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ココロウガチ -追憶の二律背反-  作者: 凪雨タクヤ
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目覚め

病室で目が覚める。

枕は涙でぐしゃぐしゃだ。母さんのことを思い出したからだ。

キヲクの引き出し倉庫で思い出の品を開けてしまったからだ。昨日の今日ではまだ気持ちの整理がついてない。


看護師や医者が廊下を歩く。

しかし妙だ。人の姿に重なって、<モヤ>のようなものが見える。

あの吸血鬼にやられたせいだろうかといろいろ画策していると、1つ気づいた。意識を集中するときだけモヤが見えるのだ。


身体を半分だけベッドから起こして眼鏡をとろうとする。仲間内からハリポッターだとか滝廉太郎だとか言われた丸メガネだ。右手で眼鏡を取ったとき、さらに違和感に気づいてギョっとする。腕の外側、尺骨のでっぱりのさらに後ろあたりだ。紋章だ。すぐにあの契約のせいだと予想をつける。これでは仲間から中二病だのなんだの言われかねない。恥ずかしさを抱きつつ、見れる範囲の体をチェックする。どうやらこの手の紋章だけのようだ。


「まいったな・・・。」


ボヤきを入れたとき、看護師が来て俺の目覚めに気づいた。

先生、榊さんが目を覚ましましたと口に出しながら病室を出る。すれ違いざまに廊下をフラフラと歩く別の患者が同じ病室に入ってきた。よくまともに歩けるなと感じるほどかなり意識が朦朧としてたが、釣り人形のように不規則なリズムであるいて4つあるうちの対角線上のベッドに入った。


そのうち医師が入ってきて、ああおはようと挨拶をする。

つらい朝になったとか、お母さんは残念だったとかの話から、俺だけがどうして生きているのかが疑問だという話になった。なんでも最近ノスフェラトスの被害が増えているが、被害者は一人を除いて全員失血死しているからだとか。血液検査などはしたが特に異常は見られなかったそうだ。


「多分警察関連の人たちもくると思う。つらいかもしれないが、事件の詳細は細かく伝えてやった欲しい。ほかの犠牲者の方もいらっしゃるんだ・・・。」


救えなくてゴメンナサイ。と言っているかのように聞こえた。

しかし体調自体は俺はかなりいいらしく、三日ほどで退院できるそうだ。

最も、帰る家には誰もいないんだけれども・・・。


向かいの患者がいるベッドのそばにテレビがあり、ニュースを流している。<E市で親子が意識不明の状態で発見、母親は死亡。>とか書いてある。きっと俺のことだろう。


「ノスフェラトスのせいだとかは書かないんだな。」

俺がつぶやくと先ほどフラフラ歩いていた左前の患者が起き上がって話かけてきた。


「君、ノスフェラトスにあったのかい。」

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