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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第五章 夏休みがこんなに楽しい
110/142

彼らは決着をつける

第1回戦 ダーツ

 1位 竜崎先輩

 2位 オレ

 3位 会長

 4位 小島


竜崎先輩の勝因

 真ん中を狙うよりトリプルの20を狙う方が点数が高いことに気づいたこと。公平になるように投げる順番を途中から反対にしましょうという竜崎先輩の言葉を鵜呑みにするべきではなかった。



第2回戦 ビリヤード

 1位 小島

 2位 竜崎先輩

 3位 オレ

 4位 会長


オレたちの敗因

 途中からオシャレなショットを打ちたがってしまったこと。堅実にボールを落としていった小島が1位。お前はまだ普通に打つのか?そんな個性のないキャラでいいのか?というプレッシャーに勝った小島に拍手を。



第3回戦 卓球 ダブルス

 1位チーム 竜崎先輩&オレ

 2位チーム 会長&小島


オレたちの勝因

 テニス部及び元テニス部の面目躍如。流石にラケットスポーツでは負けられなかった。交互に打つというルールで、入れ替わる際に会長のショルダータックルが小島に直撃。小島の動きの精彩が欠いた。



第4回戦 バトミントン 異種ダブルス (小島休憩中)

 1位チーム 竜崎先輩&オレ

 2位    会長


オレたちの勝因

 ぐっぱでチーム決めをしているのだが、2回連続でテニス部及び元テニス部ペア、略してテニス部ペアになってしまった。会長の運が悪かったのかオレ達の運が良かったのか。なんとか会長も食い下がるが圧倒的戦力差で勝利。



第5回戦 ホームラン競争

 1位 会長

 2位 オレ

 3位 小島

 4位 竜崎先輩


会長の勝因

 筋力。バッティングコーナーにてホームランの的に当てた人が勝ちのこの勝負、2発でアジャストした会長の勝利。すさまじい打球音がした。現役野球部の小島、やる気満々で競技に挑むが陸上部の会長と帰宅部のオレに負け自身喪失。慟哭す。



第6回戦 ストラックアウト

 1位 会長

 2位 オレ

 3位 竜崎先輩

 4位 小島


オレの敗因

 絶滅危惧種ナックルボーラーがゆえにコントロールがつかなかった。ナックルを裏切るわけにはいかなかった。現役野球部の小島、ここでも会長に1位を譲る。それどころか竜崎先輩にも抜かされ最下位となる。何で負けたかは、明日までに考えておいてください!



第7回戦 フリースロー

 1位 会長

 2位 竜崎先輩

 3位 オレ

 4位 小島


オレの敗因

 小学生じゃないから最高じゃなかった。



 ***


 「ふぅ」

 

 オレたちは自動販売機の前のベンチにて休憩をしていた。思い思いの飲み物を買って疲れた身体を癒している。オレは当然ドク〇ーペッパー。


 「ふむ、やはりまだ勝負はついていないようですね」


 竜崎先輩はスマホを片手にそういった。


 「勝敗は得点制で良いのですよね?」


 「ああ、それは始める前に決めた通りだ」


 今日の勝負は得点制で、順位ごとに与えられた得点で勝敗を決めることにした。1位が3点、2位が2点、3位が1点、4位が0点といった感じだ。


 「得点を計算したところ私と会長、それに日下部さんが同点ですね。あ、小島さんは最下位です」


 「ぐふっ、それは言われなくてもわかっております……まさかこんなに勝てないとは思わなかったなぁ……得意競技もあったのに……へへへ」


 何を思い出したのか虚空を見つめながら乾いた笑い声を出す小島。小島はもうダメかもしれん。


 「それなら、まだ勝負は続くな。あとやっていない競技と言えば……」


 「フットサルとかですかね」


 フットサルはどうやら人気のようで、中々コートが空かなかったので、後回しにしていたのだ。


 今も大学生ぐらいの明るい髪色をした方々が、フットサルを行っている。


 ……なんでだろうか。あの人たちにフットサルが滅茶苦茶似合うなと思ってしまうのは。フットサルをやっている人もやっている所も全然見たことないのに、あんな感じの人たちがやっているイメージがある。スポ根的なイメージがないからかな。


 ん?というかあの髪色の集団、さっきもフットサルをやっていなかったか?


 近くには小学生のお客さんがいて、チラチラと様子を伺っているというのに、交代する気配もない。


 ふむ。


 「小島」


 「まあ待て落ち着け。いいか穏便にことを済ませるんだ。ここは学校じゃないんだぞ!」


 「オレを何だと思っているんだ」


 いつオレが穏便にことを済ませなかったんだ。交渉人の力を小島も見たことがあるだろうに。オレの武器は言葉よ、言葉。


 「いや、普通にここの従業員さん呼んでこようぜって話だ」


 従業員さんが注意して彼らが引いてくれるならよし、まだフットサル始めたばっかですとしらばっくれられても、従業員さんがいる場で彼らに話しかけるということが重要。2回目は流石にしらばっくれはしないだろうからな。


 「そんな感じで関わろうと思いますが、いいですかね?会長、竜崎先輩」


 「私はいいですよ」


 会長からの返事がない。


 「ん?」


 というか、さっきまでここにいた会長の姿がない。


 「会長ならあそこです」


 「「おいおいおいおい」」


 見ると会長はすでにフットサルコートにいた。


 オレと小島は慌てて会長を追いかけるようにして、フットサルコートへと向かった。


 「む、遅かったな。丁度今、話がまとまった所だ」


 フットサルコートに着くと会長はそんなことを言った。


 なあんだ。喧嘩をふっかけにいったわけではなく、話し合いに行ったのか。ふー焦ったぜ。でも流石は会長。こんな短時間で話をまとめてしまうなんて。やっぱりそういう役職に就いていると折衝することも簡単にできるんだなぁ。


 「フットサルでこいつらに勝ったら、コートを譲ってくれるらしい」


 違った。唯の脳筋だった。


 コートにいた5人の大学生たちは後からきたオレたちを見てあからさまに空気が弛緩した。オレも女装が似合うほどに細身だし、小島も野球部にしては線が細い。きっと倒すのが余裕だと思われているのだろう。


 「じゃあ、俺たちが勝ったら何してもらおうかなぁー」


 大学生はそんなことを言い始める。


 いや、まあその場合従業員さんに対処してもらうけどね。ふふ、オレたちに負けはないのだよ。


 「俺たちが勝ったら土下座でもしてもらおうかなぁ。そうすれば、可哀そうだから君らが負けても譲ってやるよ」


 「え、じゃあそれで」


 なんだ。そんなことでいいのか。ほぼノーリスクじゃん。従業員さん呼ぶより楽だし。


 「「「「「え?」」」」」


 「え?」


 何故か要求してきた大学生が呆気にとられている。


 「ちょっと待て待て日下部!」


 オレはぐいっと小島に肩を組まれる。ちょっと汗臭いのでもう少し離れてもらってもいいですかね。


 「どういうつもりだよ日下部!」


 「ええ、だってあいつらが最低ベットでいいっていうから飛びついたんだが」


 「お前の頭、軽すぎるだろ!なんかこうあるだろう。プライドが傷つくとか」


 「ふっ、頭を下げたぐらいで傷つくようなやわなプライドはしてないんでね」


 「何言ってるか、最早わからねぇ!それはプライドが高いのか低いのか!?いいか。見てみろよあの人たちを。明らかにくずっぽいだろ。頭を下げるなんて価値なんてないぞ」


 「バカ野郎!生命そのものが尊いんだよ!」


 「バカはお前だ!」


 まるで分からず屋を相手にしたようにオレに熱心に語りかける小島。心外だ。


 「そう宗介を責めるな。小島」


 「ですが、会長はいいんですか?負けたら土下座ですよ」


 「安心しろ負けん」


 「「やだ、かっこよすぎ」」


 くそぉ!オレも言いたかった!


 「おーい。話はまとまったのかな」


 大学生たちは余裕の表情で声をかけてくる。


 「ああ、大丈夫だ。その条件で構わない。ルールは3点先取とかでいかがだろう」


 「何でもどうぞ。何だったら5点でも10点でもいいぜ」


 「いや、3点で構わない。3分以上あの子たちを待たせるのは酷だろう」


 会長は堂々とそう言った。


 大学生たちはその挑発ともとれる発言に目元をひくつかせている。多分会長は煽っているわけじゃないんだと思います。本心を言っているだけなんです。


 「へぇ、で、そっちは3人でいいのかよ」


 そういえば、竜崎先輩がまだ来てないな。


 そこへ丁度竜崎先輩がコートにやってきた。何だかざわめく大学生たち。


 「すみません。ちょっと用事がありまして遅れました」


 女の子には色々あるからね。こういう時にどんな用事かは聞いてはいけないのだ。


 「大丈夫だ琥珀。間に合っている。じゃあさっさと始めるか」


 「フットサルですか。授業でやったぶりですね」


 「へぇ~授業でフットサルやるんですね」


 「あんたら、もう少し緊張感を…………ああ、もう、俺ゴールキーパーでもやってます」


 こうして突発的に大学生とのフットサル対決が始まった。


 さぁ結末はいかに!



 ***


 

 

 


 「お兄ちゃん、お姉ちゃん!ありがとう!」


 「おう、順番は守って楽しく遊べ」


 「うん!!!」


 会長の言葉に元気よく返事をして、フットサルのコートに入っていく。


 キラキラとした笑顔が眩しい。全く小学生は(以下略)。


 あの後、といってもおよそ5分前だが、オレたちは3-0でフットサルに勝利していた。たぶんあの大学生たちはほとんどがエンジョイ勢というかサッカーをガチでやったことある人はいなかった。そのため勝利することも難しくはなかったな。会長のコート半分を横切る速攻シュート。オレのファイ〇トルネード。竜崎先輩の綺麗なループシュートの3発で終わりだった。


 「そういえば竜崎先輩。終わった後あの人たちと何を話していたのですか?」


 最後のゴールを竜崎先輩が決めた後、何だか不満気なあの人たちと何かを話していたような気がしたんだが。それを聞いた大学生たちは逃げるようにしてコートから去っていった。


 「ああ、あれですか。ちょっと順番に彼らの個人情報を」


 「へぇ~竜崎先輩は物知りですねぇ~」


 「ええ!今、そういう次元の話だったか!?」


 小島が何かを言っていたような気がしたが、気のせいだろう。竜崎先輩は物知りなんだよ。それでいいだろう。


 オレはぐーと伸びをする。


 「じゃあ、そろそろ帰りますか」


 「そうだな」


 「そうですね」


 いやーこの4人で遊ぶのは初めてだったが楽しかったなー。いつも遊ぶときは女の子率が髙いので、今日みたいなメンバーは逆に新鮮だったな。いつもはゆるゆるふわふわな空気だが、こういうバチバチな空気も悪くはない。


 そういえば、どうしてこの4人で遊ぶことになったんだっけか?


 「あの、お三方は勝負をしていたんじゃなかったですか?」


 帰ろうとするオレたち3人に向かって、小島がおずおずとそう言った。


 「「「!」」」


 「ついさっきまで得点の話をしていたのに忘れたんですか……」


 「「「それだけ一つの勝負に集中して真剣なんだ(なのです)」」」


 「あ、はい、そうですね」


 なんだその目は小島。適当に喋っているわけじゃないんだからね!


 「しかしどうしますか。勝負」


 「そうですね。フットサルでもこの三人が一人一点ずつ決めましたし」


 「なら、古来より最後に勝負を決める方法はあれだろう」


 その会長の言葉にオレと竜崎先輩はうなずくと、拳を合わせた。


 「「「じゃーーんけーーん」」」


 オレがリズムに合わせて拳を振り上げると、


 会長は体を逸らし豪快に振りかぶり、 


 竜崎先輩は拳を構えたところで微動だにせず、


 小島はそんなオレたちを何だか呆れたように見る。


 そして3人は自分の勝負手を繰り出した。


 「「「ぽいっ!!!」」」


 その声は勝者の雄たけびと共に夕暮れの夏の空へと吸い込まれていった。


 

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