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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第三章 中二病少女がこんなに可愛い
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彼はまた遭遇する

 「「「あ」」」


 本日2回目のばったり遭遇。オレたちはカラオケボックスからでたところでアリアに遭遇した。


 「「こんにちわ」」


 「こ、こんにちわ」


 「「「…………。」」」


 何故か3人とも黙ってしまった。街中で知り合いに会うも無視するわけにもいかず、一応挨拶するものの特に話題はないという、微妙な状況に陥ってしまった。とりあえずは一番重要なことを聴くことにする。


 「今日は竜胆とお出かけか?」


 「ううん。違うよ。今日は一人。私たちだっていつも一緒に居るわけじゃないよー」


 「嘘……だろ……」


 「うん。そんなに驚くことじゃないよね。放課後だって部活は別だし、むしろ会っていない時間の方が長いんじゃないかな」


 「同棲してると思ってた」


 「宗介くんは私たちを何だと思ってるの」


 「親友同士」


 「その認識だけはあってるんだよね~」


 はぁとアリアはため息をつき、オレの隣の唯織を見る。


 「そういう宗介くんこそ、りんちゃんをほったらかしにして黒崎さんと遊んじゃって。りんちゃんを遊びに誘うように前言ったのになあ」


 「ん?竜胆から聞いてないのか?ちゃんと一緒に遊んだぞ」


 「え?」


 本当に竜胆から聞いてないようで、アリアは驚いたような声を出す。


 「前にオレと姉ちゃん、伊万里姉妹とあと華恋でちょうどここら辺で遊んだぞ」


 そう言った瞬間、アリアと唯織が二人とも固まった。唯織はギュッとオレの左の手首を握ってくる。痛いです唯織さん。アリアは笑顔でオレの肩に手を置く。痛いですアリアさん。


 「遊びに誘うって二人きりに決まってるでしょ」


 「それは知らなかったです」


 「竜胆って誰?華恋って誰?」


 「竜胆はクラスメイトでアリアの親友だ。華恋はクラスメイトの妹で姉ちゃんの友達だな」


 「「…………とりあえず詳しく聴く(ね)」」


 「そんな面白いことも起きなかったけどな」


 「「何?」」


 「あ、何でもないです」


 おかしい。今、二人が姉ちゃんと被って見えた。「何?(文句あるの?あるわけないよね)」と言外に伝えてくる姉ちゃんに。



 ***


 ということでオレたちはお好み焼き屋さんに来ていた。優しい二人は昼ご飯は何でもいいというのでオレたちは遠慮なく食べたかったお好み焼き屋をチョイスした。


 意外にもオレはお好み焼きが好きなのである。どれぐらい好きかというと夜中に唐突に作り始めるぐらいには好き。そういえば夜中、キャベツの千切りをしていると姉ちゃんがラケット片手にキッチンに顔を出したことがあったな。舌打ちをするとのそのそと去っていったけど。一体どういう感情なのだろうか。自分の力をふるう機会でも探していたのだろうか。とりあえずオレのラケットを武器として使わないでほしい。


 「いっらしゃ~い」


 お好み焼き屋の中に入るとエプロンを着た恰幅のいいおばちゃんが迎えてくれる。


 「一名様と二名様だね。お好きな席にどうぞ~」


 うん、なんで断定した。


 あれだよねここに何回かオレが一人でここに来たことあったの覚えていたんだよね。優秀な店員さんだ。決してまさかお前が女の子と一緒じゃねぇだろということじゃないよね。


 「すみません、3名です」


 「え!?本当!?」


 親しみやすい店員さんだなぁ。


 オレたちは適当なテーブルにつく。席順はオレの隣に唯織が座り、向かいにアリアが座った。


 「先に注文しちゃおう。何がいい?」


 「う~ん。私はミックスが食べたいかなぁ」


 「サイズは?」


 ここのお好み焼き屋ではサイズが大、中、小と選べる。お子様や女性でも楽しくお食事できるようになっております。


 「だ、中で」


 「今、大って」


 「ん?」


 「あ、何でもないです」


 やっぱり、オレ読心の能力が開花してると思うんだよな。


 「唯織は?」


 「もちチーズ、小」


 「はいよ。すみませーん」


 オレはおばちゃんに注文を伝える。ちなみにオレは普通のお好み焼きの他に、たこ焼きとたこせんを注文した。


 割とすぐにお好み焼きの……なんて言うんだこれ?具材?は届いた。


 「「…………。」」


 「どしたの?」


 「「自分で焼くの?」」


 「目の前の鉄板は飾りかなんかかと思ってたの?」


 「店員さんがやってくれるんだと思ってた」


 アリアのその言葉に唯織もこくんと頷く。なるほど。たしかにそういうお店もあるよな。


 「一応は自分で焼くようになってるが、今暇そうだし、頼めばやってくれるんじゃないか」


 「ううん、いい機会だし自分でやってみるよ」


 決意を目に灯らせてアリアはそんなことを言う。うん本当に焼くだけだよ。強いていうならアリアの中サイズだから少しだけひっくり返すのが難しいかも。


 二人はメニューの裏にある作り方を真剣に見ながら作っていく。そして鉄板に乗ったお好み焼きを熱い視線で見つめる。

 

 おいおい、そんなに熱く見つめたって早くは焼けないぞ。と言おうかと思ったが、流石にヘラで叩かれたら痛いのでやめておいた。そんなことはしないと思うけど、リスクヘッジ大事。


 しばらくしてもう片面は焼けたなという所でオレはヘラを持ってひっくり返そうとする。じっと見られるとやりにくいなぁ。


 オレはいつも通り、ひっくり返す。それを見た二人とも一つ頷くとひっくり返す。


 べちゃ。ぐちゃ。


 「「…………。」」


 オレは無言で二人のお好み焼きを整えた。そんな哀しい目でお好み焼きを見つめなくても。




 「そろそろいいんじゃないか」


 また無言の時間が少しあってからオレは自分のお好み焼きのをヘラで切ってみる。うん、中まで火が通ってる。


 「なんかこの中で苦手なものとかあるか?」


 オレは鉄板脇に並ぶトッピングを指差しながら言う。二人は首を横に振る。


 「了解」


 オレはソース、マヨネーズ、カツオブシ、青のりをそれっぽく振りかける。ソースとマヨネーズは格子状にそして満遍なくカツオブシと青のりをという感じだ。


 二人をそれを見て一つ頷くとそれぞれマヨネーズとソースを手に取った。


 べべちゃ。グチャチャ。


 それはもう見たなぁ。


 そんな哀しそうにこちらを見られても。ほら口に入っちゃえば同じだから。



 トッピングが終わりそれぞれお好み焼きを切り分け口に運ぶ。やっぱり粉物にハズレはない。美味しい。


 「あ、美味しい」


 「おいしい」


 二人とも満足そうでよかったです。


 「あーあーそんなにボロボロ溢して、口元もソースでべったりだぞ」


 お好み焼き食べるの初めてなのか唯織は。ほらいいからこの紙を膝に敷きなさい。もう口元もまでこんなに汚しちゃってまあ。ツインテールもほどいて後ろでまとめるからね。全くもう。


 「宗介くん」


 「ん?」


 「席交換しよう」


 「え、何で?」


 「何が?」


 オレは立ち上がった。今、ちゃんと会話になってたかなぁ。でも交換しなければいけないと思った。


 アリアは唯織の隣の席に移動すると髪を後ろで一つにまとめてあげる。唯織は迷惑そうにしてるが、甲斐甲斐しく世話を焼いてあげている。


 く、いい光景だ。しかしアリアには竜胆が。ごめん竜胆弱いオレを許してくれ。


 その後オレたちは互いに焼いたお好み焼きや焼いている間に届いたたこせんやたこ焼きを存分に楽しんだのであった。


 ***



 「ふぅ、美味しかった」


 満腹になった腹をさする。じゃあそろそろ。


 「じゃあ、そろそろ宗介くんのお話を聞こっか」


 その言葉に唯織もこくりと頷きオレをじっと見つめてくる。


 オレは中腰の中途半端な状態で止まる。なんだかわからないがオレの第六感が警鐘を鳴らしている。


 「いや、やっぱり食べ終わったらお店を出るのがマナーなんじゃないかなって」


 「すみませーん。このソフトクリーム3つ下さい」


 はいよーというおばちゃんの元気な声がすぐに返ってきた。


 唯織がめちゃくちゃびっくしした顔で無理無理無理と言わんばかりに首を横に振っているが見えてないのかい。そっちも意思疎通できないんかい。


 「これでまだお話できるね」


 厳しい躾の家庭なので食事中の会話は禁止なので無理です。と言おうとしたがやめた。オレはリスクヘッジができる男なのだから。


 

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[一言] アリアちゃん可愛いっすな
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