こんにちは私②
いままさに、ものごころついたわけだね。神様(?)たちの会話から、額にたんこぶつくるまでの記憶がない。
おむつ取れててよかった。使うのおまるだけど。この世、この時代、この国では、王様だっておまるを使うらしい。なぜそんなことがわかるのか?
「ご覧ください、この曲線美。金箔、銀箔、貝殻をあしらって。これは、王様のものにも負けず劣らず豪華ですよ。さすが、姫様ですわね」
どうやら、ユリリアが無理を言って、実家に献上させたものらしい。彼女、ちょっと私を好きすぎると思う。まあ、大事にしてもらえるのはありがたい。
離乳食も始まってるけど、お乳もまだもらってる。できるだけ長くお乳を与えた方が、元気な子に育つって知識があるみたい。ちょっと恥ずかしいけど、女同士だからいいよね? ユリリアのお乳は甘くておいしい。
さて、おなかもいっぱいになったところで、眠気に負けて、数時間後。
私はぱっちり目を覚ます。すかさずユリリアが気付いて、抱き上げてくれた。そんなゆうらゆうら揺らされたら、気持ちよくて、また寝てしまうじゃないの。
私は、タシタシと軟らかな腕をタップする。
「おんも」
「あらあら。それでは、寒くない格好をしましょうね」
手編みと思われる、毛糸のパンツを履かされ、毛皮のコートを着せかけられ、もこもこのファーが顔を縁取る。
こんな小っちゃいのに、いっちょ前にきれいなドレスを着せられてるし、コートの造りも凝っている。人形に履かせるみたいなブーツには、金色の飾り金具まで付いている。
一般人の感覚からしたら、なんてもったいない。あっという間に大きくなっちゃうなのに!
それはさておき、外はどんなかいなと、わくわくしていたんだけど。
私専用の居室から続くバルコニーに出ただけだった。お姉さん、びっくりだよ。散歩とも言えない外出に、護衛の騎士まで付くんだから。
「姫様、大丈夫ですか? 寒くないですか?」
「だいじょー」
すぐに鼻が痛くなってきたけど、おかげで頭がしゃんとする。
そうだ。私は、転生したんだ。