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人機のアストライア  作者: 橘 雪
EP2 『流転する形勢』

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13/126

13: EP2-1 『流転する形勢』イントロダクション

13話へようこそ


つかの間の平穏、仮初の日常。

『形勢は流転する。 ...故に、私たちは臨機応変に対応せねばならない。 さぁ、これからが本番だ。』

[編集済]



EP2:『流転する形勢』

-Flux tide-






西暦3020年1月18日、協定宇宙時(STC)1000

海王星(ネプチューン)近傍、海王星近傍コロニー(NPC)002

コロニー後部、セイバー連隊有気ドック



あれから約1ヶ月

情勢は平行線を辿っていた


先の戦いで大打撃を受けたセイバー連隊第1艦隊、そして正規軍第1、第2、第3艦隊は未だ艦隊の再建真っ只中だった


対するESFもNPC002攻防戦、ESF軍が言うところの『ヘッドハンター作戦』の失敗による被害は甚大であり、その中軸であった火星圏ESF艦隊はその傷を癒すのに精一杯であった



さて、ここはNPC002内部、その後部にある有気ドック、つまり生身で活動できるセイバーの艦隊ドックだ

サイラスはここでとある人物と出会っていた



「よう、エンスウェン。 直接会うのは久しぶりだな。」

「あぁ、サイラス元帥も健勝そうで何よりだ。」


その人物は、見た目20代でありながら、身に纏う軍服の胸には中将を表すバッジが光る

そして特徴的な七三分けとも言える髪型の茶髪、緑の眼

そう、セイバー第3艦隊、その艦隊長『オルグ・C・エンスウェン』だ

サイラスとエンスウェンは言葉を交わしながら軽いハグをする


「ところで...マルコシアスはどこだ?」

「リグなら今...あぁ、いたぞ。」


そう言ってエンスウェンが視線を向けた先には並び歩きながら2人に近づく男女がいた

そして近くまで来ると女、エル・シオンハートが口を開く


「あぁ、悪い、もしかしてマルコシアスを探してたのか?」

「いや、構わないぞ。 マルコシアスもパイロット同士のがいいだろ?」


そうサイラスが話しかけた男

キリと糊のきいたCAU軍制服に身を包む黒髪青眼のその人物こそ、セイバー第3バトルワーカー大隊、大隊長『リグ・マルコシアス』である


「申し訳ない、こちらに来る途中でシオンハート嬢と会ってな。」

「サイラスとエンスウェンのところに行く途中だとは思わなくてな。 通信では話してたが、直接会っていなかったからな。」


表情を締めたまま謝罪するマルコシアスに対し、シオンハートの振る舞いは飄々としているように見えた


「気にするな、な、エンスウェン。」

「もちろんだ。」


それにサイラス、エンスウェンが軽く応じる


さて、第3艦隊のトップ2である彼らがここにいる理由

それは、第2艦隊が木星圏に撤収するにあたり、代わりの戦力として第3艦隊が入るからだ


第2艦隊はこの1ヶ月、その独自の成果を司令部、そして技術研究所と共有しあっていた

結果として、複数の新兵器、戦術が考案され、第1艦隊はこれを盛り込み再建を図っていた

しかしながら、第2艦隊旗艦、そして艦隊長、大隊長がこれ以上の長期本隊より離れているわけにもいかず、一旦帰還する運びとなったのだ


「さてと...それじゃ私はもう行く、サイラス、エンスウェン、邪魔して悪かった。」

「だから気にしてないさ、シオンハート。」


シオンハートが離れていった後、3人も早速とその場から動き出す

第2艦隊からの引き継ぎ他、やるべきことはいくらでもあるからだ




さて、その頃のローランド・エリソンはというと...




「これで終いか?」

『みたいだな、ローランド。』

「了解、後続が来たら撤退するか。」


彼が今いるのは海王星─天王星中間宙域

ここ1ヶ月で急激に活動が激化したテロ集団『バルザーク宙賊団』の拠点の1つであった

『バルザーク宙賊団』は数年前に1度セイバー連隊第2艦隊による総攻撃で壊滅し、その活動は確認されていなかった

しかし、水面下でその活動は続いていたようであり、NPC002攻防戦、CAU呼称『ラストライン即応作戦』の直後より表舞台での活動が再開した


ところでワープドライブのような手段がありながら何故宙賊などという存在がいるのか

それは単純な話であり、ワープドライブが初期投資、運用コスト共に一般民間企業が用いるものとしては高価すぎるだけだ

故に、ワープドライブを搭載しない商船は通常航法─と言ってもCAU領内でもかかって数日だが─を用いるため、宙賊に襲われるリスクがあるということだ

もちろん、民間企業でも資金力のある大企業などは独自のワープドライブ船を用い、長距離ワープドライブ船のターミナル間を航行し安全を確保している


CAU正規軍も惑星間宙域の警戒は厳にしているが、やはり限界もある

それに、ある程度大規模な犯罪組織になれば正規軍では荷が重い

だからこそ、セイバーがいるのだ


「ディケ、スキャンはどうだ?」

『お待ちください... 周辺異常なし。 確かに間違いなく敵を殲滅しました。』

「了解だ。」


ローランドはセイバーの日常業務である、犯罪組織鎮圧の日々を過ごしていた

ローランドとその機体、『JBW-02 ライブラ』は黒い機体に白い発光ラインの見た目から『モノトーン』の名で犯罪組織間では恐れられていた


『...おや? エリソン、近くに民間船を確認しました。 識別コード、ESA... エルフィンストーン・アライアンス所属船です。』

「エルフィンストーン? またなんでそんなんが?」


『エルフィンストーン・アライアンス』

それは、CAU最大規模の複合企業体だ

一代で会社をCAUなら誰もが知る大企業へと成長させた敏腕女CEO『エルフィンストーン・グレイス』が率いていて、その業種は1次産業から3次産業、更には安全保障などの分野でもその名は知られている


『ローランド、そっちも確認してるだろうが、エルフィンストーンの船団だ。 こっちに向かってきてるが、見たところ...商船と護衛の駆逐艦クラスだな。』

「商船ねぇ。 一体こんなところに何の用だ?」

『さぁな。 ま、わざわざ俺らに撃ってはこないだろう。』

「フラグに聞こえること言うなよ。 ...ディケ、大丈夫そうか?」


ローランドは僚機の分隊員『アレックス・ダンヒル』と通信で話した直後、通信を切ってディケへと話しかける


『エルフィンストーン艦の武装システムはオフラインのようです。』

「ならいい。」


そして距離が一定を切ったところでダンヒルが通信を開く


『こちらに接近中のエルフィンストーン船団へ。 こちらはセイバー連隊第1艦隊所属バトルワーカーだ。 この宙域は準戦闘体制だ。 即座の退去を推奨する。』


それにエルフィンストーン船団が応じる


『あら、これは失礼したね。 戦闘が見えたから応援に...と思ったけどセイバーだったなんて。』


オレンジ色のショートヘア、大きな金色にも近い眼、快活そうな印象、そして美少女と見まごうほどの若さ、そして美貌

通信に映ったその人物、それは彼らにとって見覚えのあるものだった


『...は? エルフィンストーン・グレイス?』

『あれ、そんな驚くような...ことか。 そりゃそうか。』


敏腕女CEOと聞いて真っ先にイメージされるのはやはりクールで冷徹なイメージだろうか?

しかし、このエルフィンストーン・グレイスには当てはまらない

彼女の口調は...例えるなら、セイバー第2艦隊のあのバトルワーカー大隊長、だろうか


そして、何故こんなところにいるのか、という疑問は当然のものだ


『んま、うち(エルフィンストーン)も色々あってね。 余計な詮索はお互いしない、そうでしょ?』

『...そうだな。 協力を申し出ようとしてくれたことは感謝する。 だが、あくまで貴女らエルフィンストーン・アライアンスは民間企業だ。 荒事は我々軍に任せておくように。』

『はいはい了解。 それじゃ、私たちは失礼しよう。 艦隊、回頭!』


ローランド達はそれからようやく一息つく

...なんだったんだ、アレ、とため息をついたとも言えるのだが






『それで、副局長。 艦隊長は...』

『艦隊長...あぁ、パーシヴァルのことか?』

『はい。』

『...相変わらずだ。 いくら代理がいても彼には...パーシヴァルには適わない。 知っての通り、フリートの稼働率は70%程度だ。』

『そうですか。 ...まぁ、私に出来ることは機動兵器の操縦だけです。 それ以上でも以下でもありません。』

『...ローランド・エリソンのことはしっかりな。 私達の技術だからそう失敗はないだろうが、ディケ、お前という補佐があればより強くなる。』

『了解、グローリア副局長。』






エルフィンストーン船団との邂逅の後、任務を終えたローランドは母艦である『パルテア級BW(バトルワーカー)輸送艦ケイズ』に帰投する


『パルテア級BW輸送艦』はCAUで最も標準的なBW分隊輸送艦であり、1分隊分のバトルワーカー6機に加え予備の1つの計7機分のハンガー、そして分隊8人分と運用スタッフ分の生活空間を備えている


「ようローランド、お疲れさん。」

「おうマイルズ。 いつも通り頼むぞ。」

「もちろんだ。 ま、専属のアイツらに細かいところは任せっきりだけどな。」


ローランドのセイバーでの友人の1人、マイルズ・イーストンは先の戦い以降、再編された分隊でローランドと合流していた


なお、この分隊はローランド・エリソンという特異な存在を鑑み、通常よりもパイロット以外の人員が増員されている

ローランドの機体『JBW-02 ライブラ』そしてそのAIである『ディケ』の運用チームだというグローリアを中心とした技術研究所のメンバー、そしてENI開発主任のシンシア・エルズバーグが主な増員されている人員だ


「ローランド・エリソン。」

「あぁグローリア、なんだ?」

「長らく待たせてしまったが、JBW-SW1の再調整プランが出来上がった。 想定ではリアクター消費を20%、射撃後の再チャージが15%短縮できる。」

「そりゃいいな。 確か次の任務までは時間があったはずだな... 頼んでいいか?」

「もちろんだ。 我々はそのためにいる。」


グローリアは素性に不明な点が多い

未だ周囲にグローリアとしか名乗らず、年齢や出身も一切が分かっていない

ローランドが以前にそのことをシオンハート特務准将に問い合せたが、機密事項だ、との回答以外はなかった


「やっほーローランド。 調子は?」

「絶好調でもないが快調だな。」

「ならよかった。 技術研究所のチームが色々改善案は考えてるんだけど... 何か実際にやってて不都合は?」

「そうだな... あぁ、前に目のズームはつけたんだが...あれからたまに欲しいと思うのがサーマルビジョンだな。」

「サーマルかぁ。 分かった、今度NPC002に戻ったら意見として上げてみるよ。」

「ありがとな、シンシア。」



概ね、彼らの日常はまさに『いつも通り』だった


...そう、戦時中だと言うのに、だ


しかして、形勢は流転し続ける

いつまでもこの日常は続くわけがないのだ




...私無しに、続くわけなど、ないのだからね。

















































「何の用だ、エルフィンストーン。 バーディクトに与するお前がどうしてここに来る。」

「いや...何、どうしてって...君こそいつまで何のつもりでそうしてるつもり?」

「ふん...何とでも言え。 お前に私の心情など分かるまい。」

「そう... まぁ、また来るよ、艦隊長サマ。」

「勝手にしろ。」

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