密室で大好きな貴女と、秘密の愛を育む。
ガールズラブです。苦手な方はお逃げください。
───カチャ。
埃っぽくて狭い一室に、鍵の掛かる音がよく響いた。
学校の3階。使われなくなった茶道室。
「あー!やっとテスト終わった~!」
そう言いながら、弓は畳の上にごろんと横になった。紺地に赤のチェックのプリーツスカートがぴらりと捲れて、白地に青のボーダー柄の下着がちらっと見えていた。
「弓、パンツ見えてるよ」
「ふふ~ん、かわいいでしょ。新品だよ」
弓は上半身を起こし、ニヤニヤしながら今度は自らスカートをぴらりと捲る。ちらちらと、縞々模様の下着が見える。
「はしたないからやめなよ」
「ほんとは嬉しいくせにぃ~」
「…こんなこと、ほかでもやってるんじゃないでしょうね?」
「やるわけないじゃん!流花とふたりきりだからやってるんじゃん」
「…だったらいいけど」
そう言いながら、私は弓のとなりに寝転がった。私が寝転がると、弓もごろりと畳の上に寝転がった。
埃と畳の匂いが妙に落ち着く。
私はぼんやりと、昨日の映像を思い出しながら、弓に聴いた。
「…弓、昨日2-Bの男子に告られてたね」
「見てたの?」
「ばっちり」
「言っとくけど、ちゃんときっぱり断ったからね」
「ふ~ん、でも告ってた男子、イケメンだったね」
「イケメンでも興味ないし。…ていうか、流花以外興味ないし」
「ふ~ん…」
寝転がったまま、そっ…と弓の手に触れる。白くてすべすべの弓の手。するりと、指を絡めるようにして手を握る。
「弓」
「なぁに?」
「かわいい」
「流花の方がかわいいよ」
「弓の方がかわいい」
「流花の方がかわいい」
「弓の方がかわいいってば」
「んもぅ」
頬を膨らませながら、弓は私にぴとっとくっついてきた。弓の栗色でゆるふわにウェーブした髪の毛から、甘いフローラルの香りが漂う。
「やっぱり弓の方がかわいいよ」
そう言いながら、私は弓のぷくっと膨らんだ頬を人差し指でつつくと、ぷふぅと弓の口から空気が漏れた。かわいい。
「…ねぇルカぁ。ちゅうしてぇ…」
しばらく見つめあっていると、弓が甘え声で私に言ってきた。
弓がそう言うと、私は寝転がる弓に静かに覆い被さった。
そして。
───ちゅっ…
「……ん」
「ん…ふ、んん…」
放課後。
カーテンの隙間から、夕陽の朱が零れる。
遠くから部活動生の声が聞こえてくる時間。
忘れられた茶道室を閉めきって、女子二人で唇を重ねる。
室内は静かで、唇を重ねる微かな音が響く…
「好きだよ、弓」
「私も流花のこと大好き」
ふたりきりの密室。
大好きな貴女と秘密の愛を育む。