目覚めたら②
私は、目で肯いた。
「私共は、この国に骨をうずめるつもりでおります。この国の人たちを敬愛し、この家を盛り立てていきたいと思っています。それでも、母国なのです。キララ様。いえ、第二王女殿下」
俯き、肩を震わせるスカレさんに、言うべき言葉は決まっている。
「ありがとう、スカレ。大儀でした」
「もったいのうございます」
袖口で顔を拭ったスカレさんは、深々と頭をさげる。軽く鼻をすする音。
はぁと、どちらともなくため息をついた。
「キララ様。お苦しいところはないですか? 落ち着いているようならば、旦那様をお呼びしようと思いますが」
「ええ。頼みます」
音も立てずに退出して行く。見事なり。感心しながら、瞼が重くなる。
あー、ダメ。待ってなきゃ。ワルサさんが、くる、のに。
ふっと、意識が浮上すると、男の話し声が聞こえる。ワルサさんに似てるけど、ちょっと若い。
「だから、親父。オレに任せとけって。一日、二日、うまく足止めしてやるからよ」
「だから、なんだってそう、お前は口が悪いんだ」
「それは、親父に似たから」
揉み合うような衣擦れの音。
「ギーブ君?」
つぶやき目を開けると、わっと視界をしめたのは、ワルサさんの顔だった。
「大丈夫か? 体の調子は? どこか痛いところはないか?」
大きな体のその陰で、「そんなに心配なら、さっさとやっちまえばいいんだ」とか、ぶつぶつ言うギーブ君。
くわっと、牙を剥いてその頭を叩く、ワルサさん。仲いいなぁ。
「じゃあ、オレ行くわ。母さま、めんどくせぇ親父だけど、よろしく頼みます」
照れくさそうに目元を染めて、軽く手を振って、部屋を出て行ってしまう。
え? 母さまって。私のことか。




