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人機のアストライア  作者: 橘 雪
EP2 『流転する形勢』
16/121

16: EP2-4 日常: ローランド・エリソン/シンシア・エルズバーグ

16話へようこそ


ここからは少々彼らの日常を。

西暦3020年2月某日、協定宇宙時(STC)1000

海王星(ネプチューン)近傍、海王星近傍コロニー(NPC)002

セイバー技術研究所



「シンシア、ちょっといいか?」

「ん、どうしたのローランド?」


彼らはその日、セイバー技術研究所にいた


「ちょっとこれを見てほしいんだ。」

「えーと...」


ローランドがシンシアにデータパッドを見せる


「んー... 右膝のモータの動作が遅い?」

「やっぱりそうだよな。 昨日から少しズレると思ってさっき自己診断したんだ。 調整頼めるか?」

「分かった。 今から準備するよ。」

「助かるぜ、シンシア。」


ローランドの義体は未だ度々メンテナンスをしており、細かい不備が起きることはしばしばであった

それでも、初期よりは安定しているのも事実である

とはいえ、概ね良好であるのもまた事情である



ローランドの義体、その足のカバーを開け何やらガチャガチャと弄り回すシンシア

それにローランドがふと零す


「しっかし、いつ見ても何やってるか分からないな。 自分の身体だってのによ。」

「意外と簡単だよ? まぁ、自分でやるのは難しいかもしれないけどね。」

「そりゃあな。 背中が痒い時ほど困ることもそうはない...とは言っても、俺はそういうのはもうないんだけどな。」


ローランドが苦笑しながら言った

実際その通りであり、義体のローランドには『人間らしい』悩みは少なくなっていた

それは便利ではあると同時に、少し物足りないような、寂しいような感覚をローランドに与えているようだった


「ところでシンシア、最近どうだ?」

「最近? まぁ...ぼちぼち、かな。」


ローランドの言う「どうだ」とはつまるところ、彼の義体の開発状況のことだ

シンシアのチームはセイバー技術研究所で常に開発を続けていた

基礎機能の改良、新機能の追加...彼らの役目は常に進歩し続けることだった


「あ、でもあれだ。 ローランドにはあんま関係ないかもだけども...」

「うん?」

「ええと、ENIの一般実用化の案があるんだ。 ローランドのおかげで実践データも集まっててさ。 事故とか、病気で手足なくなった人とかに使えないかって。」

「あぁ...なるほどな。 そりゃいいな、平和利用なら世間も大歓迎だろうな。」

「うん。 まぁまだ、案だけどさ。」

「案か。 実ればいいな。」



その後も取り留めのない会話は続く

日常とは得てして、このようなものであろう

これは戦乱の隙間、その僅かな憩いの時であった


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