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人機のアストライア  作者: 橘 雪
Prologue 『電脳兵士と電脳少女』
3/121

3: S1Prologue-3 バトルワーカー

3話へようこそ

ようやく『人機』の要素、その一端をご説明できます

お楽しみ頂ければ幸いです

『それ』の登場は常識を変えた


『それ』の名は『フレームワーカー』

太陽系大戦の前、作業用重機として開発された大型の人型重機だ

全高6から8メートル程度で、動きこそそこまで早くはないが数トンの重さを軽々持ち上げるパワーを誇る

その上ある程度なら細かい作業もできた

最初は地球上で投入され、それまでの土木作業の常識を破壊してみせたのだ

土木作業だけでなく、建築や建造作業にもフレームワーカーは重宝された

一瞬のうちに他の作業用重機はフレームワーカーに取って代わり、フレームワーカーの操縦免許保有者は凄まじい人気を誇った

フレームワーカーの一般化から10年もする頃にはどこの作業現場に行ってもフレームワーカーと生身の作業員の共同作業が見られるようになったほどだ


そして、フレームワーカーは宇宙空間でも使えるように改造されていった

コロニーの建設にも大きな貢献を見せた

フレームワーカーの宇宙進出でコロニーの数が一気に増えたのは最早言うまでもないことだろう

火星、金星でもそれは同じことだった


後に太陽系大戦が起きるとそれらは新たな役割を与えられた

...フレームワーカーが巨大な鉄塊を振り回しながら歩くだけで既存の歩兵、兵器には大きな脅威となったのだ

地上戦はまだ良かった

フレームワーカーは作業用重機であるからして、地上用フレームワーカーのその外殻は装甲と呼べるほどの強度はなかった

だから、既存兵器で対抗ができた


悲惨だったのは宇宙空間だった

宇宙には取り回しの悪い航宙艦しかなかった

真空の宇宙空間で、あらゆる事故、スペースデブリに備えるべく、地上用より遥かに強固な外殻...装甲をもつフレームワーカー達はその装甲を頼りに、航宙艦へ迫った

そして、それぞれが手にした獲物を存分に振るった

...そして、ついにはコロニーへも。


フレームワーカーの兵器転用

それは人類が共通して見いだしてしまった道だった


そして、太陽系大戦が終息し...人類は暗黒の時代を生き延びた

その中でも、フレームワーカーは数を減らした人類の貴重な労働力として受け継がれ続けた



世界が形を変え、復興した時、兵器転用されていたフレームワーカー達は新たな道を人類によって拓かれる


そう、軍用人型機動兵器『バトルワーカー』の誕生である

あくまで重機に過ぎないフレームワーカーと違い、バトルワーカーは設計段階で既に兵器として開発されたのだ

ただそのパワーの限り暴れるのでなく、様々な武器を手に戦う兵器として

バトルワーカー、言うなれば、それは巨大な歩兵だった


しかし、大戦の記憶が受け継がれる人類にその全力をはっきりさせるような気はなく、バトルワーカーがバトルワーカーとして使われるようなことはなかった

結局のところ、バトルワーカーは通常のフレームワーカーより高級な、よりパワーがあり、そしてより繊細な作業のできるフレームワーカーとして扱われることとなったのだ


それでも、ESFもCAUもバトルワーカーとしての開発を止めることはなかった

様々な機体、兵器を開発し続けた

それが、使われないことを祈りながらという、矛盾を孕んだまま...




西暦3000年代、ESFとCAUのバトルワーカーはそれぞれ第三世代型と呼ばれていた



ESF軍第三世代制式採用バトルワーカー

『FW3-09N ネアス・アドニス』


3000年代現在のあらゆるESFバトルワーカーの祖となった『ネアス・アドニス』は2800〜900年代後期のESFの技術の粋を集めた量産機である

『ネアス・アドニス』は機体そのものに固有武装を設けず、代わりに多数のアタッチメント・ハードポイントを設けることで豊富な拡張性を確保している汎用機である

そのため、武装は手持ち式の火器やアタッチメント式の物に頼っている


最も標準的な武装パターンである『FW3-98-TA ネアス・アドニス タイプアルファ』はESF軍規格のバトルワーカー用『27mmライフル』『強化鋼製3m長ロングソード』『強化鋼製シールド』で構成されている


また、主な機体構成、装備は以下の通りである

・装甲材 : 強化鋼、高柔軟強化セラミックス

・出力系 : 熱核融合エンジン

・推進系 : エンジン直結プラズマジェット

・光学系 : 頭部メインカメラ、光学補正機



CAU軍第三世代制式採用バトルワーカー

『UF3G-07L ライラ・ジーナ』


3000年代のCAU軍で最も標準的なバトルワーカーである『ライラ・ジーナ』は2900年代末期に開発されたCAUの現行技術における傑作量産機である

『ライラ・ジーナ』はこの機体を象徴する『モジュールフレーム・システム』、通称MFSに基づき設計されている

MFSは機体の各部をモジュールとして製造し、用途、パイロットの好みに合わせ組み替えることで高い状況適応力を実現している


標準製造規格である『UF3G-93L-Mα ライラ・ジーナ モデルアルファ』は装甲、機動性のバランスに優れる『アルファフレーム』で全身を構成しており、武装はCAU軍の制式規格バトルワーカー用『40mmロングライフル』『カイパタイト製2.5m長ショートソード』『カイパタイト製ショートシールド』を装備している


また、主な機体構成、装備は以下の通りである

・装甲材 : カイパタイト合金、超高密度カーボンファイバー

・出力系 : エッカート(Eckert)-ウェルティ(Welty)・エジタイト(Edgetite)α反応炉

・推進系 : EWEβ反応スラスター

・光学系 : 頭部メインカメラ、光学補正機、補助スコープ


・補足 : エッカート-ウェルティ・エジタイト反応について

太陽系外縁部で発見された新種鉱物である『エジタイト』を研究中に発見された反応群の総称である

通称は『EWE反応』

命名に際しては研究チームを率いていたエッカート博士、及び新種鉱物学の最高権威とされるウェルティ博士の名前を冠している


アルファ群と呼ばれる反応は、一般的なジェネレーターのように電力としてそのエネルギーを取り出せるものとなっている

ベータ群として呼ばれる反応は、反応による作用を指向性を持たせて放出することで推進剤として利用できるものである


他にも多数、反応は発見されているがバトルワーカー用でない物が多数のため本項では割愛とする

プロローグは次で終わりとなります

是非、今後もお読み頂ければ幸いです


また、感想、評価等が次話への励みとなりますので是非ともお願い申し上げます

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