村雨修一の「目的」
確認はしておりますが、文章に一部不自然な箇所などがあるかもしれません…
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商品企画部で会議が進められている裏で、商品開発部の部長、桜田美里は深刻な様子で考え込んでいた。日頃、人前では大人っぽい魅力的な笑みを絶やさない彼女の顔は、今は曇り模様。
そんな彼女の脳内では、先ほど目にした信じがたいやり取りがめぐる。
それは商品企画部の会議が始る20分前の出来事。商品企画部の会議で試食される、新商品の試作品を、商品企画部の部屋に提出に訪れた時の話だった。
彼女が商品開発部の部室の扉の前に立ち、扉をノックしようとしたとき、中から村雨部長の電話のやり取りが聞こえたため、彼女は電話を待つことにした。最初はいったん立ち去るつもりだったのだが、今の部長に変わってからというもの、抽象的な指摘が増え、改善点がつかみにくかったり、そもそも今までは参加させてもらえていた商品企画部の会議に参加させてもらえなくなってしまったりと、彼女は村雨部長への不信感を募らせていた。そこで彼女は、村雨に何か裏があるのではないかと思い、悪いとは思いつつこっそり電話のやり取りに聞き耳を立てることにした。
「村雨、新商品の件はどうなった?」
電話越しに男の声が聞こえる。
新商品についての話題のようだ。
「問題なく進んでおります」
村雨はそう答えた。
そしてそのまま続ける。
「現在スイカのタルトを開発中で、商品開発部の開発を間接的に妨害し、発売時期は1か月ほどズレ込ませることに成功しそうといったところです」
「よろしい。それならこちらのほうが先にスイカのタルトを発売できるだろう。そのまま続けろ。アリガKの吸収合併はわが社、ファミッとショップの店舗拡大につながる重要な計画だ。頑張れよ」
「はい」
そうして通話が切られた。
「そんな、、、まさか、、、」
彼女はそのままドアを背に力なく崩れ落ちた。
そうーー
村雨修一はファミッとショップからのスパイだったのだ。
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★★★★
「それでは、今日の商品企画部の会議を終わります。みんなお疲れ」
「「お疲れ様でした」」
一方、会議を終えた俺たち3人は、会議室を後にし、商品企画部の部室に戻ってきた。
「無事に終えられましたねー」
「そうだね」
高見さんと番田さんは少し緊張が解けたようで、会議中少し険しかった表情はすっかり元に戻っている。
「いい商品になるといいですね」
俺がそう言うと、2人とも元気な声で「頑張りましょう!」と返してくれた。
そんな会話をする俺たちはまだ、村雨修一の目的など知る由もなかった。
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