蜘蛛の正体
小説『蜘蛛の正体』にようこそ。
【この小説は・・・】
「蜘蛛の正体」が「美少年」という噂で、本当にそうなのかを確かめるべく
主人公の 中川 和背が、正体を暴く為、蜘蛛を飼うことになってしまった。
ここまでしか説明は出来ませんが、
本編をお楽しみ下さい。
1『目覚めの朝』
僕は、ベッドから飛び降りての、見事な着地。
そんな僕は、巨大な「蜘蛛」を飼っている。
ただ、蜘蛛が好きという訳ではない。
昨日、蜘蛛の「噂」を聞いて、
気になったからだ。
そう「蜘蛛の正体」だ。
あんな不気味な蜘蛛の「元の姿」が
『美しい「赤い瞳」の美少年』という「噂」だ。
僕は「そんなこと、あり得ないな」と
思いながらも、蜘蛛を飼っている。
そして、その蜘蛛は、既に
全長 3cmにも及んでいる。
僕は、その巨大な蜘蛛を
殺ってしまいたい気持ちしか無かった。
不気味だからだ。
3cmの蜘蛛なんて、人溜まりもない。
僕は、巨大な蜘蛛から逃げるように、
学校に走った。
2『学校』
僕は、歩いて5分、
走って、2分30秒の距離にある
為替遺留旋風大学に通っている。
大学のクラスは、とっても賑やかで、
蜘蛛の事など、忘れてしまうほど。
「あ、おはようだっけ?」
いきなり一人の女の子が僕に挨拶する。
この子は、湯川 未来、
21才。
とても天然。でもって、バカキャラ。
でも、そこが 男子の間で言う、
『かわいい』というやつ。
しかし この子は、いざという時は、
頑張り屋である。
3『昼休み』
昼になった。
「パンでも買ってこようかな」
と思った瞬間。
「和背~ 中川 和背~!」
誰かが 僕を呼ぶ。後ろに振り向くと、そこには、
小学生の時から仲が良かった、
相川 昧。
この子と会ったら、必ず良いことがある。
この子は、僕の事を、中川 和背と呼ぶ。
ていうか、みんなそう呼ぶが。
昧は、僕を見つけると、
ハンターのように手を可愛く振って
走って来る。
仕方ないか、昔から仲良かったから。
「で、何か用かい?」
僕は、昧に やる気はないが聞いた。
「放課後さ、体育館裏来て、話があるの!」
「体育館裏…? OK、分かった。
放課後だね?」
僕は、なぜ呼ばれたのか
分からないまま、体育館裏に向かった。
そこには、言っていた通り、昧がいた。
「ねぇ、話って何?」
僕は、恐る恐る 昧に聞いた。
すると 昧は、衝撃的な事を言い出した。
「中川くん・・・」
「ん? 何?」
「ずっと前からね… えっと…」
昧は、顔が赤くて、モジモジしている。何か言いたい事があるのか?
…ハッ! まさか、告白パターン?!
「中川くん…ずっと前から…
蜘蛛飼ってるでしょ?」
告白じゃないんかい!
なら、そんなモジモジする事ないよ!?
ねぇ!?
「うっ…く…蜘蛛ォ?
飼ってるけど…」
あの3cmの蜘蛛を思い出してしまった。
「その蜘蛛ね…元々は、
私の弟なの!
私の弟が、蜘蛛になっちゃって…
それっきり 帰ってこないなって…
心配してたら…」
蜘蛛の正体は美少年という噂は本当だった。
しかし、その美少年が、
昧の弟だったとは……。
「私の弟の名前は…
明日佳っていうの…」
「そうなんだ。気の毒…だね…」
僕は、昧の話を聞き終わり、家に向かった。
4『夜飯』
僕は、家のベッドに倒れ込む様に、
横になった。
「グゥゥ~~」
お腹の虫が鳴いている。
腹が減ったんだろう。
僕は、台所に行って、
丼を作った。
自分で作った 料理は、
想像以上に美味である。
5『満月の夜』
そう言えば、今日は 満月の夜だったっけ。
まぁ 僕は、満月とか、興味無いんだけど。
僕は、気にせずに
PCをやっていた。
すると…
<カタッ…コトコトッ…>
何かの音が2階から聞こえる。
[終]6『蜘蛛の正体』
僕は、恐る恐る
2階に向かった。
そこには、見たことのない少年が
ただ、立っていた。
「…だ、誰ですか…貴方?!」
僕に気付いた少年は、
そっとこちらを向いた。
その少年は、赤い瞳をしていて、
確かな『美少年』だった。
いや、待てよ・・・?
【回想】
<その蜘蛛ね、元々は
私の弟なの!>
そうか…
貴方が…明日佳さん…なんですね?
蜘蛛の入っていた虫籠は、
空っぽだった。
「何処…?」
明日佳は、僕に涙目で聞いた。
「僕のお姉ちゃん…
昧は何処にいるの…?」
やっぱり、明日佳は、昧の事を覚えていた。
「昧なら、家に居るよ。
君の家に、きっといるから。」
明日佳は、涙を流して
自分の家に帰っていった。
「良かったね、明日佳。」
その日から 僕は、
為替遺留旋風大学を卒業した。
今は、バイトで働いている。
とにかく、忙しい毎日だった。
・・・その頃、僕の家には、
まだ蜘蛛が1匹いるけどね。
読んで頂き、ありがとうございます。
『蜘蛛の正体』は、これで終わりです。
最後まで、読んで頂き、
ありがとうございました!
Thank you so much!