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助平男と彼女

作者: タッセル
掲載日:2026/07/12

挿絵(By みてみん)


「信じられない...!」

雛子(ひなこ)が怒りの形相で、進助(しんすけ)に詰め寄っている。


「あ、いや、これはつい出来心で...」

進助が咄嗟に弁明をしようと思ったが、言い訳が思いつかなかった。


雛子の怒りは収まりそうもない。


見つかったのは、進助が出会い系サイトで会った女性たちを評価して、ランク付けしたリストだった。たしか最低男である。


「このぉ......」


雛子は、怒りの表情のまま部屋から出ていった。派遣の仕事の時間になったのだろう。こういう所はしっかりした女性だった。





進助と雛子が出会ったのは、派遣先で一緒の職場になった時だった。雛子は、前の彼氏に振られたばかりで、ずいぶん憔悴していた。


その時に出会った男が稀代の助平男(すけべいおとこ)、進助だった。雛子は、運が悪かった。


女と出会ったら、その日に即座にホテルへ行くような、とんでもない貞操観の男である。おまけに顔だけは良いものだから、女たちが放っておかない。

彼女である雛子にとっては、たまったものじゃない。


(うーん、流石にこれはやり過ぎだったか)


進助も、少し反省した。リストを見ながら。

雛子が怒ったのは、リストじゃなくて女遊びの方だと思うのだが。


まあ、やってしまったものは仕方ない、と進助は勝手に自分の中で片付けてしまった。


そしてぼんやりテレビを見つめた。





一方、雛子はというと。

進助に軽く扱われた事に腹が経って仕方がなかった。


元彼にメールしたり、職場の男たちと一緒に食事に行ったり、次の男を見つける勢いだ。


(なんだ、私ってモテるじゃない...!)


雛子も、まんざらではない気分だった。実際に、雛子はモテる女性の方だ。


しかし、しばらく色んな男たちと過ごして、雛子は気がついた。


(あれ、みんなブサイク男に見える...)


そう。進助は、顔だけはいい。

雛子は、いつの間にか、顔がいい男と付き合うことに慣れてしまっていたのだ。





「ただいま...」

すっかり元気をなくした様子で、渋々、雛子は進助の家に帰ってきた。


進助は、それを少し見ただけで、黙って何も言わなかった。


そしていつものように、テレビを見始めた。


end

挿絵(By みてみん)


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