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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第一章 クーデレ女子がこんなに可愛い
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姉というのはえてして横暴なものである

 「そういや、伊万里さんって兄弟いるの?」


 今日も今日とて一緒に昼ご飯を食べる伊万里さんに、疑問をぶつけてみた。


 「……いないわ」


 「え?」


 伊万里さんの答えに思わずといった風にアリアが驚きの声を出す。ごめんねと手を合わせて謝るアリアを見て伊万里さんは一つため息をつく。


 「いるわ」


 「どっちなの?」


 多分いるんだろうけど、何で一回嘘ついたの。


 「姉がいるわ」


 「へぇ、俺も姉がいるな」


 「私は一人っ子だよ」


 よかった。この前の言葉はありがとうでファイナルアンサーだ。


 「よく宗介くんの話に出てくるお姉ちゃんだよね」


 「ええまあ、友達は少なかったが、姉とはもう十数年の付き合いなので姉のエピソードトークには事欠かない」


 みんなは「友達に聞いた話なんだが」という喋り出しで話すわけだが、オレの場合は「姉に聞いた話なんだが」になるわけだ。前者だと信憑性が乏しくてな。


「「ああ~」」


 二人が納得したような声を出す。それは友達が少ないという部分に納得したのかな?


 オレだって本気をだせばすぐに男友達なんて作れるからな。前の席の小島に、肩を組んで「オレたち友達だよな」って聞けばきっと「お、おう」って答えてくれるはずだ。ほら簡単。NOと言える日本人になろうぜ。


 「宗介くんのお姉さんって美人?」


 「美人じゃないか?モテすぎて困るって、自分で言ってた」


 それでモテすぎて困るエピソードを適当に聞き流していたら、チョークスリーパーをくらい姉ちゃんを100個褒めるまで離してくれなかった。人の話はちゃんと聞くという、人生において大事なことを姉ちゃんはオレに痛みとともに教えてくださる。


 というか100個とか馬鹿じゃねぇの。小学生が言う数だろ。途中で姉ちゃんも飽きてきてたから。小指がかわいいがOKだったし、小指が綺麗も一個としてカウントしてくれたし。ただの体の部分の名前をいうゲームだよ。


 「写真とかないの?」


 「あるよ」


 オレはスマホを操作し写真を出す。この前オレの入学祝を買うという体で連れ出され滝を見に行ったときの写真だ。時に姉は突飛なことをする。おそらく運転免許をとったのでたくさん運転がしたかったのだろう。もちろん助手席に座らせられたが生きた心地はしなかった。


 「わぁ~本当だ美人~」


 「…………確かに美人だけど随分とあなたに似ているのね」


 「背の高いほうはオレだね」


 「はい?」


 伊万里さんは写真とオレを繰り返し見る。そして両手を組み、そこに額を置いてうつむきながら声を絞り出した。


 「自首するなら早いほうがいいわよ」


 「自首を勧めてくれるなんて、随分と優しいな」


 「二人とも……」


 いやだってこういう場合、伊万里さんだったら迷わず通報していたよ。


 「こっちの茶髪の背が低いほうが姉で、こっちはオレだ。言っとくがオレの女装は姉の趣味だ」


 「そう美人ね。お姉さんは」


 倒置法で姉ちゃんだけを強調しているところ悪いんだけど、一回オレのことも美人って褒めてたよね。


 「姉弟だとやっぱりお姉ちゃんのこと美人って思わないの?」


 「だね。アリアとか伊万里さんを見て綺麗とか可愛いとか思うから感性には問題ないはずだけど、姉は美人とか意識したことはないな……何?」


 何故かアリアと伊万里さんが微妙な表情をしていた。


 「今の時代、綺麗とか可愛いとか男性が女性に言うのもセクハラになる場合があるのよ」


 「まじで。褒めてるのに?」


 「褒めていてもよ」


 「世知辛い」


 というか姉ちゃんの教育が時代遅れじゃないかよ。100個も褒めさせてくださりやがって。姉ちゃんの調教のせいで言葉遣いがおかしくなってる。はっ、ということは褒めさせられたのは逆セクハラ。違うか。違うな。


 「でも嬉しかったよ。ありがとう」


 そういってくれるアリアは本当にいい子だ。


 「手を出しな。飴ちゃんをやろう」


 「わーい」


 「やめときなさいアリア。知らない人からは物を貰っちゃいけないのよ」


 「知らない人と昼食をとるのはいいんかい」


 「レストランで隣に知らない人が座ることもあるわ。それと同じよ」


 あめちゃんだって知らないおばちゃんからもらうこともあるだろうよ。オレなんか知らないお姉さんに街中で飴をもらったことあるからね。しかも手紙付き。手紙には「本日開店!パチンコ&スロット!」って書いてあったね。何の隠語かな?今日中にこの地図が示す場所に行けばいいのかな。


 伊万里さんの言葉を気にせず、さっさと袋を開け口に飴を放り込むアリア。そしてニコニコしながら言う。


 「え~でも~知らない人からミサンガを貰うのはいいの?」


 伊万里さんの右手首のあたりに注目している。


 「ごふっ、ごほっごふ!」


 丁度お茶を飲んでいた伊万里さんは盛大にむせた。ハンカチで口元を隠しながらオレを睨む。何でオレ?


 「あなた話したの!?」


 「そりゃあ話しますよ。こうやって3人で話す機会も多いのに、一人にはあげたのに一人にはあげないなんて、そんな気まずい場面に遭遇したくないもの」


 一応ミサンガを見せながら要るかどうか聞いてみた。もちろん同じ部活なので自分で作れるだろう。でもピンクのミサンガを伊万里さんが持っていると伝えると案の定話に乗ってきた。そうだな。こんなおいしい話題をアリアが逃すわけない。


 それにミサンガの色。ピンクと黄緑つまりは補色。二人の相性が抜群だということを表すのだよ!(日下部個人の意見です)これに気づくとは流石アリア。さすすすだ。やっぱり語呂が悪い。


 「あなたは」


 口をパクパクさせて何か言いたげだが、言葉にならないみたいだ。何ぞ?


 「で~ミサンガはいいのかな~」


 いつのまにかニコニコがニヤニヤに変化して、アリアはオレがあげた黄緑色のミサンガを指でくるくる回している。


 「お、お礼なのだから仕方ないじゃない」


 「お礼?りんちゃんが宗介くんに何かしたの?」


 「いや、オレが伊万里さんを助けたお礼に貰ってくださったのだ」


 「りんちゃん……」


 「何よ」


 アリアはふらりと立ち上がると、机を回って伊万里さんのもとへと行く。


 「りんちゃん!」


 「だから何よ」


 「可愛すぎる!」


 アリアは伊万里さんに抱き着き髪をなで頬ずりをもみくちゃにしている。


 「素直にお礼が言えないりんちゃんがすごく可愛い!」


 「ちょ、ちょっとやめ、やめ……あなたはこっち見ないで!」


 だから目をつぶってるだろうがい。伊万里さんが照れ過ぎてこっちに矛先を向けてくることは予想済みなのだよ。


 しかし少しだけ誘惑に耐え切れず薄目を開ける。アリアが伊万里さんをあすなろ抱きしていた。そして伊万里さんはそれを受け入れお弁当の続きを食べている。ばれないようにまたゆっくりと目を閉じる。その光景は決して逃がさないように瞼の裏に焼き付ける。

 

 「ふっ、仲良きことは美しいことかな」


 今日も世界は平和である。

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