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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第五章 夏休みがこんなに楽しい
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彼は最初の夏を見つける

 さて姉ちゃんとレースゲームで血で血を洗う争いを繰り広げたオレは、おそらく通算の結果では華恋と姉ちゃんに負けてしまっただろう。まあ華恋がキャッキャしていたので良しとしよう。ぜ、全然負けても悔しくないし!別に普通だしー。ていうか本気出したら勝てたしー。こんなことを言うと次は遊びに誘ってもらえなくなるから注意が必要だぞ。


 「そろそろお昼だな」


 「そうね。何にしようかしら」


 オレは真剣に昼食を考える。もう夏休みは始まっているわけで、一分一秒も無駄にすることはできない。だから夏を楽しむチャンスを逃してはならないのだ。惰眠を貪っていたくせに?あれもまた夏休みの醍醐味だから。


 ピーン。


 「流しそうめんをしよう」


 「流しそうめん!」


 華恋が食いついた。


 「そうだ。今日のお昼は流しそうめんをしようじゃないか」


 「すごい!私、流しそうめんなんてやったことないぞ!ちゃんと現実にあるイベントなんだな!」


 「あるぞー。じゃあ、姉ちゃんそうめん茹でてくれ、オレは流す準備をするから」


 「仕方ないわね。感謝しなさいよ」


 「ありがとう!だけどオレも準備するんだけどね!」


 オレにも感謝していいのよ?


 姉ちゃんと華恋はそうめんと薬味を準備するために、台所へと向かった。


 オレは庭に出ると、物置から流しそうめんセットを準備する。


 去年の夏にオレがDIYした品だ。去年の夏は丁度山に行く用事があったので、そこの地主さんに頼んで山に生えている竹を貰ったたのだ。そして自分で制作した。滅茶苦茶大変だった記憶がある。竹を見て興奮して安易に地主さんに頼まなければよかったと何度後悔したことか。


 地主さんには完成したら是非見せてくれと言われたので、快く許可をくれた地主さんの為にも完成させなければならかった。


 それでも自分で作った流しそうめん台で食べるそうめんはいつもとは一味違った。きっと自分で育てた野菜を食べる農家の人もこういう気持ちなんだろう。知らないけど。


 オレは竹同士を針金で縛って固定し、竹製の足に乗っけていく。流しそうめん初心者がいることだし、なるべく緩やかに作るのがいいだろう。人数も少ないし、竹の通路がギザギザになるように置く。ギザギザのくぼみに入れば、取るチャンスが増えるという感じだ。


 始発地点に水道につなげたホース、終着地点にバケツを置いたら完成だ。バケツの上にはざるかなんかを置いてそうめんを無駄にしないようにする。


 おっと、薬味とか飲み物とか置く台も必要だったな。オレは物置から折り畳み式のテーブルを取り出すと布で綺麗に拭く。


 これで完成。


 あとは、そうめんが来るのを待つ間、オレは念入りにイメージトレーニングを重ねる。ここで流して、走って、ここで取る。そうめんを流す役は当然姉ちゃんがやるわけもなく、華恋にやらせるわけにもいかないので、オレがそうめんにありつくためには自分で流して自分で取るしかない。エア箸を持ちながら素振りをする。ここで、こう!こうして、こう!


 「お待たせ」


 そんなことをやっているうちに、華恋がやってくる。


 待っていたぞ。さあ流して流して流しまくろうじゃない……か。


 そうめんの入ったざるを持ちながらはにかんで笑う華恋。


 「はい、宗介」


 「どうも」


 やっぱり当然のようにざるを渡してくるが、いや今はそんなことはどうでもよい。


 華恋はいつもは特に結んだりせずに流している少しウェーブがかかった髪を、今は結んでいた。頭の左右の少し高い位置で結んでいた。


 その髪形の名はツインテール。


 とても良いと思いました。


 そんな小学生みたいな感想しかでてこなかった。


 やっぱり、男はツインテールが好きなんよ。もうこれは遺伝子に組み込まれているといってもいい。


 しかも華恋は細めのリボンで髪を結んでおり、ちょうちょ結びが髪の左右についている形だ。とてもあざとい。でもそれがいい。それでいい。あざといと思ってしまった時点で、それは可愛いと思ってしまっているのと同義なのだ。


 「えへへ、ひげー」


 「なにそれ、可愛い」


 華恋は左右の髪をもって交差させるとそんなことを言う。どうしてそんなことが思いつくんだ。まさか天才か……!


 「むふー。そうだろう。そうだろう。空に結んでもらったんだー」


 ご満悦の華恋。姉ちゃんにこれはグッジョブと言ってもいい。


 そこへ丁度薬味とおつゆを持った姉ちゃんがやってくる。姉ちゃん、ぐっじょぶ?


 何故だか姉ちゃんは疲れていた。


 「姉ちゃん?」


 「……今度から華恋ちゃんをキッチンに入れるときは覚悟を決めてからにするわ」


 「一体何が……」


 姉ちゃんをここまで憔悴させるとは中々のものだ。


 それはともかく、オレは姉ちゃんが持ってきた薬味を見る。刻み海苔にわさび、ねぎ、天かすと定番どころから、トマト、梅干し、ミョウガといった少しだけ王道からはずれたものもある。まあ、でも邪道ではないし、美味しそう。そうか、こっちはふざけなかったんだな。


 「なぁ、お姉さまよ」


 「何?」


 「なんで、ざるにそうめんの他の麺類もあるのかな?」


 ツインテールショックによりツッコんでいる暇がなかったが、さっきオレが受け取ったざるにはそうめんの他にそばとうどん、中華麺も入っていた。わあ、麺類のオールスターやぁ。


 「それはそこに麺があったからよ」


 「そりゃあるだろうさ、台所だもの」


 何を登山家みたいなことを言っているのか。夏休みの台所に大量に麺類が備蓄されているのは当たり前だろう。結局、夏はこういうのが一番美味しいんだから。


 「うどんとか、流しても取れないだろうに」


 「任せてくれ宗介。二刀流だ!」


 そう言って華恋は右手には箸を左手にはフォークを持って見せてくれる。


 「つゆを持たないと食べれないぞ」


 「はっ、盲点!」


 まあ、いいか。空振っても後で食べるし。


 姉ちゃんと華恋はつゆを持って、流しそうめん台の横に立つ。


 オレも机の上においた自分のつゆにねぎとわさびを入れて、箸も一緒に置き準備する。流して、走って、ざるをつゆと持ち替えて、川下?まで走ってそうめんをゲットする。無駄があれば間に合わないだろう。だが、オレなら必ずできる!


 「じゃあ、いくぞー」


 「はーい」


 華恋の元気な返事を聞きながら、オレはそうめんなどを3回に分けて流す。そして3回目を流した瞬間、オレは走り出した。


 テーブルにたどり着く。


 ざると流す用の箸からつゆと食べる用の箸へと持ち変える。


 そして流し台の最後尾に着く。


 無駄のない動き。かん、ぺき……!


 オレは流しそうめんの台を覗き込むようにして待つ。


 しかし、オレがそこで見たのは流れてくるそうめんではなく、スパゲッティをすくうトングみたいなやつでそうめんを全部かっさらっていく姉ちゃんの姿だった。そのままつゆに全て麺を投入していく。


 「それは反則だろうに」


 「はっ?そんなこと誰も言ってないじゃない」


 姉ちゃんはそう言って、つゆの器と一緒に持っていた箸とそのトングを持つ手を器用に入れ替えると、美味しそうに食べる。


 「悔しかったら私の前で待ち構えればいいじゃない、できるならね」


 「ぐぬぬ」


 今のままじゃ到底間に合わないだろう。もっと動きを洗練させなければ、流した後にそこにたどり着くのは不可能だ。


 「えっと、宗介、流すのを交代するか?」


 「止めてくれるな華恋。これは男と男の勝負なんだ」


 「誰が男よ」


 ちょっと蹴らないで!汁がこぼれる。


 「ええい、やってやらぁ!」


 オレは気合を入れると、再びざるに持ち変えると、そうめんを流しに向かった。


 そんなこんなで、美味しく楽しく、流しそうめんを堪能した夏休みの午後であった。

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