第十八章 第五話 森のデスライガー、臭いにご用心
今回のワード解説
読む必要がない人は飛ばして本文のほうを呼んでください。
本文を読んで、これって何だったかな?と思ったときにでも確認していただければと思っています。
グリセロール……油脂の構成成分として生物界に多量に存在し、工業的にも重要な三価アルコール。
嫌気発酵……嫌気的発酵 ともいう。 生物 が,酸素のない 状態 で 有機化合物 から エネルギー を得る 代謝 。 アルコール発酵 ,乳酸 発酵 など。
周波数……工学、特に電気工学・電波工学や音響工学などにおいて、波動や振動が、単位時間当たりに繰り返される回数のことである。
消化酵素……消化に使われる酵素のことで、消化の後に栄養の吸収につながる 。分解される栄養素によって炭水化物分解酵素、タンパク質分解酵素、脂肪分解酵素などに分けられる 。生物が食物を分解するために産生するほかは、食品加工、胃腸薬、洗剤として使用される。また、海外ではサプリメントとしての利用も一般化している。
セルロース……分子式 (C6H10O5)n で表される炭水化物(多糖類)である。植物細胞の細胞壁および植物繊維の主成分で、天然の植物質の1/3を占め、地球上で最も多く存在する炭水化物である。繊維素とも呼ばれる 。自然状態においてはヘミセルロースやリグニンと結合して存在するが、綿はそのほとんどがセルロースである。
短鎖脂肪酸……脂肪酸の一部で、炭素数6以下のもので、具体的には酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸を指す。但し、乳酸、コハク酸は短鎖脂肪酸に含めないとする見解もある 。
大脳辺縁系……大脳の奥深くに存在する尾状核、被殻からなる大脳基底核の外側を取り巻くようにある。人間の脳で情動の表出、意欲、そして記憶や自律神経活動に関与している複数の構造物の総称である。生命維持や本能行動、情動行動に関与する。
鼻腔……鼻のあなの中。鼻孔から咽頭までの、空気の通路。内面は粘膜で覆われ、嗅覚器がある。吸気を暖め、またちりなどを防ぐ。
プロピオン酸……カルボン酸の一種。消防法による第4類危険物 第2石油類に該当する 。 語源は「最初の脂肪酸」という意味で、油脂の加水分解により得られる脂肪酸のうち、最も炭素数の少ないものであったことによる。
ヘミセルロース……植物 細胞壁に含まれる、セルロースを除く水に対して不溶性の多糖類の総称。
ホバリング飛行……空中で停止飛行をすること
マルトース……砂糖などに比べると甘さが低く、ブドウ糖に分解されないので腸で吸収されず、血糖値の急激な上昇を緩めてくれるので、糖尿病患者などの食事などに用いられている。水に溶けやすく、加熱による着色や結晶化がなく、デンプン質食品の老化を抑制する効果があることから、キャンディー、アイスクリームなどの菓子類や、佃煮などの加工食品などにも用いられている。また、麦芽糖の発酵作用が腸の運動を活発にし、便秘解消効果が期待できる。
モノアシルグリセロール……モノグリセリドともいう。グリセロールのモノ 脂肪酸エステル。脂肪酸の消化過程では、主に2位のヒドロキシル基が脂肪酸エステルになっているものが生成する。
ルーメン……自分自身の消化器官では消化することの出来ない繊維成分を、微生物の力を借りて消化するための器官です。
揚力……流体(液体や気体)中を移動する物体もしくは流れにさらされた物体にはたらく力のうち、物体の進行方向や流れが物体に向かう方向に対して垂直に働く力であり、流体力の成分である。
物体と流体に相対速度があるときに発生する力(動的揚力)のみを指し、物体が静止していてもはたらく力である浮力(静的揚力)は含まない。
エトナ火山に向けて歩きながら、俺は今までの情報を頭の中で整理していた。
セプテム大陸の魔王は、火山の麓に住んでいるという。
ということは、もしかしたらこの森を抜けた先に、魔王の住む建物があると考えていいだろう。
でも、その前にカレンたちが望む温泉を見つけないといけない。
そのヒントになるのは、サルに認められることだが、これはいったい何を表しているのだろうか。
サルと言っても生き物とは限らない。
銅像や彫刻といった物体を表すことだってあるだろう。
もう少し、ライリーが詳しく聞いてくれたのなら、推理をしやすかった。
だけど過ぎたことを悔やんでも意味がない。
今ある情報だけで温泉を見つけなければ。
歩いていると風が吹き抜け、枯れ葉が宙を舞う。
「ねぇ、デーヴィット。今オナラした?」
歩きながら考え事をしていると、カレンが唐突に尋ねてきた。
「いや、してないよ。何でそんなことを聞くんだ?」
「何か臭わない?」
カレンが何かの匂いを感知したことを言うと、俺も鼻で呼吸をして周囲の匂いを嗅ぐ。
確かにあまり好ましくない臭いが周囲に漂っていた。
「もしかしたらゾンビ系の魔物がいるかもしれない。皆気をつけてくれ」
敵が接近しているかもしれない。
そう判断した俺は、皆に注意を促す。
「ここからおよそ百メートル離れた場所から足音が聞こえます」
タマモが進行方向を指差しながら、何者かの足音が聞こえることを告げる。
彼女は人間よりも大きい耳を持ったエルフだ。
人間よりも聞こえてくる周波数が異なり、遠くから発せられる音を拾うことができる。
今歩いている場所は切り立った崖の斜面の上だ。
幅が広く、人が三人は並んで歩くことができる。
だが、ここでの戦闘は環境的には好ましくない。
一歩間違えれば、足を踏み外して崖下に落ちることだってあるだろう。
どうするか考えていると、次第に臭いが強くなっていく。
「こちらに近づいています。そろそろワタクシたちのほうからでも視認できる距離です」
敵が近づいていることをタマモが教えるが、俺は焦りからなのか、上手く頭が働かない。
そのせいでイライラしてきた。
可笑しい。
今まですぐにものごとを判断しなければならない局面は何度もあったはずだが、こんなにイライラすることは今までなかった。
「デーヴィットどうするのよ。早く判断してよ!」
いつもよりも強い口調で、カレンが早く決断するように言ってくる。
「わかっている!お前は黙っていろ!」
早く盤面を見極めて指示を出さないといけないというのに、俺はイライラが収まらずにカレンに強く当たってしまう。
「はぁー!何その言い方!私はこのままでは皆が危険に晒されるから言っただけよ!」
俺の言いかたが気に障ったようで、カレンは荒々しい口調で反論してくる。
「二人とも喧嘩は止めるのです!」
口喧嘩を仲裁しようとアリスが声を上げるが、普段とは違い、彼女のその行動に対してイライラしてきた。
「アリスは口だししないでくれ!」
自分でもわからない。
普段であれば彼女の言葉を聞くと喧嘩を止めてしまうのに、今回に関しては突き放すような言い方をしてしまった。
「ちょっとデーヴィット!アリスちゃんに向ってなんてことを言うのよ!」
アリスに対しての扱いが酷く、エミまでもが喧嘩腰になる。
「いい加減にしてください!」
「喧嘩は止めろ!」
タマモとライリーが仲裁に入る。
しかし、それは火に油を注ぐようなものだった。
辛うじて理性を保ち、手を上げることはなかったが、レイラを除いたメンバーで口論をするはめになった。
「喧嘩している場合ではないぞ。敵が余たちに気づいてしまった」
レイラの声に反応して崖の上を見ると、そこには体長六メートルの四足歩行の生き物がいた。
顔はライオン、身体が虎であるライガーに翼が生えているが、その肉体の半分は腐っており、骨が剥き出しになっている。
「デスライガー!」
先の道を塞いでいる魔物の名を口にし、今起きている仲違いの原因を理解する。
これはすべてあいつの放つ悪臭が原因だ。
デスライガーの悪臭の正体は体内にあるプロピオン酸が原因だ。
哺乳類の大腸やルーメンでは、細菌が食べ物の中のセルロースやヘミセルロースを嫌気発酵し、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を生成。
体内では重要なエネルギーとなっている。
しかし、プロピオン酸は酸味のある腐敗や嘔吐物の臭いが特徴であり、デスライガーの場合は口や鼻、耳や肛門などの穴から常にその臭いが漏れ出ている。
その臭いの元となる物質を鼻から吸い込むことによって、大脳辺縁系へと情報が直接届けられ、刺激を受けると今の俺たちのように苛立ちが募る状態に陥ってしまう。
やつはこの臭いを嗅いだ得物が騒ぐのを察知し、近づいてさらにイライラさせる。
そして疲れさせて動きが鈍くなったところを捕食するのだ。
デスライガーはゆっくりと近づく。
酷い悪臭を鼻腔から吸引し、吐き気も覚える。
このままではまずい。
「撤退!急いで逃げるぞ!」
俺は皆に引き返すように告げる。
「判断が遅いのよ。ノロマ」
後退しながらもカレンが悪態を吐いてきた。
反射的に暴言を吐きそうになったが、原因が魔物であることを理解した俺はグッと我慢する。
敵から距離を空け、悪臭が感じなくなると、さっきまでのイライラが嘘のように消え去っていく。
「デーヴィットさっきは酷いことを言ってごめん。私そんなつもりで言ったんじゃないけど、気がついたら酷いことを言っていた」
カレンが頭を下げ、俺に謝り出す。
「いや、俺のほうこそ早く判断できなかった。謝るのは俺のほうだ。皆ごめん」
仲間たちに迷惑をかけたという実感があった俺は、彼女たちに謝罪の言葉を述べる。
「でも何でかしら?急にイライラしてきたのよ。あたしは普段、デーヴィットを見ても怒りの感情が湧いてこないのだけど、さっきはあなたの顔を見ただけで、顔面を殴りたい衝動に駆られてしまったわ」
頭の中に浮かんだ疑問をエミは言う。
「それはあの魔物から発せられる悪臭が原因だ」
俺は彼女たちにデスライガーの説明をする。
「デスライガーと遭遇すると仲間割れが起きるという話は有名だったのですが、まさかそのようなことが体内で起きているとは知りませんでした」
「でも、あたいたちが口喧嘩をしている最中も、レイラだけは普段と変わっていなかったよな」
「余は魔王であるぞ、あのようなことが起きても余は平気である」
説明に説得力がないが、きっと彼女には何かしらの耐性があるのだろう。
ここで休息を取っていても、デスライガーが近づいたことを知らせる悪臭が臭ってこない。
どうやらやつは、引き返して行ったようだ。
追ってこないところを見ると、縄張りに入ってきた者だけを狙っていると考えられる。
しかし、再びあの場所に近づけばさっきと同じことを繰り返すだけ。
何か対策を考えなければ。
「あの臭いをどうにかしないと先に進めないわね」
エミが腕を組み、目を閉じて何かを考えているようなポーズを取る。
「鼻を摘まむとかはどうなのです?」
「確かに呼吸なら口ですればいいものね。さすがアリスちゃん」
アリスが思いついたことを口に出す。
「考えてくれたアリスには悪いけれど、指で鼻を摘まんだ程度では鼻腔に隙間が生まれる。それでは意味がない」
「うーん難しいのです」
ダメだしをすると、アリスはエミの真似をして両腕を組んだ。
「手がダメならティッシュとかを丸めて鼻に詰めて見たらどうでしょう」
「まぁ、詰め物なら隙間なく鼻腔に敷き詰めれば、もしかしたらいけるかもしれない」
可能性のひとつとして、タマモの意見は悪くない。
鼻で匂い物質を遮断することができれば、脳に届くことはない。
「なら、試してみましょうよ」
カレンがアイテムボックスからティッシュ箱を取り出す。
その瞬間、ライリーが俺の背後に回ると脇に腕を通して拘束してきた。
「ちょっと待て、まさか」
「そのまさかだよ。あたいが動きを止めている間に実験をしようじゃないか。被験者はデーヴィットだ」
「待って、ここは公平にジャンケンだろう」
「エミ、レイラ、デーヴィットの足を掴んで」
カレンが二人に指示を出すと、エミとカレンは俺の足を片方ずつ掴んでしがみついてきた。
動きに制限がかかり、俺は抵抗することができない。
箱からティッシュを数枚取り出すと、カレンは丸めて俺の鼻の穴に突っ込んできた。
両方の鼻腔が塞がれ、彼女たちは俺から離れる。
「どう?何も臭わない?」
首を傾げながらカレンが聞くと、俺の鼻腔がムズムズしだす。
「ハックション!」
鼻腔の粘膜が刺激されたことで、異物が侵入してきたと身体が勘違いを起こしたようだ。
異物を外に追い出そう鼻からクシャミが出る。
「だめだ。防衛本能が働いてクシャミが出てしまう」
「詰め物もダメのようですね」
発想は悪くなかったのだが、他の方法を考えなければならなくなった。
思考を巡らせていると、風が吹いてレイラたちの髪が靡く。
「そうか風か!」
匂いというのは小さな物質だ。
空気中に漂う物質が、鼻腔を通して脳にその情報を届けられることによって、人は匂いを感じることができる。
デスライガーの体内から発せられるプロピオン酸を吸引しなければ、イライラが誘発されることはない。
風を発生させることで、プロピオン酸の接近を防げば、仲違いをすることはなくなるはずだ。
俺は頭の中で考えた作戦を皆に告げる。
「なるほど、匂い物質は空中に浮遊する以上は、風が吹けば確かに移動せざるを得ないわね」
「となると、風を発生させるのは私とデーヴィットの役ね」
「そのことですが、ワタクシも風の精霊とは契約しております」
「そういえば、タマちゃんはシルフという精霊と契約していたのです」
タマモが風の精霊と契約していたのは初耳だ。
レイラはドライアドのことしか言っていなかったから、契約精霊は一体だけだと勝手に判断していた。
「風の魔法はふたりに頼めるか?俺は他の状況を見て、魔法を使っていきたい」
「任せて」
「承知いたしました」
「臭いはそれで防げるかもしれないが、攻撃手段はどうするんだい?遠距離攻撃となると、あたいは戦力外になっちまう」
ライリーが自身の頬を掻きながら尋ねる。
デスライガーは接近戦が非常に危険な魔物だ。
もちろん、不快に感じる匂い物質を充満させるのもあるが、それ以外の脅威となり得る箇所がある。
それはやつが口から吐き出す消化液だ。
ゾンビが体内で生成するものと同じで、唾液、胃液、胆汁、膵液、腸液の消化効果があり、人が触れると消化酵素により、肉体のたんぱく質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸、グリセロール、モノアシルグリセロールへと分解。
臓器の炭水化物はマルトースに分解され、低分子に分解されると骨を残して溶けてしまう。
しかも翼はボロボロのはずなのに、羽ばたいた際に生じる揚力で浮上をする。
空中に浮遊をされれば、接近戦では攻撃の手段がなくなってしまうのだ。
「ライリー、君には手持ち無沙汰になってしまうが、後方支援を頼みたい。何かが起きたときは回復魔法を頼む」
「了解した。暴れることができないのは残念だが、回復も大切な役割だからな」
俺たちは作戦を立て、再度先ほどの道を歩く。
すると、かすかにデスライガーの放つ臭いを感じた。
歩みを進めるたびに強さを増していく。
「さっきと同じ足音が聞こえます。デスライガーが近づいてきています」
崖の斜面を歩き、皆で口喧嘩をした付近に辿り着くと、タマモが敵の接近を報告した。
そろそろ魔法を発動させる頃合いだろう。
「カレン、タマモ、頼む」
「「了解」」
二人に指示を出すと彼女たちは一斉に魔法の詠唱を始める。
「呪いを用いて我が契約せしシルフに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよウィンド」
「呪いを用いて我が契約せしナズナに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよウィンド」
タマモとカレンが魔法を発動させると、周囲の気圧に変化が起こった。
俺たちの周辺にある空気の密度が重くなり、進行方向の空気の密度が軽くなる。
すると、気圧に差が生まれ、気圧の高いほうから低いほうへ空気が押し出されて動いたことにより、風が吹き出す。
これにより、風上にいる俺たちには、プロピオン酸が体内に入ることはないはず。
「二人はそのまま進行方向に風を送り続けてくれ」
「了解」
「わかりました」
彼女たちの活躍により、不快に思うような臭いを感じることはなくなった。
斜面を歩き、崖の上に到達する。
すると、頂上に辿り着くと同時にデスライガーが姿を現す。
やつは俺たちを見るなり咆哮を上げた。
空気の振動が俺に伝わり、肌がピリピリとする感覚を覚える。
咆えたデスライガーは羽ばたき、ホバリング飛行を始めると、異臭を感じてしまう。
まずい。
やつが羽ばたいたことで、この場の気圧が更に変化したようだ。
二人の生み出した風よりも、相手の飛行の際に生じる空気の密度が重く、空気の流れが変わって俺たちのほうに臭い物質が飛んでくる。
「呪いを用いて我が契約せしケツァルコアトルに命じる。その力の一部を我に貸し、言霊により我の発するものを実現せよウィンド」
俺も加わり、三人でこちら側の空気の密度を上げる。
再び風の流れが代わり、俺たちは風上を作り上げることに成功した。
三人がかりでやっとの状況だ。
もし、タマモがシルフと契約していなければ、この作戦すら失敗に終わっていた。
風の流れが変わったことを察知したのか、デスライガーはホバリング飛行から前に進むための飛行へとシフトチェンジして、翼の動かし方を変える。
上向きに得る揚力を前進されるための力に変え、デスライガーは俺たちの背後に回ろうとしてくる。
「デスライガーの動きに合わせて風の流れを変える。俺の動きに合わせてくれ」
やつの狙いが風上を得ることだと判断した俺は、二人に指示を出して優位を取り続けるように試みる。
お互いに空気の密度の奪い合いを繰り返す。
これではまるで陣取り合戦だ。
状況が拮抗していると、デスライガーは俺たちの周辺を飛行するのを止め、上空に舞い上がる。
「まずい、散開しろ!」
俺の脳内に、複数の行動パターンが予測された。
その中でも一番最悪のパターンを予測し、敵の攻撃が放たれる前にここから離れるように全員に告げる。
彼女たちは誰も疑問に思うことなく、それぞれが判断して離れて行った。
地を蹴って可能な限りに離れると、後方からジュウと何かが溶ける音が聞こえ、俺は振り返る。
俺たちが固まっていた場所には、デスライガーの消化液が落とされ、逃げ切ることのできなかった被害者が骨だけになっていた。
長い背骨にたくさんの肋骨、小さい頭蓋骨を見る限り、犠牲になったのは蛇だろう。
たまたま通りかかっただけなのに、一瞬で命が散らされる。
ゾンビのときにも感じたが、本当に脅威だ。
これで俺たちは分散され、風の主導権を手放すことになる。
もう一度固まることも可能だろうが、再び消化液を吐き出されることになるだろう。
デスライガーの知能が高すぎる。
まるで誰かに指示を出されているかのようだ。
次の手を考える必要がある。
しかしこのような展開になるなど予想していなかった俺は、上手く頭を働かせることができないでいた。
もしかしたら微量のプロピオン酸を体内に摂取したのかもしれない。
焦りから鼓動が早くなるのを感じる。
右手で額を抑え、攻略方を考えていると、レイラがデスライガーの真下に移動をした。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字や文章的に可笑しな箇所などがありましたら、教えていただけると助かります。
ついにユニーク数が五千を越えました!
これも毎日読んでくださっているあなたのお陰です。
本当にありがとうございます。
この調子で少しでも多くの人に読んでもらえるように頑張っていきます。
明日も投稿予定なので、楽しみにしていただけたら幸いです。




