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ココロウガチ -追憶の二律背反-  作者: 凪雨タクヤ
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長島和成という男

コイツもデーモンに使役されている。というのに、妙だ。

この長島という男に見えたモヤは病院でみたものとは違い、

かなりハッキリしていて、かつ意識も本人のモノのように見える。


「そんな銃なんか俺には効かねぇ。さっさとブチのめされろ!」

マズい!また奴の剛腕が来る!


身体を捩ってなんとか上からの見えない拳をかわす。

ドゴォ!という音とともに地面が抉れる。

コイツの腕はかなりの大きさらしい。


モヤを見ようとすると、うっすらとヤツの見えない剛腕の輪郭がぼんやりと認識できた。

そこで違和感。


コイツの見えない腕のモヤと、長島本人のモヤがツギハギに見える。

しかも、デーモンに使役されてるという割には、デーモン本体が現れない。

ここで俺は、イチかバチかこの銃の性能を試してみることにする。


俺はココロウガチのセレクターをALLに変更し、

銃口を向ける。


ALL。スラングハンマーの爺さんが教えてくれた、この銃の仕様。

この銃は、使用者の霊力(魔力とか言い方はなんでもいいが)を弾にして打ち出す。

そしてSINはシングルでも、ALLは全弾という意味でもなかった。

SINはSINFULで「罪あるもの」、

ALLはALLOWEDで「許されたもの」。


つまり相手を本気でブチのめす時はSINに。

心だけウガチ、相手を行動不能にして改心させたいときはALLにしろということだったのだ。


「榊くん!?駄目よ!この人を殺してはアナタも終わりよ!」

茶花が慌てて叫ぶ。

「おいおい、坂上くぅーん銃は効かねぇっていっただろ?

茶花さんも心配してくれてんだからあきらめろよぉ!イラつくなぁ。」


しかし、やってみる価値はある・・・!

俺は長島から少しズレた空中を狙う。

避けんじゃねぇぞ・・!


バキィイーーーン!!!という金属音にも似た轟音が鳴り響く。

俺の体は、前回のようには吹き飛ばされなかったが、威力を受け止めきれずに後ろに倒れこむ。


その時、奴の見えざる腕に着弾したのか、

バリィーン!というガラスが砕け散るような音が俺には聞こえた。

それと同時にその場に長島がへたれこむ。


「榊くん・・・?どうなったの?弾は外れてるように見えたんだけど・・・。」

というか、コイツは俺が銃刀法違反しているのには何も突っ込まないのか・・・。

確かにすでに現実的にありえない超常的なことが起きている今、

彼女は堅実的に物事をとらえる必要はある。

にしても落ち着き過ぎだろ・・・。


「いや、弾は当たっていたんだ。アイツの"怒り"の権化に。」

「"怒り"?」

「あぁ、この銃は人の心を穿てる銃なんだ。信じられないかもしれないけど。」

俺自身もこんなにベラベラと茶花に秘密を話してしまっているのも信じられない。

でも、コイツになら話しても冷静に受け止めてくれそうだし、現に俺たちのバトルを見せちまったわけだし。


「人の心を・・・。じゃあ長島くんは」

うぅ・・・。と長島のいたところからうめき声のようなものが聞こえる。


「あれェ。そうか、僕は・・・。」

長島が何かを呟いている。

「茶花、伊藤君を頼む。俺はコイツがまた襲ってこないか見張る。」


すると、長島はこちらを向くと、少し間抜けな顔をしながら

「あぁ~!榊くん!さっきはすまなかったよォ!いやぁ~悪いことをした!自分の感情が抑えられなくてねェ!」

と言った。


「いやぁ~な~んか自分の中のイラつきが爆発したような感じがして、両肩に生えた腕に怒りを任せていたんだよねェ!」

と言っている。


俺はなぜあんな状態になったのか聞いてみることにした。

「ナガシマ・・・くんでいいんだよな。なんでそのイラつきというか感情を抑えられなくな・・・」

「そんなことより榊くぅ~ん。君、やっぱり契約者だったよねェ~?!」

「え・・・。」

「いやぁさっき失礼なことをしてしまったばかりで申し訳ないんだが、僕の仲間になってよ。」

「は・・・?」


何をいっているんだコイツは。

確かにジャン〇プ漫画とかだと倒した相手は仲間になるけど、

それにしたってそんな展開は早すぎる。


「君は契約者・・・つまり能力者なんだよね。実は、僕もなんだ。」

「お前も契約者なのか?」

「いいや、契約はしていない。僕の能力は天から授かったギフトだ。」


能力を生まれた時から所持していたということか?


「つまりボクは天に選ばれた存在・・・でもそれは逆に人を孤独にする・・・。

巨大な力を持つ人間は須く孤立していくのさ。」


コイツ、デーモンに操られてなくてもこうなのか?

様子がおかしいというよりは人格から根こそぎ曲がっていそうだが。


「君も同じさ。その力を理解してくれる人がいなくて孤独だっただろう。」

「いや、別に。さっきソッコー茶花に話したし・・・。」

「そうだろうそうだろう!やはり特異なモノを持っている人や突出しすぎた人間はどんどん孤独に近づく。」


コイツ、人の話をマジで聞いてねぇな。


「だからボクたちは協力すべきなんだ。ところで君の能力は”銃を召喚する”能力だったのかな?

デーモンに術を掛けられてから記憶があいまいでね。ぼんやりとは憶えてるんだけど。」


とりあえず、正直に話すことにする。

「いや、俺の、というかあのクソ吸血鬼にもらったってか無理やり押し付けられた能力だけど、

銃を召喚するのはオマケで、あの銃は”人の心を穿てる”銃なんだ。

どうやらデーモンとか実体のないものも撃てるらしいけど・・・。」


そのとき、長島の顔が驚愕の顔に変わった。

後ずさりしながら長島は言う。

「おい・・・、おいおいおいおいおいおい!!!マジかよ・・・!君の能力はスピリットストライカーだったなんて・・・!」

「スピ・・・何?」


長島が少し顔を俯けて、ニタァと笑いながら顔を上げた。

「”無敵”だよ・・・。」


無敵。といった。敵が無いと書いて無敵。

強すぎるってことか・・・?

そして長島は続ける。


「ボクたち、最強のタッグになっちゃうよぉおお!!!」

長島は両手を天に掲げて高笑いをする。

茶花が伊藤君を抱えて歩み寄ってきた。


「榊くん、どうしたの?長島くんは大丈夫みたいだけど。やけに上機嫌ね。」

イヤ・・・俺にもよくわからないんだけど。と俺は言う。


「いいかい?君の能力はボクの能力と相性が良すぎるってわけだ。

つまり、ボクたちが組めば敵無しってことさ。」

「何・・・!まさかお前の能力は・・・!」


心を穿つ銃は二丁。俺のココロウガチとキヲクウガチだ。

まさかコイツがもう一つの銃を所持してるってことか・・・?


「そう、僕のアビリティネームは”バンディット・アナライザー”。

その人物が能力を持っているかどうか、分かる能力・・・!」

「えっ・・・。」


それだけ?

とこころの中で思ったが、そのまま口に出ていたようだ。


「うん。それだけ。まぁ契約者だったら契約した相手もわかるけど。」


えぇ・・・?

だから俺がシャーロットと契約したのが分かったのか。

と、気づくまでしばらくかかったものだった。

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