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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第六章 彼女たちはこんなに眩い
140/142

彼らは激突する

すみません。宗介たちって何組でしたっけ?

全然書いてある所が見つからなかったんですけど、こんなに話が続いていて言及していないことありますかね?

とりあえず1年5組ということで。

もし言及している所があったら、バレないうちに直すのでこっそり教えてください。

 あと少しで3回戦が始まる。オレたちはサッカーコートの横のベンチで集まって作戦会議をしていた。離れたお隣のベンチにも段々と相手のチームが集まってきている。時間が来たら予定通り試合が始められそうだ。


 作戦会議を主導をするのは、横尾くんだ。メガネをチャキリと直すと話し始める。その右手の人差し指と中指でブリッジ部分を押し上げるの癖なのかな。いいな。オレも何かルーティーン的にする動作を決めたいな。首をコキコキ鳴らすとかどうだろうか。強キャラっぽくない?


 「さて3回戦の相手は1年1組だ。基本的にチームメンバーは運動部の男子で固めており、下馬評ではこちらが不利といったところか」


 「下馬評って言っても当事者以外クラスマッチの勝敗気にしてないだろ?」


 「ただ下馬評って言葉を使いたかっただけじゃないかな。横尾はそういう所がある」


 「そこうるさいぞ。兎に角、真っ向勝負ではほとんど勝ち目がないだろう。つまり僕たちは違う所で勝負するしかない。そうだろう日下部」


 「その通り。今から作戦を何個か説明するから、頭に入れておいて、動けるようにしておいてくれ」


 「横尾が説明するんじゃないのか……」


 オレは皆に作戦とハンドサインを教えた。


 そして試合開始の時間となる。


 各チームの人たちがフィールドに広がっていく。オレはフィールドの中心へと小走りで向かった。


 「ちゃんと会えましたね3回戦で」


 「そうだな」


 そこには一ノ瀬もいて、これからコイントスで先攻、後攻を決める。審判の先生がコイントスを行う。結果はオレたちの勝ちだった。


 「じゃあ、最初にキックオフする方で」


 「じゃあ僕たちがそちらのゴールを攻めるという事で」


 すっと一ノ瀬が手を差し出してくる。


 「良い試合にしましょう」


 「ああ、正々堂々ルールに則ってな」


 オレは彼の手を軽く握った。


 ここで本日のフィールドの大きさについて説明しておこう。いつもサッカー部は校庭を横断するように大きなフィールドを作っているが、今日はその半面を使う。横断しているフィールドを真っ二つにして縦向きに2面フィールドを作った形だ。


 ピピ――――


 試合開始のホイッスルが鳴る。


 ちょこんとボールに仲間が触る。オレは走りこんでそのボールを力いっぱい相手のゴールに向かって蹴り飛ばした。


 驚いた顔の一ノ瀬の横をボールが抜けていく。このフィールドの狭さなら素人のオレだってゴールまで飛ばすことができる。


 ガン!ドン!


 オレのシュートはクロスバーに当たりながら、ゴールネットを揺らした。


 一ノ瀬。オレにとっての良い試合はオレたちが勝つ試合だが、それでもいいか?


 

 ***


 「来るぞ!シュート!」


 「ああ!」


 オレの開始0分シュートから、こちらは攻めあぐねていた。いや、正しくは攻め込まれ、守りに専念させられていた。


 相手は綺麗にパスを繋ぎ、こちらの守備を崩してくる。こちらの守備はただマークする相手を決めるだけのもの。様々な動きを見せられ、完全に翻弄されている。


 そしてオレは一ノ瀬のマークについているわけだが、オレも同じように翻弄されている自覚がある。


 今も一ノ瀬の足元にパスがつながる。一ノ瀬は異様にドリブルとフェイントが上手かった。足からボールが吸い付くように離れないし、上半身と目線を使ったフェイントに何度も引っかかっている状態だ。もうシュートだけ撃たれないようするだけで精一杯。何回目かの攻撃を今も何とか防ぎ、ボールがタッチラインを超える。まあ、また相手のスローインから攻撃だが。


 「お前らーー!耐えろ、耐えろーーー!」


 ベンチでは横尾くんもずっと立ちっぱなしで応援してくれている。


 「すごいですね。ここまで抜けないとは思いませんでした」


 「何その自信怖い」


 一ノ瀬が言う。普通自分の武器にドリブルを選択するかね。シュートとかの方が身につけるの簡単じゃないの?知らんけどさ。


 相手がボールをフィールドに入れて再開される。何度かチームメイトを経由したボールは、一ノ瀬に向かって飛んでくる。そこをインターセプト。ボールを奪い、前にボールを蹴り飛ばした。もちろんこれはシュートではなく、こちらのゴールからボールを遠ざけるためのものだ。


 そのボールは運良く一ノ瀬の足をかすめ、センターラインの向こう側、相手の陣地でタッチラインを超える。久しぶりに相手の陣地へとボールが移動した。


 攻めるならここか。オレは自分のチームの江口くん(体操クラブ所属)へと駆け寄る。


 「練習させてたあれ出来そうか?」

 

 「まあ、ここだよね。多分できると思うよ」


 「よろしく頼む」


 江口くんはスローインのボールを取りに向かう。オレも相手のゴール前と走っていく。


 そして江口くんからボールを貰おうとオレのチームの1人が江口くんに近づいていく。当然相手のチームも1人つくわけだが、残念それは囮だ。


 江口くんはボールを持ち、相手のゴールに向かって長めの助走を取る。そしてボールを持ったまま一回転。ハンドスプリングによって射出されたボールは大きな弧を描いてゴール近くまで飛んできた。


 相手チームが少しどよめいたのがわかった。ボールはオレの方に真っすぐに飛んできていた。


 畳みかけるなら今だろ!


 オレは少し前に出ると片足で踏み切り、飛び上がる。頭上を越えようかとするボールを逆さの状態で打ち抜く。


 「オーバーヘッド!?」


 ゴォン


 ボールがバーに当たる音を落ちながら聞いた。オレは受け身を取ると、ゴールの方へと顔を向ける。


 ボールはゴールの真上に高く跳ね上がっていた。それをゴールキーパーがジャンプしてがっちりとつかんだ。


 オレは舌打ちをすると、拳でグラウンドを叩く。やるなら決めなきゃだめだろ。ハンドスプリングによるスローイン、オーバーヘッドキック、それ単体で奇襲になるものを2つ合わせて使ってしまった。


 「がぁ!すまん!外したぁーーーー!」


 「うん、知ってる!みんな見てた!」


 「惜しかった!惜しかった!ドンマイ!」


 「コラー!日下部ーー!決めろーー!」


 「ごめーーーん!」


 小島だけオレに厳しくない?


 そしてその後、いとも簡単に相手チームにゴールを決められることになる。


 綺麗に何本もパスを通され、こちらのゴール前がごちゃついた所をシュートがゴールへと転がり込んだ。人がゴール前に居すぎて、小島の近くを通ったシュートに反応ができなかった。


 前半が1-1のまま終わり5分間の休憩に入る。体力に自信がない3人はもうへとへとだ。5分の休憩など休憩した内に入らないだろう。5分休憩の後、サイドチェンジを行い試合は再開される。


 「ふぅ、しかしあいつら強いな」


 「ああ、攻め込まれっぱなしだ」


 「くそっ、あんなコロコロのシュートで決められるとか」


 「いや、小島、あれはしょうがねぇよ」


 「日下部。まだ何か作戦はあるか?」


 「……あと一つ作戦がある。だいぶ賭け要素の強い作戦だがお前ら乗るか」


 「それで勝てるのか?」


 「みんなの頑張り次第だな」


 「「「「「それで行こう」」」」」


 やだ、皆様かっこよすぎ。オレは最後の作戦を説明した。


 ***


 あと一本決めきれない。


 僕、一ノ瀬光は焦りを覚え始めていた。スコアは1-1だが、こちらが攻めているのに全然ゴールを決めきれないことに皆もいら立ちを覚えている。


 何より僕が僕自身に一番苛立っている。この試合僕が一番活躍していない。


 今日ずっと僕のマークについている日下部くんが原因だ。僕に全然仕事をさせてくれない。シュートを一本も打たせてくれない。フェイントをかけてドリブルで抜きにかかるが、止められる。仕掛けるたびにどんどん日下部くんの反応が良くなっている気がする。


 今日の彼のプレーを思い出す。スタートすぐの遠距離シュートにオーバーヘッドシュート。ああ、かっこいいな。思わず嫉妬してしまう。いや、嫉妬自体はずっとしているんだ。涼白さんと楽しそうに話す君に。


 僕は頭をぶんぶんと振って余計な考えを頭から振り払う。


 カッコいいこととこの試合の勝敗はまた別の話。たとえカッコ悪くても僕は勝つ。


 前半、守備をせずにこちらのゴール前で立っていた日下部くんチームの人も、今は守備をしている状態だ。ロングボールを気にせずに攻めることができる。押せ。勝てる。勝つんだ。


 シュートを相手のゴールキーパーが正面でがっちりとつかんだ。


 その時だった。


 「小島!くれぇぇぇ!」


 そう言って日下部くんがキーパーにアピールする。それを防ぐように僕はキーパーと彼との間に体を入れた。あまりにも簡単に。抵抗などなかったかのように。


 「おらぁ!」


 キーパーは大きく振りかぶるとボールを勢いよく投げた。日下部くんのはるか上を超え、大きな弧を描いてボールはこちらの陣地へと飛んでいく。


 でもこのボールは誰にも届かないはずだ。だって相手のチームは全員が守備をしているのだから。僕たちのゴールキーパーが取って終わりだ。そう思いながら振り替える。


 そこでは前半ベンチにいたメガネの生徒がボールを取りに向かって走っていた。


 ***


 小島をゴールキーパーにしたのには理由がある。それは肩の強さだ。ゴールキーパーのパントキックが禁止されているこの試合では、キーパーは投げるか、転がしてキックすることになる。そして投げる方がより早く攻めに移ることができる。


 「小島!くれぇぇぇ!」


 オレは小島に向かって叫んだ。これが最後の作戦の合図だった。言った瞬間こちらのチーム全員が相手ゴールへ向かって走り出した。


 一ノ瀬がオレの前に体を入れてくるが、そちらはもう前じゃない。オレも振り返ると走り出した。


 ボールが飛んでいく方向には横尾くんが走っている。横尾くんには後半から交代で入ってもらい、今までずっとベンチの前のギリギリフィールドに入っている位置で応援をしてもらっていた。全てはこの時の為に。


 横尾くんは弾んだボールに何とか追いつき、前を向いた。そして思いっきり足を振りぬいた。おそらくつま先にあったであろうシュートは変な回転で弾みながらゴールの端へと向かって飛んでいく。横尾くんはつま先を抑えながら飛び跳ねている。


 コーン


 シュートはゴールポストに当たって跳ね返る。あんなにでかいゴールなのにオレたちは何回枠の部分にあてるのだろうか。勝利の女神にでも見放されたのか。


 そこへ詰めていたのは江口くん。江口くんもシュートを打つ。全員に後半はボールを持ったらシュートを打てと言ってある。


 かなり良いシュートだったがこれを相手のキーパーは横っ飛びで弾く。くっそ!ナイスセーブ!


 弾かれたボールはまだフィールド内。そして一番近くにいるのはオレだった。全力でボールへ向かって走る。後ろからは一ノ瀬もついてきているのを感じる。オレの方が早く走り出したはずなのに、追いつかれそうになっている。


 もう少し、もう少しでボールへとたどり着く。あと10メートル、5メートル、3、2、1。


 聞きなれた鈴の音のような2人の声が耳に入った。


 「日下部くん!」


 「宗介くん!」


 「「頑張って!!」」


 悪いな一ノ瀬。勝利の女神はこちら側にいるようだ。


 オレはあのバレーボールの時の様に頭からボールへと突っ込んだ。


 ***

 


 球技大会 サッカーの部 3回戦結果


 1年1組  1-2  1年5組


得点 前半0分   1年5組 日下部宗介

   前半13分  1年1組 佐藤翔太

   後半10分  1年5組 日下部宗介


 

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クラス1年5組で当たってます。 (西洋甲冑で文化祭出し物の宣伝してました)
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