17: EP2-5 日常: ローランド・エリソン/ディケ
17話へようこそ
日常...しかして、それは問いである。
西暦3020年2月某日、協定宇宙時1500
海王星近傍、海王星近傍コロニー002
セイバー連隊、第1艦隊有気ドック、バトルワーカーハンガー
セイバー第1バトルワーカー大隊に割り当てられたハンガーの一角、そのバトルワーカーのうちの一機...ライブラに彼らはいた
「...で、だ。 大したことじゃないが聞きたいことがある。」
『何でしょうか、エリソン。』
一方はローランド・エリソン
そしてもう一方は彼のバトルワーカーに搭載されたAIであるディケだ
「いや、こんなことを聞くのもおかしいかもしれないんだが...ディケに性別の概念はあるのか?」
そもそもAIにあるのか? という問いでもある
『性別、ですか? あると言えばあります。 私は女性として作られました。 そういえば見せていませんでしたね。 ええと...』
一瞬コックピットのモニターが明滅したかと思うと、ローランドの目の前に人型が形どられていく
「...は?」
その人型が完成した姿を見たローランドは妙な声をあげる
『んんっ... どうですか、エリソン。 一応こうやって... エリソン?』
コックピット内に現れたその人型がローランドの顔の前で手を振る
『...エリソン...? これ気絶してませんか...?』
「...はっ、俺は一体...」
『おはようございます。 エリソン、大丈夫ですか?』
「だ...」
『だ?』
「誰だお前!?」
『え』
「なるほど、そういうことか。」
数刻の後、ローランドが平静を取り戻す
『そうです。 一応これが私の仮想アバターですよ。 意外でしたか?』
「ま、意外っちゃ意外だな。 もっと大人な感じだと思ってた。」
ディケがコックピット内にしたこと
それは、ディケ本人の仮想アバターをホログラム表示したことだった
黒髪黒目の少女、それが彼女の姿だった
見た目には15,6歳程度だろうか? とローランドは思う
身長は160センチぐらいで、髪はショート、ついでにスクエアタイプの眼鏡と幼くも理知的にも見える
『そんなイメージでしたか。 まぁ、私にとって姿は関係ありません。 任務を果たすことができるのならどういう形でも構いませんから。』
「そういうものなのか?」
『えぇ、そういうものです。』
このAIは謎が多い
未だに誰が彼女を作ったのかは知れず、彼女もそれを語ろうとはしない
...不思議な点がもう1つある
何故、ローランドはそんな存在を謎のままに、ある程度の信頼とも言える形を取っているのだろうか?