☆第十九章あらすじ☆

 今日、この手記に書くのは、魔王レックスとの戦いの記憶だ。


 最初に注意事項を書いておくが、もしかしたらある時点から、俺は変態になっているかもしれない。


 もしかしたら、こいつキモイと思われるだろう。


 それでもあの時、あの瞬間のできごと、あのとき感じた気持ちは書き残さなければと思っている。


 頭が可笑しくなっていると思った段階で、嫌な気持ちになっていたら、すかさず次のガリア国での記憶のほうを読むことをお勧めする。


 前書きはこの辺にして、本編を書く。


 読まれているあなたもある意味、覚悟を持って読んでもらいたい。


 サムさんと別れを告げた俺たちは、エトナ火山を歩いていた。


 ゴツゴツとした岩肌で、歩きにくい状況であったが、それなりに冒険をしてきたからか、誰も弱音を吐くことはなかった。


 麓に辿り着いた俺たちだったが、周辺を見渡しても魔王の居城が見当たらない。


 人間では把握できない光の反射で、見えることができなくしているのだろうか?


 レイラのキャメロット城でも、侵入者を追い返すために方向感覚を狂わせる罠があった。


 セプテム大陸の魔王も、似たような手段で侵入者が入れないようにしているのかもしれない。


 そう判断した俺は、仲間たちに気をつけて捜索するように言う。


 一時間ほど探し続けると、アリスが地下に通じる階段を発見した。


 俺は魔王が城を見えなくさせていると思っていたのだが、地下が居城になっていたようだ。


 思い込みにより、俺は恥かしい想いをしてしまった。


 今思い出しても恥ずかしい。


 地下の階段を降りると、広い部屋に出た。


 その空間には扉が三つある。


 どこからどう見ても、罠に見えた。


 正解の部屋はひとつだけ、間違った扉を開ければ何が起きるのか分からない。


 どの扉を開けるべきか考えていると、ライリーがアイテムボックスからモーニングスターを取り出し、扉に向けて投げつけた。


 しかし、扉はびくともしない。


 どうやらライリーは、扉を開けた瞬間に罠が作動する場合を考えて、扉を壊せば先の様子が見られると判断したようだ。

 

 続いてカレンが音の魔法で破壊を試みる。


 しかし、魔法の力を持ってしても、扉が開くようなことはなかった。


 仕方がないので、俺は罠にかかる覚悟で順番に扉を開けていく。


 武器や魔法の攻撃ではびくともしなかったのに、扉は軽く、いとも簡単に開けることができた。


 すべての扉を開けるが、扉を開けても罠が発動するようなことはなかった。


 どうやら、進んだ先に罠が仕かけられているタイプのようだ。


 俺たちは再び考える。


 すると、カレンが探知魔法を使い、先の状況を調べると言い出す。


 彼女に調査をしてもらうと、左右の扉は行き止まりになっており、真ん中が先に繋がっていることを教えてくれた。


 一応念のために罠などには気をつけつつ、俺たちは真ん中の扉を歩いて行く。


 真ん中の扉の先には通路になっており、更に進むと再び広いフロアに辿り着く。


 この部屋の先にも通路が続いていた。


 特に変わったところはなかったので、俺は先に進もうとするといきなり背中を押されてしまった。


 振り返ると、俺を押した犯人はエミであり、彼女は躓いてしまったらしい。


 まったく、おっちょこちょいなやつだ。


 気を取り直して先に進もうとした瞬間、いきなり周囲に白いガスが噴き出し、俺は意識を失う。


 目を覚ますと、レイラが心配そうに俺の顔を覗き込み、声をかけていた。


 周囲には俺とレイラしかおらず、カレンたちがいない。


 彼女に尋ねると、レイラ自身も他の場所で目を覚まし、慌ててこの場に戻ってきたとのことだ。


 皆と(はな)(ばな)れにさせられた。


 レイラは仲間たちを見つけるために、一度引き返して前の扉に向かうことを提案してきた。


 しかし、彼女が俺のところに戻ってきたように、ここに留まっていれば、他の皆とも合流できるかもしれない。


 俺はこの場に留まることをレイラに言うが、彼女は強引にも俺の背中を押して、退き返させようとしていた。


 なんか変だ。


 どうしてそこまでして引き返すことにこだわる?


 違和感を覚えた俺は、レイラを見る。


 彼女の首には、俺がプレゼントをしたネックレスがなかった。


 俺はランスロットから貰った大事な物のはずなのに、どうして首につけていないのかと嘘を吐いて尋ねた。


 すると、彼女はここに来る最中に魔物に襲われ、落としてしまったという。


 その言葉を聞いた瞬間、目の前にいる彼女はレイラではないことに気づき、距離を空ける。


 そして、目の前の女性に、偽者だと言う。


 当然彼女は否定した。


 けれどこちらには決定的な証拠がある。


 その証拠を口頭でつきつけると、炎の矢が女性に向って飛んできた。


 本者のレイラが現れたのだ。


 その証拠に彼女の首には、俺がプレゼントしたネックレスがかけられている。


 本者が現れると、偽者のレイラは招待を明かす。


 彼女の名は余ちゃん、マネットライムがレイラの姿に化けたものだ。


 しかし、このとき俺に衝撃が走った。


 なにせ、マネットライムは姿を真似できたとしても、本人と見間違えるようなほどにまで、精巧に真似することができないし、声を出す声帯も持ってはいないからだ。


 いったいどんな原理であのようなことになっているのか、それが気になっていた。


 魔王レックスに教えてもらうまでは。


 レイラが登場すると、余ちゃんは罠を作動させたのか、自ら落とし穴に飛び込んだ。


 罠の可能性もあると判断した俺は、追いかけるのではなく、先に進むほうを選ぶ。


 通路を歩いていると、後ろ姿のライリーを見つけた。


 今すぐにでも彼女に声をかけたいという想いであったが、余ちゃんの件がある以上は、不用意に声をかけることができなかった。


 ゆっくりとついて行き、確信を持つまで追跡する。


 ライリーと思われる人物が角を曲がり、俺たちも角を曲がった。


 その瞬間、俺の喉元に剣が突きつけられる。


 どうやら、彼女は今まで俺たちの偽者と出会い、疑心暗鬼になっているようだった。


 そんな中、ウンディーネの声が聞こえ、目の前にいるライリーは本物だということを教えてくれた。


 ライリーは、俺が本物だということを証明しなければこのままのどを突き刺すと言い、俺は魔法で証明しようとする。


 その瞬間、俺の顎が切られ血が流れる。


 いって―!いくらなんでもいきなり斬ることはないだろうよ!


 そのままけつ顎になったらどうしてくれる!


 顎の痛みを感じていると、光を失った目で見ながら、もっと別の方法で証明するようにオーダーを受ける。


 チャンスはあと一回しかない。


 もし、失敗をすれば俺は彼女に殺される。


 顎の痛みに耐え、俺は証明できるものを考える。


 すると、過去のできごとを思い出した。


 おそらく、これしか方法がないだろう。


 もし失敗すれば、俺は彼女に殺される。


 一か八か、俺はライリーから離れると、俺はズボンとパンツを下ろし、彼女に尻を見せた。


 誤解しないように言っておくが、別に死を目前にして奇行に走ったわけではないからな!


 俺の尻には六つのホクロがある。


 それを線で結べばハート型になるのだ。


 尻を見たライリーは大爆笑をし、尻にあるホクロのお陰で俺は本物だと証明されたのだ。


 しかし、その代わりに俺の黒歴史に新たな一ページが刻まれた。


 ライリーと合流した俺たちは先に進む。


 すると螺旋階段のあるフロアに辿り着く。


 下の階には多くの魔物がおり、戦闘は免れそうにない。


 そして、このフロアの先にもまだ道が続いている。


 普通に考えれば、地下にいる魔王というのは地下の深い場所にいるはず。


 そう考えた俺は、まず地下一階を調べてから降りることにした。


 奥の通路を歩いていると、この先からとてつもない殺気のようなものを感じた。


 この感じは魔王の放つオーラで間違いない。


 本当にこの日の俺の予想は外れてばかりだった。


 まだ他の皆と合流できていない状況では、この先に進むのは危険だ。


 そう思い、俺は引き返そうとする。


 だが、どういうわけか通路が壁で塞がれ、後戻りができなくなっていた。


 戻ることができない以上は先に進むしかない。


 俺たちは三人だけで奥に進む。


 すると、闘技場らしき場所に出た。


 中央には石で作られたリングがあり、周囲には観客席が設けられている。


 そして、リングの中央には、頭に角を生やした黒髪の男が立っている。


 彼の名はレックス、セプテム大陸の魔物を支配する魔王だ。


 彼は俺のことが嫌いだと言う。


 それもそうだろう。


 俺は彼が生み出した魔物を何体も倒している。


 彼からすれば、子どもを殺されたに近い。


 嫌われて当然だ。


 そう思っていたが、俺を嫌う理由はそれだけではなかった。


 なんと、彼はレイラのことが好きで、俺に嫉妬しているとのことだ。


 しかも彼はレイラにフラれ、彼女に好意を寄せられている俺を憎んでいるという。


 男の嫉妬も、時として怖いものに変貌するものだ。


 レックスが指を鳴らすと、壁の形をしたスライムが三体現れた。


 中央にはエミ、カレン、アリスが埋め込まれ、気を失っていた。


 三人を救出しようと、レイラとライリーが動く。


 するとレックスが合図を出し、この場に余ちゃんや仲間の姿をしたマネットライムたちが現れる。


 俺は仲間たちの姿をしたマネットライムと戦った。


 敵の中には、俺の姿を真似たものもいる。


 俺はまず、自分の姿をしたマネットライムを倒す。


 自身が本者である以上、遠慮はいらない。


 だが、自分で自分を倒すというのは、精神的にもあまりよくはなかった。


 次第に気分が悪くなり、思わず吐きそうになる。


 レイラの活躍により、マネットライムはすべて倒した。


 すると、魔王戦の前の一時休戦を持ちかけられ、マネットライム改二講座が始まった。


 マネットライムが生み出された経緯、そして理想とするものを作り出すまでの苦労話を聞かされる。


 動悸はなんであれ、目標に向って頑張ってきたことは評価する。


 だけど、努力の方向性が間違っているような気がした。


 それだけ努力をするのなら、もっとモテるための工夫をすればいいのに。


 彼の説明を理解した俺は、レックスからさすが知識の本(ノウレッジブックス)の所有者だと称賛された。


 俺は彼に知識の本(ノウレッジブックス)のことを知っているのかと尋ねると、わかる範囲で話してくれた。


 どうやらあの本は、神により作られたものらしい。


 レックスが杖を見せる。


 それはエミが盗賊から奪われ、イアソンが献上したものだ。


 目が覚めたエミが杖を返すように言うと、レックスは新たに別の杖を出してエミに渡した。


 彼が渡した杖は、先端がハサミのようになっている。


 レックスが渡したのは剪定(せんてい)の杖、しかしエミがほしいのは選定(せんてい)の杖だ。


 言葉が同じでも、まったく意味が違う。


 言葉って本当に難しいよね!


 同じ言葉でもまったく意味が違うし、ニュアンスである程度、どの意味を持つ言葉なのかを判断しないといけないから!


 エミが文句を言うとレックスは気分を害し、エミを拘束しているスライムが反転すると、彼女のお尻がこちらに向けられる。


 壁に挟まれる女性は、何とも言えないエロティックな感じに思えるのは、俺だけだろうか?


 そのあとも、彼は色々と教えてくれた。


 そう、俺に冥土の土産を持たせるために。


 話が終わると、彼は空中に数多くの剣や槍などを展開させて、矢のように振らせて攻撃をしてきた。


 俺は彼の攻撃を躱し、ときには反撃に出る。


 しかし、彼のトリックに翻弄された俺は、防戦一方となり、追い詰められる。


 このままではまずい。


 精神的にやられる。


 そう思った俺は、レックスの業であるウエポンカーニバルの原理を脳内で考えた。


 自分なりに原理を考えることによって、相手の手の内は読めている、何も怖いことはないと思い込ませたかったのだ。


 俺はどうすればレックスに勝てるのかを考えた。


 すべての業はレックスに対処されている。


 彼に勝つには、新しい魔法を開発して相手の意表を突くようなことをしなければならない。


 こんなとき、エミならどんな魔法が思いつくのだろうか。


 彼女の想像力と発想力を羨ましがっていると、契約している精霊たちが励ましの言葉をかけてきた。


 俺は今、新魔法の扉の前に立っている、あとは鍵を手にして開けるだけだと彼らは言ってくる。


 どういう意味なのか分からなかったが、ジャック・オー・ランタンのヒントで、俺はようやく鍵を手にすることができた。


 さぁ、想像の翼を広げて飛び立とう。


 久しぶりに新魔法を作ることができる。


 そう思った俺は興奮した。


 ああ、早く魔法を使いたい。


 俺の理論が正しいのかをこの目で確認したい。


 俺は興奮のあまりに口から涎が流れた。


 もし、己の考えた理論どおりにことが進み、上手く成功したのならそれはとても気持ちいいことだ。


 何もいえない気持ちになる。


 だけど魔法を発動するだけではいけない。


 やつに勝つには意表を突かなければ。


 タイミングは、レックスがもう一度ウエポンアローを使ったタイミングだ。


 新魔法を直ぐにでも使いたい心境の中、お預けをされている犬のようにひたすら待ち続ける。


 ハァ、ハァ、ハァ。


 早く、早く、早く!


 我慢できない!早く俺をこんな気持ちから解放させてくれ!


 俺を気持ちよくさせてくれ!


 俺はレックスの攻撃を求めた。


 今は恐怖よりも興奮が高まってる。


 己を抑えなければ絶頂しそうだ。


 敵の攻撃を待っていると、遂にレックスがウエポンカーニバルで複数の武器を生み出し、ウエポンアローで飛ばしてくる。


 きたー!


 俺は純粋な子どものように目を輝かせた。


 一か八かで魔法を発動させる。


 俺に向って飛んできた鎖は方向転換をすると、回転して他の武器を弾く。

 

 魔法は成功した。


 自身が生み出した武器の一部の制御が効かないことに、レックスは驚く。


 しかし、本当はそうじゃない。


 あの鎖はレックスではなく、俺が魔法で生み出したのもだ。


 そう、俺は精霊たちに魔法で武器を作るように指示を出した。


 え、それは新魔法じゃなくて、パクリだって?


 ち、違う。


 アレはレックスのオーバーイメージで作り出したもので、魔法ではない。


 魔法では生み出していない以上、完全なパクリではない!


 え、苦しい言い訳はするなだって?


 …………。


 と、とにかく俺はレックスのウエポンカーニバルを魔法で再現したのだ。


 意表を突かれた彼は動揺し、隙を見せていた。


 その瞬間を狙い、俺は新たにウエポンカーニバルで武器を生み出し、ウエポンアローでレックスを攻撃すると、彼は瀕死の重傷を負う。


 これで勝負は決まった。


 そう思った俺は、レックスに戦争を止めさせるように言う。


 しかし、彼は何のことなのかわかっていなかった。


 そこで、俺はメフィストフェレスの名を出すと、やつの存在も知らないと言う。


 俺はレックスの言葉に、背筋が凍ったかのような感覚になった。

 今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。


 誤字脱字や文章的に可笑しな箇所などがありましたら、教えていただけると助かります。


 あらすじを最後まで読んでくださったあなただけに、第二十章の話の一部をご紹介!


 メフィストフェレスのことを何も知らないと言うレックス、彼は命が尽き真相は闇に葬り去られる。


 しかし、この場にメフィストフェレスが現れ、続けて戦うことに!


 戦闘終了後、彼が目を覚ますと、デーヴィットはオルレアン軍の野営地にいた。


 そこでランスロットたちと再会を果たす!


 ガリア国の調査をすることになったデーヴィットたちは、ランスロットのことを知る人物と出会い、咄嗟に嘘を吐いてしまう。


 ランスロットは記憶喪失の設定にされてしまった。


 記憶喪失だということを知ると、ランスロットのことを知る人物は、婚約者のもとに彼を連れて行く!


 そしてランスロットの婚約者とレイラが修羅場モードに!


 こんな感じの内容になっています。


 ネタバレを防ぐために新キャラの名前は出していないので、もしかしたら読み難かったかもしれませんがご容赦ください。


 第一話は明日投稿予定です!

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