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第57話 地味ぽちゃ系アラサー女子の私がイケメン達と魅惑の混浴大接近の件・その1

※この話は男子の下ネタ的シーンが出てきます。

苦手な方は予めご注意ください。

 《カポーン》


「ふああぁ……! 沁み渡る〜〜!」


 いつもよりも熱めのお湯。

 しかし、それが良い。

 秋の空気に晒されて冷えた芯が、ゆっくりと解けていくようだ。


 宴会までの空き時間、私は『女湯・松竹梅』にひとり、贅沢に浸かっていた。


 色鮮やかな紅葉が、夜風に乗って月夜に舞い、ひらりと踊る。

 頭に乗せたタオルを直しながら、安堵の溜息を漏らした。


 雄大な景色を一望できる絶景露天風呂を独り占めである。

 貸切って、素晴らしい。


 ふと、奥まった場所に立て札がある事に気付く。


 《この先、美の湯 

 ××××につき注意》


「美の湯? えーと……」


 下にも説明書きがあったみたいだが、文字が掠れてよく読めない。

 どうやら長年の風雨で消えてしまったようだ。


「……よし!」


 せっかくの温泉である。

 私は名前に惹かれ、安直な気持ちで半分湯の中へ入ったまま目的の地に向かった。




 *  *  *




「なんか、お湯が……」


 次第に進むと、とろみのある白濁色の湯に変化していた。

 ほんのりお酒のような香りもする。


(お風呂に甘酒を入れたら、こんな感じかも)


 じわじわと熱に包み込まれていくにつれ、ヒールで痛めた足先もすっかり気にならなくなり、肌もどことなくつるんとしたように感じる。


(気持ちいい……)


 ほろ酔い気分で湯に浸かっていると、何やら物音が聞こえる。


(……動物? えっ、もしかしてクマとか!?)


 あの立て札の意味。

 温泉付近に出没する野生動物の注意喚起だったのでは。

 考え出したら止まらず、今更ながら背筋が寒くなる。


 《ザバ、ザバ、ザバ》


 音は次第に近づいてくる事に気付き、私は咄嗟に岩陰に隠れて息を潜めた。



「ほらみろってー! こっちにも温泉あるじゃーん!」


八木羽屋(やぎはや)さん!?!?)


 湯煙で良く見えないが、確かに八木羽屋さんの声だ。


「目ざといやつ。フツーあんな立て札見えねーよ」

「わぁ……なんだか、甘い匂い、だね」


御影(みかげ)さんに、衣吹戸(いぶきど)課長!!

 こ、これは、ええええええ……!!)


 危険だ。

 私の頭の中に警報(アラート)が鳴り響く。


(は、早く引き返さないと!)


 慌てて方向転換しようとするが、新たに別の声が聞こえてきた。


「我が宿に代々伝わる、″美の湯″だ。

 他には類を見ないこの地域独特の泉質が、昔から神々や精霊達の治癒にも一役買っている」

「良い湯だけど、のぼせそうだな……」

種狛(たねこま)さんは種族的にも、長湯は控えた方が良いですね。無理なさらないよう」


(ひぃぃぃぃ!? 

 久久野(くくの)主任に種狛さんに思兼さんまで勢揃い!! 

 こ、ここって、男湯と繋がってたの?!

 どうしようどうしようどうしよう)


 そんな私の心情はいざ知らず、男性陣は楽しげに談笑を始めた。



「にしても、たっつー腹筋割れ過ぎ〜!!

 バッキバキじゃん、くびれやばぁ!」

「あ?」

「衣吹戸課長もなかなかだが。

 常々、どのように鍛錬しているのか伺いたかった」

「胸筋と腹直筋、凄いっすね。

 おれ、頑張ってもなんかカッコよくなんなくて」

「ねこまるは細マッチョだから、それでムキムキは逆にひくわー。イブキングはタッパあるしねー」

「え、あ、……ぼく、体質だから……

 それを言うなら、八木羽屋くんだって良い筋肉してる」


 皆、何故か各々の筋肉自慢大会になっている。

 気になるワードが飛び交いまくり、なるべく想像しないよう全力で精神を鎮めようとした最中、八木羽屋さんの不意打ちに動揺した。


「オモッチも着痩せするっつーか、……脱いだらすごいよね」


(!?)


「トレーニングやってるんじゃないすか。

 じゃなけりゃ、絶対そんな体になんねー」


 サラリと御影さんが言うからには、かなり……

 すごいのだろう。

 私は無意識に生唾を飲んだ。


「大した事はないですよ」

「確かに……普段の格好とのギャップのせいかもしんないすけど、体締まってますよね……。

 くっそ、とにかく御影には負けたくねぇ!

 おれも筋トレしまくってやる!!」

「俺は職業柄ヒョロいと使えねーの。

 腕立てと腹筋背筋スクワット×毎日300回。

 必ず仕事終わりにやってみ。こうなるから」

「なっ、ま、マジかよ……」

「すごいね、御影くん。実は、ストイック」

「あざーす」


(私もダイエット自分なりに頑張ってたけど、御影さんも見えない所でずっと努力してるんだな……)


「あーあ、野郎共のハダカ見たって全然つまんない〜。

 女子と一緒に来たかったっていうか、せっかくだったらシロちゃんと入りたかったなー温泉」


(!?)


「そそそそんな、な、なんでそこで、伊縄城(いなわしろ)さんっ?」

「なんで衣吹戸課長がどもるんすか」

「え、あ、いや、その……」

「そりゃあね〜♪ シロちゃん、ふわふわだし♪

 男のサガでしょーが。しかもここって混浴じゃない?」


(混浴って、混浴ってあの、男も女も関係なく一緒に入れてしまう、有名な……!?)


「″美の湯″に関しては、平等に入浴許可されている」


(!!!???)


「立て札に書いてあったの、ちゃっかり見といて正解〜♪

 後でシロちゃん誘ってこようかな〜。″美の湯″って名前も、女子ウケしそうじゃん?」

「や、八木羽屋さん! そういうのって、直球で行くと嫌われるんじゃないですか?! 

 ほら! あいつ、色々面倒そうだし」


(種狛さん……確かに面倒な目に合ってるから、何も言えないけど……って! 

 そんな場合じゃない!

 八木羽屋さんと混浴なんて、無理無理無理!

 恥ずかし過ぎて、絶対に無理!!)


「そーお? 

 シロちゃんなら、快くオッケーしてくれるっしょ。

 あー、でもやっぱり恥ずかしがっちゃうかな〜?

 その反応も込みで、純粋で初心で可愛いから、きゅんきゅんしちゃうよね〜♪」

「な……八木羽屋!」

「背中流してあげたり〜、髪の毛洗ってあげたり〜♪

 ふっふふ〜ん♪」

「ばっかじゃねーの……。チッ!

 輝彦(かがひこ)が馬鹿な事言うせいで……。

 どーしてくれんだよ、ったく」


(?)


「ぼくも、なんか……ヘン、かも……」

「元気だね〜、キミたち!

 まっ、オレも今ヤバいんだけどね〜。

 てかさぁ、温泉の効能もあるんじゃない?

 一応治癒に優れてるんだし。ねー、くくのん」

「……答えたくはないが、その可能性は高い。

 自身で利用して、十分把握した。

 母上の様子も些か怪しかったからな」

「確信犯かよ」

「この地を混浴にして、問題にならなかったのですか?」

「伝え聞いた話だが、夫婦仲が改善されたり、子宝に恵まれたりと逆に感謝される事例が多かったようだ。

 今まで深く考えた事はなかったが、そういう事だろう」

「か、考えようよ……ふぅ、伊縄城さんがここに居なくて、本当に良かった……」


 皆に異変が生じたと同時に、私の体もおかしい事に気付く。

 湯に浸かった箇所からマグマのような熱が全身を駆け巡っている。これまで味わった事のない不思議な感覚だった。


(……聞かなかった事にしよう。

 皆、温泉のせいで少しハイなだけなんだ、きっとそうだ)


 気を取り直し、平常心を保つ事に専念しようと試るが、流石にそろそろ風呂から上がりたい。

 我慢比べも長期戦になるかも……と諦めかけたその時。

 とんでもない言葉が種狛さんから飛び出した。




「この際だから、ここにいる皆さんに聞きたかったんですけど。

 伊縄城の事、好きですか?

 恋愛対象として」

いよいよ温泉回、スタートです!

次話も薄いですが大人なシーンが続きますので、引き続きご了承ください。

いつもご支援くださり、ありがとうございます。

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