秋葉原ヲタク白書71 コロナを狩れ!
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第71話です。
今回は、前回亡命を企てた科学者が移送中に襲撃され、助けを求められたコンビは、彼女を妖精の図書館に匿います。
ところが、襲撃者が世界的パンデミックの原因である新型ウイルスが擬人化したモノと判明、悪魔祓いをするコトに…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 帰ってきた元カノ
「ただいま!テリィたん」
「シ、シホリン?」
「逃げて来ちゃった。てへっ」
ペロッと出した舌は真っ赤だが…
シホリンの顔は煤けて真っ黒けw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
凄まじい爆発だったらしい。
早朝の電気街口での大爆発。
「亡命が受け入れられた私は、早速"ホテル24"から移送されるコトになったの」
「恐らく、横田ABから本土への直行便に乗せて後は証人保護プログラムで保護…とかソンな感じ?」
「ところが、早朝カンパニーのエージェントに厳重に護衛されてホテルを出て、リモートスターターでエンジンをかけたら、突然、車が大爆発して…」
場所は、俗に"アキバのタイムズスクエア"とか呼ばれる電気街口の駅前広場だ。
東西自由通路を出た辺りに駐車していた黒いSUVが赤黒いキノコ雲を噴き上げる。
その場の全員が爆風に薙ぎ倒され、そのママ爆炎に呑み込まれ黒焦げの肉塊が飛び散る。
偶然開いた駅前コンビニの自動ドアから店内に吹き飛ばされたシホリン以外は全員死亡。
茫然と立ち尽くすコト数秒、本能的に身の危険を感じたシホリンは、その場から遁走。
しかし、実はヲタクな彼女も初めてのアキバとあって己の身を隠す場所がわからナイ。
しかも、コロナパンデミック下&夜明け直後とあり駅前広場ドコロかアキバ自体が無人w
無我夢中で彷徨う内に、目に入った大鉄橋へと走って橋脚の"ゆるカル▼"へ飛び込む←
「もぉビックリしたー」
「だって、お顔が真っ黒ケに焦げてて…」
「アフリカンかと思った」
"ゆるカル▼"は、JKプレッパーの3人組でコロナ休校中、人類絶滅に備えるサバイバル訓練として松住町架道橋脚でキャンプ中だ。
「話に聞いてたテリィたんの初恋系にソックリ美女だったから声をかけたらビンゴ!で、直ぐ連絡しなきゃって思ったけど、テリィたんの番号がわかんないw」
「だから、とりあえずミユリ姉様に電話したら…」
「テリィたんと一緒だたw」
あ、いや。ソレは、タマタマ…良い子は3密に注意しよう!約束だぞ←
とにかく!誰かがシホリンの抹殺を図るも、彼女は辛くも罠から脱出した…って感じか?
何しろ、彼女は人類をパンデミックに叩き落とした新型ウイルスの"血清"の開発者で…
そして、ナゼか中華な国に命を狙われてるw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
政治亡命を図った科学者が爆殺されかけて、命カラガラ助けを求めてる。
しかも、場所がアキバで彼女が幼馴染とあれば、一肌脱がねばならナイ。
「とにかく、ココは目立ち過ぎる。何処かに身を隠さなきゃ」
「テリィ様。既に各国の精鋭スパイが何人も命を落としてます。隠れ家と逝っても、何処か"異次元"レベルの隠れ家が必要かと」
「"異次元"の隠れ家?ミユリさん、まさか…良いの?エアリのトコロでも?」
先に駆けつけたミユリさんが"仕方がありません"と逝う顔をして大きく頷く。
今カノと初恋系元カノが顔を合わせてるだけでも面倒だが、この上エアリかょw
エアリは…話すと長いンだけど神田川岸にある"王立図書館"の図書委員長だ。
表向きは"アキバ図書館"と逝う図書館カフェのメイド長だけど、実は彼女は…
僕達は今、総武本線が御茶ノ水へと向かう大鉄橋の橋脚のキャットウォークにいる。
眼下は昌平橋交差点で、宣言解除の直前とあって、朝からホボ平日並みの交通量だ。
サリィさんの特殊ルートで国交省から特別許可を得ての秘密キャンプ地だったけど。
もともと学校が始まれば撤収しなきゃだったし、隠れ家としては少し目立ち過ぎだ。
仕方ない!エアリに頼もう…
「Hi。テリィたん、呼んだ?ん?…仕方ないって何ょ?ミユリさんもお久しぶりね!ツートップの姿が見えないと思ったら、こんなトコロで遊んでたの?」
「やぁ、エアリ。コチラ、僕の初恋の彼女のシホリン。ワケありだけど…少しの間、匿ってくれないか?」
「もちろん。遠慮しないで"永遠"でもOKょ?」
突然現れたエアリがニッコリ微笑む。
橋脚のキャットウォークの1歩外で。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ラクにしてもらって構わないょ。
何しろ…ココは図書館だからね。
でも、初版本にだけは触らないで。
こっぴどく怒られるょ妖精さんに。
妖精?
そう、妖精。天使でも使徒でもナイ笑。エアリは地球文明の守護者だ。
少なくとも、地球が冷え固まって以来、彼女はココを管理し続けてる。
「尾行、大丈夫かな?」
「されてナイみたい。テリィたんもヤルわね。サスガ、小学校時代からスパイごっこに明け暮れてただけのコトはあるわ。クスクス」
「うーん。やはり今回はモグラの単独行動みたいだな」
「モグラ?」
「カンパニーに潜入してる、中華な国の二重スパイのコトだょ」
「金髪メイドのキャシさんだっけ?」
「今回は別のエージェントかもしれナイ。とにかく、爆破以後も監視や追跡されてる形跡が皆無だ。彼だか彼女だか知らナイが、モグラの単独行動だと思う」
「なるほどね」
「とにかく、仮に誰かが接触して来ても、僕はカンパニーには忠実なスタンスで接した方が良さそうだ」
「でも、テリィたんは私の元カレでしょ?真っ先に疑われて当然ょ?」
「…うーん。嫉妬に狂ったミユリさんがスゴくてシホリンにはアンタッチャブルだった、と逝うストーリーで…」
図書館カフェ"アキバ図書館"は、神田佐久間河岸にある雑居ビルのB3にある。
B3と逝っても、地階に降りてから狭い通路や階段を散々登り降りした先なのだ。
戦争映画の"プラトーン"に出て来るベトコンの秘密トンネルみたいな場所だ。
その中では、時空はよじれ、重力さえも変動すると逝う闇アンダーグラウンド…
まぁホントの"異次元"はその先だがw
「とっても不思議ワールド!この前の"秘密レストラン"と逝い、この"謎図書館"と逝い、テリィたんのアキバ案内がファンタスティック過ぐる!」
「あのさ。ファンタスティックなのはレストランや図書館であって僕じゃナイから。確かに僕は色んな人から"素敵"と逝われるが、実は素敵なのは僕じゃナイ」
「ごめんなさい。ソレから、私ったら、コレって誰かが私とテリィたんとの仲を裂くためにやってるのかなって…馬鹿な妄想でした」
シホリンがヤタラと元気だw
殺されかけたばかりなのに←
「私は、そのモグラにハメられた。あの夜、テリィたんも私にハメたけど…で、ハメられた人って、海外ドラマだと大体殺されるわょね?私みたいに」
「え?え?何のコト?シホリンは逝ったが、僕は未遂だょ?…とにかく!カンパニーに潜り込んだモグラが、シホリンを爆殺しようとした、って話だょ。コレは」
「テリィたんは覚えてる?"僕には、野心も根性もナイ。自分の正しさを証明するのも面倒だから、いつも誤解されたママ放置スル。挙句いつも面倒を背負い込むコトになるのさ"小5のテリィたんは、私にそう嘆いていたのょ」
ゲ!小5で?!なんてマセたガキだ…
「小5のテリィ様?想像出来ませんが」
「ミユリさん!結構グサッときた。ちゃんと卒業してるから。小学校は」
「見事な自己評価ね。またまたホレそうょ。やっぱり"ふれあい橋"でパンツを見せて正解だったわ。ア・ナ・タ・に」
「ダ・マ・レ。エアリ!僕だって、時には血迷うンだ。ましてや小5だぞ!」
あれ?僕は、今カノ、初恋系、妖精から袋叩きにされてる?!神様に御加護を要請w
「私には、上司の闇ビジネスのパートナーとなる道もあった。彼を見習う道も…特に情熱をね」
「でも、ダークサイドへ落ちズに努力の末、新型ウイルスの"血清"を開発して、人類に貢献した」
「バカでした。明らかに。開発に失敗すれば良かった。でも、そう思う度、小5のテリィたんの言葉を思い出した…だから、ソレを自分に証明したくてアキバに来たの。私達は、小5のママだと。あの頃のママ、幼くて愚かで…純粋だったと」
その時、ミユリさんのスマホが鳴る。
「リンナ?どうしたの…あら?貴女は誰?」
第2章 WMOから来た女
リンナは"ゆるカル▼"のリーダーだ。
でも、電話の相手はリンナでは…ナイ?
誰かが彼女のスマホで、ミユリさんに電話して来たのか?リンナは…大丈夫か?
ミユリさんがスピーカーに切り替えると、全く聞き覚えのナイ女子の声がスル。
「私は、W…Oから派遣されたコロヌ。ミユリメイド長、貴方の御主人様の元カノを探してる」
「え?世界保健機関?新型コロナの関係?」
「いいえ。W"H"OじゃなくてW"M"O。私達は"世界マッドサイエンティスト機関"」
うわぁwまた面倒なのキター←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「遅いわ」
「すまない。ピッキングに手こずった。"ゆるカル▼"の3人は…無事だろうな?」
「もちろん。今頃、秘密キャンプ地とやらの撤収で大忙しのハズょ。電話すれば?」
蔵前橋通りの風俗店"アキバ洗体ヲタレンジャー"の"ピーチの間"。
"間"と逝っても、大部屋を目隠しカーテンで仕切っただけの空間だw
シャワーで洗体される前後に通される場所で追加料金でマッサージされるトコロ←
コロナ自粛で店内は完全無人、しかも隣にミユリさんがいて違和感がハンパなひw
お弁当持参で無人レストラン…みたいな?
「先ず聞きたいけど、今朝、電気街口で爆発があったそうだけど、シホリンは無事なのか?もし無事ならば、僕は彼女を保護したいと思ってる」
「まぁ。実は、私達WMOも彼女を救出したいと考えてるのょ」
「彼女は、祖国を裏切り、太平洋の向こう岸の国に政治亡命を図ったと聞いている。新型ウイルスの特効薬となる"血清"を開発した関係で、彼女の身柄を危険を冒してまで確保したがる国、機関、ヲタクが山ほどいる」
会ってみれば、コロヌは小柄な黒髪の女性で微かな訛りから中華系とわかる。
「彼女は、熱烈な愛国者ではなかったが、確かに良い仕事をしたわ」
「そのシホリンが、なぜ今更裏切りなど?」
「恐らく…"男"ではないかしら?ソレがテリィたん、貴方ではナイか?とWMOは考えてるの」
「いやいや。僕は小学校の時にこっぴどくフラれて以来、彼女のおメガネに適ってなひ。と逝うワケで、彼女って男を見る目がナイから、多分カンパニーのイケメンにでも軽く誘惑されちゃったンでは?」
「WMOは、彼女がテリィたんと良い仲になり、マッドサイエンティストとしての道を誤った、と考えている」
「どんな情報だよっ?!しかし、WMOって色々変なコトを考えルンだなw」
「確かに、女って意外な面を併せ持つ生物なの」
「ヤタラしおらしくなった?!とにかく、アキバで何か見かけたら、直ぐWMOに知らせる。だから、先ずはシホリンの資料をくれ。あらゆる情報を」
「テリィたんのリクエストは、全て内部資料に該当するので開示出来…」
「先ずデータだ!科学の基本だろ?科学の基本にマッドもリアルも関係ナイ。粘土ナシにレンガを作れと逝うのか?アキバでヲタクの協力が無用と逝うならソレも良い。しかし、ソレでも僕達がシホリンを見つけたら真っ先にWMOに知らせょう」
「そこまで言うの?ならば内部資料を見せましょう。でも、条件があるわ。中華な国の東京アジトを教えて。WMOは、中華な国がドサクサ紛れに彼女を拉致、アジトに連れ込んだと考えている」
「何?では、WMOは車に爆弾を仕掛けたのは、中華な国ではナイと逝うのか?ソレでは、誰が爆殺を企んだンだ?」
「ソ、ソンなコトよりっ!我々に中華な国の東京アジトを早く教えて!テリィたんが場所を知ってるコトは既にわかってるのょ!」
「えっ?ナンで?」
「だって、前作の第4章に描いてある」
「しまった」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
だったら、アジトの場所も第4章を読めょと逝いたかったが、読んでナイなら教えようw
まぁ交換条件だからね。お陰でWMOの素性を理解した上でコチラもアジトへと向かう。
ところで、中華な国の諜報機関は神保町の老舗古書店を東京のアジトとして使っている。
靖国通りを挟んだ反対側に駐車中の車の中で、馴染みの仲間達がアジトを見張っている。
ストリートギャングの精鋭"追跡チーム"とハッカーのスピアだ。
スピアはギャングお抱えのサイバー屋で狭い車内に何台もPCを広げ今も"お仕事中"w
「テリィたん、遅い。ミユリ姉様は?」
「ヅイキャスで御屋敷のリモート飲み会やってるwアレが、中華な国のアジト説がある古書店?しかし、店を監視するのにレンタカーまで借りるとは珍しくお金かけてるね?リーダー」
「借りてません」
追跡チームのリーダーが抑揚のない声で逝う。
「実は…ちょっちお借りしてまして…」
「何?勝手に乗ってるのか?」
「いや、その。駐車位置が絶妙だったので、つい…スミマセン」
「で、テリィたんの方は?WMOって何なの?流行りの環境テロリスト?車に爆弾を仕掛けたのも奴等じゃないの?」
「お?鋭いな!WMOは、WHOみたいな国連の専門機関らしい。でも、NERV並みの非公然組織なので余り、と逝うか全く知られてナイ。ソレから、僕達の協力は歓迎されてない。だから、別の角度から攻める必要がある」
「別の角度になるか分からないけど、さっきリーダーとカップルのフリして店に入って来た」
「あっぶないマネするなぁ。おい!リーダー!やり過ぎだぞ!」
「アキバの外だと大胆になっちゃって、つい」
「電話の接続箱がヤタラ怪しくて、リーダーがガルパン本の古書を値切ってる間に開けてみたら…コレが」
スピアが広げた掌にコインサイズの送信機?いや、盗聴器?がチョコンと載っている。
「カンパニーのモノかしら」
「確証はナイけど…最近の両国の確執からして間違いないょね」
「電話の盗聴で何が分かるのかしら…ってか極秘内容を店の電話で話す?」
「カンパニーは、そう信じた。ソレに…諜報の世界じゃ基本でしょ?精励こそ幸運の母とも逝うしね。ただし、スピアは…」
「私を怠け者だと逝うの?ソレに、ただし書きが多いのは、いつだってテリィたんの方ょね?」
「独り身のスピアの場合は、精励こそ未婚の母だと…」
「あのね!コレはサージ保護器。レジやファックスとは別の延長コードに繋いであった。だから、多分コレは盗聴器じゃなくて、盗聴の防止器。電話回線のソバに置いて、スパイ関係の極秘電話をする時にだけ、コレを繋ぐの。すると、スクランブルがかかって内容は一言も盗聴出来なくなるの!」
「一言も?」
「うーん。まぁ収集出来たとしても、メタデータぐらいじゃない?」
「メタデータ?」
「電話の日時と…相手の受信位置ね」
「日時はともかく、場所も特定出来ちゃうだと?」
「例えば、仮に使い捨てケータイを使っても発信そのものは必ず基地局を経由するの。そして、世界中のどの基地局も独自の信号を出してるわ。だから、メタデータで最初の文字がわかれば、最低でも受信した国はわかる。Gなら英国。Iならイタリアって逝う具合」
「なるほど。"中"なら"中華な国"ってコトか。僕達のゲームは、世界を股にかけて進行中ナンだな」
ココで、目立たないように双眼鏡をキャップの日差しに当てて観察中のリーダーが逝う。
「ビルの外壁沿いに、1Fから屋上までインフィルバンドケーブルが伸びてますが…コレがヤタラ図太いwデータセンターの基幹ケーブル並みですね」
「恐らく屋上の衛星アンテナにデータを送ってルンだ」
「最近のアンテナは高性能でホント目立ちませんが、ヤハリ屋上設置が基本ですからね。多分…」
リーダーは最後まで逝えない。
だって、次の瞬間、目の前で…
5F建て雑居ビルの窓と逝う窓、全部から紅蓮の焔が噴き出して、やがて地響きと大音響w
どっかーん!
たちまち、ビルが全館炎上し、逃げ惑う歩行者、靖国通りを逝く車が次々と玉突き衝突!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ミユリさんが、コロナ自粛中で無人のバーカウンターでPCを開くとイキナリ画像on。
「どなた?」
「コロヌ。WMO」
「テリィ様なら今、オフラインだけど」
「いいえ。むしろ、メイド長とお話がしたかった。でも、他の情報提供者からの連絡を受け損ねたくないので、貴女との話は手短かに済ませて直ぐに切るわ」
「なら、今すぐ切って」
「貴女の御主人様の元カノは、予想以上に上手く逃げてるわ。おかげで、爆破仕事も増えてしまって、あらゆるコトが難航し始めてる」
「そう?」
「WMOが知る限り、貴女の御主人様と彼女は付き合ってた。彼は彼女の居場所を見抜いてるでしょ?」
「テリィ様はそんなコトなさる方じゃナイわ。WMOって、彼のコト、何も知らないのね」
「ぐっ…で、そーゆー貴女の方は、調査で何か進展はあったの?」
「モチロン何もナイわ。ただ、中華な人達は北海道を真っ赤にしたくてヤタラと不動産を買い漁ってる。だから、札幌とかに潜伏も考えられるけど…何しろ恋の街だし」
「残念だけど、さっき貴方の御主人様は、もちっとマシなコトを話してた。ねぇ?どっちがホントなのかしら。まぁ、ドッチかが本当ならだけど。思うに、メイド長を拉致して、その可愛い目を指で抉り出すと脅したら、貴女は何か歌ってくれるのかしら。私は…本気だけど?」
「あ、ごめんなさいね。今、御屋敷の常連15人ほどと、流行りの"オンライン飲み"の最中なのょ。きっと役に立つと思って」
PC画面がイキナリ18分割になり、ソレゾレの画面に1人ずつ常連が写り手とか振ってるw
「やぁ!ヤハリ、君はスパイだったのか?」
「もしかして脅迫の真っ最中?」
「雇い主は…やっぱり中華な国なのかな?」
「君、色仕掛けとかもヤルの?」
常連達が無邪気なQで一斉射撃w
サスガのコロヌも思い切り狼狽←
「メ、メイド長。貴女とは…後でカタをつけるコトにしましょう」
「OK。貴女のスパイ罪を裁く法廷でかしら」
第3章 狩りのシーズン
"王立図書館"は、図書館カフェ"アキバ図書館"の奥、と逝うか、裏にアル。
まぁ"裏"と逝っても壁の裏とかではなくて"裏の次元"つまり"異次元"だ。
ソコは、遥か地球の中心まで続く巨大な巌窟で壁面の全てが本棚になっている。
本棚には地球上で描かれた全ての書籍が、漏れなく収められているとのコトだ。
僕達人類はモチロン、僕達以前の人類、文明の全記憶が保管されているらしい。
エアリは、その全てを地球が冷え固まって以来独りポッチで管理し続けている。
僕は時々想うが、この本棚が一杯になる時、この地球は如何なる運命にアルのだろうか…
いや!とりあえず、今は目の前のコトw絶対に追手の来ない"異次元"で緊急会議だっw
多分、場所はマントルの下層辺り?本棚前で古文書を読み耽るシホリンの横にミユリさんが立ち、その1歩先にエアリと僕が浮いてるw
管理妖精のエアリが背中の羽根を羽ばたかせ僕はエアリにしがみつく。
彼女の胸の谷間にスッポリ顔を埋め眼下は地球の中心まで続く巌窟だw
「もともと"マルウェア使い"って、面倒な奴が多いらしい…さっきスピアから聞いた話だと、誰かがビルのPLCをハッキングして業務用ガスの圧力を上げて爆発させたンじゃナイかって」
「でも、何もビルごと爆破しなくてたって…バックアップデータやサーバごと木っ端微塵にしたかったのかしら」
「ガスの冷暖房は、この手のテロに対して極めて脆弱だ。下手に地域冷暖房とか入れると、その再開発エリアごと吹き飛ばされかねない。ガスは極めて危険だ」
「やっぱりエネルギーは電気ね」
「サーバはともかく、バックアップだけなら温度調節システムに侵入して、ワームを仕込んで室温を上げるだけで破壊出来る。この手で大抵のデータセンターなら陥せる」
「テロリストや反資本主義国家からの依頼も受ける、ゴルゴ13みたいなWebのヒットマンがいるのね?」
「この手でオフラインで保管されてるデータも破壊出来る。侵入不可能をうたう施設こそターゲットだ。そもそも人が作った施設で侵入不可能などアリ得ない。適切な標的を見つけマルウェアを仕込む。ハッキング自体は、決して難しくない。対象をよく観察すれば、システムの脆弱性は自ずと見えてくる。何処でも人が最大の弱点だ」
「そして、攻めるハッカー側は、人が最大の強味と逝うコトね」
「データバックアップの基本は磁気テープだ。磁気テープの使用可能温度は16〜35℃。酸化鉄を接着剤でフィルムに接着してあるから、室温が35度以上になると接着剤が溶け、データが読み取れなくなる。内部ネットワークにバックドアさえ作ればVPNを構築出来る。温度調節システムに侵入し室温を上げればテープは破壊される。専用ソフトを作り上げたら、あとは鋼鉄製のドアや24時間体制の警備と監視カメラ、ネットの常時モニターを掻い潜って、辿り着き易い操作盤を探すだけだ」
全部、スピアの受け売りです←
「妖精にもわかる、御丁寧なハッキングの解説アリガト。次の人類にテリィたんみたいな人がいたら教えてあげるね。で、そのコロヌちゃんがビルを爆破したってコトは、ソコにはテリィたんの元カノは居なかったってコトかしら」
「恐らく。もともとWMOがミユリさんを脅した段階で、僕達の手の内はバレてる。コロヌは、必ず何か仕掛けてくる」
「なら、その時に彼女のお顔も見れるわね。どんな子かしら」
僕は、エアリの胸の谷間に顔を埋めたママ、スマホを持った手を振りかざす。
"アキバ洗体ヲタレンジャー"でコロヌと会った時の盗み撮り画像を見せる。
風俗の盗撮なら任せてくれ←
「ホラ」
「え?よく見えない…あら。彼女、洗体嬢なの?」
「違うでしょ!」
一方、僕は片手でしがみついてるのでズリ落ちそうだが、下は地球の中心へ続く深い闇w
必死になってエアリの胸の谷間にグイグイ顔を埋めるや周囲の空気が急激に熱を帯びて…
空気が突如イオン化してる?ぎゃ!僕は今、ミユリさんのデス光線を致死量浴びているw
そこへエアリの素っ頓狂な声←
「あら。この子、コビドだわ。疫病やウイルスの擬人化で、悪魔より産み落とされしモノ。まぁ一種の悪霊ね。前の人類はコイツにヤられたわ」
「え?悪霊?じゃ、お祓いだね?またミユリさんの超ミニ巫女さんコスプレとか見れそう。うひょひょ」
「あのね。悪魔祓いって、洋物だから巫女さんじゃなくてエクソシストやハンターなの。確か、永遠の命を持つ"ポンの一族"のミメイのトコロにいる太ったおばちゃんが腕の良いハンターだったわ」
「えっ?あの街中華"新々秋楼"の太ったおばちゃん?」
「最近の悪魔祓いの流行りは何かしら。テリィたんは、あのおばちゃんにもウケが良いンでしょ?何か貸してもらえば?」
「うーん。また肩撃ち式対空バズーカのフリーガーファウストかな?あのおばちゃん、アレで時間ナチスの"タイムマシン型UFO"や、僕の"妹"の乗ってたオートバイ式半装軌車とか、手当たり次第に吹っ飛ばしてるからね」
「うふふ。相変わらズ派手に遊んでるのね。でも、今回はも少し小さい奴カモ?しかし、やっぱり今の人類が1番楽しいわ。ホントに退屈しない。きっと、この街とテリィたんのせいかしら」
「さぁ!狩りの時間だっ!」
僕は、拳を高々と振り上げる!
エアリの胸に顔を埋めたママw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下トンネルにブラックメタルが鳴り響く!
早弾きの限界に挑戦するギターのトレモロ。
高音域を極限歪ませドラムの早叩きと競う。
エアリの"王立図書館"へと至る地下トンネルの手前で、突然のメタルライブが始まるw
ソコはライブハウス"noise bar"で80年代はnoise rockのメッカだったが寂れて久しい。
ん?でも、今宵のコレはblack metalだょね?
超絶ギターは前科1犯のブルス、絶叫ボーカル(&禿げてる)は"drag queen"だ。
共に長髪に白塗りのコープスペイント、ギターもボーカルも甲高い金切り声系w
実は2人は"noise bar"に巣食う廃人で、若かりし頃エアリと交わり、以来人生に敗北、或いは禿げて地下トンネルの闇に沈んでる…
ハズだったンだけど?!
「ヘイ!テリィfuck!ヲレ達ゾンビを も1度ステージに立たせてくれてpussy thank you!地獄の底から這い上がって来たぜ!」
「うーん。コレでホントに悪霊を召喚出来るのかな?僕は心配がMax極限値だょブルスfuck」
「任せろ!エアリに逝われた歌詞は"drag queen"が必ず吠える!今宵"noise BAR"を地獄の釜に変えてヤルぜ!」
そして、女装の"drag queen"が気色の悪いウィンク1発かまして並べ立てる歌詞?は…
虐殺、滅亡、萌え、冒涜、ヲタク、反キリストと逝った悪魔主義ワードのオンパレードw
何だかマスマス不安が募ってフト右を振り向けば魔法少女コスプレのエアリ。
地毛?の羽根を満開にして"元カレ"であるブルスをウットリと見詰めてる。
何だょ!別れても未練タラタラじゃんw
因みに左はミユリさんでコチラはバンギャお約束の鋲打ち革ジャンに軍パン。
軽い絶望感に襲われつつ他にやるコトがなく仕方なく最前でヲタ芸を打つ僕←
メタル現場は、ヲタ芸発祥の地とも逝われ、加えて曲の作りが日曜学校風の宗教曲に似てるからヤタラとメロディアスで打ちやすいw
お陰で余り意味を感じない♭5thの濫用に目を瞑れば、ちんたらヲタ芸打つには最適だ…
ところが、その時!
バーの鉄扉がボール紙のように吹っ飛んで、逆光の中、小柄な人影が入って来る。
コロヌ?いや、悪霊に取り憑かれたWMOエージェントの肉体とでも逝うべきか?
彼女がステージに向かって右手を差し出すやblack metalの大音響がピタリと止む。
ブルスも"drag queen"も滑稽なホド必死に早弾き&シャウトするも完全に無音w
「ホッホッホッ!この部屋から電気を消し去った!いくらプレイしても無駄よっ!」
「しまった!召喚魔法が未だ途中だったのに!」
「久しぶりね、エアリ。この人類も私が根絶やしにしてやる!お前は、絵本でも読みながら絶望してなっ!」
次の瞬間、僕の左右にいた大好き女子2名が何か強大な力で背後の壁に叩きつけられる!
コンクリート壁が人型に凹んで2人が悶絶wと、忽然と僕の目の前にコロヌが瞬間移動←
鼻と鼻がぶつかりそうw
マスクしろょ、コロヌ!
あ、君は新型ウイルスそのモノだっけ?
その擬人化野郎or女子?が、僕に問う。
「お前、決してかなわない夢を見たコト、あるか?」
「え?は?何?夢なら、今も見てるょ悪夢だけど。そんなコトよりマスクしろ」
「お前、決してかなわない夢を見てる友達、いるか?」
「あのな。ヲタクはみんな、過去にはこだわらないンだ。そして、未来に夢を持つ奴だけがアキバに来るンだょ」
「…お前は、何者だ?」
「いつもメイドに未練タラタラの単なるストーカーだ。僕は病んでる。でも、大丈夫。一般人に危害は加えない。完全に病気だから…あ、君も疫病の擬人化だっけ?」
「何をグダグダとわからぬコトを。大人になれ」
「嫌なこった」←
「死んだ人類を呼び戻してはならない。エアリが1番よく知ってるハズだ。ヲタクも、いつか利用出来ると思えばこそ生かしたが、ヤハリ用済みのようだ」
「何?僕達ヲタクは、超古代の人類の血筋だと逝うのか?」
「しかし、哀れだな。犠牲になれば磔刑になったメイドが救われるとでも思ったか?お前のゲスなヲタク根性など、何の役にも立ちはしない」
鼻の直ぐ先にいるコロヌが、左右の手を高く掲げると、背後から聞こえるミユリさんとエアリの苦悶の叫びが絶叫へと変わって逝くw
「やめろ!2人を離せ!」
「離すわ。首の骨を折ってから」
「…待って」
えっ?
文字通り眼前に迫ったコロヌの背後に…何?大気が揺らめき…陽炎か?
女子…ん?頭にはカチューシャだと?ま、まさか、メイド?き、君は…
エリス?
「コレって御主人様のピンチょね、ラッツ。だから、メイドになって来てあげたわ」
「エリス。僕をその名で呼ぶな」
「嫌ょ。タマにはメイドの逝うコトも聞きなさい」
コロヌがギョッとした顔で振り向き、正しく悪魔でも見たかのように目を見開く。
ソコには…メイド姿の僕の前推しだったエリスが…ソコに…まるで、いるが如く…
「馬鹿な!実体の無いスピリチュアルだと?前の人類で根絶やしにし、この人類には存在しないハズだ!お前は、いったい…」
「ミユリさん。妖精さん。さぁ早く!」
「合点承知!」
今度はミユリさんが右手を差し出すと"ボン"と大きな音がしてPAが生き返る。
電気を得たブルスと"drag queen"が狂気の演奏を再開して呪文を完成させる。
さらにエアリが何事かを呟くと…暗い地下室の天井に鮮やかな魔方陣が浮き上がる。
しかも、狼狽するコロヌの真上!結界?に囚われたコロヌは最早身動きが取れない!
「ラッツ。中華料理屋のおばちゃんからコレを預かってるけど」
幽霊なのか、およそ実体の感じられないエリスからヤタラ実感のあるモノを手渡される。
パンツァーファウスト250?長さ1mの鉄パイプの先には銀色の弾頭が装着されている。
第2次世界大戦中にドイツ軍が使った携帯式の対戦車擲弾発射器?弾頭が色違いだがw
僕は、素早く脇に挟んで射撃態勢をとり銀色に輝く弾頭の先をピタリとコロヌに向ける。
「新型ウイルス、覚悟しろ!悪霊退散!」
「待、待、待、待て!テリィたんとやら!お前、ただのヲタクじゃないな?ソレに、その使い捨てロケット弾って多分、室内で使うと…」
「黙れ!新型ウイルス。人類は、お前に負けはしない!」
情け無用!
僕が撃鉄上部のレバーを押すや、発射された弾頭はコロヌを直撃!その瞬間、コロヌの目鼻口から光が噴き出し断末魔の叫びが轟く。
同時に鉄パイプから噴き出た後方噴流は焔をあげるジェットとなり地下室内に荒れ狂う。
投げ捨てた鉄パイプに"後方10m以内に入るな。火傷注意"とかドイツ語で注意書きが…
あぁ!先に読めば良かった…もう遅いかw
第4章 狩人達の挽歌
またしても、全員が黒焦げだw
車爆弾で始まった今回だが、ヤタラ多かった爆発&黒焦げシーンを制しピースが出揃う。
ジグソーパズルの全体像は、まぁ、現時点での整理ナンだけど、ざっとこんな感じだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
先ず、僕の前推しのエリスだけど、かつて心を病みアキバを去ったが、今は"no signal"の美少女メイド長として完全復帰している。
そう。彼女は美少女なのだ。アラサーだけど儚く可憐で、美少女としか呼びようがナイ。
「しかし、彼女は最強だったわ。しかも、テリィたんのピンチに肉体から遊離して霊的存在になって駆けつけるなんて!今の人類も捨てたモンじゃ無いわ。で、あの人は、結局誰なの?」
「でも、今カノである私の目の前に堂々とシャシャリ出て来る元カノってどーゆー神経?心を病んでるだけのコトはあるわ。しかし、悪霊も恐れる存在って…アレが聖霊って奴?」
「ううん。聖霊じゃなくて精霊ね。例えば"ランプの精"みたいな…敢えて逝えば"アキバの精"ってトコロ?」
やれやれ。僕の前カノは"アキバの精"かw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
続いて…霊的存在と逝えばエアリだ。
何たって、彼女は妖精なんだからねw
「しかし…ブルスのギタープレイに見惚れて悪魔に遅れを取った妖精って、如何なモノかなw」
「だって!彼ったら80年代の彼そのモノだったのょ?あの全てが輝いて流線型だった80年代ょ?」
「やれやれ。でも、魔法陣がちょっち遅けりゃ全員戦死だったンだぜ。勘弁してくれょ」
「だから!私は、テリィたんの命を救った妖精でしょ?そして、テリィたんは、私が気弱になった時に近くにいてくれた、初めての人類。そして、私の初めての…」
「あのさー。僕達って、前に愛し合ったっけ?確かに君は逝ったが、僕は…」
すると、彼女は艶然と微笑み小首を傾げる。二の句を継ごうと焦る僕を余裕綽々遮って。
「私、良かった?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そして、エリスが前カノだとすると、初代元カノ?とでも呼ぶべきシホリン。
僕が小学校時代に見初めた?彼女は"王立図書館"で超古代文献を読み漁り、とんでもないマッドサイエンティストとなってしまうw
そして、彼女は…今も行方不明←
「神田の古書店爆破の件は、警察は借金絡みと見てるが、いくつかの亡命者系のブログが政治的暗殺ではナイかと指摘をしてる」
「アレが政治絡みのハズがない。政治的暗殺にしては雑過ぎるでしょ」
「彼女の"血清"が新型ウィルスの"第2ステージ"を阻止した。結果、彼女は現指導部の標的となり、ソレにWMOが手を貸したと逝うストーリーみたいょ」
「WMOは、学術の多様性保護、つまり異端を許容する国際的な気運の高まりを受けて設立された組織だ。ソコに悪意はナイ」
「ガン細胞にも悪意はナイわ?」
「え?マッドサイエンティストをガン扱いかょ?」
「うふふ。この比喩には御不満ね。あ、テリィたんはWMOのファイルも読んだモノね。だから、怒ってるの?」
「怒っちゃいないさ。でも、混乱はしてる。誰にも義理なんか無いのに」
「ソレは、テリィたんがヲタクだから。世界は、過去に過ちを犯した。だから、その償いはみんなでしましょ。テリィたんだけが背追い込んではダメ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
最後は…もちろん、ミユリさんだ。
今回もムーンライトセレナーダーのコスプレ(バンギャじゃなかったw)で駆けつけ、必殺技"稲妻キネシス"で電力復旧の大活躍だ。
ムーンライトセレナーダーは戦隊モノの悪の女幹部で発電器官を持つ特殊人類との設定w
「テリィ様には、引きつけられます。貴方は重力。そして、その重力に引かれて私は良い軌道に乗れる。だから、このママ、私を楽しく引きずり続けてくださいね」
「僕達コンビは、今また解決を目前にしている。これぞ名コンビと逝うモノだ。僕は、ミユリさんとの日々を"壮大な実験"と呼びたくなる時がある。そして、その実験が実証したコトは…僕自身は変われる、と逝う驚きの事実だ」
「テリィ様が変わる?まさか!テリィ様こそ永遠のヲタクそのモノですょ?」
「だから!コレからも僕は変わるのさ。僕達コンビのために。そして、ミユリさんのために。コレからも僕と一緒に居てくれ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
と、逝うワケで…
エアリがメイド服を着てくれて今宵僕は大好きメイド女子3名に囲まれてるw
場所は、昭和通りから雑居ビル2Fにある御屋敷へと上がる外階段の踊り場だ。
「こんなトコロで三密?」
「うーん。でも、コレって最早宅呑みではナイかしら?ウチはカフェだから第1ステップでopenだけど…ミユリさんのトコロは"接待を伴うバー"だモノね」
「今宵は、別に御屋敷を開けたワケではありませんから」
「そうそう!僕が想うにココは"アキバで1番のオリジナルカクテル"が宅配で飲める唯一の場所なんだ。あ、別に録音とかしてないから」
「うふふ。テリィたんは、そんなコトはしないでしょ?紳士だから」
「今度の人類って、お金や肩書で何でも解決出来る社会を目指してるって思ったけど。確かに、ソレがみんなが発明した資本主義なのかもしれないけど…でもヲタクって、も少し複雑ょね」
「貴女も?複雑?」
「私は、生まれついての妖精だから」
妖精だから…何なのだろう?
「シホリンは、どうなるの?」
「WMOが偽装死を請け負った。電気街口の爆発で発見された死体は、シホリンと同じ背格好で彼女の所持品を身につけてる…そもそも、焼けて細かな判別とか不可能ナンだけど」
「でもそれじゃ…もうシホリンさんは何処にもいられないってコト?中華な連中の目の届かない…火星にでも住むしかナイの?ソレも永遠に」
「ごめんね、テリィたん。貴方と私とで解決出来たカモしれなかったけど、妖精って実はトロくて…」
「確かに解決出来たカモだけど、ソレは間違いなく容易ではなかったと思う」
エリスが背筋を伸ばし僕を直視w
「あのね。ラッツはヲタクの代名詞なの」
「そして、テリィ様はアキバの代名詞なのです」
「だから、テリィたんは、もっと私達メイドを信じなきゃ」
さらにエアリが畳み掛けてくるw
「テリィたん。コロヌに叶わない夢を見たコトあるかって聞かれてたでしょ?」
「あら。何て答えたの?ラッツ」
「…その夢を私達メイドのために追ってくださいますか?」
「うーん。この自己陶酔屋さん達め。やっぱり、僕は君達が大好きだな」
「私達もょ」
ドサクサ紛れに3人のメイドとハグ。
「愛してるわテリィたん。そして、みんなも。このアキバの日々は、私の宝物ょ」
おしまい
今回は海外ドラマでよくモチーフになる"悪魔祓い"をネタに、悪霊に取り憑かれた国際マッドサイエンティスト機関のエージェント、異次元図書館の管理妖精や主人公のスピリチュアルな前カノなどが登場しました。
オカルト系の海外ドラマで見かける悪霊ハンティングをコロナ解除前後の秋葉原に当てはめて展開しています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。