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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第四章 文化祭がこんなに楽しい

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彼は素直に楽しむ

 さて開祭式を終わり、生徒たちは体育館から流れ出ていく。体育館では係の人たちがステージ発表のために椅子などの準備をし始めていた。なので邪魔にならないようにオレたちも人の流れに逆らわず退館する。どうでもいいことだが、体育館から退館するって何だかすごく違和感がある。よく使う退館する建物といえば図書館とか美術館とかおとなしいイメージがあるから、体育館とのギャップで違和感を覚えるのだろうか。


 まあそんなことはともかく。


 「それでファーストインプレッションどうしますか?」


 オレはアリアと竜胆にそう問いかけた。


 「ねぇ、りんちゃん、いんぷれっしょんってどういう意味?」


 「よく使う意味は、印象かしらね」


 「ぷぷー宗介くん。第一印象どうしますかだって、絶対意味間違えて覚えてるよ」


 「違いますー文化祭を擬人化したんですー知的な表現ですー」


 「日下部くんの場合、本当に間違えたパターンと意味は知ってるけど語感がいいから使ったパターン、どちらの可能性もあるのよね」


 いや、だから擬人化を使った知的で詩的な表現で、文化祭の第一印象を決める最初の行動をどうするかっていう意味です。


 ……はい、正直に言います。語感の良さで選びましたよ。使ってみたかっただけです。


 「それでこれからどうする?」


 オレは気を取り直して、普通にたずねる。


 「そうね……」


 「こういう時ってどこからまわっていいか迷うよね」


 「やっぱり人気になりそうなところからじゃないか。一般公開の時間が来る前に」


 「「ああー」」


 当たり前だが、予定は余裕を持って組まれており、開祭式から一般公開まで少し時間がある。なのでお客さんが少ないうちに人気になりそうな所へ行った方が賢い選択と言えるだろう。


 「だけど、人気と言われても……」


 「そうだね……」


 竜胆が文化祭のパンフレットを広げて、それを横から覗き込むアリア。そんな細かな一つ一つの仕草でさえ尊い二人はまさに最強だなと思いました。


 ぽわぽわしながらもオレは人差し指を立てて横に振る。


 「ちっちっちっ、お二人さん。忘れてはいないかい?」


 「うわぁ……現実でそれやる人いるんだ……」


 「いけてる?」


 「ダサいわ」


 「なるほど好評だな」


 「えっと、どこが?」


 「評価的にはバカぁ>……バカっ>バカ犬>ダサい>うざい>…(無視)、だろ」


 「誰も使ってないわよ、その評定」


 「何だって!?このツンデレ評定が一般的じゃないというのか!?」


 「宗介くんの考えだと、ツンデレが一般的になっちゃうよ?」


 「何その魔界。胃もたれするわぁ」


 「そこはまともな判断なのね」


 「というか宗介くんの評定でもダサいは好評とは言い難いよ」


 「大好評だぞ。前3つは言われたことないから、実質的にはダサいが最高級の褒め言葉だ」


 「ガバガバな評定だね」


 「それ全部褒め言葉じゃないわよ」


 ほら、ツンデレだからさ。


 そういえばツンデレというのは、今一般的に使われているツンデレと昔のツンデレでは少し意味が違うらしい。昔のツンデレは最初はツンツンしていて後にデレデレになるというもの。今のツンデレは表面上はツンツンで内心ではデレデレというもの。オレが思うにその時流行った媒体の単位が小さくなったことが原因だと考えられる。恋愛シュミレーションゲーム(一本)→ライトノベル(一冊)→ネット小説(一話)とそれぞれ一回で楽しむ単位が小さくなったことがわかるだろう。みんなが見たいのはやはりデレの部分。ならば必然的になるべく早い段階でデレを出さなければならない。そうするとツンの時間はどんどん短くなり今のツンデレが完成するというわけだ。ツンデレは時代のうねりに合わせて意味を変えた代表的な言葉なのかもしれない。つまりオレがここで何が言いたいかというと……


 どっちのツンデレも大好きだぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあ!


 

 ***


 さてオレはパンフレットを見ながら、アリアと竜胆を引き連れて、人気の出し物まで来ていた。


 「ここだ」


 「ここって……」


 「どう考えても混むから、ここは先に来た方がいいぞ。知らないのか?」


 「知ってるよ。だってここ」


 アリアは廊下を見渡しながら言う。窓の外は見慣れた光景が広がっている。


 「私たちの出し物じゃん」


 そうオレが連れてきたのは3クラス合同お化け屋敷。


 「お化け屋敷に入ることは別にいいんだけどさ、人気の出し物なの?」


 「おいおい、作った本人たちが自信を持たなくてどうするんだ」


 「そういう作り手の愛的な話はしてないわ」


 「宣伝が一番うまくいったのはうちのクラスだという自負がある」


 「そうだね。SNSで宗介くんの画像(鎧)がすごく出回ってたのは確かだね」


 「それに見てくれこのパンフレットを。うちのお化け屋敷の項目だけ他の3倍はあるぞ。これは期待されてるぞ」


 「3クラス合同だからよ」


 「もう!これだから今の若者は!否定からはいりよってからに!」


 「あなたがボケるからじゃない……」


 ボケてないやい!


 オレは消極的な若者を憂いて地団駄を踏む。


 「でも、他に行きたいところがあるわけじゃないし、最初がお化け屋敷でもいいんじゃない?りんちゃんだって両隣のクラスがどんな感じか気になってたでしょ?」


 「そうね」


 そう言って二人はお化け屋敷の入り口へと向かった。


 アリアに言われたらすんなり承諾するとか……!


 歓喜に身を震わせながらオレも二人の後についていく。


 なおそれぞれの教室はもちろん一度廊下にでないと行き来できないため、このお化け屋敷では廊下にパーテーションや暗幕で通路を作り、ドアとドアを繋いでいる。少し明るいのと廊下を狭くしているのはご愛敬だ。


 「はーい。次の人たちどうぞーお二人ですねー」


 受付の人はアリアと竜胆にそう声をかけると誘導する。


 「あ、すみません3人なんです」


 「え?」


 受付の人はアリアたちの後ろにいるオレの存在が見えていないようで、キョロキョロと幻の3人目を探す。


 この受付……中々見る目があるじゃねぇか。


 「あ、すみません。3人ですね」


 やっとオレのことを認識したようで、カチカチカチと野鳥を数えるアレを動かして、人数を記録する。アレじゃわからない?もっとわかりやすくいうと、けい〇ん!第二話Bパートのバイトの交通調査で使用していたアレ。うむ、我ながらすごくわかりやすい説明だ。


 「あのこれって?」


 アリアもやはりアレに興味を?と思ったが違った。アリアが指さしたのは、受付の机に張られた紙。そこには「カップル禁止」と書かれていた。


 「ああ、これですか。カップルは仲を引き裂いて入場させるんです」


 「別々にって言う意味だよね?破局じゃないよね?」


 「うふふふふ」


 「嗤いがこわいな。なんでまたそんな面倒なことを?」


 「え?だってカップルなんてお化け屋敷に入ったら、「ねぇ~怖い~」「大丈夫だよ。俺がついているからね」「やだもう。かっこいい~好き」「オレも好き」「きゅん」とかグダグダ楽しむからお化け屋敷の回転が遅くなるじゃないですか。クソがっ」


 「全員が全員そんなカップルじゃ……え?今最後なんか暴言吐かなかった?」


 「吐いてないですよ~」


 「あの……あなたの私怨で勝手にそんなことしたら不味いのではないの?」


 「大丈夫です。うちのクラスでは全会一致でこの貼り紙をすることにしましたから」


 「「「全会一致……」」」


 隣のクラスは一体カップルに何の恨みがあるというのか。


 「まあ、何はともあれあなたたちには関係ない話ですし、どうぞお入りください」


 「「……。」」


 「どうもー」


 アリアと竜胆に続いて、オレも暗幕をくぐり、お化け屋敷に入る。


 そして扉が閉まった。


 ……くっくっくっ。


 ふっふっふっふっ。


 ふはははははははは!


 ついについにやり遂げたぞオレは!


 自然に竜胆とアリアをお化け屋敷に誘導して、一緒に入ることに成功した!このシチュエーションを逃さないように最初に行ってしまおう作戦は任務を達成した。


 いやーどっちが怖がりなのかな?怖がって竜胆に抱き着くアリアも怖がってアリアに抱き着く竜胆もどっちもありだなー。ああ、二人で互いを抱きしめるのもいいなぁ。


 一番ありえそうなのはどっちもそんなに怖がらないで、アリアがふざけてキャーキャー言いながら竜胆に抱き着いて、それを竜胆がもうアリアったら的な対応するパターンかな。まあお化け屋敷といっても高校の文化祭レベルだからね。


 さあ、いざ行かんユートピアへ。


 オレは二人に続いてその一歩目を踏み出した。











 はぁはぁはぁはぁ。光、光だぁ。


 オレは両手を引かれながら、お化け屋敷から出る。いや~怖かった~。やるじゃないか高校生。高校生の本気を見た気がした。単純な仕掛けばかりだと思っていたが、一ひねりを加えた仕掛けも結構あった。


 例えば突然倒れてくる十字架とかね。事故で倒れてきたと思ったが、本当にオレたちのギリギリで止まったからね。あれは安全なんだろうか。あと単純だけどでっかい鏡はビクッってなったかな。曲がり角に突然あるとそれだけで怖かったもん。うちのクラスのブロックも負けてなかったと思うけど、何分仕掛けを知ってたからなぁ。


 まあなんにせよ怖面白かったなぁ〜


 …………ん?



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