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☆第十八章あらすじ☆

 今回のワード解説


性感帯……身体のうち、刺激を与える事によって性的興奮と快感を得やすい部分を指す。


DT……童貞のこと。


プロピオン酸……カルボン酸の一種。消防法による第4類危険物 第2石油類に該当する 。 語源は「最初の脂肪酸」という意味で、油脂の加水分解により得られる脂肪酸のうち、最も炭素数の少ないものであったことによる。

 今回の内容は、フロレンティアからエトナ火山に向かう道中で、温泉に入ったところまでの話をこの手記に書こうと思う。


 宿屋が取れなかったこと皆に伝えると、ロザリーが自分の家に一泊していいと言ってくれた。


 俺は嬉しかったが、現実はそんなに甘くない。


 彼女は一人暮らしではなく、おばあさんと一緒に住んでいる。


 保護者の承諾を得なければ、泊めてもらうことは難しい。


 そのことをロザリーに告げると、彼女は問題ないと言ってきた。


 完全に安心することはできなかったが、ここはロザリーの好意に甘え、おばあさんに交渉してもらえるように頼んだ。


 彼女の家は、町から離れた場所にある日当たりの悪い場所にあった。


 周囲には他の家もあったが、どれも彼女の家よりも一回り小さく、ボロボロで隙間風が入りそうな印象だ。


 家の扉を開けると、台所で調理中のおばあさんにロザリーは帰ってきたことを伝え、俺たちを紹介してくれた。


 ロザリーが事情を説明すると、おばあさんは快く受け入れ、俺たちは彼女の家で一泊する。


 少ない食料を皆で分け、おばあさんから家の話を聞く。


 ロザリーの母親は亡くなっており、父親はガリア国の兵士となってお金を稼いでくれているとのことだ。


 その日の夜、俺はロザリーの父親が使っていた部屋のベッドで眠っていたが、ベッドの軋む音を聞いて目を覚ます。


 当時はレイラが侵入してきたと思っていた。


 彼女はキャメロット城にいたころ、俺を惚れさせようとして度々添い寝をしていたが、最近はほとんどない。


 添い寝をするぐらいなら追い返すのも面倒臭い。


 そう思い、俺は再び眠りに就こうとする。


 けれど、レイラと思っていた人物は俺の布団を剥がし、ズボンの縁に手をかけた。


 ちょっと!それはまずいって!こんなことが他の皆にバレたら半殺しにされる!


 しかも、なぜか俺だけが八つ当たりをされてしまうしまうのだ。


 事故でエミの胸を揉んだときも、俺は意識が朦朧とするところまで追い詰められた。


 さすがにあのようなことは二度と起きては欲しくない。


 驚きで脳が覚醒すると、ちょうど月光が差し込み、俺に馬乗りをしていた人物の容姿が見えた。


 なんと、俺に夜這いをしてきたのはレイラではなく、タマモだったのだ!


 いくらタマモがムッツリスケベでも、こんな大胆なことをしてくるとは思ってもいなかった。


 俺は状況が呑み込めずに頭が混乱していると、そんなことはお構いなしに、タマモがエロイ言葉を連発してくる。


 やったー!これでDTともおさらばできる!


 まぁ、そんなことにはならなかったけどね。


 話しを戻すが、まるで隠された本当の自分を見せているかのように思えたが、彼女の口が動いておらず、直接脳に語りかけていることに俺は気づく。


 この感じは精霊の声だ!


 精霊にタマモの身体が乗っ取られている。


 そう判断した俺は、彼女の身体を支配している人物に向けて何者なのかを尋ねた。


 だが、精霊は自分のやることに耐えることができれば教えるといい、俺の身体を舐め回す。


 タマモの身体であるが、精霊は慣れた手つきで俺の性感帯を攻撃してくる。


 いやん、ダメ―!


 え!そんなふざけかたはするな?


 気分が悪くなる?


 ごめん。


 また話しを戻そう。


 彼女の奉仕に俺の身体は次第に興奮していく。


 息が荒くなる中、俺はどうにか理性を保つ。


 精霊がメインディッシュといい、再び俺のズボンの縁に手を置いたときだ。


 部屋の扉が開かれ、レイラが入ってくる。


 彼女はタマモのことをドライアドと呼んだ。


 ドライアドはタマモが契約している精霊だ。


 つまり、彼女は自分が契約している精霊に身体を乗っ取られたということになる。


 けれど、精霊が契約者の身体を乗っ取るなんて話は聞いたことがない。


 あまりケースがなく、表舞台に出ることがないのかもしれないが、目の前で起きている以上は、現実を受け止めるしかない。


 レイラの乱入により、タマモが目を覚まそうとしているようで、ドライアドは彼女を解放した。


 だけど、これが最悪の事態に陥った。


 意識が戻ったタマモは、自分が裸体であることに気づき、何度も俺を足で蹴ってきた。


 事情を話して誤解を解こうとしても、彼女は俺に攻撃するのを止めないせいで、弁明することができない。


 そしてレイラが仲裁に入ってくれないせいで、俺は蹴られ続けて意識を失った。


 こんなことになるなら、ラッキースケベなんか全然嬉しくない!


 翌日、目を覚ますと俺は身体中が痛かった。


 この痛みで、昨夜のできごとは夢ではなかったことを知る。


 部屋を出ると廊下でアリスとロザリーと出くわし、軽く挨拶をして一階に降りる。


 一階にはタマモがおばあさんの手伝いでテーブルを拭いている姿が見え、俺は思い切って彼女に声をかけた。


 一応挨拶は返してくれたが、それ以上は話す気はないという態度を見せて、目を合わせてはくれない。


 関係が悪くなったことに俺は少し辛い気持ちになると、追い打ちをかけるようにドライアドが俺の脳に言葉を送る。


 困り果てていると、そこにウンディーネがドライアドを叱るが、彼女の言葉を気に入らなかったドライアドが文句を言い、精霊同士の口喧嘩に発展してしまう。


 ノームの提案で俺はタマモから離れ、二階に避難すると、レイラが部屋から出てきたのが見え、声をかけた。


 昨夜のことを話し、レイラがフォローをするということになったので、俺は顔を洗いに外に出る。


 外にある井戸には先客がいた。


 エミが顔を洗っていたが、俺に気づくと互いに挨拶を交わす。


 顔を洗うために井戸を覗き込むと底が深かった。


 底が深くて気になるから、飛び降りてみてとエミがむちゃ振りを言ってくると、俺はむりだと言ってノリツッコミを入れる。


 朝食を食べ終わるとお世話になったロザリーたちにお礼の品を送ることになり、俺たちは買い物に出かける。


 朝早かったが、食料品を扱う店は既に開いていた。


 タマモがお礼の品を選び、俺は会計役となる。


 配達が可能だったのでそれもお願いすると、俺たちは本来の目的である、エトナ火山の情報収集を始めた。


 この日までバザーは開催されていたので、会場に足を運び、各自情報を集めることを提案。


 それぞれ好きなところに向かい、情報収集をすることになった。


 買い物をしながら店員に話を聞くと、エトナ火山は危険レベルが一番低く、登山をするには問題ない環境だということを教えてもらう。


 先に進むなら今しかないと思った俺は、今日中にフロレンティアの町を出ることに決める。


 他の店でも話を聞こう考えていると、レイラがお店の商品を見ている姿が視界に入った。


 俺は後ろから声をかけると、彼女は驚き、焦った様子をみせる。


 後ろから声をかけられて驚く気持ちはわかるが、そんなに驚かなくてもいいのにな。

 

 何を見ていたのかを尋ねると、レイラの手にはネックレスが握られていた。


 リングの中央に、小さなサファイアの宝石が取りつけてある。


 レイラは前日から気になっていたようで、この日もつい見に来てしまったらしい。


 欲しそうにしている彼女を見て、俺はレイラにプレゼントすることにした。


 あのネックレスは、今もレイラの首にかけられている。


 ずっと大事にしてくれているようで、送ったほうも嬉しい。


 また何かの記念日にでも買ってあげようと思う。


 プレゼントをレイラに渡すと、お昼を知らせる鐘が鳴り、俺たちは待ち合わせ場所に向かった。


 合流地点に辿り着いた頃には既に皆が来ており、俺は数分の遅刻で怒られることになった。


 遅刻したのは悪かったと思っているけど、数分ぐらい許してくれてもいいのに。


 あのときは遅刻をしたが、基本的には待ち合わせ場所に早く着くようにしている。


 モモさんとのデートのときも、待ち合わせ時間の二十分前にはついていたからな。


 モモさん、今ごろどうしているのだろうか…………。


 って、なんてことを思い出させてくれる!


 お陰で失恋したあのときの記憶が蘇った!


 畜生!過去に戻る魔法があれば人生をやり直したい!


 まぁ、それはできないし、失恋をしなければレイラが村を襲うこともなく、皆とも出会えてはいなかったのかもしれない。


 その辺に関しては、感謝をしないといけないかな。


 そんな訳で、皆に怒られたあとにバザー会場を出て、お昼は何にしようかと話しているときだった。


 黒い鎧の男がビラを配っていた。


 俺はビラを受け取ると、中身を確認するが、込み上げてくる笑いを我慢するのに必死だった。


 なにせ、ビラは俺たちのことを書いてあったのだが、名前と顔が一致していない。


 俺は美少女に描かれてあったし、エミとカレンはオッサンになっていた。


 きっと伯爵が書いたのだろうが、エミの認識阻害の魔法の影響で、記憶に異常が起きていたようだ。


 まぁ、これだけデタラメだったら、俺たちの正体がバレることはないだろう。


 適当なお店に入り、昼食を待っている間に皆で情報交換をした。


 俺は火山の話をしたのだが、女性陣は皆温泉のことしか頭に入っておらず、温泉の話しか出てこない。


 カレンに関しては、温泉がメインで、魔王レックスの討伐がついでになっていた。


 温泉のついでに討伐される魔王、なんて哀れなんだ。


 温泉談議になっていると、ライリーが温泉に入ったことのあるおじいさんの話をした。


 彼女の話しでは、サルに認められれば温泉に入ることができるらしい。


 当時の俺は、サルに認められるという意味がよく分かっていなかった。


 頭の中で色々な妄想が頭の中を駆け巡り、サルと戦うシーンを想像してしまった。


 今も想像してみても、シュールな光景になりそうだ。


 ロザリーとおばあさんに別れの挨拶をすると、ロザリーが泣きながらこの町にいるようにアリスに言う。


 俺としてはそれでもよかった。


 これから向かう先は危険がいっぱいだ。


 ロザリーたちと一緒にいたほうが俺も安心できる。


 だけどアリスは俺たちと一緒にいることを選んだ。


 別れの挨拶を済ませ、俺たちはエトナ火山に向って行く。


 アリスは、最初は元気であったが、次第に寂しさが込み上げてきたのか、声を出さすに泣いてしまった。


 俺はどうにかして彼女に元気になってもらおうと、アリスを肩車して走り出した。


 なるべく気をつけていたつもりだったが、勢いをつけすぎて転んでしまい、顔面からダイブをしてしまう。


 運よくアリスにケガがなかったからよかったものの、俺の顔はすりむいて傷だらけになった。


 俺の顔が面白かったのか、アリスは笑ってくれた。


 実際どうだったのかはわからないが、あれでアリスが元気になったのなら、安い代償だ。


 フロレンティアを離れた翌日、俺たちは森の中にある崖沿いの斜面を歩いていると、カレンが俺にオナラをしなかったかと尋ねられる。


 彼女の言葉を聞いた瞬間、俺は心臓が止まる思いだった。


 音を出せば引かれると思ったので、こっそりすかしっぺをしたのだが、彼女にはバレてしまったのだ。


 俺は恥かしくなり、つい嘘を吐いてしまった。


 そんなとき、俺の鼻が臭い物質を吸引してしまい、臭さを感じる。


 くっさー!何だよこれ、俺のオナラってこんなに臭かったのか!


 昨日はちゃんと排便したっていうのに、こんなに臭い物質が残っていたのかよ!


 あまりの臭さに驚愕していると、この臭いはオナラではないことに気づく。


 どちらかと言うと、嘔吐のときに漂ってくる臭いだ。


 タマモが何者かがこちらに近づいてくることを伝えた。


 異常な腐敗臭を感じ、俺は接近しているのが魔物だと判断した。


 仲間たちに気をつけるように言うも、上手く指示を出せずにいる俺を見て、カレンが文句を言ってくる。


 普段は、彼女が少しキツイ言葉を言っても受け止めてやれていたのだが、今回に関しては別だった。


 彼女の言葉ひとつひとつに苛立ちを覚え、俺は語気を強めて反論してしまう。


 最終的にはレイラを除いたメンバーでお互いを罵りあった。


 口喧嘩しているとこの異臭の原因が姿を現す。


 デスライガーだ。


 詳しいことを書くと長くなってしまうので、簡単に書くが、デスライガーの体内から漏れ出るプロピオン酸という物質を吸収してしまうと、脳が上手く感情をコントロールすることができずに、イライラしてしまうのだ。


 相手がデスライガーなら分が悪い。


 俺たちは脱兎のごとくこの場から撤退した。


 皆で反省会をして対策を立て、もう一度挑む。


 カレンとタマモの風の魔法により、主導権を得ていたのだが、デスライガーの羽ばたく際に起きる風の力のほうが強く、俺まで手伝うことになった。


 風の主導権を奪い合う陣取り合戦のような展開になっていたが、一向に決着がつかないでいると、デスライガーは空高く羽ばたき、上空へと舞い上がる。


 嫌な予感がした俺は、皆にこの場から離れるように伝え、俺も逃げる。


 すると、デスライガーはゾンビと同じ消化効果のある液体を吐き出した。


 運が悪いことに、落下地点を通ってしまった蛇に辺り、標本のように骨だけとなった。


 仲間たちがバラバラにされ、固まって風の魔法を使うことができない。


 新たな策を考えていると、レイラが前に出て一人でデスライガーと戦い始める。


 戦いを見守っていると、レイラは何を血迷ったのか、自ら崖に飛び降りてしまった。


 プロピオン酸を吸ってしまった俺は、怒りの感情に支配され、レイラの救出よりも先にデスライガーを倒すことを優先した。


 氷の魔法で口を塞ぎ、光の壁を作ってデスライガーを封じ込める。


 これでレイラを探しに行けれる。


 そう思うと、ガスマスクをつけた人物が俺たちに駆け寄り、デスライガーを救うように言ってきた。


 彼の名はサム、モンスターテイマーであり、デスライガーの飼い主だ。


 だけどいくら何でもデスライガーはないでしょう!


 常にあの臭いを浴びることになるっていうのに!


 因みにこれは、サムさん自身から聞いた昔話だが、デスライガーは死にかけていたらしい。


 そこにたまたま通りかかったサムさんが、ケガの治療をすると懐いたという。


 彼はデスライガーを家に連れて帰ると、奥さんが激怒し、捨ててあった場所に返してきなさいと言ったそうだ。


 捨て犬や捨て猫じゃないんだぞ!


 もっと他にも言うことがあったんじゃないのか!


 奥さんに叱られ、サムさんはなくなく森で放し飼いをすることになったそうだ。


 彼の友達が遊びに来るときには、森の奥深いところで隠れるように言っていたらしい。


 雑談はこの辺にして話しを戻す。


 いきなり襲ってきておいて、デスライガーを助けろとは図々しい。


 そう思った俺は、感情の赴くままサムさんに暴言を吐く。


 そんな中、カレンやエミたちがサムさんのお願いを聞いてあげてほしいといい、レイラまで彼女たちのほうに加わった。


 突然現れたレイラに俺は驚かされた。


 だって、いきなり崖に飛び降りたんだよ!


 普通生きていても大けがをしているって!


 当時は驚いていたが、レイラは浮遊術が使える。


 それで軽いケガをした程度で済んだとのことだ。


 俺はどうして崖に飛び降りたのかを聞くと、レイラは俺がプレゼントしたネックレスを拾うために落ちたのだと答えた。


 一歩間違えれば大けがに発展するリスクの中、彼女は何の迷いもなく飛び込んだことに、少しだけテレのようなものを感じた。


 デスライガーを解放すると、サムさんはお礼に温泉に入らせてくれると言う。


 どうやらサルの試練とは、サムさんのことだったようだ。


 彼の家に案内してもらい、俺たちは温泉に入ることになるのだが、正直心から喜べなかった。


 温泉は混浴だったのだ。


 混浴ということはタマモとも入ることになる。


 そうなれば必然的にドライアドがちょっかいを出してくるのが目に見えていた。


 俺は部屋に入るとこのまま寝てしまおうとする。


 しかし、扉越しにレイラが声をかけてきた。


 どうせ温泉に誘いに来たのだろうと判断した俺は、寝たふりをした。


 すると、レイラが扉を開けて部屋に入り、俺を起こそうとする。


 本当は起きているのだが、寝たふりを続行してると、ふいに耳元に生暖かい風が来た。


 ビックリした俺は思わず飛び起きる。


 なんと、レイラが俺の耳元でフーフーしてきたのだ。


 レイラは予想どおりに俺を温泉に誘うが、俺は断る。


 ラッキースケベの代償が大きいものだと知っている俺は、理不尽な暴行を受けるぐらいなら、性欲を我慢したほうがマシだと判断したからだ。


 だが、俺はこのまま強制イベントに突入することになる。


 温泉に来なければ、エレクタイルディスファクションを発動させるとエミが言っていたと、レイラが言い出したのだ。


 男としての死を迎えるのであれば、理不尽な暴行にあったほうがマシ。


 俺は覚悟して混浴に挑んだ。


 脱衣所で服を脱ぎ、腰にタオルを巻いて温泉に入る。


 温泉は成分による影響で、白濁色でヌルヌルしていたが、不快な感じではなかった。


 しばらくすると女性陣が訪れ、温泉に入ってくる。


 皆身体にバスタオルを巻き、身体を隠していたのだが、遅れてきたタマモは全裸のままだった。


 彼女が入ってきた瞬間、俺はエミに頭を押さえつけられ、溺死させられそうになる。


 まさか、こんなに早く代償を支払うはめになるとは思わなかった。


 溺死しそうになるも、俺は温泉を楽しむことに全力を尽くす方向にシフトチェンジする。


 周囲の風景のみを見ていると、ドライアドに声をかけられる。


 彼女に問題を出され、今どこにいるのかを答えなければならなくなった。


 俺はどうせ目の前にいるのだろうと思い、そう答える。


 だが、彼女の回答は俺の首に腕を回し、身体を擦りつけていると言うのだ。


 俺は思わず声を上げる。


 しかし、これは彼女の嘘であった。


 そんなことをすればレイラにバレる。


 レイラは魔物であるために精霊の姿が見える。


 そのことをすっかり忘れてしまい、俺は取り乱してしまった。


 そんな中、ドライアドが更なる追い打ちをかける。


 俺のあれをこねくり回していると言い出したのだ。


 その言葉を聞いた瞬間、俺は変な妄想をしてしまい、更に声を上げる。


 何を妄想してしまったのかは、この際書かないことにする。


 あなたの想像に任せよう。


 ドライアドのせいで疲れた俺は、温泉から上がることにした。


 だが、思考がはっきりしない中、出口に向かったために、植木の枝が俺のタオルに引っかかり、外れたしまった。


 その瞬間、生まれたままの姿となり、カレンが風の魔法で俺の身体を空中に吹っ飛ばす。


 高所恐怖症の俺は、身動きが取れずにそのまま地面に落ちようとした。


 けれど地面にぶつかる衝撃も痛みもない。


 思い切って目を開けると、俺はレイラに抱きしめられ、胸を圧しつけられている状態だったのだ。


 空中に飛ばされた俺をレイラが助けてくれた。


 最後は少しだけいい想いをして温泉から出たのだが、ドライアドの言葉攻めはまだ終わってはいなかった。


 夕食はサムさんのキノコ料理だったのだが、俺がキノコを口に入れる度に、ドライアドが食欲を失くすような妄言を言ってくる。


 サムさんの料理は本当に美味しかった。


 けれどドライアドのせいで食欲がなくなってしまい、俺はサムさんに謝ると部屋に戻って眠りに就く。


 夜、扉のノック音で俺は目が覚める。


 こんな時間に訪れるなど、タマモの身体を支配したドライアドに違いない。


 警戒していたが、扉から聞こえてくる声はアリスだった。


 彼女は枕を抱えており、俺はどうしてここに来たのかと尋ねる。


 アリスはライリーと寝る約束をしていたのだが、実際に寝ると寝相の悪さに愛想を尽かしたらしい。


 仕方がないので、俺はベッドにアリスを招き入れ、一緒に眠ったのだった。

 今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。


 誤字脱字や文章的に可笑しな箇所などがありましたら、教えていただけると助かります。


 あらすじを最後まで読んでくださったあなただけに、第十九章の内容の一部をご紹介!


 エトナ火山の麓に辿り着いたデーヴィット達は、地下に通じる階段を見つけ、火山の中に侵入!


 その先は地下通路になっていたが、うっかり罠を発動させてしまい、皆と離れ離れに!


 一人になったデーヴィットは二人のレイラと出会う。


 本物はどっちだ!


 次々と敵の策略に嵌り、仲間を信じられない疑心暗鬼の状態になる仲間たち!


 皆は次々と現れる偽者を見破ることができるのか!


 そして、遂にセプテム大陸を支配する魔王がデーヴィットに立ち塞がる!


 こんな感じの内容になっています。


 第一話は明日投稿予定です。

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