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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第一章 クーデレ女子がこんなに可愛い
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彼と彼女は下校する

 むしゃくしゃしたからやった。後悔はしてない。


 我に返った時、浮かび上がった文言はそんなところだ。部活からの帰り道、伊万里さんをみかけ、挨拶ぐらいするかと思い近づいたら、傍に男がいた。しかも伊万里さんのアリア以外は決して触れてはならない体に触れていたのだ。瞬間沸騰。体はスムーズに動いていた。百点のフォームで程よく力がのったカバンがその男に向かって放たれていた。ここまで無意識。気が付いたら綺麗なガッツポーズを決めていた。ここまで綺麗なガッツポーズを決めたのはきん○ザが映画化を決めたとき以来だ。最近、割と最近。


 やっちまったと思ったが、伊万里さんもグッジョブサインを出していたので問題はないだろう。人を仲良くさせるのは共通の敵なんだなと思いました。


 その後なんやかんやあって悪を滅ぼし、今伊万里さんにカバンをぶつけられたところだ。


 刑が随分と軽くなって良かったです。それほどあの男に迷惑をしていたということだろう。オレはカバンの埃をはらう。さっきあの男の顔面にぶつかったんだよな。帰ったら除菌しないと。


 伊万里さんの顔面にぶつかったものなら除菌しないんだが。なんです?知らないんですか?美少女は菌なんて持ってないんですよ?まあ伊万里さんにぶつけた場合オレがこの世界から除菌されるわけだが。


 ってだれがばい菌だよ。やめろ。中学時代のあだ名、恥知らずのパープルヘイズを思い出す。


 「で、あなた何で帰るの?」


 「そこのバス停からバス」


 「そう」


 それだけ聞くと伊万里さんは歩き出した。こっちの方向に歩いてきたということはおそらく伊万里さんもバスなのだろう。


 「伊万里さん!また明日!」


 オレは一つ後のバスで帰ることにしよう。


 伊万里さんがぴたりと足を止める。


 「……あなたのせいで逆上したさっきの男が戻ってきても困るんだけど」


 どうも気を使わせてしまったようで。同じバスに乗ることを許可されたという認識でいいのだろう。


 「それは、じゃあ責任を取らないとな」


 オレはさっさと伊万里さんに追いつく。少しは友達という関係に近づいてきただろうか。


 二人でバス停まで歩き、到着したバスに乗り込む。バスの中は、学校や会社帰りの人でそれなりに混んでおり、一人で座る用の席が一つ空いてるだけだ。


 「オレ、5つ先のバス停で降りるんだけど、伊万里さんはそれより前、後どっちでおりんの?」


 「そうやって私の家を特定するつもりね」


 「この2択に答えただけで、特定できるわけないでしょうが」 


 ああ勘違いだったわ。全然友達に近づいてない。こっちもストーカーと思われないように質問を気を付けていたというのに。


 「後よ」


 「じゃあどうぞ」


 オレは空いている席を手で示し座るように促す。空いているのはバスの奥の方の席で、後に降りる方が座ればいいだろう。伊万里さんは何も言わずに座った。伊万里さんのことだ、無条件で座らせようものなら冷たい目で罵倒をしてきたことだろう。それもそれでありだが、ここは公共交通機関。ここはオレが引いてやろう。よかったな互いに理性的で。


 バスが動き出す。伊万里さんは窓の外を見ながらちょこんと座っている。いつもは態度が大きいので気にならないが、こうしてみるとやはり伊万里さんも女の子のサイズなんだなと思う。


 「それでこんな遅くまであなたは学校で何をしていたというの」


 「ちょっと、オレがなんか悪いことをしてたみたいな言い方やめなね。普通に部活だから」


 「部活?アリアがいないのに?」


 「そうだよ。むしろアリアがいない方がお姉さま方にちやほやされるからな」


 「最低」


 「冗談だよ」


 こういうことを言っちゃうから、いまいち信用されないんだろうなって思いました。


 「今日だって真面目に活動してんだよ、ほれ」


 オレはそういって今日作ったミサンガを見せる。今日は元手芸同好会の人主導でミサンガ作りを行った。ミサンガというとあの外見から作り方はしめ縄の作り方を思い浮かべる人が多いだろう。しめ縄の作り方を知らない?かーこれだから都会っ子はだめずら。


 ミサンガといっても作り方もとい縫い方は一通りではなく、模様を着けたり、文字を出してみたり、ビーズを着けてみたりとなかなか工夫の余地がたくさんあった。


 今日作ったのは3本の糸をより合わせるものだ。これはしめ縄の作り方に一番近いだろう。しめ縄の話はもういい?はい。


 「これあなたが作ったの?」


 「ああ、先輩方が作ったやつも何本かもらったが、この2本は正真正銘オレが作ったやつだ」


 「ちやほやされてるじゃない」


 「本当だ」


 差し出した2本のミサンガを珍しいものを見る目でしげしげと眺めている。


 「えっと、要る?」


 ははは、なーんて。


 「……そうね。もらおうかしら」


 「え」


 「は?」


 一文字だけでこんな怖いことあるか。


 いや社交辞令みたいな感じで言ったから、まさか本当に要るとは思っていなくて驚きの声が漏れた。


 「勘違いしないでくれる。これは今日お世話になったお礼よ。お礼にもらってあげようと言っているの………………別ににお世話になったなんて思ってないから」


 「あ、はい。大丈夫です。もう何でもいいッス。もらってくれるだけでありがたいッス」


 触らぬ神になんとやらだ。オレは全面降伏し、その2本のミサンガを差し出した。ピンクベースのものと黄緑ベースのものだ。伊万里さんはピンクベースの方を選んだ。少し考えてからそのミサンガを右手に付ける。


 「何か?私がピンクを選んだのがそんなに変?」


 「いや別に。かわいくていいんじゃない?そっちじゃなくて、利き手の方につけるんだと思ってさ。こういうのって利き手の逆につけない?時計とか。邪魔じゃない?」


 「だからよ。早く取りたいもの。よく使うほうに付けた方が早く切れるでしょう」


 「最初からつけなければいいんじゃ…………ああ!ごめん!余計なこと言った!だから無言でミサンガを窓にこすりつけるのやめて!」


 結構頑張って作ったんだからね。大事にしろとは言わないが、普通にして。


 それ以外に会話はなく5つ先のバス停にバスは到着し、オレは下車する。バスの中の伊万里さんを見るとさっきまで窓の外の向いていたというのに今は進行方向を向いている。


 そこまでいくとちょっと笑ってしまった。オレは目の端ぐらいには引っ掛かるだろうと手を振る。バスが出発する直前伊万里さんはこっちを向いた。お?


『あ』『り』『が』『と』『う』


 口の形がそのように変化した。それが意味ある言葉に変換される前にバスは御構い無しに出発する。


 「どういたしまして」


 オレはそう呟いた。


 もしかしたら『あ』『に』『が』『お』『る』という兄妹の話だったかもしれないが、その場合は令和のキムチ事件として笑い話にでもしようと思う。

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