ブレイク・ザ・ランサー
ジャンは感じとった。
「恐怖」を。自分に襲いかかってくるあの大きな鎌を持った男は恐怖以外の何者でもない。故に、『ゴァァァァァ!』向かっていった。眼の前の恐怖を取り除くために、あの赤黒い大きな鎌を持った男を排除するために。ジャンの攻撃が真介に当たる瞬間、真介は体を少しかがませてジャンの方にダッシュした。次の瞬間、ジャンの攻撃は当たらず、真介の鎌による斬撃が当たりジャンの腕と背中の腕の切り落とされた。そこから血が吹き出してきた。『ウガァァァァァ!』ジャンの体に激痛が走った。普通なら激痛で済まないがそこはほら 化物だから。ジャンは後ろを振り向き真介に近くにあった岩を投げ付けた。真介も後ろを振り向き岩を見た、そして少し口が笑っていた。手に持っていた鎌が形を変え今度は刀になり岩を一刀両断した。その切れ目からジャンが跳んで来た。
そこまで予想してなかった真介はとっさに刀を盾にしようとしたがジャンの方が速く、鋭く長い爪が真介の眼に刺さる直前に響介の放った銃弾がジャンに当たりジャンは横に吹き飛んで行った。『まだまだだな。』『うるせぇ、お、優子ちゃん!大丈夫だった?』優子はクレアを連れて病棟から出て来た。『はい。あのぉ、刀持ってましたっけ?』『ん?あぁこれ?これは俺の血で造った奴だ。』『血!?』そこを響介が説明した。『吸血鬼は訓練をすることで自分の血を思い通り操ることが出来るんだよ、例えば血を刀の形にしたいと念じれば刀になるし、盾にしたいと念じれば盾になる。』『ん〜!』『なぁにやってるの?』『え、だって念じれば思う通りの形になるんでしょ?』『「訓練すれば」って言ったでしようが、すぐには無理だっつうの。』「ドガーンッ!」吹き飛ばされたジャンが三人に、いや、クレアの元に跳んで来た。『クレアニゲヨウ』ジャンはクレアに話しかけたがクレアの応えは
「NO」だった。『ジャン、もうやめよ。こんな事。』『ナゼダ?オレハオマエヲイキカエラセルタメニヤッタノニ、ナゼダァァァァァッ!』響介がその答えを言った。『彼女がそんな事望んじゃいないからだ、お前は彼女が望んでなかった事をしたからだ。』優子は何故か響介の言葉に重みを感じた。まるで昔同じ事をしたから同じ過ちを繰り返さない様止める様な感じを。『ゥオォォォォォッ!』ジャンは自暴自棄になり三人に襲いかかって行った。『・・・真介、一撃で終わらせろ。』『あいよ。』そう言うと真介は左手を前に突き出し構え、右手にはまだ形作ってない血が集まっていた。『ウオォォォォォ!』ジャンが真介の間合いに入った瞬間、『やぁっ!』真介の右手が前に出た瞬間、血は長い槍に形を変え、ジャンの心臓を完全に貫いた。