↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/174

王都①

 ケセラサ王国の王都に着くまで、ひと月ほどかかった。それでも、まだ訪れてない領地が倍以上ある。

 ここはケセラサ王国の北の端。赤褐色の屋根をいただく建物群が、山のすそ野に階段状に広がっている。正式な国境は、奥に控える山脈らしいけど、これは気軽に越えられんわね。

 城下町では、焦げ茶色の木の柱や、漆喰(しっくい)の壁が目立つけど、王城は岩壁をくりぬいたもので、外から見ただけでも十分大きい。さらに、ずっと奥へと続いていて、私が生まれ育った城より広いかも。

 赤絨毯(レッドカーペット)の上で、ワルサさんと並んでごあいさつ。

 王都にくるまでに結構な数の貴族夫妻が、私たちを出迎え、送り出してくれた。つまり、まだ領地にいるのに、左右にずらりと並ぶきらびやかな人たち。いわゆる法衣貴族ってやつだね。

 自領をまわって、質実剛健ってイメージが先行してたけど、宮廷人のけばけばしさは母国にも負けてない。

 でも、貴族であろうとも人間。ましてケセラサの人々は素朴っていうか、ストレートっていうか。それとも、それすら計算なのか。

 私が経験してきた小さなパーティーの雰囲気、覚えてる? あの時とまったく変わらない、ひそひそ、こそこそ。なぜか、ワルサさんが悪者みたいな感じに落ち着いて、私は内心プンプンよ!

「楽にしてよい」

 落ち着いた声だけど、聞いてた年齢よりずいぶん若く見える王様。それで三十路って、ほんと? またいとこっていうだけあって、ワルサさんと似てる。もっと柔和な雰囲気だけど、そのちょっと困ったような表情! ほだされそうになってしまうじゃないの。

「ギュベニュー辺境伯ならびに辺境伯夫人、我が召喚にこたえ、遠路はるばる足を運びしこと大儀である」

「ははっ。国王陛下におかれましては、ますますご健勝のこととおよろこび申し上げます」

 私は黙ってワルサさんの隣に立っている。礼儀上、壇上(だんじょう)の人たちと目を合わせるわけにはいかないけど、すでに頭を下げる必要もない。

 王と王妃の入場を知らされてから、直々(じきじき)に声をかけられるまでの間。

 ワルサさんは右手を胸に当てて、軽く頭を下げるだけでよかった。本来、公爵に次ぐ地位の辺境伯でも、もう少し深い礼をするべきなんだけど、彼の祖母が王女だったことから、このような作法になる。

 私がしたカーテシーも、うつむかなきゃならないけど、頭を下げたらダメで、深く腰を落としながらも、間違っても(ひざ)をついちゃいけない。なぜって、辺境伯夫人であると同時に、敗戦国の王女でもあるから。

 いやー、もう、ほんと面倒くさいねぇ。前世で、適当にぺこぺこして、どうもどうも言い合ってたのが妙に懐かしいよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。