友達
イケメン3人に声掛けられた!!嬉しー!
って思ってる場合じゃない。
「えーっと、落馬の衝撃で、記憶が無くて…」
「「「 嘘だろっ!? 」」」
「本当です。(中身が違います)」
「確かに、雰囲気が違うかも?」
「コイツが着る服にしては、地味すぎるしな。」
「喋り方も…謙虚だな…」
どんな人だったんだよ!!
「俺達の名前も憶えてないのか?」
「はい。」
「学園の事は?」
「分かりません。」
「いつからの記憶が無いんだ?」
「全てです。」
「「「 あ~嘘だな 」」」
声を揃えて言われると、なんか腹立つ!!
「嘘じゃありません!!」
「本当〜?」
「レナルド、また女の子怒らせたのか?」
「程々にしたほうが良いぞ。」
この人(自分)よく言われるけど、何して過ごしてたの!?
「記憶無いんです!!本当なんですって!!」
「本当か?」
「嘘じゃなさそうだよ?」
「流石に無理があるよな…?」
何だか3人でコソコソ話してる。
「ったく、信じてやるよ!俺はアベルだ。改めて宜しく!」
ガタイが良く、如何にも体育会系な男性。
「僕は、ジル・セリーヌ!ジルって呼んで!!なんか変な感じ〜!」
ブロンドの柔らかそうな髪が印象的な可愛らしい男性。
「レオナール・クレマンだ。レオナールでいい。まぁ信じます。」
眼鏡を掛け、落ち着いた雰囲気の男性。
ただ、全員イケメン!攻略対象だとしたら、BLなの!?…んなわけ無いか。聖女の攻略対象なら、自分が攻略対象に入ってるか、若しくは、王子と聖女の恋の成就を邪魔する脇役ってところかな?
「レ、レナルド・オクレールです。宜しくお願いします。」
「知ってる〜」
ケラケラ笑うジルが可愛い。
「あっ!アルフレッド〜!!」
ジルが手を振り、呼び掛けた。振り返ると、一段とオーラを放つひとりの男性が近づいて来た。
「なにしてる?」
落ち着いた声と高い鼻、綺麗な瞳のド直球イケメン!!
アルフレッドって、、、この国の王太子!?
「コイツ、記憶無くしたらしいんだ。」
アベルが説明する。
「落馬の衝撃が大きかったんだね〜」
ジルがちょっと背伸びで“よしよし”っと頭を撫でてくれる。
「そうか。まぁ、思い出さなくても良いんじゃないか?良い思い出など無いしな。」
冷たい言い方!!何なんだ!?嫌われてるのか?こんな人が王太子だなんて。
「そんな言い方ないじゃん!!」
ジルがむーっとした顔で怒る。可愛い…。
「いくら何でも、言い過ぎだ。」
アベルも庇ってくれる。
「アルフレッド。らしくないぞ。」
レオナールが窘める。
「知ったことか。レナルドの日々の行いが災いしたのだろう?じゃあな。」
アルフレッドは言い放ち去って行った。
残された3人は黙り込む。
「「「………」」」
そこは誰か反論してよ〜!!
「まぁ、昔は仲良かったんだけどね。」
ジルが苦笑いを浮かべる。
「そうなんですか?」
「ああ。お前が婚約者を取ったと思っているからな。」
アベルがため息混じりに言う。
「婚約者を取った…!?」
「そうだ。アルフレッドの婚約者、クロエ・シャルロワと一夜を過ごしたってな。」
レオナールが続けた。
「んなわけ……」
言いかけて、思った。
あり得るかも。だって、ここに来た時も隣に女の子寝てたし…。
「ちょっとずつ思い出せば良いよ!!」
ジルが励ましてくれる。
「ありがとう。」
この人達が友人なんだな。良かった。ひとりぼっちでは無いみたい。
ただ、男の人達と喋るのは慣れないよ……。
「あ、あのっ!レナルド様!!」
数人の女子が声を掛けてきた。
「なんでしょうか?」
出来るだけ笑顔で応える。
「はぁぁああ///!い、いえ///わたくし達/////あの、お体が心配で!!」
「大丈夫です。ご心配いただきありがとうございます。」
「良かったです/////では、ごきげんよう〜/////」
物凄い勢いで、去って行った。
「なに?なんだったの…?」
「レナルド。罪だなぁ!!お前は。」
アベルが肩をポンッと叩く。
「いつもと違う対応に、女の子はキュンとしちゃうんだろうね!」
と、ジル。
「そう言えば、今日から復学なのか?」
レオナールに聞かれた。常に冷静なんですね。キャラぴったり。
「いえ。今日は記憶が無くなったので、見学というか…友人を見に来たというか…」
「じゃあ、一緒に見学行こう!!」
ジルが手を引っ張り走る!
「えっ!!ちょっ!」
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中央のメイン館内に入ると、吹き抜けで天井にはステンドグラス。白を基調とした豪華な装飾。
「うゎ〜」
思わず見上げて声が出る。
「ほんとに覚えてないんだな。」
アベルとレオナールも付いてきていた。
「あの、わた…、ううん、僕はどんな人でしたか?」
「「「 僕ぅう?? 」」」
3人ともお腹抱えて笑ってる。
なんだろ、めっちゃ馬鹿にされてる気がする。
「おかしいですか?」
「おかしいに決まってる!!」
「レナルドは、僕って絶対言わないから…くくくっ」
「はぁ〜、お腹痛てー!!」
「じゃあ、俺?」
「「「 首を横に振る3人 」」」
「じゃあ、自分?」
「「「 首を横に振る3人 」」」
「じゃあ、オラ?」
「「「 首を横に振る3人 」」」
流石にコレはボケました。ごめんなさい。
でも、残る一人称って…
「俺様…?」
「「「 しっくりくるー!! 」」」
イヤァーーー!!私の嫌いなタイプだ…。
チャラ男の俺様、最悪じゃん…。
「そのうち思い出すさ!!」
「メイン講義室はコッチだよ!!」
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アベルとジルに連れられ、中央階段を上がり一つの部屋に入る。
そこには、大学の様な階段状になった講義室に長テーブルと長椅子が並んでいる。前方には、一段上がった所に黒板と先生が立つ演台がある。
「お前の席はここだった。」
レオナールが一番後ろの角の机をトントンッと叩く。
「そうなんですね。」
「もう、敬語はやめてよ!!友達なんだから!」
「そうだぞ!!なんかムズムズする!」
ジルとアベルがいう。
確かに。いつまででも敬語じゃ、違和感だよね。しかも、男なんだった!!少しでも馴染まなければ!
「みんなの席はどこだ?」
「僕ここ〜!!」
ジルは私の前の席。
「俺はここだ。」
アベルはジルの横
「私はここだ。」
レオナールはアベルとジルの前。
「近いんだな。」
「何でも聞いて!!じゃあ、次行こう!!」
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「ここは?」
「中庭だ。」
綺麗に整備され、足元は芝生、中央の休憩所のような建物(ガゼボと言うらしい。
)を中心に花壇、生垣で彩られた空間。
「綺麗でしょ〜?」
ジルは楽しそう。
「ホントに、綺麗だな。」
出来るだけ男らしく話してみる。
「僕たちのお気に入りの場所でもあるんだ。」
「へぇー。」
「お前が気に入っていた場所でもある。」
アベルが続く。
「よくここで、女子に告白されてた〜!」
「そうそう。レナルドはモテるからな。」
「モテるというか、来るもの拒まずというか。」
ジル、アベル、レオナールに言われても……。貴方がたもキャーキャー言われてるし。
移動する度に、ちょっとづつギャラリーが増えて、女の子達が顔を赤らめながらキャッキャッ♡と此方を見ている。
「記憶が戻りそうな場所なら、武道場も行くか?」
「そうだね!!コッチ!」
レオナールが提案し、またジルに引っ張られて歩く。
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馬舎が2つ並んだその前には、柵で大きく囲われた円形の走らせる場所がある。それとは別に、一直線に走らせる所や、広い囲われた運動場の様な所、屋根のある建物もある。
剣術をやっている人たちの姿も。ちゃんとギャラリー席まである。
「どうだ?何か思い出す事あるか?」
レオナールに問われるが、中身が入れ替わったから、思い出すも何も無いんだけど…。
「んー。分からない。」
曖昧に答えるしかない。
「そうか。馬乗ったら思い出すんじゃないか?」
アベルが1頭の馬を連れてくる。
乗馬!?やったこと無いんだけど!?小さい頃、親に連れてってもらった牧場で、ポニーに乗った写真は見たことあるけど、記憶にも無い!!
「ほら、お前の馬だ。落馬したときの馬ではないがな。」
アベルが手綱をくれる。
「違う馬だったのか?」
「ああ。あの後調子が悪くてな。お前さんには悪いが勝手に獣医に見せたんじゃ。それでも手の施しようがなくて、死んじまったんじゃ。」
私の問いに、馬舎から出てきたお爺さんが答える。馬の管理をしている人なのだろう。
自分が落馬した後死んじゃったなんて、落馬した原因も関係あるのかな…
「まぁ、乗ってみろよ!」
アベルも馬に乗り、促される。
「あ、ああ。」
軽く返事をしたものの、不安ながら馬の手綱を持ち、馬の顔を優しく撫でる。すると不思議と乗れるような気がする。
馬の左側に立ち、左手で手綱とたてがみをつかみ、左足を鐙にかけ、軽く右足で地面を蹴って、右手で鞍後方を持って体を持ち上げ、鞍に乗った。
(の、乗れた〜!!!)
「ハッ!!」
アベルが軽く馬を走らせる。
「ハッ!!」
私も続く。
すごく気持ちいい!!自然と笑顔が溢れる。体が覚えているのか、自然に出来るみたい。
「キャー!!アベル様カッコいいですわ!」
「レナルド様の乗馬姿!キャー!!」
見ていた女の子達がキャーキャー言ってる。これはこれで、悪い気はしないよね。モテるなんて今まで無かったから、女の子からでも嬉しいかも!!
重い鐘の音が響き渡った。
「もうそろそろ、寮に戻ったほうがいいかもな。」
レオナールが言った。
「そうだな。」
「急がなきゃ!」
私は連れられるがまま、馬を降りお爺さんに手綱を渡した私は、3人と一緒に武道場を後にした。
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別の棟に続く渡り廊下を歩いていると、その場に居た女の子達が左右に分かれ、道をあける。
見た事ある!!アニメでイケメン達が通る時に、さささーっと道が出来るやつ!
「キャ〜!!ジル様!!」
「アベル様今日もカッコいい!!」
「レオナール様!!いつ見ても美しい!」
「はぁ~!!レナルド様もいらしてる!!」
この3人、イケメンだもんね。キラキラしてる〜!!自分も含まれてるのが不思議でしょうがない。
「着いたよ!ここが寮〜!」
両手を広げ、楽しそうにジルが言ってるけど…寮って…寮って……
「1人一部屋じゃないのか!?」
部屋はベッドが2つ並んでいて、間にカーテンで仕切るタイプ。机と椅子も2つ…。
「ああ。ここでの上下関係は、学年のみだ。2人部屋が不満なら、出ていけばいい。」
その声は……
「アルフレッドも戻ってたんだね!!」
アルフレッド!!しかも、私と2人部屋〜!?
「お、同じ部屋…なんですね…。」
「今日は見学なんだろ?帰ったほうがいいんじゃないか?」
「そうですね!帰ります。」
「えー!?帰っちゃうの?行こうよ~大浴場」
ジル…今なんて!?
「行こうぜ!汗流してから入る風呂は、気持ちいいぞ!!」
「もうそんな時間ですか。そうですね。」
アベルもレオナールも何を言ってる!?
「お風呂〜!?」