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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第七章 テーマパークはこんなに楽しい

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彼らは出発する

 折角パッキングした荷物をどんどん減らされ、更にはリュックにまで姉ちゃんはダメ出しをした。沢山ポケットが付いたかっちょいいリュックなのに。荷物だってちゃんとネットで調べて出てきた物を詰め込んだのにダメだった。全くこれだからネットの言う事を鵜呑みにできないんだ。今度からは文献にあたらなきゃ。る○ぶとか。


 リュックは姉ちゃんが高校生時代に使っていたという灰色のオシャレななやつを借り、中身も必要最低限の物を姉ちゃんが取捨選択してつめてくれた。


 テーマパークへ行く当日の朝も姉ちゃんはオレを早めに曲げ起こすと、朝からシャワーを浴びさせ、髪のセットまでしてきた。至れり尽くせりすぎる……。オレのこと好きなの?まずはごめんなさい。そしてごめんなさい。姉ちゃんは素敵な人だと思うけど、弟を起こす方法がアルゼンチン・バックブリーカーの人はちょっと。できれば人の背骨を傷めつけない人の方が好みだ。


 さて、予定より早めに家を出たオレは地元のそれなりに大きな駅で待っていた。それなりがどれくらいかというと、駅前にコンビニと小さな商店街があって快速電車が止まるくらい。


 そんな駅の待ち合わせスポットのモニュメントの前でオレは立っている。モニュメントはオレの身長ぐらいの柱の上にでっかいお皿がのったようなものだ。地元の人からは皿のやつと呼ばれている。オレは祭壇と呼んでいる。そういえば、このモニュメントに名前とかあるのだろうか。オレは周りを歩いて名前を探した。なるほど『希望の光』だそうだ。どこらへんに希望の光の要素があるんだろうか。どうやら芸術を解するにはまだまだ教養が足りないようだ。


 ………………聖火台を模しているのか?最近の現代美術のような聖火台ではなく、歴史の資料集で見た聖火台に似てなくもない。おいおい、オレの教養を見せつけちまったよ。しかもあえて聖火そのものを表すのではなく、聖火台を作るあたり、希望の光はそれぞれの心の中にあるというメッセージだろう。芸術を解するようになっちまったぜ。


 「宗介くん。おはよう~」


 「おはよう。早いわね。待たせたかしら」


 オレが希望の光の前で訳知り顔で頷いていると、待ち合わしていたアリアと竜胆の声が聞こえた。待ち合わせの前に更に待ち合わして2人でくるとか、なんて素晴らしいんだ。いや、もしかしたら前日からお泊り会しているのかもしれない。なんてなんて素晴素晴らしいんだ。


 オレは振り向いて固まった。


 2人も目を丸くしていた。


 2人の格好は当然のごとくペアルック、というかほぼ同じ格好をしていた。チェック柄のスカートにブラウス。胸元には可愛いリボンをキュッとしめ、紺色のブレザーを羽織っていた。そう、


 「制服じゃん」


 「「私服持ってたの!?」」


 ジャージも私服だが?


 オレたちの高校には制服がないので、いわゆるなんちゃって制服というやつだろう。学ランで来るであろうオレに完全に合わせてくれた形だ。さてまずは謝罪からか。


 「……ええ、連絡を怠り、勝手に学ラン以外の服を着てきてしまって、申し訳ございませんでした」


 「謝る事じゃなんいんだけどね」


 「こちらも勝手にあなたが学ランで来るものだとばかり」


 「そりゃ、そうだろう。オレもそう思うもん」


 「でもなんか不思議な感じ。へ~なんか最早コスプレみたいな感じだよね」


 「そうね。一般人のコスプレよね」


 「一般の方々も学ランやジャージを着るがな」


 「でも宗介くんは一般人じゃないじゃん」


 「いつからオレは一般から外れてしまったんだ」


 「私たちが聞きたいわよ」


 「逸般人になってしまったというわけか」


 「「………………。」」


 「ごめん。わかりにくかったよな。今のは一般人の一を逸脱の逸に変えた超面白ギャグだったんだよ」


 「相手が理解できないギャグってただの自己満足だよね」


 「おいおい、良いパンチを打ってくるな」


 ボディに入ったよ。ボディに。これはね後々思い出して効いてくるからね。


 そんな心に鈍い痛みをくらったオレの周りをアリアはへ~と言いながらぐるりと回る。ファッションチェックかな?ドンアリアだ。


 「いいね!似合ってるよ!」


 甘口ファッションチェックだった。


 「ああ、これがマネキン買いの成果だ」


 「その成果は店員さんのものじゃないかしら?」


 「わざわざ言わなくてもいいのに」


 「でも、オレ達生活圏が被ってるわけだし。多分この格好をしたマネキンに遭遇するだろうし。遭遇した次の日にオレを生暖かい目で見るんでしょ?」


 「そりゃ見るよ」


 「見るわね。ちゃんとファッション初心者だったんだなと」


 生暖かい目で見られるのもやぶさかではないが。


 「ありがとう」


 「?」


 「わざわざ私たちに合わせてきてくれたんでしょう?」


 そう竜胆が言う。優しい目で。


 「いや、よく考えたら何もお礼を言われることじゃないな。普通の格好をしてきただけだし」


 「その気持ちが嬉しいのよ」


 アリアもそうだと言わんばかりに優しい目で頷く。


 これは、あれだな。不良が雨の日に子猫を助けたら好感度があがる現象と同じだ。ハードルが低すぎて、いたたまれないぜ。


 オレは話題の矛先を変える事にした。


 「しかし、竜胆もアリアも制服めちゃくちゃ似合ってるな」


 このモニュメントよりもよっぽど希望の光だ。よし、モニュメントを2人の銅像に変えよう。こんなに希望の光という題が似合う銅像が他にあるだろうか。え?麦わらの一味?………………それはそう。ぐうの音もでん。


 ちなみに2人の制服の着こなし方は違っている。竜胆はブレザーの下にカーディガンを着ており、きちんとブレザーの前のボタンを閉めている。アリアはブレザーの下にはパーカーを着ており、当然ブレザーの前のボタンは開けている。なんか優等生とギャルみたいな感じだよね。いいと思います!100点を上げよう。マネキン男の100点で申し訳ないけども。


 「えへへ、そうでしょう。そうでしょう」


 「こういう制服のような服を借りられるところがあって、アリアと一緒に行ってきたのよ」


 「色んな制服を試着できて楽しかったよ」


 どうせ2人で着せ替え合ってイチャイチャしながら試着したんでしょ。オレの芸術を解する脳を持ってすれば、こんな予想は軽くできるのだ。全くけしからん。これはけしからんですよ。


 「ええそんな、誘ってよ」


 「誘わないわよ」


 「すごい真っすぐな目で言うよね。しょうがないなあ。今存分に見ても良いんだよ」


 アリアはそう言って見せつけるようにくるりと回ると、カーテシーをするようにスカートの裾を少し広げた。


 「どう?」


 「超似合ってる」


 「言葉が足りないんじゃないかしら」


 「そりゃ、オレの乏しい語彙力じゃ2人の魅力を伝えるにはいくら言葉を重ねても足りないだろうけど」


 「……わぁ、そういう事をさらっと言うんだよね。宗介くんって」


 「……っ。言葉は重ねなくていいわよ。足りないのはたった一言だから」


 「一言?」


 「そうだよ。かわ?」


 アリアが、さんはいと手で促してくる。


 「いい」


 「ちゃんと繋げって言って」


 「可愛い!!!」


 「うん、ありがとう」


 可愛いをカツアゲされたが、2人が満足気だから良しとしよう。嘘じゃないしな。幸せならOKです!( ´∀`)bグッ!


 ああ、そうだ。オレはあることを思い出して、カーディガンの前のボタンをプチプチと留める。そしてリュックからネクタイを取り出した。いざと言う時に使いなと姉ちゃんから持たされたものだ。そのネクタイをゆるめに締める。これで2人のファッションと合わせても違和感が少しは減っただろう。


 酔った時に頭に巻くようかなと思っていたが、こういうことを姉ちゃんは想定していたのだろう。じゃあ先に言ってよ。


 「うん、いいね!」


 「似合ってるわよ」


 彼女たちはオレの手をそれぞれ取る。そしてオレの手を引きながら言った。


 「「じゃあ、出発!」」


 


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