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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第四章 文化祭がこんなに楽しい
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彼らは決闘をする

 ということでオレたち4人は決闘場へと来た。


 「日下部くん、ここは?」


 「決闘場」


 竜胆が耳元で聞いてくる。髪がくすぐったいな。


 「教室の看板にはそう書いてあるわね。ではなく何故私たちをここに連れてきたということよ……私の話を聞いてやけに自信満々に連れてきたけど……」


 「真剣勝負をすれば誰とでも仲良くなれる」


 「それ少年漫画の世界だけよ?」


 「でも勝負をすれば、その人の性格が勝負に出る。そうしたら判断できるんじゃないかな。その人と仲良くできるかどうかが」


 「……。」


 「言っとくが別に友達の友達だからって仲良くする必要はないんだ。でも最初から壁を作るのは少しだけ寂しいだろ」


 「あなたのその感じ……本当に調子が狂うわ」


 「それにたとえ仲良くできなくても心配するな。アリアのナンバーワンはいつだって竜胆だぞ」


 「……バカ」


 おいおい、評価高いな。


 オレは竜胆にサムズアップをすると意気揚々に決闘場の扉を開いた。


 「ようこそ!ここでは色々な決闘をすることができるよ!さぁ挑戦者たちよ!戦う準備はできてるかい!」


 案内役の人が現れてオレたちを歓迎してくれる。オレは笑みを浮かべてその場に足を踏み入れた。


 ピシャリ。扉が閉まる音。後ろを向く。誰もいない。


 「一人での挑戦ですか?」


 「ちょっと待ってください」


 オレは扉に戻り、再び開ける。竜胆が頭を抑えて立っている。


 「どしたの?」


 「ごめんなさい。ちょっとあの人のテンションについていけなくて」


 「仕方がないよ。りんちゃんは陽のものが苦手なんだから」


 「もうそれ文化祭向いてないぞ」


 学校中、陽の気で溢れかえっている。唯一竜胆が平気な場所があるとすれば、カップルお断りのお化け屋敷ぐらいだろう。そんな入場制限をするようなバカなお化け屋敷があるかどうかは知らないがね。


 「ふっ、脆弱。勝利はいつだって強き者に宿る」


 「ああ、戦う覚悟がないのならここに残るがいい。オレたちは高みを目指す」


 「ふぅ、落ち着いてきたわ」


 「ちょっと?」


 別にいいんですが、オレたちは陰のものという判定ですか?こんなにも明るいキャラクターでいつも笑顔を絶やさないナイスガイですのに。


 とりあえず竜胆も落ち着いてきたことなので、四人でまた教室に……決闘場に入る。


 中には何台もの机が並び、そこでは様々な決闘が行われていた。


 「色々なボードゲームで遊ぶ感じなんだね」


 「そうね。オセロ、トランプ、ジェンガ……。それにあれはテーブルサッカーだったかしら?」


 一番盛り上がっているのはそれだね。誰が持ってきたのか、机の上に載せるタイプのテーブルサッカーではなく、古びた温泉街にありそうな大きめのテーブルサッカーだ。


 「ふっ、今宵の右手は血に飢えている」


 「もしかしてだけど唯織テンション高い?」


 「…………。」


 「あ、ごめんなさいごめんなさい。そうだよね。わざわざ言うことじゃないよね。文化祭だもん。誰でもテンション爆上げだよね」


 だってテンションが高い唯織って珍しかったんだもの。謝るのでわき腹を抜き手でつつかないで。


 そんなデリカシーのないオレに先輩が一人近づいてくる。


 「あれ、鎧の人だ?来てくれんだ?」


 「はい、その節はご迷惑をおかけしました」


 「いいよ。いいよ。ちょっと涙目にはなったけど、その後手伝ってくれたわけだし」


 茶髪先輩は笑ってそう言った。何を隠そう、ここは以前ドッキリを仕掛けた先輩たちのクラスなのだ。面白そうだったから、文化祭の日には是非来ようと思っていた。


 「それで何してく?一人だと今はオセロとトランプのスピードが空いてるよ」


 「一人じゃないです」


 何で誰も彼もがオレをおひとりさまにするのだろう。そんなに孤高だと思われているのかしら。オレは振り向いて四人ですとそう言おうとした。


 そこにはまるでゴミを見るような目をした3人がいた。


 「相変わらず女の人の知り合いが多いようで」


 「家庭科部の先輩だけでは満足できなかったのかな?」


 「そーくん……泣かせたの?」


 オレは笑顔で先輩に向き直った。


 「一人です」


 オレの第六感がこの場から離脱せよと告げていた。


 「「「四人です」」」


 「あっはっはっは。わかったよー。四人ね。じゃあどうする?一応私たちのクラスの人に勝ったら賞品があるんだけど、四人でボードゲームで遊ぶこともできるよ。その場合賞品は出ないけどね」


 「じゃあ、四人でお願いします……ちなみに例のゲームは空いてますか?」


 その問いに茶髪先輩はにやっと笑った。


 「ついさっき終わったから、空いてるよ」


 「ではそれでお願いします」


 「じゃあ、こっちへどうぞー」


 茶髪先輩に連れられてオレたちは教室の角の卓へと案内される。そこに四人で座る。


 「宗介くん。例のゲームって?」


 「オレが先輩たちと一緒に作ったオリジナルゲームです」


 「あなた本当に色々なことをしてるのね」


 「はい、それじゃゲームの説明するね」


 そう言って茶髪先輩は卓の傍のホワイトボードをくるりとひっくり返した。



 ***


DIE FLOW ルール説明 (読み飛ばし可)


基本ルール

 モンスターを召喚して戦い合うゲームである。それぞれにモンスターカードが配られ、プレイヤーは順番に出し合う。モンスターには強さの順番があり、場に出たモンスターより弱いモンスターは出すことができない。そして自分のモンスターが最強のモンスターとなったら場は流れ、次にまた自分からモンスターを場に出すことができる。それを繰り返していき、最初に自分のモンスターカードがなくなったものの勝者である。


モンスターの出し方

 シングル 一枚づつモンスターを出す基本的な出し方

 ダブル  同じモンスターの場合2枚同時に出すことができる

 トリプル 同じモンスターの場合又は強さが隣り合うモンスターの場合3枚同時に出すことができる

 クワドラプル 同じモンスター4匹を生贄にした時、世界逆転が起こる。


モンスターカード

 モンスターは13種類、4属性(グラス、ファイア、レイ、ダークネス)プラス1種類.なおモンスターのスキルと強さ順(昇順)は次の通りである。


 モンスター名   スキル名

 スライム     魔王化(ダークネス属性限定スキル)

 ゴブリン     なし

 コボルド     俊足の犬脚

 オーク      夢崩壊

 オーガ      鬼渡し

 デュラハン    追悼の断絶

 セイレーン    狂い歌(ダブル限定スキル)

 ミノタウロス   廃棄の迷宮

 サキュバス    夢への誘い

 アラクネ     蜘蛛の糸

 ヴァンパイア   逆行

 人の王      絶対王政

 ドラゴン     四大龍蹂躙撃(クワドラプル限定スキル)

 リヴァイアサン  なし 


 なおリヴァイアサンには属性はなく、また世界に一匹だけである。スキルの効果については机上の別紙を参照。


 最強の召喚士は、君だ……!


 ***


 「すごいそーくん。こんなゲームを作れるなんて」


 「そうだろう。そうだろう」


 「だいふろう……」


 「違うぞ。アリア。Die Flowだ」


 「ちなみに日下部くん、その名前の意味は?」


 「死ぬほどの集中」


 死ぬほど集中しなければ勝利を掴めないから、この名前が付けられた。


 「めちゃくちゃな英訳ね」


 「ゲームの名前の由来なんてそんなもんだろ」

 

 「それは歴史を経ることでおかしくなってしまうのであって、最初からおかしいのはただのミスよ」


 「宗介くん。これやっぱり大富「アリア!」


 オレはいけない言葉を発しようしたアリアを止める。そして無言でルールの別紙を渡す。その最後にはこう書かれている。


 注意事項

  勝負の場は公平であるべきである。そのため階級を示すような言葉を言うことを禁ずる(例 大富豪 大貧民など)


 「もう自覚してるじゃん!」


 「なんのことだか?」


 勝負の場に無粋なものを持ち込まないという、かっこいいルールを考えただけだよ。


 「はぁ、まあいいや。オリジナルゲームだけどルールを覚える必要がないのはありがたいしね」


 「すごいなアリア!もうルールを覚えるなんて!」


 「はい、はい」


 もう付き合ってくれなくなった。いいもん、唯織にかまってもらうから。


 「はい」


 突然、竜胆が手を挙げて発言の許可を求めた。


 「何?竜胆?」


 「察するにこのゲームのルールは大富豪のルールそのままということかしら?」


 「「え?」」


 アリアと同じように、思わずオレとアリアの口から疑問の声が漏れ出た。注意事項のことなど頭から吹っ飛んでいた。


 それから竜胆は少し恥ずかし気にいった。


 「その……大富豪やったことなくて……」


 「アリア!?」


 「だって二人じゃ大富豪はできないし……」


 できるよ!一人が何役かすればできるよ!


 オレなんて小さい頃姉ちゃんと二人でやってたよ。オレは3役やらさられて、かつちゃんと別人の体でそれぞれの手札を出し、かつ姉ちゃんを勝たせるようにって無茶振りされたからね。いや、最後の要求は自分で達成しろよ。


 別に竜胆は全然悪くないのに恥ずかしそうな表情をさせてしまい、申し訳なくなってきた。ノリノリでこれを考えていた自分をぶっ飛ばしたい。


 「大丈夫」


 あわあわするオレたち二人をおいて、静かにその声は響いた。その言葉はすごい安心感をはらんでいた。


 ばっとその声の方向を見る。そこにはいつになく優し気な唯織がいた。


 「私も、やったことないし、ルールも知らない」


 「黒崎さん……」


 見つめ合う二人。それはまるで砂漠の中でオアシスを見つけたような雰囲気。二人に何か通じるものがあったのだろう。


 結局、ルールを知らない二人にはわかりやすい大富豪のルールの紙とDie flowとの対応表を渡し二人で一組としてやることにした。足りない一人は茶髪先輩に入ってもらい対戦する。


 「アリア」


 「うん、宗介くん」


 二人で頷きあう。手を抜くわけじゃないが、あまりにも酷な戦術をとるのを止めようという共通認識を確認した。


 順番はハンデとして竜胆・唯織ペアから始まる。


 カードを配り終わり、さあ決闘だ!




 「「あっ」」


 パサッ


 グラスドラゴン、ファイアドラゴン、レイドラゴン、ダークネスドラゴンを召喚!四大龍蹂躙撃発動!スキルの効果はゲーム終了そして勝利!


 「「「…………。」」」


 おしまいっ!


物語には全く関係のない大富豪とDie flowの対応表を置いておきますね。お察しの通り自己満足以外の何者でもありませんが。


 

 世界逆転→革命

 スライム→3    魔王化→スぺ3返し

 ゴブリン→4   

 コボルド→5    俊足の犬脚→5スキップ

 オーク→6     夢崩壊→6戻し

 オーガ→7     鬼渡し→7渡し

 デュラハン→8   追悼の断絶→8切り

 セイレーン→9   狂い歌→9シャッフル

 ミノタウロス→10 廃棄の迷宮→10捨て

 サキュバス→J   夢への誘い→イレブンバック

 アラクネ→Q    蜘蛛の糸→Qラブ

 ヴァンパイア→K  逆行→Kリバース

 人の王→A     絶対王政→A税収

 ドラゴン→2    四大龍蹂躙撃→大革命

 リヴァイアサン→ジョーカー


 ルールを守ってレッツプレイ!

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