衝突①
単体で入学式というものはなくて、前世でいえば、春の叙勲がいちばん近いかな? 成績優秀者が表彰されたあとに、秋入学者○○、春入学者○○って、紹介される形。
毎年、王自らが臨席するせいか、気合の入った親兄弟・親戚たちがつめかけて、主役のはずの生徒がかすむという、なかなかに盛大な式典だった。
制服は、パステルカラーの修道服みたいなデザインで、シンプルだけど私は可愛いと思う。一度、人目にさらされたドレスは二度と着ないって貴族の財布も守れるしね。前世の死因を考えると、ちょっと複雑だけど。
ちなみに、男子は少々丈が短い代わりに、同色のズボンを履く。男女ともにウィンプルはなし。
そうやって虚飾をはぎ取られても、さすがは貴族の子弟。なんかゴージャスなやつ、いるよ?。
特にいま目の前に立ってる、ブルネットの縦ロールは見事としか言いようがない。天然!?なわけないか。巻き毛だったとしても、丹念に整えなければああはならない。
私も一度だけ挑戦したことがあるんだ。それ以外では、常にハーフアップのアレンジを楽しんで、最近は、プレゼントされたバレッタで留めてる。ふふふ。瞳と同色の石がちりばめられていて、モチーフは羽根よ? なんて言って渡されたかはひ・み・つ。きゃ!
「ちょっと、聞いてますの?」
すまん、全然聞いてなかった。
「失礼。なんのお話でしたかしら」
因縁をつけられるようなことは、まだしてないはずだけど。気に食わないとなれば、何もかもが悪くとられるものだし。異国の王女が、さっそく取り巻きを侍らせて、のん気に茶をしばいてるようにでも見えたかな?
ここに腰を落ち着けてすぐ、あきらかに同じ新入生で、不安そうな男の子と女の子が寄って来て、そうしたらまたまたすぐに、秋入学だっていう少しだけ先輩の女の子二人組がお茶に誘ってくれたのよ。
別ににらんだり、脅したりしてないよ? 優雅にゆったり、天然寄りにキャラ付けしようとしてるところ。
この学院では、クラス分けがないかわりに、ゆるーく年齢で区別されたサロンがあって、もちろん別のところに顔を出してもいいんだけど、私もとりあえずはおとなしく、ひよこ色の制服を着た子女と集おうとやってきた。
どう見ても私がいちばん年下。男子も女子もみんな十歳前後。一回りも二回りも大きい子もいるけど、いまさら見下ろされたくらいでびびる私ではないわ。
つかつかと寄ってきた縦ロールさんが「ごきげんよう」と言うから、「ごきげんよう」と返した。
そうしたら、その取り巻きから「失礼じゃありませんの?」「そうね」「そうよ」とはじまって、わるいけど私、少なからずワクワクしてしまったよ! だって、ねぇ? 相手が多少年上とはいっても、中身がアレな私からすれば可愛いもので、まるで乙女ゲームごっこをしてるみたいなんだもん。




