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☆第十七章あらすじ☆

 今回手記に書く内容は、フロレンティアの町でとある少女と出会ったまでの記録をここに記す。


 レイラとライリーと合流した俺たちは、地下の階段を上って地上に出た。


 周辺はすっかり焼け野原のようになり、ところどころに燃え残った家具などが落ちている。


 まさか自分の家まで焼くとは思わなかった。


 それほどまでして、彼が行っていたことを世間に知られたくはなかったのだろうか。


 バレるのが嫌なら、最初から犯罪に走らなければいいのに!


 エルフの森に帰ろうとすると、伯爵邸で働いていたメイド長さんが俺たちのところに来て、エミに紙袋を渡した。


 中身は本当に分からなかったが、多分エミがメイド服を着ていたことを考えて、彼女の着替えだったのだろう。


 俺はメイド長にこれからどうするのかを尋ねると、彼女は再就職先を探すと言う。


 伯爵に逃げられて仕事を失ったメイド長に、俺は同情してしまい、彼女を王都オルレアンで働けるように紹介状を書いて渡した。


 俺の行為にメイド長は泣きながら感謝の言葉を言ってくれたが、エミからはあんまり人に優しくしすぎるのはよくないと告げられる。


 困った人がいたら、手を差し伸べるのが人としての在り方だと思うのだが。


 エルフの里に帰ると、俺たちは伯爵からエルフたちを救った救世主として歓迎されるようになった。


 エルフたちが祝福してくれるが、俺は素直に喜べない。


 解放という言う意味では確かに救ったのかもしれない。


 だけど、本当の意味で捉えられたエルフを助けたわけではないのだ。


 解放しただけで救ったわけではない。


 そんな気持ちが俺の心に影を落とした。


 その日の夜、宴会が行われた。


 タマモの神楽舞を見て、美味しい酒と料理を堪能していると、レイラが酔っ払って俺に抱き着く。


 彼女は酒を、水などで割らずにロックのまま五杯も飲んだとのこと。


 レイラが泥酔するまで飲むのは珍しい。


 俺はカレンに水を持ってきてもらうようにお願いをした。


 水が来るまでに、俺は酔っぱらうまで酒を飲んだ理由をレイラに尋ねる。


 どうやら俺たちが伯爵邸に侵入していたときに、レイラは精霊使いのおじいさんと戦っていたが、そのときに契約していた精霊を消滅させてしまったとのことだ。


 彼女の言葉を聞き、俺は胸が痛くなる。


 俺は精霊と人間の間に生まれた男だ。


 特殊な体質により、精霊の痛みを感じ取ることができる。


 俺は、仲間が支えになってくれるから安心するように伝えると、彼女はそのまま眠りに就いた。


 眠ったレイラを背負い、俺は客間で彼女を寝かせる。


 寝顔を堪能し、そろそろ会場に戻ろうとすると、エルフの男が部屋の中に入ってきた。


 彼は俺がデーヴィット本人であるかを尋ねる。


 俺は肯定すると、彼は自己紹介をしてくれた。


 男の名前はフォックス、タマモの父親だ。


 彼は俺とタマモの約束を話題に出すと、ジロジロと見てくる。


 当時はエトナ火山の麓に住む魔王レックスと、対等に戦える身体つきをしているのかをチェックしているのだろうと思った。


 しかし実際は違った。


 彼は俺がエルフ族の問題を解決したのは、タマモと結婚をするためだと勘違いをしていたのだ。


 すぐに否定し、俺とタマモが交わした約束をフォックスさんに伝える。


 詳しい話は明日ということになり、宴会会場に戻ってフォックスさんと酒を酌み交わす。


 彼は俺のことを気に入ったようで、タマモの良いところをアピールしてきた。


 彼女の尻を褒めるというセクハラを交えたアピール。


 しかし、俺は尻よりも胸のほうに重きをおく。


 タマモの胸は、俺の好みの胸の大きさよりも小さい。


 もちろん女の価値は胸ではない。


 まぁ、このときは酔っぱらったフォックスさんの戯言だと考えていた。


 翌日、俺は二日酔いをした状態で目を覚ました。


 どうやら俺は昼まで眠っていたらしい。


 頭がガンガンと痛み、若干の気怠さを覚える。


 様子を見に来たタマモの案内で食堂に向かい、仲間たちと一緒に昼食を食べた。


 レイラは昨夜俺が背負って寝かせたのが夢に出て来ていたようで、幸せそうな顔をしていた。


 俺が夢に出たぐらいであんな顔をするとは、正直嬉しくもあり、恥ずかしさもある。


 昼食を食べ終わると、俺は仲間たちを引き連れてフォックスさんの部屋を尋ねる。


 部屋を訪れると、彼から魔王の情報を教えてもらい、エトナ火山が目的地だということがわかった。


 話が一段落すると、フォックスさんは案内ついでに、タマモを仲間に加えてほしいとお願いしてくる。


 どうやらタマモが婿をもらわない限りは、彼女が長になるらしく、エルフ族の長になるためには一度冒険の旅に出る必要があるとのことだ。


 俺は仲間たちに聞いてみる。


 ほとんどが賛成する中、レイラだけが反対してきた。


 タマモ自身には不満はないが、彼女の契約している精霊のドライアドに不満があるとのことだった。


 ドライアドにはふたつの象徴がある。


 植物と魅了だ。


 ドライアドの伝説では、気に入った男を拉致監禁して死ぬまで森に拘束するというものがある。


 レイラは人間だったころ魅了(チャーム)の魔法を使っていた。


 その観点から心配しているのだろう。


 しかしタマモはどうしてドライアドがダメなのか、その理由がわからないようで首を傾げる。


 タマモはドライアドの力は、植物を操る能力しかないと思い込んでいるようだ。


 これならもう一つの力が発動することはない。


 心配が杞憂であることを知り、レイラの承諾も得てタマモが仲間になった。


 フォックスさんの部屋を出たとき、レイラが誰にも聞かれない場所で二人きりになりたいと言ってきた。


 俺は屋敷の裏庭にある地下空間にレイラを案内し、そこで彼女の話しを聞く。


 彼女の言ったことは衝撃的すぎた。


 なんと、タマモが契約しているドライアドは、レイラが人間だったころに契約をしていたドライアドだったのだ。


 いくらタマモが植物を操る能力しかないと思い込んでいても、何らかの拍子に力が発動するかもしれない。


 そのことを肝に命じて一応気をつけることになった。


 だけど、まさかタマモの意思が関係なく、ドライアドが行動に移すとは、このときの俺は想像すらしていなかった。


 出立の日、俺たちはエトナ火山に向かう前に、火山の状態を知るためにフロレンティアに向かうことになる。


 四日かけてフロレンティアに辿り着くと、この町ではバザーが開かれていた。


 俺は先に宿を探すことにして、女性陣はバザーを見に行く。


 町の人に話を聞いて宿屋の場所を教えてもらうが、バザーの影響で満室となっていた。


 仕方がないので俺もバザーを見て回ることにすると、タマモを発見。


 彼女は猫耳カチューシャを見ていた。


 俺は彼女に声をかけると、何も言っていないのにも関わらず、タマモはアリスが使えば似合うのではないのかと言ってきた。


 あとから知ったことなのだが、彼女には獣人族に憧れがあるらしい。


 その気持ちはわかる。


 ふわふわの尻尾、触り心地の良さそうな耳、欲望のままにモフモフしてみたい!


 アリスへのプレゼントという名目でカチューシャのセットを購入。


 俺たちはアリスを探す。


 しばらくするとエミと一緒に手を繋いでいるアリスを発見し、二人に声をかける。


 カチューシャをアリスに渡し、直射日光の当たらない場所に移動して彼女に嵌めてもらう。


 言うまでもなく、彼女はとても似合っていた。


 全世界を探しても、こんなに似合う子はいないだろう。


 エミとタマモはそれぞれアリスを褒め、感想を口にするが、タマモがエモいとエロイを聞き間違えてしまい、喧嘩に発展してしまった。


 まぁ、一文字違いだし、聞き間違いをするときはするだろう。


 ほとんどの人が知っていると思うが、エモいはエモーショナルの略語で、心が揺れ動かされたときに使う言葉だ。


 口喧嘩を始める二人を止めようとするが、俺では収拾がつかない。

 

 そこでアリスの力を借りることにする。


 彼女に仲裁してもらえるようにお願いし、俺は事の顛末を見守った。


 アリスは二人が喧嘩をしないように懇願すると、エミたちは喧嘩を止める。


 それほどにまで彼女の仲裁は破壊力があった。


 色々と慌ただしかったが、問題が解決して次にカレンを探すことにする。


 エミの話だと、靴を見に行っているとのことだ。


 カレンには新しい靴を買ってあげると約束をしてある。


 もしほしいのが見つかれば買ってあげるとしよう。


 探していると、ふたつの靴を見比べているカレンの姿を発見する。


 彼女に声をかけると、どっちが似合いそうなのかを問われた。


 俺はカップルが買い物に行く際に、一度は起きるであろうシチュエーションに立たされた。


 この問いは非常に難問だ。


 不正解を選べば当然怒らせることになるし、正解を選んでも時と場合によっては機嫌を悪くさせる。


 だが、これを切り抜くための知識は俺にはあった。


 昔読んだことのある恋愛の基本買い物編に書かれてあった内容を思い出し、俺は上手いところカレンの考えを探り、正解へと導くことができた。


 あのときは本当に変な緊張感があった。


 まるで魔物と戦っているかのように感じたのだ。


 あ、カレンが魔物のように怖いっていう意味じゃないからね!


 カレンの買い物を済ませ、俺たちはまだ合流できていないライリーとレイラを探す。


 ライリーは武器や酒関係のブースにいるのではないかという話になり、その辺りを重点的に探すことにした。


 歩いているとカード勝負をしているレイラを見つけた。


 しかし、何かトラブルが起きたらしく、対戦相手の男が文句を言う。


 険悪なムードになりつつある中、俺はレイラに近づいて話を聞く。


 すると彼女に代わり、バニーガールの姿をしたライリーが説明をしてくれた。


 どうやらこの町に住む女の子が、事故で酒の入っている瓶を壊し、弁償できないなら身体で払ってもらうと男が言ってきたらしい。


 その現場を見たライリーが間に入り、交渉をするとポーカー勝負で勝てば特別に許すことになったとのことだ。


 だが、ライリーはカード勝負に負けた。


 男が用意したカードには仕かけがあり、イカサマをしていたのだ。


 女の子の代わりにライリーは自分を犠牲にする覚悟だったのらしいが、それは男のほうが拒否をしたとのこと。


 熟した果実は食べない主義らしい。


 って!ロリコンかよ!


 どうして伯爵といい、ガルムといい、この男といい、最近俺が関わる男は変態しかいないんだよ!


 え!類友だって!


 そんな訳があるか!俺をあいつらと一緒にしないでくれ!


 話を戻そう。


 負けたライリーに代わり、レイラが勝負をすることになったが、彼女はイカサマのトリックを見破り、証拠を衝きつけると新しいカードを用意する。


 そしてレイラは連勝したが、男は負けを認めたがらなかった。


 面倒臭い男と関わってしまった。


 そう思った俺は、早くこの問題を解決させるために、父さんから貰った金塊のひとつを男に渡した。


 問題は解決し、女の子は助かる。


 彼女の名前はロザリー、家が貧しく、おばあさんと二人暮らしだということを教えてもらう。


 彼女の着ているボロボロの服を見て同情した俺は、アリスにお金を渡してロザリーと一緒に買い物に行ってもらうことにした。


 アリスの初めてのお使い。


 俺たちは距離を取りながら買い物の様子を窺う。


 そんなとき、エミが先ほどのロリコン男の話をしてきた。


 実はロリコンと言っても診療医学の観点から見れば、とてもシビアなのだ。


 ロリコンはペドフィリアとも呼ばれ、恋愛対象が十三歳以下で、性行為をしてしまう男のことを言う。


 もし、この手記を読んでいるあなたが男で、ロリコンだという自覚があったとしても、十三歳以下の女の子と性行為をしない限りは、真のロリコンとして認められない。


 つまり、社会的にロリコンは病気だと言われるが、医学界からすれば性行為をしない限り病気とは言えないのだ。


 ロリコン談議をしている間に、アリスたちは買う服を決めて支払いをしようとしていたが、トラブルが起きた。


 彼女たちの恰好を見て、おばちゃん店員が盗んだお金ではないかと疑ったのだ。


 俺はアリスたちのところに向かい、事情を話すと、おばちゃんは勘違いをしていたことを自覚し、お詫びとして安く購入させてもらった。


 買い物を済ませると夕方を知らせる鐘が鳴り、ロザリーとお別れすることになる。


 このとき、俺はすっかり忘れていた。


 宿屋が満室で部屋を確保できなかったことを。

 今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。


 誤字脱字や文章的に可笑しな箇所などがありましたら、教えていただけると助かります。


 第十七章のあらすじを読んでくださったあなただけに、第十八章の内容の一部をご紹介!


 宿屋に泊まることができなかったデーヴィットたちは、ロザリーの好意で家に泊めてもらうことになった。


 その日の夜、デーヴィットが目を覚ますと目の前に全裸になったタマモが!彼女は夜這いまがいなことをしてデーヴィットの身体を弄ぶ!


 いったい彼女に何が起きたのか!


 伯爵によりデーヴィットたちはお尋ね者となって手配書が配られた。


 今後の彼らの冒険に障がいが起きる?


 エトナ火山に向かう最中デーヴィットたちの前にデスライガーという魔物が現れる。


 やつの放出される匂いを嗅いでしまったデーヴィットたちはお互いに不満をぶつけ合い、仲間割れを始めてしまった!


 彼らの関係にヒビが入ってしまうのか!


 そして、デスライガー騒動のあと、デーヴィットは女性陣と混浴をすることになるがまたしてもトラブル発生!


 こんな感じの内容になっています。


 魔王戦の前の嵐の静けさという訳ではないですが、肌色成分多めの章になっています。


 第一話は明日投稿予定です。

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