大きくなぁれ①
恒例の朝のミーティングで、簡単なプレゼンをしてみる。ワルサさんに提案する前段階ってやつだね。
私は、《回復》魔法を、領全体にかけてまわるつもりだ。そのために、まず問題点の洗い出し。
家令のイマージ、メイド長のスカレ、コック長のフクフ。三人が口をそろえて言うには、「私の体が心配」だそうだ。
ありがとう。でもね、魔法の理論を教えてくれた、仙人先生の持論は正しかった。神の意向にそって、寝込むほど魔法を行使した私は、ぐっと魔力の吸収力が上がっている。魔力の溜めも段違いだ。たぶん、同じ規模の《回復》をしても、寝込むことはない。
むしろ、いまにも力があふれ出しそうで、クク先生が狂喜するくらい、元気元気で困っている。
それに、これから六、七年が勝負どころなんじゃないかって気がしてる。
あ、世界を救えなんて言われた気もするけど、それ無理だわ。うん、最初からやる気ナッシング。正義感に燃えて、一人で背負い込んで、結局、思い通りにならなくて、闇落ちする未来が見えるわ。だから、そこそこの力で、自分のまわりの人のためになるように立ち回ろう。手抜きが目に余るようなら、また天使様が尻を叩きにくると思うし、そうしたら全力出すくらいで、ちょうどいいんじゃないかな?
今回ちょっと焦ってるのは、来春、王都に行ったら、簡単には帰ってこられない可能性があるから。
それまでに、ばんばん魔法を使って地力を上げておきたい。領地が豊かになるのはついでだね。我ながらひどい話だけど。
急激に土地を豊かにして、揺り返しがあるんじゃないかって心配もあったけど。その辺は、三人共、思い切りがいいっていうか。
「これ以上、悪くなりようもない土地ですから」
「可能性があるのに賭けないのは臆病者のすることです」
「美味しい野菜ができるなら」
人心については、それぞれの土地を治める長たちに任せるべきだって諭された。
うん。それでは、ワルサさんが帰ってきて、許可が取れたら、領内《回復》行脚だ。
魔法袋(私命名)をおっきくするぞー、おー!




