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女友達がこんなに可愛い(仮)  作者: シュガー後輩
第一章 クーデレ女子がこんなに可愛い
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プロローグ ~こうして彼は高校生活を夢見る~

 オレは日常系と呼ばれるものが好きだ。


 空気系と言う人もいるかもしれないが、まあどうでも良い。そんなのは好みだろう。そもそも日常系とか空気系が好きな人達はいちいちそんな枠組みでとやかく言う人達ではないだろう。


 とにかくオレは日常系が好きだ。女の子たちがなんてことない日常を過ごす物語が好きなのだ。


 元々小学校の時から重度のハッピーエンド厨かつシリアス嫌いだったオレが日常系にハマるのは必然と言えよう。


 因みに一番売れている漫画雑誌の作品も割と好き。味方があんまり死なないから。でも最近の作品は味方が死にすぎてて辛い。あとラブコメも好き。バットエンドあんまりないから。でもギクシャクターンになるとしんどい。


 それはともかく、中学の時日常系アニメを初めて見た時の衝撃と言ったらもう言葉にできない。こんなスローテンポで話が進まず、ゆるゆると時間が流れる作品があっただろうかと。今ではわかる。話が進んでいないのではない、これを見せたいんだと。そうしてオレは深い沼に堕ちていった。


 そんなオレが晴れて高校生となる時、一つ問題が浮上した。


 それはどこの高校へと行くかだ。そう、大事だよね進路。だがオレが悩んでいるのは皆の進路の悩みとは違う。もっと高尚なことだ。


 そこで進路指導の際に担任の先生にこう聞いてみた。


 「どこが一番女の子たちがゆるふわな雰囲気で部活動していますか?」

 

 「お前ふざけているのか?」


 全く失礼な担任である。この混じりっけない瞳を見てから言ってほしい。


 「先生、本気です。僕がどれだけ準備をしてきたことか。日常系アニメの会話や設備を分析したり、現実の高校の文化祭を何校も回ったりして、どの高校が一番日常系アニメのような学校かを本気で考えているんです」


 「本気なのもそれはそれで困るんだよな」

 

 ため息をつきながら先生はオレの成績表に目を落とす。


 「……成績は良いんだよな日下部は」


 「ええ、死活問題ですから」

 

 「おお、急に真面目なことを言い出したな。勉強に対して意識が高いことはいいことだ。たしかに勉強するしないってのは一生もんの問題だよな」

 

 「いえ、成績が下がるとアニメ見放題サイトを解約させられるので」

 

 「…………。よし話を戻そう。志望校の話だ」


 志望校、ね。


 「泉女子校……か」

 

 「待て。待て落ち着け日下部。意味深に女子校の名前を呟くんじゃない。侵入したりしたら犯罪だぞ」

 

 「そんなことしませんよ!僕の遵法精神を舐めないでください!ちゃんと合法的に入れる方法を考えてますよ!」


 「合法って言葉を使うやつはだいたいグレーな事を考えているんだよ!」


 失敬な。妹を入学させてそれを利用しようとしか考えてない。

 

 しかし問題が二つ。一つは最近では生徒の身内でも入れないところがあること。まあ確かにその人にとっては身内でも他の人にとってはただの知らない男だからな。完全に男禁制の女の園か。なんだろうドキドキしてきた。中では一体どんなドラマが生まれているのだろうか。


 問題の二つ目は妹がいないこと。欲しい。


 「特にやりたいことがあるわけじゃないんだったら、この高校とかこの高校とかがおすすめだ。日下部の成績だったらこの辺も狙えるだろう」

 

 「ふむふむ。ではこの高校で」

 

 「あっさり決めるんだな」

 

 「いえ、先ほども言った通りずっと考えていたんです。果たしてあの高校たちはどのような高校なのか。基本的にどのアニメにも頭いいキャラも頭悪いキャラもどちらもいるし、テストの問題などが描かれているわけでもない。だから偏差値では判別できないとも思いましたが、何回も見ているうちに一つ気づいたんですよ。登場人物は皆いい家に住んでいるということにね。つまりはこれは親の収入が比較的高めであることを示唆しているわけです。調べてみたところ収入が高いほど偏差値の良い大学に行く傾向があるというデータが出てきました。つまりあの高校たちは進学校である可能性が高い。では進学校に行くとしてどこへ行くか。この今選んだ高校の特徴はなんと言っても自由な校風。なんとこの高校、生徒の身だしなみに関する校則がほとんどないんです。制服がなく服装自由だというのもそうですが、何より「髪を染めるな」という校則もないんですよ。つまるところ色々な髪の色々な格好の女の子が見れるわけです。もうここしかないじゃないですか」

 

 「長い長い怖い怖い。長文早口で話すオタクは嫌われるそうだぞ」

 

 「ふっ。女の子のためなら嫌われる覚悟はできてますよ」


 「気づけ日下部。女の子関係ないぞ。あとここの生徒に聞いた話だが、髪を染めている女子生徒はそんなにいないし、着ている服も一番目に多いのがブレザーで制服っぽい服、次に多いのがジャージらしいぞ」

 

 「それはそれでありです!」

 

 「OK!はい進路相談終了!勉強頑張ってください!」


 


 勉強を頑張り無事志望校へと合格を決めた。


 オレはより充実した高校生活を送るために目標を設定することにした。みんなも小学校、中学校でもよくやったことがあるだろう。オレは中学校の反省から高校での目標はこう設定した。


 女友達を作ること。


 なぜならそれは女の子が女の子同士でイチャイチャしているのを見たいから。日常系アニメのように!女の子同士が会話し、遊び、楽しんでいるところを間近で見たいから。日常系アニメのように……!


 もちろんエロい目で見ているとかは一切ない。むしろ慈愛の目といえる。お母さんが子供たちを見るような目と言い換えてもいい。


 友達になりたいのは怪しい人と勘違いされないようにだ。中学の時はクラスメイトを見守っていただけなのに、変態の汚名を着せられつるし上げられたもので、全く遺憾である。


 しかし結託してオレをなじる女子たちもなかなかだったと言っておこう。まさかあんなに仲が悪かった佐藤さんと浅見さんが息ぴったりでオレを罵るとは……もう大興奮だったよね。全然変な意味ではなく。少年漫画を読んで感じる様なもえる思いだったよ。


 理想としては仲良し女子2人と写真撮影兼荷物持ち兼男避けのオレで遊びに行くこと。


 さあ中学の無念を晴らすべく、いざゆかん夢の高校生活へ!

 




そしてオレは運命に出会った。それは二人の女の子の形をしていた。

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