☆第十六章あらすじ☆
今回のワード解説
DT……童貞のこと。
勃起不全……勃起不全……男性の性機能障害の一種であり、陰茎の勃起の発現あるいは維持ができないため、満足に性交 の行えない状態をいう。
ついに来てしまった。
ついにこの日が来てしまった。
書きたくない、書きたくない、書きたくない。
だけど書かなければならない。
よし、ここは男らしく腹を括って手記の執筆をしよう。
これからこのページに書く内容は、伯爵邸に突撃し、伯爵を倒したころの話だ。
俺とカレンは伯爵邸に侵入したエミが戻ってくるのを待っていた。
何度も屋敷の周囲をぐるぐると周り、その度に見張り役の男に声をかけられる。
そんな中、空からお宝が俺の頭に振ってきた。
それは性に目覚めた男なら誰もが一度は手にしているエッチな本だ。
しかも三冊。
当然内容も覚えている。
貧乳、巨乳、異種族ものの三冊だ。
俺は下心満載のまま、お宝本を拾うとすぐに隣にいたカレンに取られてしまった。
俺のお宝に何をする!返せ!
心の中で叫ぶに止めていると、カレンがゴミを見るような目で俺のことを見る。
彼女はやましい気持ちで拾ったのではないのかと言い出した。
そう、正解だ!さすがカレン、俺のことをよく分かっている。
だが正直に答える訳にもいかず、俺は咄嗟に嘘を吐く。
すると、カレンはこの本を処分してもいいだろうと言ってきた。
処分って!そんなことしていいわけがないだろうが!
しかし、そんなことが言えない俺は、更に嘘を重ねて処分をしても構わないことを告げる。
本当は目に一杯の涙を溜めて、それだけは勘弁してくれと言いたかった。
そんなとき、カレンが希望の光を与えてくれた。
正直に答えれば、三冊のお宝本を俺にくれるというのだ。
俺はすぐさま答えた。
正直に中身が気になっており、一度ぐらいは見てみたいと。
しかし、正直に答えたはずなのに、カレンはダストデビルを使って三冊のお宝本を遠くに飛ばしてしまう。
カムバック!俺のお宝本!
カレン!正直に答えたら返してくれるって嘘じゃないか!何か気が変わっただよ!最初から渡す気がなかったじゃないか!
俺は怒りと悲しみで心の叫び声を上げた。
この手記を読んでくれているあなたが男性なら、俺の気持ちが分かってくれるだろう。
女性だった場合はゴミを見るような目をしながらこの手記を持ち、今にも投げ捨てようとしている光景が目に浮かぶ。
頼むから捨てないでくれよ!大事な記録なんだから!
思い出しただけで涙が出てくる。
本当にどんな内容だったのだろうか。
ものすごく気になる。
お宝本の騒動が終わると、エミが俺たちのところに戻ってきた。
しかも、今にでも「お帰りなさいませご主人様」と言ってきそうな恰好でだ。
屋敷の中で何が起きたのかはわからないが、彼女はメイド服を着ていた。
人には聞かれたくない事情のひとつやふたつはあるものだ。
俺は服装に関してスルーし、エミから話を聞く。
すると、伯爵の目的がエルフを使った人身売買だと知り、驚愕する。
しかも普通の人身売買ではなく、エルフの女性を性奴隷として育て上げてからだ。
何とも羨ましい。
いったいいくらで売っているんだ!俺の所持金で買える金額ならぜひ購入させてほしい。
そしたらⅮTともおさらばだ!
とまぁ、冗談はこの辺にしておこう。
本気だと思われたらこの手記を投げ捨てられるかもしれないし、俺のことを変態王子だと後世に伝わってしまうかもしれない。
言っておくが、俺はどちらかと言うと普通のほうだからな!
変態というのは伯爵やガルムのようなやつを指す言葉だと思っている。
少しのエロは男にとっては通常運転のはず。
話を戻すが、伯爵の目的とエルフたちの居場所がわかった俺たちは、一度エルフの里に帰ることにした。
エルフの里に帰ると、アリスとタマモが俺たちの帰りを待っていた。
すぐに掴んだ情報をタマモに提供したいところだが、ひとつ問題がある。
それはアリスだ。
彼女はまだ幼い。
性に関しての知識はほとんどないだろう。
しかし、彼女が俺たちの会話を聞き、性に目覚めてドライアドのような女の子になっては困る。
ドライアドというのは精霊の名だけど、あいつのせいで俺の日常生活がある意味崩壊仕かけているんだ。
まぁ、この話はおそらく近いうちにするかもしれないから、今は置いておこう。
カレンにお願いしてアリスと一緒に席を外してもらう。
本当は仲間外れをしているようで、後ろ髪を引かれる想いだ。
だけど彼女の純水な心を守るためには、こうするしかない。
俺とエミはタマモの案内で、彼女の家の裏庭にある地下空間に移動する。
そこで伯爵邸でエミが侵入した際に、彼女が得た情報をタマモに提供した。
すると彼女はいきなり自分の妄想の中に囚われてしまい、オブラートに包んではいるものの、妄想内容を口に出している。
本当にアリスがいなくてよかった。
あんな状態のタマモを見せる訳にはいかない。
現実世界に戻ったタマモは、先に地上へと帰って行く。
俺とエミはタマモがムッツリスケベなのではないかと話していた。
その日の夜、皆で話していると外が騒がしいことに気づく。
いったい何が起きたのだろうか。
そう思っていると、客間にタマモが現れる。
伯爵の兵士と傭兵が、エルフ狩りを行うために森に現れたことを告げた。
俺はすぐにエルフたちの援護をしようとするが、それはタマモによって阻まれた。
どうやら、手薄になっている伯爵邸に今から向かい、囚われた仲間を救出してほしいとのことだ。
予定は大幅に変更することになったが、彼女の作戦に乗ることにした。
仲間たちを引き連れ、俺は森の中を突き進む。
余計な戦闘は避け、体力を温存していた。
森の半分ほど来たときだ。
何者かが隠れていることにレイラが気づき、その人物を焙り出す。
するとモーニングスターを持つ鎧の男と精霊使いの爺さんが現れた。
レイラとライリーに二人の相手を任せ、俺とカレンとエミの三人は伯爵邸に向かう。
町に着くと伯爵邸のほうが騒がしかった。
話を聞いてみると、伯爵邸から大事な物が盗まれたようだ。
このときの俺は、エミが持ち出した書類のことだと思っていたが、実は違っていた。
なんと、この騒ぎの原因は書類ではなく、三冊のお宝本だったのだ!
って、そっちかい!
どうやって侵入するかを考えていると、伯爵邸の見張りをしている兵士が町民たちをあしらったようで、皆散っていく。
これなら少し強引なことをしても町民に被害はほとんどない。
そう判断した俺は、作戦の意味もなく強引に侵入することを決める。
眩い光を周囲に放ち、兵士たちの目を眩ませて、カレンの音の魔法で扉を破壊して侵入した。
冷静になって考えたら、俺たちって強盗まがいなことをしていないか!
エミの案内により、書斎の扉を開けようとした。
その瞬間、扉がけ破られ、勢いで俺の身体は吹き飛ばされる。
書斎の扉を破壊したのは、武道着を着用して髪をおさげにしている男だった。
その男はガルムというのだが、この男のせいで余計な出費をするはめになった。
ガルムはカレンたちを見るなり、女性差別的な発言をする。
その言葉を聞いた二人は怒り、俺に手出しをするなというが、そうはいかない。
相手は武道家、呪文の詠唱をさせてくれる隙を与えてはくれない。
そう考え、俺が相手をすることを言うが、またあのバカは火に油を注ぐような発言をしてしまった。
二人の怒りが収まらないまま、俺がガルムと戦うことになる。
俺の動体視力は敵の動きを捉えていた。
そのため攻撃をいなして躱そうと考えていたが、ガルムの一撃は強かった。
いなすことが無理だと判断した俺は、瞬時に社交ダンスの足捌きで回避する。
ガルムが連続で攻撃を繰り出し、俺は躱し続ける。
敵が足払いを仕かけ、俺は跳躍して一時的に空中にいるとき、ガルムに隙が生じる。
俺はエミに頼み、彼女に魔法を発動してもらうとガルムは動けなくなった。
そしてここから惨劇が始まる。
カレンとエミがガルムに足蹴を放ち、リンチ状態となった。
彼女たちの迫力に負け、俺はどうすることもできずに見守ることしかできない。
男に制裁をくだしていると、カレンがアイテムボックスからピンヒールを取り出して履き替える。
そして思いっきりガルムを踏んづけた。
彼には運がなかったと思って諦めてもらうしかない。
カレンの履いたピンヒールのヒール部分が、やつの尻に突き刺さり、血が出たのだ。
ヒールが履けなくなると、カレンは怖い目をしながら俺に新しいのを買えと要求してきた。
あのとき感じた恐怖は今も忘れていない。
あれ以来、カレンの前で胸の話題はなるべく避けるようにした。
俺は恐怖心から自己防衛機能が働き、カレンに新しい靴を買ってあげることを約束する。
この約束が、俺に試練を与えることになるとは、当時の俺は知るよしもなかった。
どうして女の子の買い物ってあんなに面倒臭いのだろうね。
正しい選択をしなければ機嫌が悪くなるし、正しい選択をしても時と場合によっては機嫌が悪くなる。
本当に女心は難しい。
カレンと買い物の約束をすると、俺たちは地下に通じる階段を探す。
しかし、どこを探してもスイッチらしきものは見つからなかった。
そんな中、痺れを切らしたカレンが魔法で床に穴を開けて階段を発見する。
俺たちは階段を降り、地下に向った。
地下には通路に沿って複数の牢屋があったが、エルフの姿はどこにもなかった。
更に奥に進むと、古びた扉を見つける。
長い年月を得ているのか、扉は朽ちている箇所があり、複数の穴が空いていた。
扉の穴から中の様子を窺うと、伯爵と思われる男と裸のエルフたちを発見!
今にもお楽しみをしようとしていた。
このまま見過ごすわけにはいかない。
もし、伯爵が裸となりって粗チンを周囲に見せ始めては、カレンたちが目のやり場に困ることになる。
今すぐにでも突撃しようとすると、カレンに止められてしまった。
理由を聞くと、エルフが裸なのが原因らしい。
確かに裸体を見ては、俺のムスコが元気になるだろう。
カレンの提案で、俺は目隠しをしたまま扉の奥に向かうこととなる。
俺たちの出現で伯爵は戸惑い、何者かと尋ねた。
当然バカ正直に答えることのできない俺は、通りすがりの冒険者だと言う。
俺の言葉に伯爵は『そんな特殊プレイの最中の冒険者がいるか!この変人』と言ってきた。
お前にだけは言われたくない!
お前のほうが俺の何百倍も変態だろうが!
咄嗟に俺は心の中で叫ぶ。
エルフたちを解放するように要求するが、当然伯爵は断り、戦闘に発展する。
伯爵の攻撃は、目隠しをしているせいで見えない。
躱すことができずに俺は手傷を負う。
目隠しをしている布をとり、伯爵と戦っている間にカレンたちにエルフを屋敷から連れ出すように指示を出す。
だが、エルフたちはここから出たがらなかった。
伯爵の調教が行き届いており、俺たちの言葉に耳を貸してくれない。
この状況に伯爵は下卑た笑い声を上げ、俺を殺すようにエルフたちに指示を出す。
エルフたちは俺たちを攻撃しようとするが、エミが機転を利かせて睡眠魔法を発動させ、エルフのみを眠らせる。
エルフたちの変わりようを見て、エミは激怒すると伯爵に呪いをかける。
それはとても恐ろしいものだった。
一つ目は勃起不全を引き起こす魔法、もう一つはヒールを見ると興奮してしまうというものだ。
これを読んでいるのが女性だとしたら、何だよそんなくだらない呪いなんてと思うかもしれないが、男にとっては大問題だ。
ムラムラして自家発電をしようにも、硬化を維持できなければ射精ができない。
できなければスッキリできずにもんもんとしてしまう。
生殺しのような状態となり、人によっては気が狂いそうになるかもしれない。
それほど、成人男性にとって自家発電は大事な儀式とも言える。
まぁ、あくまでもこれは俺の想像だからな。
実際のところはよくわからない。
勃起不全にはなったことがないから。
でも、これで悩んでいる男性がいるのは事実だ。
エミのいた世界では治療薬なんてものもあるが、俺たちの世界にはおそらく治療する薬とかはないだろう。
伯爵は一生子孫を残すような行為ができない。
とまぁ、伯爵に天罰が下ると、彼は屋敷から逃げて行った。
カレンにお願いしてエルフたちに着替えさせている間、俺は先に屋敷の一階に向かう。
伯爵の配下である兵士たちは既に撤退しているようで、屋敷内はシーンと静まり返っていた。
カレンたちが追いつき、俺と合流すると、屋敷に火が放たれたようで火事になる。
炎の進行速度が速く、俺たちはすぐに逃げ場を失う。
残された道は地下に避難するしかなく、俺たちは地下に逃げて氷の壁で炎を防ぐ。
エルフたちを励まし、どうにか前を向いて生きて行こうという意思を取り戻させると、レイラとライリーの声が聞こえた。
火事が収まり、救援が来てくれた。
俺たちはレイラたちと合流して地下から外に出たのだ。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字や文章的に可笑しな箇所などがありましたら、教えていただけると助かります。
あらすじよを読んでくださったあなただけに、第十七章の内容の一部を少しだけご紹介します。
伯爵に天罰をくだしたデーヴィットたちは、エルフたちに英雄扱いをされ、感謝のパーティーが開かれる。
パーティーの最中にレイラは酔っ払い、デーヴィットにあんなことやこんなことをして乱れた。
レイラを客間に寝かせると、そこに旅に出ていたタマモの父親が現れ、デーヴィットのことを気に入られてしまった。
翌日、タマモの父親から魔王の居場所を聞き、エトナ火山の手前にあるフロレンティアの町で色々と準備をすることになった。
そして父親のお願いでタマモが道案内役として仲間に加わった。
フロレンティアに着くとちょうどバザーが開催されており、各々買い物を楽しむ。
しかしトラブルが発生し、デーヴィットは巻き込まれることに!
こんな感じの内容になっています。
十七章の第一話は明日投稿予定です。




