━━━混沌と絶望の狭間で━━━
枝を折るような音を聞いた彼は、薄い布で出来た毛布をはねのけて、隣で寝ている妹を起こし、家の外へ出た。荒れ狂う大地。恐怖に覆いつくされた市民の断末魔。最初に目に見えたものは皮肉にもどこかで見た不死鳥が産まれ落ちてきた時のような炎に包まれた光景だった━━。
「全く、いつも通り床は冷たいなぁ」
彼、"カルマス・ビード"は、慣れ親しんだような冷たい床。というか、牢獄でいつも通り月夜を見ていた。
彼は村から逃げれた唯一の人間ともあって、移り住んだ王国でもずっと、村を襲ったあの化け物━━姿形は人間だが━━と共犯ではないかと疑われていた。彼は床に拳を打ち付けて毎日のように世界を恨み泣く日々を過ごしていた。そう。妹を目の前で殺されて絶望した頃から、彼はとてつもなく性格を一変させ、何時しか周りとコミュニケーションなど一切しない人間へと変わってしまった。
牢獄へ入れられたのもその冷たい態度もあってだろうと彼は考えたが、今となってはどうでもよかった。なぜなら彼は今日が刑の実行日であり、どちらにしろ死ぬ運命だ。
いや、むしろ彼は死ぬことを喜んですらいた。こんな絶望するばかりの世界に彼は、もう生きている価値など妹を殺された日からとうに消えている。そう考えていると、自分では開けられないと諦めている棍棒のように太い鉄の棒の間から、全身を銀の鎧に包んだ者がガシャリ、ガシャリと音を立ててこちらへ来る。
「………おい。出てこい。」
「解ってるよ。兵士様。」
と、連れられた先で何が起きるかが目に見えているカルマスは、堅牢な牢を開けてもらい心が弾んだのもつかの間、兵士の腰についている剣を見ると本来の目的へ目を向ける。不思議と彼は刑の執行に恐怖など抱かなかった。
やっとこの地獄から抜けられると思っている彼は、兵士に連れられ断頭台へとよろよろと向かっていった。周りの市民たちは、殺せ。あんなやつに生きる価値などない。と叫んでいる人や、泣いて訴える人と多種多様にいる。
兵士はその感情の無さそうな顔を一瞬こちらに向け、また市民たちへと向けると、目が覚めるような声で静まるよう促す。市民たちは感情を抑え、こちらをみるのを確認した兵士と執行者は静かに前に歩みだし、カルマスを掲げ喋りだす。
「この者は、村を滅ぼし罪も無き人々を殺し、我々を絶望の淵へと追いやる計画へと荷担した!」
一瞬喋りにくそうにこちらをみると、直ぐに続ける。
「よって、この者を二度と悪事ができないように死刑に処する!」
そして兵士に、ここに立て。と、言われるがままにその場所に立つ。そして、カルマスは自分に覆い被さった濡れ衣を忘れ、妹との幸せな日々を思い出す。あれは後にも先にもない大切な思い出だ。彼は、ゆっくりと目を閉じて刃のついた木の枠へと首を乗せる。そして………。
こんにちは!毎日暇すぎて小説を読み始めたらここまでたどり着いてしまい、毎日が小説三昧の煌蠡やくまです。この字はこうまって呼びます。(質問を先読みするスタイル)
いきなり真面目になりますが、この小説を読んで頂いて有難うございます。これからちょっとネタバレになりますがカルマスは出来るだけこの世で一番不幸にするつもりです………。絶望したことがないのでわかりませんが、そこからどのようにして村を襲った人物へ復讐するのか、そして、誰がどのようにして死の王へとなるのか、などなど様々な疑問が湧く終わり方をしておりますが、気になってる人!ありがたいけどちょっと待ってて!
という事で継ぎはぎになりましたがこのお粗末な小説を見ていただき有難うございます。読者の方には頭が上がりません。質問などありましたらコメントの方でどしどし送っていただけたら幸いです。では、私はこれからコンビニにじゃがりこを買いに行くので、では。(大好物はじゃがりこ)