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人機のアストライア  作者: 橘 雪
Prologue 『電脳兵士と電脳少女』
1/121

1: S1Prologue-1 プロローグ

本作は皆様の応援、感想、評価、ブックマークにより運営されております

どうぞ軽率に各種行ってくださいませ


まずはここから『2: S1Prologue-3 バトルワーカー』までお読みくださいますと大変幸いです

「ミッチェル、急に呼び立ててすまないな。」

「それは構いません、エイベル情報部長。 それより、その急に呼び立てるほどの用事とは?」

「あぁ。 今から話すのは確定情報だ。 ...奴ら...デイモスが動いた。 我が情報部の観測チームが奴らの艦隊のそちらへの強行ジャンプを確認した。 即座に戦闘部のフリートがスクランブル迎撃を仕掛けたが3割強を取り逃した。 完全に逃げに入られていたらしい。 情報では一部の敵艦が旗艦らしき艦を身を呈して防衛していたそうだ。」

「...つまり、旗艦がこちらへ?」

「そうだ。 7割も撃沈されてなお無事に到達させるほどの過剰なまでの防衛戦力...恐らく、72柱の1人ないし複数が乗っていたと見て間違いない。 その後の動向も巧妙な偽装、ジャミングで追いきれなかったが...恐らくESFだろう。」

「...我々がCAUにいるのが知られていると?」

「今までの例ならな。」

「了解...ESFの動向に警戒します。」

「あぁ、すまないな。 総帥も今回のインシデントには注意を払っている。 クラスB権限解放は既に準備されている。 場合によってはクラスAの限定解放もだ。」

「...助かります、エイベル情報部長。」

「礼には及ばないさ。」











『隊長、ダメだ! 完全に囲まれた! 敵バトルワーカー多数、数えきれない!』

「狼狽えるな! いくら数がいてもこれだけ広く展開しているなら穴か薄い所が絶対にある! そこを全員で一点突破する! 各自背中を守りつつ機を窺うんだ!」


そうは言ったはいいが...さて。

状況は詰みだろう。

近くの艦隊に救難要請はした。

それまで持ち堪えられるかどうか、だろうな。

尤も、20分はかかるだろうが...


「パスカル、どうだ!」

『やれるだけやってみる、だが過信はするなよ、あくまで試作装備だ。 よりにもよってなんで俺らに...』


パスカルなら、奴の機体なら、今日の装備は特別だ。

並の敵になら...


『なんだコイツ! 早す──

『おい嘘だろ一発で!?』

「早まるな! 敵の思う壷だ!」

『うわああああ──



あぁ、だが、間違いなく、これは並の敵じゃない。

...ここまでか。

だが艦隊が到着すれば数で...


「聞け! ここで散るのは最早定めだろう! なればこそ、一矢報いて散ってやろう!」


直後、何かが自分の機体を貫くのを感じた気がした。

...どうせ何をしようが、ここで死ぬ俺には最早関係のないこと...だが...






時は西暦3000年代...


人類はその版図を太陽系全体へと広げていた


人類が母なる地球から飛び立ち、遠く宇宙へと広がっていくと共に、かつて世界と呼ばれていたモノは大きく姿を変えた


かつての国家の枠組みは打ち破られ、今や太陽系は2つの巨大勢力が覇権を争う場となっていた



片や、地球を本拠地と定め、水星圏から火星圏を影響圏とする『地球主権連盟(Earth Sovereignty Federation)』、通称"ESF"

彼らは宇宙へ飛び立てども、地球こそがあらゆる人類の故郷であり、聖地であると声高に主張してやまない

そして、その聖地を、地球を抱く自分達がこそ太陽系の支配者に相応しいのだと



片や、海王星圏に本拠地となるスペースコロニーを置き、それを本拠地とし、木星圏から太陽系外縁天体系を影響圏とする『コロニー協定連合体(Colony Agreement Union)』、通称"CAU"

彼らは人類は宇宙へと飛び立つことで次のステージに進んだ、だからこそ最前線にいる自分達がその先を主導していくに相応しいと言う

地球などという古い枠組みに拘っているようでは人類の進歩は望めないのだと




人類は宇宙に飛び立つにあたり、最初に月の表面に基地を作った

次に火星、金星へと歩みを進めていった


そして、人類はより遠い地へと手を伸ばすために...スペースコロニーを作り上げた

国と国の垣根などというものすら乗り越え、西側も東側も関係ないと、人類は手を取りあった

その果てに、人類はスペースコロニーをいくつも、いくつも作り上げた


次第に人類は木星より先への宇宙へと飛び立っていったのだった



...しかし、人類は血塗られた歴史からは逃れられなかった


新たな地、そこでは当然新たな発見もある

それを巡り、対立は激化していった


人類は...宇宙という広い"海"を戦うためにか、艦を宇宙に上げる選択をした



そして


後に、太陽系大戦(SystemWar)と呼ばれる戦いが起きた


最初は火星と木星の間、小惑星帯を舞台にした小規模な小競り合い程度だった

西側陣営と東側陣営の航宙艦隊が衝突を起こした

今となっては何が原因だったのかハッキリとしないが、恐らくは小惑星帯の資源を巡ったものだったのだろう


ともかく、最初のこの激突を経て、人類は太陽系のあらゆる場所で宇宙戦争を始めた

...始めてしまったのだ


いくつもの航宙艦が沈んだ

いくつもの軍事基地が灰となった

そして、それだけに飽き足らず、民間人の暮らす惑星地表の都市、それにスペースコロニーすらもが狙われた



この戦いによる被害はあまりにも大きかった

スペースコロニーの数は最盛期の半分にまで減り、人口も相応が減った

この頃には既に金星、火星はテラフォーミングされ、生物の住める地となっていたが、そこには惨劇が降り注いだ

惑星近傍、惑星軌道上で撃沈した航宙艦が巨大な隕石となって、降り注いだ

...そして、それは地球も例外ではなかった




この戦争を生き抜いた人類は散り散りとなっていった

惨劇で荒廃した地球で生き延びた者

遥か遠く、海王星圏の残ったコロニーで生き延びた者

そこには西側も東側もない

ただ、生き延びるためだけに人種、民族、差別、被差別...ともかく思いつく限りあらゆる全ての垣根を越え、手を取りあう人類があった


それから、長い時間の後に、彼らの子孫が文明を再興させた

人類は、もう一度立ち上がった

互いの主張をぶつけつつも、衝突には至らないように互いに自制しあった


そうして、人類は新時代の平和を享受していた




していた、はずだった










「何? 正規軍部隊がデイモスらしきバトルワーカー部隊に襲撃された!? おいミッチェル! 緊急事態だ! 本部に連絡してくれ! ...おいなんだって? 襲撃された部隊に生き残りがいる!? シーラ! ESSの標準省に今すぐ掛けあえ! その生き残りを何としても確保するぞ!」




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