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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第三章 中二病少女がこんなに可愛い
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彼はしりとりをする

 「とまあ昨日そんな愉快なことがあったんだよ」


 「それを愉快と言えるのは日下部くんぐらいよ。数カ所怖いところが有ったわよ」


 どこに?全体的に見ればほっこりエピソードだよ。


 雑談で竜胆に昨日、元クラスメイトと再会したことを伝える。話し始めてからアリアが机の下で蹴りを入れてくるんだが、何でだろうか。アリアの方を見ても笑顔だしな。きっと当たちゃっただけだね。


 「いやいや、なかなかないよ。クラスメイトが真の姿を解放した状態で現れることなんて」


 「もう少し影響されてるわね。お願いだから普通の単語を使って」


 「これで宗介くんが中学時代に戻ってしまうと考えるとすごい怖いよね。昨日の二人の会話を聞いてるとちゃんとコミュニケーションをとれるか心配だよ」


 二人して深刻そうなため息をつく。


 「というか二人とも今のオレが中二病ではないと考えてるの?」


 「「…………。」」


 「でがしょ?」


 そう答えられないという答えが雄弁に語っているように、今のオレの言動が中二病ではないとは言えないのだ。オレはよく後遺症という表現をするがそれは正しくない。中二病というのはかかったら一生付き合っていかなければいけないのだから。


 「オレの言動の節々にちょこちょこ顔を出していると思うんだけど、どう思う?」


 「まあ、そうね。時よりうわーという言動をすることはあるわね」


 「そうだね。つい一歩下がっちゃうときあるよね」


 これの怖いところは自然に出てしまうため、こちらの心当たりが実は少ないということだ。


 「でも手遅れだとしてもこれ以上症状を進ませないのが大切よ。私たちの精神衛生のために」


 「そうだねりんちゃん。今度からは積極的に矯正していこうね」


 「ふっ、そんな深刻じゃないけどな」


 「「その『ふっ』ていうのやめて」」


 おや?深刻かもしれん。これボケじゃなくて自然にでてるもん。


 「でも大丈夫かしら。その黒崎さんという人の方が彼と親和性が高いみたいだけど。私たちがいくら頑張っても焼け石に水なのではないかしら」


 「うーん。確かにそうだけど。黒崎さんは違う学校だからそんなに関わることないだろうし。昨日も連絡先を交換している風はなかったし」


 「え?交換したというかオレの連絡先教えたよ」


 「嘘でしょ?何でそんな危険なことをしたの?」


 「そりゃ知らない仲ではないし聞かれたら教えるだろ。昨日、「そーくんの電子スキルの構成を教えてほしい」って言われたから連絡先教えた」


 「それ会話になってるのかしら?可愛い女の子に連絡先を教えたいというあなたの欲望が優先されてない?」


 そんな欲望持ったことないわ。現に今のオレが持っている連絡先は、家族に小島、それとアリアと神楽坂姉妹と唯織と海神先輩達だけだし。ん?


 「あーあれがそうだったんだぁ。何かゲームの話かと思ってスルーしてたよ。それで何か連絡がきたりしたの?」


 「きたな。昨日の夜」


 「きたんだ……攻めるなぁ黒崎さん」


 「しりとりしようって」


 「「しりとり?」」


 うん、しりとり。オレはスマホを取り出して昨日の会話を見せる。本当はこういうのは見せてはいけないのだろうが、まあ、しりとりをしているだけだし別にいいだろう。


 

 『そーくん。リハビリがてら限定しりとりをしよう』

  

 『いいよ』



 「この限定しりとりというのは何?」


 「知らない」


 「なんで承諾してるのよ」


 なんか楽しそうだったから。人というのは限定という言葉に弱い生き物なんだよ。



 『ルールは、濁点・半濁点の付け外しは自由。語尾が小さい文字の場合は、その小さい文字を採用する。あとこのしりとりでは使用できる言葉と使用できない言葉が存在する。そしてそーくんの語尾は唯織が〔 〕で指定する』


 『わかった』



 「だからなんですぐに承諾するのよ。後半のルールが不可解すぎるわ」


 「というかもうこれ、しりとりじゃないよ。宗介くんだけ激ムズだし。あっちはもはや用意してある言葉をいうだけだよ」


 

 『葬儀屋〔い〕』


 『破滅』



 「「ちょっと待って」」


 「何?さっきから」


 「これもう、最初からしりとりになってないじゃない」


 「そうだよ。やから始まる言葉でもないし、いでも終わってない」


 「なってるよ?葬儀屋(アンダーテイカー)破滅(カタストロフィ)、ね?」


 「「…………。」」


 何か恐ろしいものを見たようにこちらを見る二人。人はすごすぎるものを見たときにこういう反応をしてしまうものだ。オレもなかなかの言葉を返せたんじゃないかなと思ってるよ。



 『イブリース〔し〕』


 『酔生夢死』


 

 「……イブリースって何かしら?」


 「オレも詳しくは知らないけど、イスラム教の悪魔かなんかじゃなかった?」


 「それだけ知ってるのもすごいわよ」


 こういう知識はやたら知ってるよ。ええ、それはもう。広く、すごく浅く知ってます。だから細かいことを聞かれても困る。



 『疾風怒涛〔て〕』


 『自警団』


 

 「さっきから言葉のチョイスがおかしいと思うんだけど」


 「最初に書いてあったろ。使用できる言葉とできない言葉があるって」


 「その条件は書いてなかったじゃない……」


 でも最初の言葉が葬儀屋だったし、これで合ってるでしょ。現にしりとりは続いてるわけだし。


 

 『天衣〔る〕』


 『不滅』


 

 「あなたの回答速度が早すぎて怖いわ。1分ぐらいで返信してるじゃない」


 「そこは照れずにすごいって普通に褒めてくれて大丈夫だよ」


 「すごい怖い」


 「ちょっと違うな」




 『ルーブ・ゴールドバーグ・マシン。これでおしまい』



 

 「あら?わりと早い段階で終わったのね。最後も知らない単語だけど」


 ふっ、甘いな竜胆は。あ、口に出してないけどまたふっを使っちゃった。


 「いや、これでおしまいというのは挑発だよ。今のあなたには答えられないでしょっていう」


 「違うと思うよー」


 「だから次にオレはこう答えた」



 『ンザンビ』



 「「だからそれは何?」」


 「ある地域の神様の名前。ゾンビのルーツだと言われている」


 割と有名だと思うけどな。あの有名な運命シリーズにも出てくるし。



 『バカ』


 

 「ちなみに返ってきた返答はこれだったよ。おかしくない?」


 「「………。」」


 オレのスマホを食い入るように見つめる二人。


 「宗介くん。最初の言葉はアンダーテイカーって読むんだよね」


 「うん、当たり前じゃん」


 「うん、その常識は後々矯正するとして」


 矯正されるんですね。


 竜胆とアリアはオレのスマホを奪い取りコソコソと話している。女の子のコソコソ話は何を話しているのか聞かないのがマナーだ。だからもう少しで接触するほど顔を近づけている二人を黙って見守ろう。


 しばらくして二人はスマホを返してくれた。これが二人の温もり……!


 「そういえば宗介くん」


 「んー」


 「りんちゃんと連絡先を交換してもらえるかな?」


 「ちょ、ちょっとアリア!」


 「いいよー」


 「……あなたもすぐに承諾するね」


 「そりゃまあ。竜胆なら別に悪用したりしないだろ。え、やめてね本当に。セールスとかにオレの電話番号とか教えるの」


 それにこの場合、アリアとは交換しているのに竜胆だけ断ったらすごい嫌なやつじゃない?


 「しないわよ……こほん、日下部くん。私と連絡先を交換してくれるかしら」


 「はいよー」


 「本当に軽い……」


 オレはQRコードを見せて竜胆に読み取ってもらう。追加されたオレの連絡先をじっと見つめる竜胆。


 「大丈夫。オレにはちゃんとわかってるよ竜胆」


 なぜかその言葉で二人は静止した。


 「な、何をよ」


 「竜胆もオレと限定しりとりをしたくなったんでしょ?」


 随分楽しそうに見てたもんね。実はちょっとやりたくなってるでしょ!オレはいつでも挑戦を受けるぞ。



 「「バカ」」


 あれデジャブ?

しりとり全文









アンダーテイカー → カタストロフィ →

イブリース    → すいせいむし  →

しっぷうどとう  → ヴィジランテ  →

てんえ      → エターナル   →

ルーブ・ゴールドバーグ・マシン


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― 新着の感想 ―
 お、俺は……厨二病にすらなれなかった……分かってたまるかーこんなん!(笑)
[一言] くっ半分くらいしかわからんかった!
[良い点] これなんか、想定以上に愛されてますね、そーくん。
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