↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/174

種明かし④

 シイル殿下は、さらに奥へと進んでく。

「ここです」

 一言で表すなら、大きな亀裂。さっき通ってきた地下道と比べて、縦にも横にも何倍も広い。そこから生ぬるい風が吹いてきて、いかにもな雰囲気。暗がりに何かがひそんでいそう。

「これは?」

「地神の口と、我々は呼んでいますが」

 ふり返ったシイル殿下は、怒りを(おさ)えたような顔をしている。

「ケセラサ王族の中でも、限られた者にしか知らされていません」

 ひょぇ! そんなおっとろしいもんは、見せないでほしかったよ。でも、なにか理由があるから、こんな所まで連れてきたわけで。

「この割れ目をどこまで進んでも、何もないのです」

 挑むように闇を凝視するシイル殿下。そして、沈黙。

 話したいのに躊躇(ためら)っちゃうものがあるんだね。まかせて! 私、案外、聞き上手だよ?

「シイル殿下。発言をお許しください」

「どうぞ。以後、いかなる時も、キララ殿は無許可で私に話しかけてかまいません」

 五秒ルールを持ち出すまでもないって、こんなガキんちょにありえんくらいの好待遇だ。

「ありがとうござます。それで、何もないとは、どういうことでしょう?」

 裂け目の()きるところに、(くぼ)んだ岩壁があるってだけじゃ、それはふつうのことだよね。

「我々にも、どういうことなのかわからなのです。見た目には、なんの変哲もない洞窟だ。むしろ歩きやすいくらいのね。ただ、それがずっと続き、果てがない。半年間、騎兵に旅をさせたという記録もあります」

 ふぉぅ。なんだろうね、ループしてるのかね? もしや、次元の裂け目? 通り抜けたら、そこは異世界だった? 心の中で、きゃいきゃい言ってたら、そういうのって呼んじゃうらしい。

「しかし、ここから現れるのです」

 えっ。えーっ! 現れるって、まさか、まさかね?

「あの、それは、もしや。こちらの王国が召喚しているという」

「そう、勇者です。彼らはいつともなく、自然に現れる。我々が召喚しているわけではないのです。我が国に、そこまでの技術はありませんから」

 一言でも漏らせば首チョンパなことを、よくもまあ、あっさり教えてくれたもんだ。隣で堂々としている旦那様のおかげかな? 私がのん気に、心置きなく驚いていられるのもそう。

 いくら王太子でも、根回しなしには私を引っ張り出せないよね。

 ようするに、私が呼び出された時には、すでに話はついていて、いつからどこまでかはわからないけど、ワルサさんは知ってたってこと。

 自室に下がって、二人きりになってから、秘密にしてたのを謝られたけど、それはしかたがないと思うよ?

 ギュベニュー家に降嫁してきた自国の王女、つまりワルサさんのお祖母様は、それはそれは気位の高い人で、じつは若い頃やんちゃだったワルサさんとは、死ぬまで相容(あいい)れなかったそう。ふーむ、人に歴史あり。でも、体罰はいかんよ、体罰は!

 まあ、おかげで私たちのいまがある。領地に帰ったら、うらみごとを言って、好きだったっていう白い花でも(そな)えるね。

 王族であることを誇りつつ、嫁いだからにはその家の利益を優先するって、切り替えはできる人だったから、代々の当主には王家の秘密が伝えられてきたんだそうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。