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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第四章 文化祭がこんなに楽しい
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彼は彷徨う鎧となる

 「ヴァァァァァァァ!」


 「うお、びっくりしたー。置物じゃなかったのか」


 「何?ドッキリ?あ、宣伝。はー。今年の一年生は面白いことを考えるな」


 「ふっ、これが若さというやつか」


 いいリアクションだな3年生。


 3年生フロアの廊下でもオレは先ほどと同じパフォーマンスを行っていた。興味を持って近づいてきた男子3人組に仕掛けたわけだが、この通り、中々好印象だった。おひねり(お菓子)までもらってしまった。


 「「「イエ―――――」」」


 パシャリ


 おひねりをもらったからにはサービスをしないわけにはいかないな。チェキも許しちゃう。手でハートマークを一緒に作ろうか?いらない?あ、そうですか。おさわりもオッケーですよ。存分に金属の固さと冷たさを味わうといい。いらない?そうですか。全く恥ずかしがり屋さんなんだから。


 その後も集まってきた先輩と記念撮影をする。


 ドサッ


 何かが廊下に落ちる音。音の聞こえた方を見ると床に落ちた段ボール、その中から転がる精巧な恐竜を模した着ぐるみ、驚愕の表情でこちらを見つめる生徒会長。


 「……何……だと……!」


 生徒会長は拳をがんと廊下に打ち付ける。


 「しまった。そうか。鎧かぁ……!それは盲点だった……!クソォォォォ!」


 orzの体制でだんだんと廊下を叩く生徒会長。


 「最初に着ぐるみでウケが良かったから、継続してのマンネリ化。それを打破するためのリアル着ぐるみだったが……クソ!俺の人気が盗られる……!」


 「生徒会長が発作起こしたぞー。誰か副会長をつれてこーい」


 生徒会長はふらりと立ち上がると、ごそごそと恐竜の着ぐるみを着てこちらを見た。3年生の皆さんがオレを守るようにして前に立つ。だが不要だ。オレは手で制して前に出る。


 その姿に生徒会長は不敵に笑った(気がした)。まるで本物の恐竜かのような動きで近づいてくる。


 「ギャ、ギャオガギャギ(君、学年と名前は)?」


 「一年、日下部宗介」


 「ギャオギャグワァー!(そうか。日下部、いや宗介……!いいセンスだ……!いつからか俺は着ぐるみという枠にとらわれ安易な道を歩んでいたのかもしれない。この学校に廊下に鎧の騎士がいるというインパクト!着ぐるみの比ではない)」


 そう言って生徒会長は拳を突き出す。


 「ギャオ(まさかこんな男がまだ在野にいるとはな。認めよう。君は俺の強敵(ライバル)だ……!)」


 「会長……」


 オレは力強く会長と拳を合わせた。


 首トン。


 「あう」


 「会長……!」


 突如として崩れ落ちる会長。


 「ちっ、この忙しい時に遊んでるなよな」


 会長の頭が地面に叩きつけられる前に、その下手人は会長の首根っこを捕まえる。


 「悪いな。会長の遊びに付き合わせて」


 「そんな、オレも楽しんでましたし」


 「はは、優しいな君は。次からは別に無視して逃げていいからな」


 そう言って副会長は会長を引きずりながら、会長が落とした段ボールを拾って去っていく。


 そして廊下の角を曲がるとき、オレは確かに見た。会長がこちらへとサムズアップしているのを。そして廊下の影へと消えていくサムズアップ。


 帰ってくるんですね。会長。またこの戦場に。


 ならばオレはまだまだ戦い続けることにしよう。またオレは歩みを進める。次なる戦場を求めて。この歩みは誰にも止めることなどできない。


 

 ***


 

 「ヴァァァァァァァァァ!」


 「…………。」


 「アァァァァァァァァァ」


 「…………。」


 「アァァァァァァ……」


 「…………。」


 ガシャン。兜のバイザーを開けられる。


 「…………日下部くん。職員室の前で騒がないでください」


 「申し訳ございませんでした」


 ガシャン。



 ***



 さて教室に帰ろう。もう宣伝は十分だろう。


 「お前……日下部か?」


 そんなオレに後ろから声がかけられる。


 振り向くと厚いファイルと筆箱を持った小島が立っていた。


 「いかにも」


 「だよな〜目を疑ったが、こんなことをしているのはお前しかいないよな」


 「いや、世界は広いぞ少年」


 「お前も同じ年だろうが」


 たぶん生徒会長はまた一回り成長した姿でオレたちの前に現れてくれるはずだ。その時にお前は世界の広さを体感する。


 「というか遊んでないで文化祭の準備しようぜ」


 「失敬な!見ろ!」


 『ドッキリ大成功』


 「遊んでじゃん」


 「間違えた。こっちだ」


 オレは看板をくるりとひっくり返す。『1-5 お化け屋敷 来てね』


 「この看板を持って、校内を練り歩いてたのか?文化祭準備中にそういうことするの珍しくないか」


 「宣伝は大事だろ。それにどのクラスメイトに聞いても手は足りてるって言うからな」


 仕事がないからといってサボらず、できる仕事を探すオレ。社会人適正が高い。


 オレのその発言に小島は少し怪訝な顔をした。


 「……おかしいな。さっき見た時は割と忙しいそうに……ああ」


 小島は納得したような声を出す。


 「今日、伊万里さんや涼白さんは?」


 「二人とも部活の方の準備に行ったな」


 なお、オレは部活の方の準備のノルマは達成している。女子生徒の手作り作品ばかりだと思っただろう。残念!オレも作ってました!


 「……なるほど。暴走を止める人がいないから下手に仕事を頼まなかったわけか」


 「失礼な。いつも冷静なオレがいつ暴走したというんだ」


 「全部冷静な行動でも逆に怖い。まあいいや。まだ仕事をする気はあるか」


 「Oui(ウィ)


 「くっ、ムカつく返事しやがって。ふー」


 オレが上品にフランス語で返すと、小島は右手を抑えるようにして苦しむ。やだその年で中二病ですか?やれやれ。後で詳しく。


 「結構ダンボールを使いそうだからな、高校の周りの店とかから集めてきて欲しいんだが頼めるか」


 「ほう」


 「この役目はお前が適任なんだ」


 「三国同盟を結ぶきっかけとなった交渉人日下部宗介の力がいると?」


 「……ふー。ああお前の力が必要だ」


 「よかろう。任せたまえ」


 オレは小島に持っていた看板を押し付けると、次なる目的地へと旅立つ。


 「あ、鎧は脱いでいけよ」


 オレは足を止めた。


 「無理だ」


 「いや、わがまま言うなって流石にその格好は怪しすぎる」


 「だから無理だと言っているだろう」


 オレは言葉を切ってから衝撃の真実を小島に伝えた。


 「これは呪いの装備なんだよ」


 その真実を知った小島は微かに息を飲んだ。バサリとファイルと筆箱、そして看板が廊下へと落ちる。


 ゆっくりと小島はオレに近づくと、兜に手をかけた。


 「ふん!」


 「あ、痛い痛い痛い。無理に引っ張らないで」


 「おま、これジャストフィットしてるじゃねぇか!」


 「ねー本当にね。びっくりだよね」


 「なんでそんな冷静だ!」


 「どんなピンチでも笑って乗り越えられる男にオレはなりたい」


 「言ってる場合か!あと乗り越えられてないからな!?」


 「なんかアレだよね。たまに似たような中国のニュース見るよね。はまって消防団に助けられるやつ」


 「だから言ってる場合か!」


 かぁ かぁ かぁ かぁ ぁ ぁ


 小島の魂の叫び(ツッコミ)が廊下へと響いた。

 

この後、兜は工具で分解しました

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