時間のセックス
秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。(引用『枕草子』)
『秋を生きる』
歩くのと殆ど変わらなぬスピードで
ボクは自転車を漕いでいた
路傍のイシを跳ね飛ばし
影に衣擦れ、晩夏光
──ダツリン!
色なき風にキスをして
それから温度を試飲する
秋を生きろと言わんばかり
『自己保険』
嫌われるのを極度に恐れて
あえて嫌われるような態度を取る
つまりは、自己保険に入ってる私
『時間のセックス』
あの時の僕と今のボク
繋がっているなんて摩可不思議だ
セックスや絆、時間のセックス
一次独立より,
僕とキミは出会えない
これじゃあ愛してるだなんて
とてもじゃないけど言えないね
ありがとうございました.(汐月)
【おまけ:秋俳句】
電車来て影入るホーム涼新た
秋うらら金華の山に鈍行のゆく
世界から視れば小さなことよ秋
送球やロングシュートの空高し
速攻のパス気持ちよく天高し
月代やスッと息吸う橋の上
駅に降り夜学の友の独りをり
清し女の所作風鈴の如きかな(夏)